ドラゴンボール×GetBackers-奪還屋-〜孫悟空が裏新宿入り〜   作:来春

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 皆に別れを告げ神龍と共に消えた悟空…微睡みの中、何かを願ってたどり着いた場所は自分が感じたことも無い空気を漂わせる世界だった!なぜ自分がこの世界に来てしまったのか…しかし考えている暇は無いぞ悟空!!まだ見ぬ強敵がお前の事を狙っているぞ!!


無限城"IL"奪還作戦
第1話 『悟空驚愕!!オラが漫画のキャラクター!?』


 

 悟空が目を覚ますとそこは狭く真っ暗な空間にいた。染み付いた癖なのか、すぐさま知人がいないか気を探ってみるがどこにもいない。

 

「それにしても暗えし狭えなぁ。身動きも取りにくいし、気でぶっ飛ばしちまうか?」

 

(待て悟空!)

 

 頭の中から神龍の声が響く。

 

(この声は神龍か?でもなんで界王様のテレパシーみたいに聞こえんだ?)

 

(周りに聞こえないようにしたか…流石だな。だがそうやってすぐに気で解決するのは良く無いぞ?)

 

(はは、すまねぇ。で、どうして頭の中から聞こえんだ?)

 

(まずこのセカイに来る前、お前の身体は私と完全に同化した事で決して肉体が表に出てくることは無い。勿論お前の精神もだ。だがこの世界に入った途端私は自身の存在を保てなくなり、止む終えず孫悟空の肉体に変わるしかなかったのだ)

 

(それと神龍の声が頭の中から聞こえるのはなんでだ?)

 

(これは恐らく、肉体が表に出てきたことにより精神の主導権が私からお前に移った為、今度は私の精神が表に出ることは無く、唯一の手段がこのテレパシーでの会話なのだろう)

 

(ふーん、そっか)

 

 どうでも良さそうな返事が返ってきた。

 

(あまり理解してないな?)

 

(細けぇ事は別にいいじゃねえか。要は神龍には悪いけどオラまた強えヤツと戦えるって事だろう? ワクワクしてきちまったぞ!)

 

(まぁこの状態で私はどうする事も出来んから…お前がそれで良いのなら別に構わないぞ)

 

(サンキュー神龍。でもどうすりゃいんだ? っておわ⁉︎)

 

 どうやら外に出られたらしい。

 

「いてて…ん?なんだこれ…」「そこにいるのは誰!?」

 

 慌てて振り向く悟空と心の中の神龍が見たのは、学生服の上からエプロンを着た黒髪の少女が自分達を覗き込んでいた。

 

ー喫茶店Honky Tonk内ー

 

「さっきは大声出してごめんね。最近野良猫とかがお店のゴミを荒らしてるから勘違いしちゃったの」

 

ガツガツ

 

「夏実ちゃんに聞いたよ、またなんでポリバケツの中にいたんだ?まぁゴミが中に入っていなくてよかったよ。一応喫茶店だから異臭が酷いとほかのお客さんに迷惑だからさ」

 

バクバク

 

「もぉ〜そんなこと言ったらかわいそうですよ!」

 

モグモグ

 

「ゴクゴク……ぷはぁ! 確かに飯屋が臭かったらせっかくの飯が台無しだかんな」

 

「コーヒーや紅茶の香りを楽しむ空間には無粋としか言えねぇな。(それにしても良く食べる坊主だ…大丈夫かな?ウチの食糧…)」

 

「まぁそれはそれとして……どうしてあんなとことにいたの?」

 

 そろそろ噛み合わなくなってきた会話をぶった切って、夏実が尋ねる。

 

「それがよ?オラもあんましよく分からねぇんだ。神龍っていう龍の神様に乗って眠ってたらいつの間にかポリバケツ?ってヤツの中に入ってるし、知ってるヤツの気も全然いねぇし、何よりここが何処だか分かんねえから凄く困ってんだ」

 

 悟空の簡潔だからこそよくわからない説明にこの店のマスターの王波児(ワンポール)は肩をすくめ、この店の住み込みアルバイトの水城夏実が頭の中に疑問符をつくっているのだった。

 

「そうだ!まだ名前を聞いてなかったね。私の名前は水城夏実。それでこの人はこの店のマスターの王波児さんだよ」

 

「すまねえなわざわざ。オラの名前は…「失礼します。」…孫悟空だって、ん?おめえ誰だ?」

 

