日韓戦争 対馬沖海戦   作:ヤマト2015

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遅くなり申し訳ありません。

今回は前座です。


第3話

後に対馬沖海戦と名付けられる戦いが幕をあけた。

しかし最初に火蓋を切ったのは水上ではなく水面下であった。

 

韓国艦隊後方海面下 深度200メートル 潜水艦 雲龍

 

聴音手「敵艦隊、速度を上げました。本艦の前方12時方向、速力25ノット、二群に別れて航行しているようです」

 

聴音手の報告を聞いた雲龍艦長 田中雷蔵(たなか らいぞう)二等海佐は悔しい顔を隠さない。

 

田中「くそ、せっかく敵艦隊を見つけたってのに、なにもしねえなんて…これじゃ潜水艦の意味が無えじゃねえか、いくら作戦だからって納得出来るかよ…」

 

今作戦において潜水艦部隊は対馬周辺の偵察と警戒が主な目的であり秘匿性を保つため敵艦隊への攻撃は別命がくるか自衛の目的以外の状況を除いて厳禁とされていた。しかしそんな状況は闘将タイプの彼にとってはとてつもなく苦痛であった。

 

副長「仕方ありませんよ艦長、これも潜水艦の任務の一つですよ」

 

生真面目な副長がそう言って田中をたしなめた。

この二人、性格が真逆な割にはコンビとしては長い付き合いのため田中も彼の言うことには素直に聞く。

 

副長「それに、ここで我慢して後で敵艦隊を叩けばその分すっきりしますよ。ですからここは待ちましょう」

 

田中「そ、そうだな、そいつは気持ちがいいぜ!」

 

副長(ほんっと単純な方だ…こう言えば簡単に乗っかるんだから…)

 

訂正、副長がそのように誘導していたようだ…

ともかく、そのようなこともあり雲龍は韓国艦隊を追跡することとなった。

無論気付かれないように無音航行を行っていた。

しかし、追跡を始めてから1時間後、聴音手が別の反応を捉えた。

 

聴音手「艦長、本艦の右舷後方に推進音を探知、数1、速力15ノットで接近中!!」

 

田中「総員戦闘配置!!」

 

聴音手の報告を聞いた田中はすぐさま戦闘配置を命じた。

 

田中「発射管1番、2番、5番、6番魚雷装填!3番、4番デコイ装填急げ!!」

 

2分とたたずに全員が配置を完了し発射管に魚雷とデコイが装填される。

 

田中「聴音手、敵艦の艦種を知らせ」

 

聴音手「は、艦種は潜水艦、音紋から推測して214型の模様です。現在、15ノットで接近中です。距離6000」

 

田中「水上艦隊の護衛かそれとも哨戒の別行動の奴か…」

 

副長「水上艦隊の護衛にしては距離が開き過ぎてます。おそらく哨戒の潜水艦でしょう、動きが無いことからするとまだ気付いてない可能性もありますが…」

 

田中「いや、気付いてないと見せ掛けて至近距離でドカンって手もある。いくら韓国軍が海戦が苦手だとしてもそれぐらいの知恵はあるさ…それにここまで来て気付かないってのも逆に不自然だろ…」

 

副長の言葉はこの場をやり過ごすことを言外に示していたが田中はそれを察しつつも否定する。

 

田中「とにかく、この場合は先手必勝、サーチ&デストロイだ。距離が4000を切ったら魚雷を…」

 

そこまで言ったところで聴音手が声を荒げた。

 

聴音手「敵艦から発射管注水音!!気づかれました!!」

 

田中「ちっ、むこうが早かったか!?」

 

このとき田中は内心もっと早く発射命令を出すべきだったと一瞬後悔した。しかし、それをいつまでも引きずるほど彼は無能ではなかった。

 

聴音手「敵艦魚雷発射! 数4、雷速50ノット、こちらへ真っ直ぐ突っ込んでくる!」

 

田中「こっちもすぐに魚雷をぶっぱなせ!!聴音手、敵の魚雷が2000を切ったら知らせろ!!」

 

聴音手「りょ、了解」

 

怒鳴っているがそれでも彼は慌てた様子ではなくむしろ気分が高揚しているかのようであった。

 

水雷長「1番、2番魚雷発射(シュート)!!」

 

雲龍の発射管から二本の魚雷が発射され、すぐさま方向を敵の潜水艦に向ける。

その間にも敵の魚雷は自分たちの元へ近づいてくる。

 

聴音手「敵魚雷との距離4000…4500…3000…3500…」

 

聴音手が敵魚雷距離を読み上げる。距離が縮まる度に緊張が高まっていく、田中自身も平気そうな顔をしているが、握りしめた掌は汗がにじんでいた。

 

聴音手「距離、2000!!」

 

田中「今だ!デコイ発射!!」

 

水雷長「デコイ発射(シュート)!」

 

艦首魚雷発射管からまたしても2本、今度はデコイが発射される。そしてすぐさま左方向へ転進する。

 

田中「面舵40、最大戦速!!」

 

デコイが転進したのを見計らって田中はデコイとは逆の方向へ舵を切った。

 

聴音手「敵の魚雷、4本ともデコイの方向へ向かっていきいます…爆発音を確認、迎撃成功です」

 

