魔法科高校の劣等生〜零の血を絆ぐ者〜   作:Wistalia

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1章 入学式編
第二話 入学式編001 ~七と四と零~


魔法。

それが、お伽噺や空想、SFの産物でなくなって、早や100年。

1999年の人類滅亡の予言を実現しようとした核テロリズム団体の核兵器テロを、たった1人の警察官が特殊な能力によって阻止したのが近世以降で初めて魔法が確認された事例であると言われている。そして、これは超能力とよばれた。東西の有力国家が超能力を研究していくかていで魔法を伝えるものたちがあらわれた。

 

世界各国が魔法師を量産するために色々な手段を取るなか、日本では国立魔法科大学とその9つの付属高校が設立された。

それが魔法科高校。

選ばれた者達のみが入ることのできる高校である。

 

 

魔法教育に平等という概念は存在しない。そこには、使えるものとそうでないものの差が歴然と横たわっている。

例え、血を分けた兄妹であっても。婚約者であっても。それらの、試験の結果は平等ではないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「納得できません。」

 

「まだ言っているのか?・・・」

 

「まあ、深雪お姉ちゃんだし。しょうがないとおもうよ。」

 

国立魔法科大学付属第一高等学校。

 

通称一高。魔法師を育成するためのエリート高校である。第一高校入学式当日の朝。だが、二時間前。

新生活に胸を踊らせる新入生も、それ以上に、盛り上がっている父兄の姿も、流石にまばらだ。その入学式が、行われる講堂の前で、2人の女子生徒と1人の男子生徒が言い争っていた。いや1組のと言った方がいいかもしれない。なぜなら女子生徒の片方はどうでも良さそうに、茶々をいれているからだ。三人の新入生。だがその制服は、微妙にだが明確に違う。それはスカートとスラックスの違い、つまり、男子生徒と女子生徒の違いではない。

第一高校のエンブレム。二人の女子生徒の胸には、八枚の花弁をデザインした「それ」があるのに対し、男子生徒の胸にはそれがない。

「何故、お兄様が補欠なのですか?入試の成績は、トップだったじゃありませんか。」

 

「お前がどこから入学試験の結果を手に入れたかは、おいておくとして、それは、筆記試験の結果じゃないか。ここでは、ペーパーテストの結果より実技試験の結果が優先されるのは当たり前だ。俺の実技の能力は二人ともしっているだろ。自分じゃよくここに二科生とは言え受かったものだとおもっていたのだが・・・・・」

 

「そんな覇気の無いことで、どうします。それに、その理論なら総代は智花ではありませんか。私は知っています。勉強も体術もお兄様に勝てる者などいないというのに。魔法だって本当なら「深雪。」申し訳ございません。」

 

項垂れた頭にポンと手を置いて、艷色な艶やかな、さらりとした、長い髪をゆっくりと撫でながら少年は言った。

「・・・お前の気持ちは、嬉しいよ。俺の代わりに、お前が怒ってくれているから、俺は何時も救われている。」

「嘘です。」

「ウソだ。」

「嘘じゃない。」

「嘘です。お兄様はいつも、私のことを叱ってばっかりで。」

「そうだそうだ。基本、達也はこまかいんだよ。」

 

「嘘じゃないないって。それと智香、お前は大雑把過ぎるんだ。」

 

「でも、お前達が俺のことを考えてくれているように、俺もお前達のことを思っているんだ。」

 

「お兄様・・・そんな『想ている』なんて・・・」

 

「・・・・ふぁ・・・・」

 

(・・・・あれっ?)

 

何か、無視できないような巨大なそごが生じているような気がするが、達也は差し迫った問題の解決のため、疑問を、一回、とりあえず棚上げすることにした。

「お前が答辞を辞退しても、智花はともかく、俺が代わりに選ばれることは絶対にない。本当は、分かっているんだろ?深雪。お前は賢い娘だろう。」

 

「それは・・・・・」

 

「それにな、深雪。俺は楽しみにしているんだ。お前は俺の自慢の妹で智花の姉だ。可愛い妹の晴れ姿を、このダメ兄貴に、みせてくれ。それにな、智花もお前の答辞を見たい筈だ。」

 

「うん。お姉ちゃん、頑張ってきてね。」

 

「お兄様はダメ兄貴じゃありません。・・・・・ですがわかりました。わがままを言って申し訳ございませんでした。」

 

「謝ることでもないし、わがままだとも、思ってないさ。」

 

「それでは、行って参ります。・・・・見ていてくださいね、お兄様、智花。」

 

「ああ、行っておいで。本番を楽しみにしているから。」

「お姉ちゃん、頑張ってね。」

 

「智花、お姉ちゃんは、頑張ってくるからね。後お兄様に悪い虫がつかないように見張っといてください。では、行って参ります。」

 

そういって会釈して、歩いていった少女の姿が、講堂に消えていったのを、確認して少年と少女はやれやれとため息をついた。

「お姉ちゃん、いつもどおりだったね。」(お姉ちゃん・・・)

 

「ああ、本番は大丈夫だろう。」(悪い虫ってなんだ?)