 名前を言う前に入ってきたお客さんを見て悟空が呟いたのだった。

 

 悟空がHonky Tonk内で夏実が驚かせてしまったお詫びにと食事を提供してもらい地獄絵図を展開している頃、新宿の路地裏を奥へ奥へと長身で漆黒に身を包んだ男性が携帯を片手に進んでいく。

 

『現在不確定要素は最初に出現した位置から全く動いていない…ホントに動いていないな…一体何をしていたんだ?』

 

「それで?場所は分かりましたが外見等の特徴は分からないのですか?」

 

『場所の方はよくGBの二人組が根城にしている喫茶店Honky Tonkで間違い無いが、外見の方はまるっきり分からん。どうやらその者の周りには観測しようとすると認識をずらされてしまう力場が発生していてな…破ろうとするとそれ相応のエネルギーが必要で、慎重に行動しなければいけないこの状況では不可能な始末‼︎』

 

 話しているうちに試行錯誤を繰り返しても依頼主のいる所からでは全く手掛かりを掴めない不確定要素に対する苛立ちから語気が荒くなっていく。

 

「クスクス…少しは落ち着いいてください。そのために私がいるのでしょう?しかし観測しようとすると認識をずらされる力場ですか…想像出来ませんね…私には…おや話していると時間とはあっという間に過ぎてしまうものですね」

 

『ふむ、分かった。何度も言うようだが外見的特徴など分かるものは全て記録してくれ。それにこれが一番重要な事だがGBの二人の邪魔になるようなら消しても構わないが良い影響を与えてくれそうならそのまま観察を続けてくれ、さようなら』

 

 依頼主が電話を切ったようだ。

 

「やれやれ、人使いの荒い人ですね。それでは鬼が出るか蛇が出るか、失望させないでくださいね、不確定要素さん。……失礼します」

 

 諸々の準備を済ませ入店した赤屍の目に映ったのは……カウンターに積み上げられた沢山の食器の周りにまるで妊婦さんのお腹のような腹を満足そうに摩りながら、嬉しそうに茶色の尻尾をくねくね動かしているツンツン頭の少年が飛び込んできたのだった。

 その光景に一瞬頭が真っ白になってしまった赤屍だが、気を取り直して注文をする。

 

「向かって右奥の長椅子の席でお願いします。それからコーヒーとショートケーキをそれぞれ一つお願いします」

 

「あ、はい。コーヒーとショートケーキですね?分かりました。ではお席に座ってお待ちください」

 

「ありがとうございます。…あのお名前を伺ってもよろしいでしょうか?私の名前は赤屍蔵人と申します。以後お見知り置きを」

 

 優雅な所作でお辞儀を悟空に向けて行う赤屍。

 

「そんな固苦しくヤンなくても良いぞ? オラの名前は孫悟空だ、宜しくな赤屍」

 

「どうもご丁寧に…会ってすぐに申し訳無いのですが、少々貴方に興味を持ちまして、お話などしませんか?」

 

「うーん、別に良いぞ。オラもまぁまぁ食ったし、それにこの世界に初めて来ちまって何が何だか分かんねえ状態だからさ。教えてくれるって言うんならオラからお願いして欲しいぐらいだ」

 

「そうですか、では情報交換といきましょう。こちらに」

 

「おう」

 

 カウンター席から降りて赤屍の後ろをついて行き、テーブルを挟んで向かい側に座る悟空と赤屍。すると赤屍は懐ろからペンとメモ帳を取り出す。

 

「情報交換って言ったってオラの話はてぇした事ねぇぞ?」

 

「すみません。仕事柄こういったメモを取る癖がありまして…不快に感じたのならお止めしますが」

 

「そんな謝んなくても良いぞ。メモなら幾らでもとって良いからさ、取り敢えず何から話せば良いんだ?」

 

「個人的な事から先に聞いても宜しいでしょうか?これでも軍医だった事があり医学の知識があるので貴方のその尻尾に大変興味があるのですよ。」

「我々ヒトは胎内にいるほんの僅かな期間しか尻尾と呼ばれるような器官は無いのですが、稀に尻尾が生えたまま生まれてくる事があるそうです。私もそういった例を見たことがありますが、貴方の様にそこまで長く、かつ自分の意思や感情を表すかの様に動く尻尾など見た事がなかったの……っておやおや♪」

 

