旋風と雪風   作:あすは我が身

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異世界と妖精

シャルルの遺体を見晴らしの良い丘へ運び埋葬し、他の遺体はその場に纏めて埋葬した。

余裕があるときはいつも行っていることであるが、余裕がないときのほうが多く、殆どの場合は放置。

別に良かれとおもってやってるわけではない。

追っ手があるなら証拠を少しでも隠したかっただけだ。

 

一息ついて辺りを見渡すと、すでに薄暗くなっていた。

気温はそれほど寒くはない。

「ここで野宿か。って月が二つ?」

ふと空を見上げた大和の目に飛び込んできたのは、赤く大きな満月と寄り添うように浮かぶ小さめの満月。

(…地球じゃないのか? ここは?どんだけ遠くに召還されてんだよ…まぁー地球に戻った所でやらなきゃならないこともないし心配する相手もいない…)

「どっち道死んでたはずだしな」

元の世界ではないと感じても大和はなんともマイペースだった。

 

 

 

上空150メートルから周囲を探索する。

(なんか、召還されてから精霊との繋がりが強くなったような…。今なら予備動作なしで風を飛ばせるか? ん…?)

 

「キャァー来ないでよーーー」

視界の隅に鳥? が何かを追っているのが見える。

(鳥? 距離的には200メートル…でかいなアレ、で声はどこから?)

 

風と意識を同調させ、捜索範囲を一気に拡大する。

(オイオイ、同調率が倍? 捜索範囲が2キロってどうなってんだ?

お! 声の主発見! って妖精? 感じからして風の眷属かな?)

 

鳥? の軌道を読み、予備動作なしで風の刃を放つ。

一瞬後には首を落とされた鳥が2、3度羽根を羽ばたかせて墜落した。

 

話ができそうな相手を見つけ妖精の元へと飛ぶ。

 

「大丈夫?」

きょとんとした表情で大和の存在を確認した妖精は逃げることもなく大和の胸に飛び込んだ。

 

「な! え! え~? なんだ? 大丈夫か?」

いきなりのことでうろたえる大和。

 

「ん? 人間? え?」

サッと飛びのき恐る恐るといった感じで様子を窺う。

 

「なぜ疑問系? 何処から見ても人間じゃないか俺? 何に見えたんだ?」

失礼な! と言わんばかりの表情[幼さと精悍さの中間くらいに位置する愛嬌ある表情ではあるが…。

 

「精霊の匂い(雰囲気のようなもの)が強い人間なんて初めて見た。

イルククゥより強いかも…あなた何者?」

 

(イルククゥってなんだよ、匂いって精霊を纏ってるからかな?)

「まぁーなんだ。怪我が無いようでよかった。それと、人間以外の何者でもないよ。

ただの風術師だ。出来れば少し話しを聞かせてもらいたいんだけど、時間ってあるか?」

 

「風術師? 精霊に干渉出来るの?」

 

「あぁ、風限定で多少の使役が出来る。珍しいの?」

 

「人間の精霊魔法使いなんて聞いたことも無い! エルフの血とか混ざってない?」

胡散臭そうに半眼で見つめ様子を伺っている。

 

「こっちには居ないのか…向こうには結構居たんだけどな。それと純日本人だから。」

(こっちの世界には精霊術を使える人間はいないが、エルフやら妖精やらは精霊術が使えると。かなりファンタジーな世界だなココは)

 

「ニホンジン? ってハルケギニアにそんな種族いたっけ?」

 

なにやら考え込んでしまったセラに事情を話し、情報収集に努める。

「たぶん召喚魔法とやらで、呼ばれてきたからこの星じゃないと思う。俺の居た星にはエルフなんて存在しなかった。それと日本人ってのは日本って国の人間って意味だから」

 

「違う星? 星ってお空に浮いてるアレ? あそこにも人間が住んでるの?」

セラは大和の言うことのほとんどを理解できなかった。

 

「まぁーそういうことだ、単純にどの星か分からないから異世界って言い方でも良いかも。

ところで、どこか落ち着いて話せる場所があったら連れて行ってほしいんだけど、良い?」

上空100メートルに浮いた状態での会話も苦痛ではないが、ゆっくり落ち着いて話をしたかった。

 

「えーと、名前なんだっけ? 私はセラ」

 

「俺は草薙 大和。よろしく」

今更ながら自己紹介には必須な名前を伝え忘れていたことに苦笑しつつお互いの名前を伝えあった。

 

「取り敢えず私の村に行こう~♪ ヤマトなら皆怖がらないと思うし」

 

ニコニコと愛想を振りまきながら大和の周りを飛び回るセナに釣られるように大和もこの世界に来て初めて、心からの笑顔を見せた。

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