 

「これから、どうするの?」

 

「そうだな・・・まずは座れるところを探そうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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本棟、実技棟、実験棟の三校舎。

内部レイアウトが機械可変式の講堂兼体育館。

地上三階から地下二階の図書館。

二つの少体育館など多数の施設が立ち並ぶ、第一高校のキャンパスは、どちらかと言うと、高校と言うより、郊外にある大学のキャンパスという、趣がある。

その高校らしくない高校の通路の一角に置かれているベンチの一つに一組の男女が座っていた。

彼らは、人目を引き付けていた。

-sideブルーム女子生徒-

ーねえあの子ウィードじゃない?ー

ーこんな早くから・・・張り切っちゃてー

ー所詮、スペアなのに。ー

ー横の子はブルームみたいね。ー

ーどうしてウィードとブルームがいっしょにいるんだろう?ー

ーそんなことより、あのブルームの子可愛いよねー

ーあっ、わかるわかる。ー

ーなんか、こう、守ってあげたくなるってゆうか、「あーちゃん」みたいな感じ?ー

ーそうそう、小動物めいた。ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

-sideブルーム男子生徒-

ーあの子可愛いよなー

ーしかもブルームだろー

ーブルーム同士だし、意外といけるんじゃね?ー

ーところで、あの隣に座っているのは誰だ?ー

ーおい、あいつウィードだぞー

ーなに、ウィードごときがブルーム、しかもあんな可愛い子と相席だとー

ー許さん、あとで成敗してくれるー

ーおい、あの二人、仲いいんじゃね?ー

ーそ、そんな、あんな可愛いブルームの子がウィードごときと仲がいいなんて!ー

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

-side out-

「達也、悔しくはないの?貴方は、本当なら、世界で最も強いのに。」「ああ、俺の魔法実技の成績が悪いのは本当のことだしな。」

「ん?」

「どうしたの?」

「いや、なんでもない。」

「あっ、誰か来た。達也はエレメンタルサイトで彼女にきずいたのね。」

 

 

 

 

 

 

 

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「そろそろ開場の時間ですよ。」

 

まず、目についたのは、制服のスカート。

それから、左腕に巻かれた幅広のブレスレット。

普及型より、大幅に薄型化され、ファション性も考慮された最新式のCADだ。CAD-術式補助演算装置。ディバイス、アシスタンス、ホウキといった呼称もつかわれている。

魔法を発動するための起動式を、呪文や呪符、印契、魔法陣、魔法書などの伝統的な手法・手段、道具に変わって提供する、現代魔法に必須のツール。一単語、一文節で、魔法を使い別ける呪文は存在しないことになっている。

(まあ、俺の横にいるこいつだけは例外なんだが。)

「ありがとうございます。すぐいきます。」

「感心ですね。スクリーン型ですか。」

「当校では、仮想型ディスプレイ端末の持ち込みを認めておりません。ですが、残念ながら、仮想型ディスプレイ端末を使用する生徒が多くいます。でも、あなたは、入学前からスクリーン型なのですね。」

「仮想型は読書に不向きですので。」

「動画ではなく、読書。私も動画より、読書の方が好きだから、なんだか、うれしいわ。」

「あっ、申し遅れました、私は第一高校生徒会長の 七草 真由美 です。」

「真由美、久しぶり。」

「ま、舞姫様?」

「智花、知り合いなのか?」

「うん、真由美さんと妹さんには何回かあったよね。それに、真由美さん今の私は智花です。」

「まさか、智花ちゃんとこんなところであうなんて。」

「あなたの名前は?」

「自分は 司波 達也 です。」

「そう、あなたがあの・・・校内はあなたたちの噂でもちきりよ。司波君は入学試験、七教科平均100点満点中96点。特に圧倒的だったのが魔法理論と魔法工学。合格者平均が70点に及ばないのに両科目とも小論文もふくめ文句なしの100点。前代未聞の高得点って。そして智花さんは実技試験歴代一位、当校始まって以来初の飛び級入学者。」

「それはペーパーテスト、つまり、情報システムの中のはなしですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「かいちょ~探しましたよ~」

「どうしたのあーちゃん?」

「新入生の前であーちゃんは止めてください。それで、こちらの方たちは?」

「自分は司波達也です。」

「零野智花です。」

「司波達也君と零野智花さんですね。私は生徒会書記の中条あずさです。会長、そろそろいかないと遅れますよ。」

「じゃあ、またあとであいましょう。」

「自分たちもこれで失礼します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっわー、キレイに前半分と後ろ半分でわかれてるね。」

「前半分が一科生で後ろ半分が二科生か。智花、どうする?別れるか?」

「や~だ。達也と一緒に後ろに座る。」

「智花、一科生が後ろにいるとめだつぞ。」

「じゃあ達也がまえにくる?」

「よし、後ろに座ろう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*****

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、最も差別意識の強いのは差別を受けている側か。」

「達也、それって、どういうこと?」

「つまりだ、まず、差別を受けている側が恐れているのはなんだと思う?」

「うーん、これ以上の差別を受けること?」

「いや、違う。差別の標的が自分だけに向くということだ。だからみんな、他人と同じことをする。ことわざにもあるだろう、出る杭は打たれるって。」

「それで、どうしてみんな同じことを、しようとするの?」

「それはな、自分が目立つのを避けるためだ。目立てば目立つほど、睨まれやすくなるからな。つまり、目立つのを避けるのは、生きていくなかでの一種の知恵だ。まあ目立つといえば、馬鹿でも天才でも友達がいなくて一人ぼっちでも目立つんだがな。だから目立たないでいようと思ったら、テストはすべて平均点、運動もそこそこできて、友達づきあいも一歩引いたところで誰に賛成するでもなく、空気のようにいなきゃならない。」

「ふーん、そうなんだ」

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