俺はこの学校のことを舐めていた。
高校生活三日目にして今目の前に起こっている、お祭り騒ぎのクラブ勧誘がまさかここまで激しいものだったとは.....
俺が今お祭り騒ぎの中にいる理由はこうだ。
朝、生徒会室によばれたから行ってみると渡辺先輩と真由美がいて昨日、俺が帰ったあとの会議で決まった‘‘会長の護衛”
という役職の詳しい内容が説明された。
やっぱり昨日の時点ではちゃんと決まってなかったらしい。それによると、俺が真由美を護衛しないといけないのは行事の時とかで、日常ではしなくていいらしい。だから、ゆっくり剣道部でも見ておこうとと思って外に出てきたわけだ。でも、目の前では激しいお祭り騒ぎが広げられていた。すぐそこではエリカが揉みくちゃにされてるし。あ、達也が助けたな。一人で見るのは楽しくないし合流するか。そう思ってエリカと達也の後について行く。
「達也ー、エリカー 」
俺が呼ぶと二人ともびっくりして、こっちを向く。
「俊介、どうしたんだ 」
「さっきそこらへんをブラブラしていたら人気のない方に走って行く達也とエリカを見かけたから、怪しいなぁ〜と思ってついてきたんだ。」
エリカの方を見ると顔を真っ赤にしていた。
「いやいや、何もしていないよ。それよりそのニヤけ顔やめろよ 」
達也がすごく動揺しながら言ってくる。てか、俺そんなにニヤけてんのか?
「本当か?でも、さっきエリカの下着「言うなぁ!」グフェ!」
最後まで言えずにエリカに腹を蹴られてしまった。痛い。
「まさか、俊介君最初から見てたの!? 」
エリカが顔を真っ赤にしていう。
「そうだけど、とりあえずその蹴ろうとしている足を戻そうか 」
「もう一回蹴ったらね ! 」
無情にもエリカに蹴られてしまった。今更地雷を踏んでしまったことを後悔しているが遅い。やっぱり痛い。でも、まだエリカは顔を赤くしている。このままではまた蹴りをくらう恐れがあるので、話題をかえなければ。
「そ、そういえば、二人はこれからどこにいくの 」
達也が露骨に話題転換をしようとする俺をみてくる。そんな目はやめてくれ。
「剣道部に行こうと思っているの。あ、もちろん達也君と俊介君も一緒にね 」
エリカが応えてくれた。
「いいよ。どうせ俺も剣道部をみにいくつもりだったし 」
「それじゃあ行こ! 」
〜in 体育館〜
「一本!」
俺たちは今、体育館に来ていて剣道部の実演を見ている。まぁ、予定通りの一本なんて見ていてもあんまり面白くないけどな.....。まぁ、それはエリカも同じみたいであまり楽しそうな顔をしていなかった。
「二人ともあまり楽しそうじゃないな。
お気に召さなかったのか 」
達也が俺たち二人の反応を見て声をかけてくる。
「だって達也、予定通りの一本を見て楽しいと思うか 」
俺がそう言うとエリカが同意してくる。
「私もそれは思う 」
「まぁ、それもそうだな 」
達也も同意した。それにしてもあんまりにも普通の試合だったな。でも、本当の真剣勝負なんて人に見せられるものじゃないからな。俺も達也たちには人を殺すところなんか見られたくないしな。そう思っていると達也が俺の思っていることと同じことを言った。
「でも、本当の真剣勝負なんて人にみせられるものじゃないだろ。ようは殺し合いなんだから 」
「確かにそうだな」
「ふーん、二人ともクールなのね 」
「達也はクールかもしれないけど、俺はクールじゃないぞ、エリカ 」
そう言うと達也が反論してきた。
「いや、俊介だってかなりクールじゃないか 」
そう喋りながら体育館を出ようとしていると後ろの方から勧誘とはまた違う騒ぎが聞こえてきた。ふとエリカを見てみると目をキラキラさせていた。どうやら行く気満々ようだ。そう思っているとエリカに俺と達也は腕を掴まれて騒ぎの中心へ半ば強引に連れて行かれた。
騒ぎの中心へ行ってみると男女の剣士が対峙していた。誰かわからなかったのか達也がエリカに誰かと聞いた。
「エリカ、あの二人を知っているか 」
「直接の面識はないけどね。女子の方は壬生紗耶香。一昨年の中等部女子全国大会の二位よ。マスコミではめっちゃ騒がれていたわ 」
「二位だろ 」
不思議に思ったのか達也がエリカに聞き返す。
「一位はね.....そのルックスがね..... 」
一位の人ドンマイ。
「なるほど 」
「男の方は桐原武明。一昨年の関東剣術大会中等部のチャンピオンよ 」
