旋風と雪風   作:あすは我が身

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同行者と使い魔

今にも泣き出しそうなセラに別れを告げ、村を後にして3日。

ガイア国アルデラ領エギンハイムという村まで徒歩3時間という場所に上空から村を視認し、地面に降り立った。

 

(此処からは徒歩で村まで行った方が無難だな。精霊術がバレるとやばそうだし…)

よっぽどのことがない限り精霊術は守りをメインに使う程度で、杖を準備してからじゃないと攻撃には使えないと考えていた。

 

前の世界では基本的に精霊術師の中で風は探索や補助がメインの立場であり、攻撃力に関しては4系統最弱だ。ただ、この世界では系統魔法より精霊魔術の方が威力があり、加減しなければすぐにバレル恐れがあった。さらに杖を媒介にしないと使えないことも考慮しなければならない。

 

(さて、この世界の文化レベルってどのあたりだろ?)

この前の賊が銃を持ってなかった。あるのかないのかは分からないが、少なくとも高価なものであると予想された。

(魔法が根付いた文化では科学力は大して高くはないと思うが…)

科学とは人間の手では出来ないこと、それを効率化することで発展していくものである。

魔法という万能な力が根付いた世界では科学特に機械工学などは発展しにくいのだ。

 

考え事を整理させつつ村へ歩いていく。

獣との遭遇も考え、索敵範囲を100メートルほど風で行っていた。

 

(ん? なんか来る? 人間ではないな…この感じ妖精?)

害意はないとみて、近寄ってくる妖精を待っていると、セラが此方へ飛んでくるのが見えた。

 

「ヤ~マ~ト~待って~~~」

急いで追って来たのか疲れているように見える。

 

「どうした? 村でなんかあった?」

(魔方陣に不備があったか? また襲われた?)

嫌な考えが浮かび顔を顰める。

 

「ハァハァ、そうじゃなくって村には何も問題ないわ…ハァハァ」

徐々に息を整えつつあるセラのつぎの言葉を待つ。

 

「私も連れてって♪」

可愛らしく言われてしまった。

 

「連れていくって、根なし草な上に一文無し、一つ依頼を受けたが基本やることがない。付いてきてどうするんだ?」

大和自体シャルルからの頼まれごとを終わらせたら、何をすれば良いか分かっていなかった。

ただ、地球に帰ろうとは考えていなかった為、この世界に馴染んで生きていこうとは思っていたのだ。

 

「いいの~ヤマトと居れば楽しそうだし♪ 長老様もヤマトに付いて行くならって許可をくれたの」

 

「ん~~~長老の許可があるのか…まぁ~話し相手も欲しかったしいっかぁ」

実際は勝手に飛び出して来たのだが、そんなことは知らない大和は大して気にせず同行を許可した。基本のんびりな性格である。

因みに、セラはうまくいったとばかりに背中を向けて舌をだしていた。

 

「でも、人間の居るとこに出歩いてもいいのかな? 俺が近くにいれば害はないと思うけど、珍獣扱いは決定じゃないか?」

滅多に人前へ姿を現すことのない妖精族は人間の興味を確実に引く。姿を常に消す方法もあるが、術を使うことでの精神の負担が溜まる。

 

「ん~大和の使い魔って事にすればいいんじゃないかな? そうすれば大和も疑われずに魔法使えると思うし?」

 

(なるほど、気づかれない程度の魔法なら少しは使えるか。)

 

「わかった。それで行こう。ってことで、よろしくな!セラ」

 

「こっちこそ、よろしくヤマト♪」

 

 

 

エギンハイムに近づき、風を通して観察する。

お昼時ということもあり、人影はなく、村人は各自、自分の家で食事中であった。

 

腹が減っては…ってことで、先ほど狩りをして食事を済ませた大和は村人が午後の仕事へ出てくるまで、姿を消して村と周囲を探索した。

 

村の北側には畑が広がっており、各家の周囲には木材が積まれていた。

林業が盛んな村だと判断する。

村の規模は家が30軒ほどで、100人前後の人口だと思われた。

一人、二人と村人が家から出始めたため、先ほどまでいた村の外へ飛んだ。

 

「セラ~出てきていいよ」

 

「どうだった?」

 

「村人が午後の仕事へ出かけるみたいだから、村長さんに会いに行こうと思う」

 

「わかった~♪ 人間の村へ行くのは初めてだから楽しみ♪」

 

機嫌良く返事が返り、セラを肩に乗せ村へと向かう。

 

村に入るとすぐに斧を抱えた大男に声を掛けられた。

「何者だ? 何の用でこの村へ来た?」

不審者を見る目で矢継ぎ早に問われる。

 

「すみません。行商をしながら旅をしているものです。

この森に入ったはいいのですが、迷ってしまい村を見つけて来たしだいです」

旅人というのは間違っていない為、全てが嘘というわけでもない。

ただ、かなり捉え方に差異が生じるが。

 

「ふん。行商人か珍しいな。

行商というには荷物が少ないように見えるが?荷物はどうしたのだ?」

背中の刀いがい荷物と呼べるものは何もない為疑われても仕方がなかった。

 

「ゲルマニアで荷を下ろして森に入ったところで獣に襲われた為荷物と呼べるものはこの石くらいです。この村の名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

風石を一つ取り出し村人へと見せる。

 

「ゲルマニア!? よく一人で黒い森を抜けて来たな…その石はなんだ?不思議な石だが…」

 

「私は少し魔法を使えます。魔法より剣の方が得意ですから、ないようなものですが。こっちの妖精は私の使い魔でセラと言います。それと、この石は風石といってそれなりに高価なものです」

「はじめまして、セラです♪」

と挨拶をし右肩へと戻る。

 

「魔法? 貴方様は貴族ですか?」

いきなり腰の低くなった男に周囲の村人も顔が青ざめる。

 

「いえ、貴族ではありません。少し素養があった程度で、大したことは出来ないんですよ」

(魔法=貴族という世界であれば言い逃れないか…)

 

「あぁ、そうか、すまないメイジと聞いて吃驚してしまった。取りあえず村長の処へ来てもらえるか?」

何事か考えた男は多少の躊躇を残した言い方で村長宅へと案内した。

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