「一夏、おはよう」
「ん?あぁ、綾人か。おはよう」
駅を出てすぐのところで、
彼等は幼馴染みというもので、親友と言ってもいい関係だった。
二人が何故駅にいるのかというと、高校受験のためだ。
二人とも行きたいところはなかったので、家から近い藍越学園を受験するのことにしている。
綾人は、とある事情によりこれから受験する高校の場所を知らないので、一夏が案内するために駅で待っていたのが今の状況である。
「じゃあ行くか」
「そうだね」
一夏先導の元、二人は藍越学園に向かう。
緊張からか、特に会話の無いまま辿り着いた。
「うわ~おっきい学校だね」
「あれ?こんなんだったっけ?」
一夏は一度行った藍越学園と目の前の学校の違いに違和感を覚えるが、あまり時間もないので気にしないことにした。
綾人はそもそも一夏任せである。
「……それにしても」
「……あぁ」
「「広すぎる」」
学校内をさまようこと数分、試験会場らしき場所を発見した二人。
ノックをすると返事が返ってくる。
部屋に入ると、一人の教師らしき人物が忙しそうにしていた。
「あー君等、受験生だよね。はい、向こうで着替えて。時間押してるから急いでね。ここ、四時までしか借りられないからやりにくいったらないわ。まったく、何考えて……」
こっちを見ずにそう言ってきた。
一夏と綾人は小声で会話する。
「最近の受験って着替えるのか?」
「う~ん、カンニング防止とかかな?」
「なるほど」
二人は言われた通りにするため、カーテンを開ける。
すると、そこには甲冑のような物があった。
今のご時世、これを知らない者はいない。
本来は宇宙進出用のマルチフォームスーツ。
しかし、今は戦闘用の飛行パワードスーツ。
そして一番重要なのが、女性専用であること。
つまり、男である二人には縁の無い置物でしかない。
だからだろう、記念に触ろうと思ってしまった。
その結果、二人の人生は大きく変わることとなった。
◆◆◆
「はぁ……」
綾人は何度目かわからない溜息をついた。
溜息の理由は高校についてである。
藍越学園に行く予定だったはずなのに、何故かIS学園に行くことになっていた。
「一夏に、任せなきゃ……はぁ……」
藍越学園とIS学園を間違えたうえに、ISを起動できてしまった。
その結果が、IS学園に通う男二人である。
綾人はまた溜息を吐きながら、電車に乗る。
その手には旅行鞄が二つ握られていた。
IS学園の寮に入るので、その為の荷物だ。
一夏は取材やら何やらで忙しく、一夏の荷物は姉が勝手に送るだろう。
綾人がこうしてのんびり荷物の整理ができたのは、いろいろ特殊な一夏がメディアに注目されたおかげである。
つまり、綾人は世界で二人目の男性IS操縦者だけど、一夏は世界
「……行きたくないな」
綾人がそう呟くと同時に電車の扉が閉まる。
ゆっくりと電車が動き出す。
「……あれ?」
ふと電車内を見渡すと、人が誰もいなかった。
綾人ただ一人のみがいる電車内。
終電ですらない、昼過ぎでしかないこの時間帯で、この空き具合は流石に可笑しいと綾人は別の車両に移動する。
しかし、そこにも人はいない。
喉を鳴らし、背中に嫌な汗をかきながらさらに別の車両に。
誰もいない、別の車両、誰もいない、別の車両……誰も、いない
それこそ、運転席にすら誰もいない。
「なん、で……なにが、どうなって……」
綾人がそう呟いたとき、後ろから物音がしたので急いで振り向くと、中学三年時に転校してきた
「美嶋、玲香?」
「……これを」
そう言って美嶋が差し出したのは、何かの卵の様なモノ。
綾人は首を傾げつつソレを受け取り、一瞬だけ美嶋が視界から外れる。
綾人が視線を戻すと、そこには誰もいなかった。
次の瞬間、世界が激しく揺れ―――
「……」
見慣れた自分の部屋にいた。
ベットから落ちたようで、床と天井が逆さまだった。
そこで気が付く。
右手に、卵の様なモノを持っていることに。
よく確認しようと目の前に掲げると同時に、時計のアラームが鳴る。
時間を見ると、八時を指していた。
「あ……遅刻だ」
そう、今日はIS学園の入学式である。
綾人は、諦めてゆっくり行くことにした。
一度手に持っている卵を見る。
「……なんだろうな、これ」
何かはよくわからないが、持ち歩くことにしたのだった。
それは正しい選択か、それとも……
クロス作品はムズいでゴザル!