不慣れですがお楽しみください。
第1話
10月15日 対馬沖
合計16隻にもおよぶ艦隊が航跡をなびかせていた。
艦尾に掲げた旗には旭日旗が揺らめいておりこの艦隊が日本海軍の所属であることを示していた。
旗艦大和CIC
?「秋山、これまでの状況を整理してくれ」
そういった細身の男は若く二十代後半であった。
彼が日本国防海軍第一艦隊司令官 東郷毅(とうごう つよし)二等海将(28)である。
そして、東郷に呼ばれたのは中肉中背で眼鏡を掛けた男で東郷の首席幕僚、秋山 敬一郎(あきやま けいいちろう)一等海佐(26)である。
二人とも若いながらその非凡な才能によって上りつめた実力の持ち主である。
また、この二人は兵学校の先輩と後輩の間柄であり、よく二人で無茶をした仲である。
とはいっても、東郷の無茶に付き合う秋山は大抵その後片付け役であり、いわゆる苦労人であったが…
それでも、この二人が作戦を指揮すると演習では高い勝率を取ることから名コンビと言われている。
話を戻す。
東郷に説明を求められた秋山はこれまでの経緯を話しはじめる。
秋山「はっ、先日の10月14日の深夜0200に対馬の駐屯地から『大多数ノ部隊が上陸セリ』との緊急入電が入りその後通信が途絶えました。夜が明けた0630に九州の空軍基地から偵察機RF-4Eが緊急発進し強行偵察を行った結果、韓国軍によるものと結論されました。これを受けて我が国の首相は秘密裏に交渉による解決を行おうとしましたが韓国側はこれを拒否しました。さらに1000に韓国政府は記者会見にて『今回の件は全て日本側に非があり我々は日本によって奪われた国土を回復したにすぎない。よって日本側の主張は受け入れられない。我が韓国政府は日本に対し謝罪と賠償を要求する』との声明を発表しました。これにより交渉による解決は不可能と首相は判断。我が艦隊に対し対馬奪還作戦のための出撃命令が下りました。」
秋山の説明が終ると東郷は楽しみにしていた遠足が中止になった子供のような顔つきとなる。
東郷 「そして現在我々はその対馬北東沖にて作戦発動まで待機を命じられているわけだ。まったく、今日は娘の誕生日だって言うのに…」
そう言いながら東郷はため息をついた。
彼にはアメリカ産まれの妻との間にできた一人娘がおり大層溺愛していた。そして、今日がその誕生日であった。
当然、盛大に誕生日パーティーをやる予定だったが中止となってしまったため彼のご機嫌は非常に悪かった。
秋山「 真希ちゃん、今年で10才でしたね、…お気持ちは解りますが今は目の前のことに集中しましょう。」
東郷「そうだな…秋山、敵艦隊の情報を頼む。」
彼とて軍人の一人、すぐさま頭を切り替える。
秋山「はっ、現在敵艦隊の主力は対馬の北方に展開しています。内訳としましては、軽空母2隻、イージス駆逐艦6隻、汎用駆逐艦12隻、フリゲート艦8隻が確認されています。また、別動隊として駆逐艦1隻、フリゲート艦4隻が対馬西方沖に展開しています。それ以外は確認されてはいませんが恐らく潜水艦が複数潜んでいるものと思われます。」
それを聞いた東郷は少し目を細めた。
東郷「戦力的に見て、西方に展開しているのが第3艦隊だろう…この艦隊は位置的に見ても短期間は無視して問題は無い。むしろやっかいなのが…」
秋山「はい、北方に展開している第7機動艦隊です。」
第7機動艦隊は韓国海軍最大の戦力を持つ艦隊で当初は第7機動戦団と呼称されていたが規模が拡大したことにより名称を変更したのだ。
東郷「この艦隊を俺達第一艦隊だけで無力化しなければならないのか… 何とも面倒なことを上は押し付けるな…」
秋山「仕方ありません。佐世保の第二艦隊は中国の警戒のため動かせませんし、第四艦隊は全艦が 定期メンテナンス中ですから。むしろ韓国側はそれを狙ったのでしょう。」
東郷「圭子さんの艦隊は陸軍の増援の護衛と援護のため別行動中だものな…」
南雲 圭子(なぐも けいこ)二等海将率いる日本第三艦隊は現在揚陸艦部隊の護衛のため別行動中であった。
秋山「どうします長官?数のうえではこちらが不利です。また、航空機による攻撃もあの艦隊の前では効果は薄いかと思われますが…」
秋山の懸念はもっともであった。
真っ正面から仕掛けたのでは韓国艦隊の方が数は上であり長期戦になってしまえばこちらが不利であった。
また、航空機による攻撃も軽空母の艦載機と空軍の直衛に加えイージス艦を6隻を有するのでは生半可な航空機の投入は自殺行為である。
しかし、その情況を聞いてもなお東郷は愚痴こそこぼすことすれ、悲観になったというようには見えなかった。
逆にこの情況を楽しんでいるかのように笑みを浮かべてこう言いはなった。
東郷「ま、安心しろ。この程度なら不利のうちにも入らん。皆俺に任せろ。ドーンとな」
傲慢、蛮勇とも受け取れるその言葉にはしかし、確固たる信念が宿っていた。ここにいる誰もがその言葉に疑問を持たなかった。
それが彼への信頼の証でもあった。
太陽の明かりが艦隊を照らしだすなか果たして東郷はどのようにして敵艦隊を相手取るのであろうか。
その問の答えを出さぬまま日本海の荒波と風だけが艦隊を揺らし見守っていた。
いかがでしたでしょうか…
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