「ぐごぉぉぉぉぉぉZzz( ¯௰¯)zzZ」

 

 赤屍の話に頭の処理が限界を超えてしまったのか、鼻提灯を作りながら眠ってしまっていた。

 

「これは…起こすのがかわいそうになるくらい良い寝顔ですがこれでは話ができませんから……えい♫」

 

 ペンの先で鼻提灯を潰すと、その炸裂音で目を覚ます悟空。

 

「うお⁉︎ 悪りぃな、オラにはちょっと難しくてよ〜。へへへ、まぁオラのこの尻尾は地球人のモノじゃねぇからな。珍しく思うのは当たりめえだと思うぞ?」

 

「地球人の? それでは貴方は宇宙から来たという事ですか?」

 

「あぁ、間違いねぇぞ。なんでもオラの生まれた星は惑星ベジータって言ってな?地球の10倍の重力があったみてぇなんだ。そんでもって戦闘民族サイヤ人って戦う事が全てみたいな種族らしい。オラも戦う事は好きだけんどあんな無理矢理他人の星を滅茶苦茶にする様な奴等と一緒にされたくはねぇけどな」

 

「成る程、戦う事が好き、ですか。興味深いですね、もしかしてまだその種族は宇宙にいるのですか?」

 

「んー多分いねぇと思うぞ? オラと同じサイヤ人の王子のベジータが言うには、オラが生まれてすぐに地球に飛ばされた時にフリーザっていうとんでもねぇ悪りぃヤツが惑星ベジータごとオラも含めて数人のサイヤ人以外を残して消しちまったらしいからなぁ」

「オラはそのフリーザって言うヤツに会うまでベジータの言うサイヤ人の誇りとかいまいちよくわかんなかったけど、フリーザを見たらこいつだけは許せねぇってオラの血が叫んでたんだ」

 

 いつの間にか悟空の一人語りは過去の壮絶な戦いを思い起こさせていた。親友を目の前で爆発させられ怒りが頂点を極めた時、種族の壁を超えたあの黄金の戦士に変身した時の事を。

 その姿に赤屍は何を思うのか、ただ言える事はそのフリーザという存在から只ならぬ強者のニオイを感じ取れた事は確かだった。

 

「そのフリーザと言う方はとても強かったのですね…」

 

「あぁ、あの時感じた強さはホンモノだった。あいつは自分を宇宙最強って言ってたが、あの時はあいつより強い奴はいねぇって断言できるくらい強かった」

 

「宇宙最強ですか…それはそれは戦ってみたいものですね」

「おめえはどうかわかんねぇけど…まぁ今のオラにとっては、てぇした敵でもねぇかな。ドラゴンボールがおかしくなっちまってよ?あの世とこの世が繋がっちまった時にセルっていうフリーザより強い奴が二人同時にかかってきたけど実力が違いすぎて話になんなかったしな」

 

「そうですか。ん?ドラゴンボール? はて…どこかで聞いた様な」

 

「え⁉︎ おめえもドラゴンボール知ってんのか⁉︎」

 

「実物を見た事は無いのですが、ちょっと席を外しますが宜しいでしょうか?」

 

「あぁ良いけど……って行っちまった」

 

 悟空をしてコマ送りのようにしか見えない程の早さで席を立ち波児の所まで近ずく赤屍に驚嘆しながら神龍と共に心の中で会話する。

 

(なぁ神龍、あの赤屍ってヤツどう思う?)

 

(お前が聞きたいこととは違うと思うが…私の存在が保てなくなった原因は多分あの男の能力だろう…)

 

(え!? そうなんか!?…確かにあの身のこなしは凄かったけど、そんな風には見えねぇぞ?)

 

(これは私のような存在しか分からない感覚だろう。いくら今のお前が生死を超越した存在とは言え、この特殊な感覚だけは修行でどうにかできるものでは無いしな)

 

(ふーん……そっか。で赤屍は悪りぃヤツだと思うか?)

 

(今のままでは判断しにくいが……要注意人物である事は確かだ。それに彼の能力は殆ど無意識で行われているようだから責めるのもおかしいだろう。)

 

(ならこの後は赤屍からこの世界の事を聞けば良いのか?…それにしてもオラ達のいた世界よりこう強い気を感じねぇな…)

 

 少々不満そうに呟く悟空。

 

(いくら生死を超越したとしても油断は禁物だぞ?実際お前達は魔術のような搦め手には耐性が無いだろう?)

