和久井「社長、失礼します」
高峯「あら、和久井さん、どうしたのかしら」
和久井「来月なのですが、第三日曜日にお休みをいただきたいと思いまして……」
高峯「あら、どうしてかしら?」
和久井「実は、地元のほうで選挙がありまして……」
高峯「選挙があって?」
和久井「その、地元の広島から住民票を移し忘れていることが判明しまして……」
高峯「住民票を移し忘れて?」
和久井「忙しい時期ですし、休日こそ働かなければならない仕事なのはわかっているのですが……」
高峯「そうね。神崎さんがシンデレラガールになって、あなたの仕事も増えたものね」
和久井「実はその日、蘭子の新しいレギュラー番組の二回目の打ち合わせがありまして……」
高峯「あら、大変ね」
和久井「しかし、蘭子など未成年のお手本になるべき私が選挙に行かないのはいかがなものかと思いまして……」
高峯「あなたらしくないわね。はっきり言いなさい」
和久井「その初回で、私がうまくやっておきますので、二回目は社長に出ていただければ、私は休めるのですが……」
高峯「それで神崎さんが納得するものができるのかしら?深く関わってない私が急にしゃしゃり出て」
和久井「はあ、返す言葉もないです……」
高峯「選挙よりも、うちの仕事を優先してちょうだいね」
×(ブッブー)
渋谷「労働基準法第七条、使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる」
渋谷「公民権行使の保障と呼ばれる条文です」
渋谷「公民権というと難しく聞こえますが、選挙などに参加する権利のことです」
渋谷「労働に関する権利義務よりも公民権が優先されるべきという内容なのです」
渋谷「そのため労働者は休みを請求された場合与えなければなりません」
渋谷「今回の場合、当日の休みを許すことができない場合、期日前投票などに行けるようにスケジュールを組むなどの対策をしなければいけないのです」
渋谷「また、この条文はあくまで時間を与えなければならないという規定です」
渋谷「その時間について賃金を支払うかどうかは、当事者同士の取り決めによって決まります」
渋谷「その期間について無給としても法律上は一切問題ありません」
~エンドロール~
プロデューサー:和久井留美
社長:高峯のあ
ナレーター:渋谷凛
Fin.