そうこう話しているうちに争いは激しさを増していく。どうやらちょとしたトラブルから壬生先輩と桐原先輩が戦うようだ。
「心配するな壬生。魔法は使わないでおいてやるよ 」
桐原先輩は完全に調子に乗っているご様子。それに対してみると壬生先輩は自信を持ってこう言った。
「魔法に頼り切りの桐原君が、ただ剣技に磨きをかけたこのわたしに敵うとおもっているの 」
「大きく出たな壬生。なら見せてやるよ。身体能力の限界を超えた次元で競う、剣術の剣技をな! 」
桐原先輩がそう言うと同時に二人は飛び出した。そして、竹刀と竹刀が激しく打ち鳴らされた。ほとんどの人がなにが起こっているのかわかっていないようだった。横では達也が壬生先輩の剣技に感嘆の吐息を漏らしていて、それにエリカが反応していた。どうやら、エリカは一昨年とはまるで別人のような壬生先輩に驚いているようだ。俺も知っていたとはいえ目の前の打ち合いには舌を巻いている。
「ねぇ、達也君、俊介君どっちが勝つと思う 」
エリカが聞いてきたので答える。
「今のままだと壬生先輩かな。桐原先輩はなぜか面をうつのを躊躇っている。さらに自分の絶対的な技ともいえる魔法を封じているんなら。単純な剣技だけの勝負になる。それなら壬生先輩のほうが有利だな。達也はどう思う 」
「俺も、俊介と一緒だ。エリカはどう思っているんだ 」
「私も二人と同じで壬生先輩の方かな 」
「おっ、二人とも決着がつくみたいだぞ 」
見てみると二人の打ち合いが終わっていて、壬生先輩の竹刀は桐原先輩に届いていたが、桐原先輩の竹刀は届いていなかった。あれは狙いを変えたのが敗因だな。あのまま桐原先輩が頭を狙っていれば桐原先輩が勝っていたのに。ただ、桐原先輩がこれで終わらないことを俺は知っている。
「達也、気をつけろよ 」
「あぁ、わかっている 」
達也はこの次に起こりそうなことをきちんと理解していた。
「そうか、真剣勝負がお望みなのか.....。
なら、お望み通り真剣で相手してやるよ! 」
桐原先輩の雰囲気が変わったと思ったら不快な音が辺り一面に広がった。中には青ざめた顔で膝をついてる人もいる。桐原先輩は壬生先輩に飛び込んでいった。壬生先輩は危険を察知したのか受けずにすこしかすりながら後方へさがった。が、ただかすめた部分に細い線がはしっていた。
やはり、桐原先輩がつかっているのは振動系・近接戦闘魔法『高周波ブレード』だった。そして、また壬生先輩に剣が下されたがそこに達也が割って入った。達也は飛び込む直前に両腕に着けたCADを交差させた。その直後、無系統魔法が達也から放たれた。
こんどは、乗り物酔いに似た症状の人が多数でたが、そのかわり竹刀が肉を打つ音は聞こえなかった。
達也が桐原先輩を床に投げ落としていた。
余裕を取り戻して状況確認をしている生徒達からは悪意の滲む囁き声が聞こえた。
「こちら第ニ体育館。逮捕者一名、負傷していますので、念のために担架をお願いします 」
そんな状況の中で言う達也の声は嫌に響いた。すると剣術部員のひとりが達也を怒鳴りつけた。
「おい、どういうことだ! 」
これに対して達也は淡々と返す。
「桐原先輩には魔法の不適正使用により、同行してもらいます 」
「なんで、桐原だけなんだ!剣道部の壬生だって同罪だろう 」
「魔法の不適正使用の為、と申し上げましたが 」
すると逆上した上級生が、達也に掴みかかった。が、達也はそれをヒラリとかわした。何度も殴ろうとしてくるが一向にあたらない。すると、人垣の中から達也の背中を羽交い締めにしようと両手を突き出してきた。が、やはりこれもヒラリと避けた。それにより剣術部員同士がぶつかった。次の瞬間剣術部員全員が達也に襲いかかった。
達也はそれら一つ一つを冷静に対処している。
「俊介君は行かなくていいの? 」
エリカが戦闘に参加しない俺に疑問を覚えたのか聞いてくる。
「あぁ。あくまでも俺は会長の護衛だからな。ああいう仕事は風紀委員の仕事だよ。それにもう終わるよ 」
見てみるとほとんどの部員が倒れていた。気になることとすれば、魔法を無効化する達也と何も関係ない俺を見てくる男だけだ.....。
やっと一巻の内容が終わりました。
この後の構成はもう出来ているので早めに投稿できそうです。
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