(バビディの洗脳にかかったり、ベジットになりあれ程の戦士になったにも拘らず格下の魔人ブウにアメ玉にされてしまったではないか。下手をしたら存在そのモノを消滅させられたりするかもしれない魔術もあるかもしれないぞ?)

 

(そんな奴らがいるのか⁉︎)

 

(分からん。私の勘がそう告げているような気がしてな、一応情報の少ない今は自身の存在をアピールするのは不味いと思い不可視のバリアーの様なモノを施していたのだがな。それに……)

 

(それに?)

 

「あのさ悟空くん……ちょっと来てもらえないかな?」

 

 動揺を隠しきれないような夏実の声が悟空の真横から聞こえた。

 

 悟空が神龍と心の中で会話している頃、席を立った赤屍は波児に話しかける。

 

「マスター、パソコンなど何か検索で出来るものはありませんか?」

 

「いきなりだな。夏実ちゃん確か店の奥にノートパソコンあったよね。悪いんだけど取ってきてくれないかい?」

 

「はい!わかりました。すぐもってきますね」

 

「それにしてもスケールの大きい話だな。お前さんはどう思う? 赤屍。あの坊主が言ってた事に嘘が混じっている様には俺には思えなかったが」

 

「確証がありませんが、憶測だけで言うにはこの問題は余りに大き過ぎる様な気がしますね」

 

「…それ程のモノなのか?あの坊主は」

 

「取ってきましたぁ〜」

 

 夏実が電源を入れたノートパソコンを抱えて持ってきたようだ。

 

「ありがとうございます。もう直ぐ分かりると思いますよ。彼の正体が」

 

 そう言うと赤屍はGo◯gleと書かれた検索ページに何かを打ち込み出てきた結果に思わず息を呑む。

 夏実は思わず悟空の元に走り寄り、波児は「そんなアホな…」と呟くだけ。

 赤屍は自身のもつ[量子力学の不確定性原理]に当てはまらず、側から見れば瞑想しているかのような悟空を見る。

 想像できない、赤屍が無意識に思うだけで存在することさえできずに消滅してしまう。だが今なおああやって存在できているあの少年は一体どれ程の強さを秘めているのか。

 自身の強者と戦いたいという欲求と、この【セカイ】と"あの世界"とは全く違う異なる世界の存在を知ってしまえば、好奇心と探究心が爆発してしまいそうだった。

 すると夏実に手を引っ張られながら悟空が連れてこられる。

 

「なぁ悟空…そのあまり驚くなよって言うのは無理かもしれないが」

 

 歯切れの悪い波児の声が聞こえた。

 

「多分これが貴方の知りたい事に繋がるのでは無いでしょうか?」

 

 感情を押し殺したような赤屍に促されノートパソコンの画面を見るとそこには…

 

「Doragon Ball? なんて読めば良いんだこれ」

 

 英語が分からないらしい。

 

「これは英語いう文字です。日本語でドラゴンボールと読みます。そう貴方の世界の出来事はこのセカイでは漫画の中の出来事として扱われているのです」

 

 よく見ると自分にそっくりな少年が如意棒をもっている絵や金髪の青年が描かれている、究極神龍の呪いを受ける前の超サイヤ人の自分にそっくりな絵もあった。

 

「確かに驚いたしこの世界がオラの全く知らない異世界だって分かったけどよ、それが一体なんだって言うんだ?」

 

「恐らく悟空さん貴方は2度と元の世界に帰れない可能性があるという事です。」

 

「………えぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

 悟空の素っ頓狂な声が喫茶店内に響き渡った。

 

 

 




「オッス!オラ悟空!!いやぁここがオラ達の世界とは全く違う本当の異世界だったなんてなぁ、それに凄え人気の漫画だって言うじゃねぇか」
「夏実や波児(ポール)は写真撮らせてだの握手してくれだので大変だし、赤屍のヤツはずっと黙ったままで凄え怖えぇしよ、オラ参っちまうぞ」
「何? 赤屍がオラの力を試したい? おお! 本当か!? オラもあいつの力見てみたかったからこっちからお願いしてほしいくらいだぞ!」
「それじゃ次回ドラゴンボール×GetBackers-奪還屋-〜孫悟空が裏新宿入り〜第2話 超越者赤屍蔵人VS紅の化身 孫悟空 前編 また見てくれよな!!」
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