一色いろはが望むもの   作:ブイ0000

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かなーりお待たせしちゃってすいませんでした。




一色いろはは先輩と楽しむ

偶然立ち寄ったドーナツ屋で、朝から会いたいと思っていた人に出会えた

 

はっ!これってもしかして運命!?

 

なーんて思っちゃうくらい今のわたしの脳内はフニャフニャとなっていた

 

「ふふふーん☆」

 

それこそ無意識で鼻歌が出てしまうほどに

 

「何かえらく機嫌がいいな」

 

おっと、やっぱり先輩にも気づかれたか

 

「そりゃ今から先輩を荷物も…先輩とデートできると思うと嬉しくってー」

 

「今荷物持ちって言おうとしたよね?いや、大体分かってたからいいけど」

 

むふふ。相変わらず甘いなぁー。でもね先輩、わたしの本心はスルーした後半なんですよ?

 

「つーか、すでにお前荷物もってるじゃん」

 

そう言う先輩の目線の先にはわたしが右手で持っている今晩の我が家の晩御飯の材料が

 

「ほれ」

 

スッと先輩が手を差し出してくる

 

その光景に、クリスマスイベントの時の光景がフラッシュバックした

 

わたしはフッと顔を緩めて先輩に食材が入ったビニール袋を渡す

 

「ありがとうございます!」

 

「はいはい。つーか、これからどこ行くの?」

 

「まーた人任せですかぁ?」

 

「前にも言っただろ?俺は誰かと一緒の時は後ろからついてくスタイルだ」

 

「ま、仕方ないですね。今日はわたしから誘ったわけですしエスコートしてあげましょう。しっかり付いてきてくださいね。せんぱい☆」

 

ギュッと先輩の袖を握って先輩の顔を覗き込むと、顔を赤くして目を逸らされた

 

やばっ!何か先輩が可愛い!育てたい!(←意味不明)

 

クスクスと胸に温かみを感じながら向かった先は駅前のショッピングモール

 

先輩の提案により荷物は駅のロッカーの中に一旦入れていざしゅっぱーつ

 

先輩を半ば引っ張るような形でモール内を散策していると、ペットショップを発見

 

外から覗いて見ると、犬や猫がガラス越しにたくさんいた

 

先輩先輩、といいながら袖をクイクイ引っ張ってみる

 

「ん?あぁ。見ていくか」

 

それで意図が伝わったようで二人で中に入っていく

 

「先輩!子猫ですよ子猫!めっちゃ可愛いです!」

 

「お、おぉ。何?お前って動物好きなのか?」

 

「私がっていうか、可愛いものが嫌いな女の子なんていませんよ」

 

「まぁ、そうかもな。つーか少し意外だったわ」

 

「何がですか?」

 

「てっきり『子猫可愛いって言ってるわたし可愛い』アピールかとも思ったんだが、今回は素で言ってるからな」

 

「え?あー、そう言う事ですか。まぁ、これが葉山先輩だったらそうしてたかもですけどー、先輩に今更そんな事したって意味ないですしねー。先輩捻くれてるし、目が腐ってるし」

 

「ちょっと?この場に関係ない単語出てきてますよ?」

 

クスクスと笑いながら、フッと肩の力を抜く

 

「なんて、こんなこと言うのも先輩だからですよ?」

 

「いや、そんなアピールいらないから」

 

「これも素ですって。だって、先輩は知ってるから」

 

「何を?」

 

「わたしの裏も表も、ウソも本当も」

 

そう。この人は知っちゃっている。葉山先輩にも見せない素の部分のわたしを

 

「お、おぉ?」

 

「クス!何ですかそれ?オットセイの真似ですか?全く似てないですしキモいですよ?」

 

「うっせ」

 

だから、変に着飾る必要はない

 

自分を偽る必要はない

 

そこまで考えて、分かってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、なるほど

 

わたしにとって本当の自分をさらけ出せる場所が、先輩の隣なんだ

 

 

 

 

「ふふっ」

 

「そんなに笑うなよ。いくら俺でも泣いちゃうぞ?」

 

「その時はわたしの胸をお貸ししましょうか?」

 

「はい!?何言っちゃってんのおまっ―――痛っ!」

 

どうやらキョドっていたら舌を嚙んだらしい

 

口を押えている先輩に睨まれてしまった

 

えーわたしのせい?

 

「あーいて」

 

「先輩、冗談で言ったのに焦りすぎですよ。まさか本気にしちゃいました?」

 

「そ、んなわけないだろ」

 

今一瞬つっかえましたね

 

「つーか、お前の慎ましい胸を借りたところでだな」

 

「あー!あー!先輩今言ってはならぬ事を言いましたね!?」

 

「あー、気にしてたのか。なんかスマン」

 

「謝らないでくださいよ!余計惨めっぽいじゃないですか!」

 

「スマン」

 

「だから!う~もういいです。先輩にセクハラ発言されたって雪ノ下先輩に言いつけちゃいますから」

 

「バカやめろ!世間的に俺が抹消されちゃうだろ!」

 

ギャーギャーといつものように、いつも通りに、バカみたいな会話を繰り広げる

 

こんな会話でさえ、楽しく、温かい

 

やっぱり、先輩といる時間は幸せだ


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