田中「よし、こっちの魚雷はどうだ?」

 

魚雷の迎撃成功にひたる間もなく田中は自分たちが発射した魚雷の状況を問う。

 

聴音手「現在敵艦へ真っ直ぐ向かっていき、いえ、左方向へそれていきます…爆発音を確認、攻撃失敗です。」

 

田中「ちっ、やっぱりそんな簡単にはいかねぇか…」

 

こちらの攻撃が失敗したことに悔しさを隠さないがそれでも頭の中ではどうやってこの局面を乗り切るかをシミュレーションしていた。

そして

10秒ほどたったとき

田中「よし、これなら…」

 

副長「なにか思い付かれたので?」

 

副長が不敵な笑みを浮かべるのを見て副長が問うが田中は曖昧な事だけを言ってお茶を濁した。

 

田中「まあな。少し無茶するから覚悟しとけよ。」

 

副長「艦長が無茶をするのはいつものことでしょうに…」

 

副長は呆れながらもその顔には笑みが浮かんでいた。

 

田中「5番、魚雷発射、6番、今から30秒後に発射!発射の後最大戦速で取り舵50!ダウントリウム10だ!!」

 

田中の命令が即座に実行される。

そして…

 

聴音手「敵艦から再度魚雷発射音!!数1、雷速50、60秒後に魚雷と交差予想ポイントを通過します」

 

聴音手が敵の魚雷と自らの魚雷が交差するであろうポイントまでの時間を告げる。

その報告に副長はふと疑問符がついた。

 

副長「おかしいですね…214型は魚雷発射管が8本装備しているはず、今まで放ったのを合計すると7本。まだ残りが1本あることになります。なぜ発射しないのでしょうか?」

 

副長の言うとおり214型の魚雷発射管は蒼龍型よりも2本多い8本を装備している。今まで放った魚雷はデコイも含めば7本であり残り1本がまだ発射されていないことになる。こちらと同じく時間差をつけて発射するにしても既に差が開きすぎておりあまり意味をなさない。

その疑問にを横目に田中は勝利を確信したかのように笑みを浮かべた。

そして、その時がきた。

 

聴音手「魚雷交差まで10秒、7、6、…3、2、1!」

 

田中「5番魚雷自爆させろ!!」

 

水雷長「はっ!!5番魚雷自爆!!」

 

田中が命じると同時に水雷長が5番魚雷を自爆させる。

自爆した魚雷はほぼ同じ地点にいた敵の魚雷をも巻き込み爆発する。2発もの爆発によって一時的にソナーも使用が困難となった。

敵の214型もこの爆発によってソナーが使えなくなり状況を把握するのが遅れた。

そして、自らの状況を悟ったときにはもはや手遅れであった。

雲龍が放った最後の魚雷が突如として彼等の目の前に現れたのだ。

214型が慌てて残った 2本 のデコイを発射するもそれは実を結ばなかった。

艦首に命中した魚雷は214型に搭載されていた魚雷に誘爆し、その破壊力を敵艦ではなく自らの艦へと向けた。

214型は一瞬にして艦全体を破壊し尽くされた。

唯一の幸運は乗組員全員が海水に溺れて苦しむことなくその生涯を閉じた事ぐらいだろう。

 

聴音手「敵艦の爆発を確認…更に圧壊音を確認…撃沈を確認しました…」

 

聴音手が敵の撃破を報告するもその声は冴えなかった。

初めての実戦による興奮と一歩間違えば自分たちがあの運命になっていたかもしれないという恐怖心がない交ぜになった声であった。

 

田中「なにしんみりしてんだテメーら。俺達の仕事はまだ終わってねえぞ。悲しむのは母港に帰ってからだ!!」

 

そんな中でも田中は敢えて乗組員に喝を入れる。

この先この状況すら生ぬるく感じるほどの出来事が待ち構えているのだ。

ここで士気を下げるのは自らの死を早めることとなるのだ。

無論、田中も喝だけではこのしんみりした空気を変えることは出来ないことを承知していた。それゆえ彼は笑い誘うよなこと言ってのけた。

 

田中「それに、こんなところでメソメソしてたんじゃまた東郷のヤローに笑われるぞ!アイツの乗艦を演習でやる前に沈んでんじゃ末代までの恥になるぞ」

 

副長「艦長、その沈むはどちらの意味でしょうか…気がですか?それとも海にですか?」

 

副長もそれを理解しているのか彼の話しに乗っかった。

 

田中「そりゃーお前、両方の意味を持たせたんだよ。どうだうまかったろ?座布団くれてもいいんだぜ♪」

 

田中のその言葉に副長は即座に突っ込んだ。

 

副長「別にそれほどうまくありませんし、座布団もありませんよ…というよりも今の答えだと歌○師匠座布団取りますよ…山○君も納得して取りますよ。」

 

田中「なんだとテメー!!」

 

突然始まった漫才にクルー達は思わず笑ってしまう。

やがてクルー達の間には先程のどんよりとした空気はなくなっていた。

 

田中「よし、漫才はこれまでだ。戦闘配置解除、取り舵40、敵艦隊の追跡に戻る!」

 

それを見計らって田中は敵艦隊の追跡再開はを指示した。

雲龍は再び進路を敵艦隊へ向け、その艦体を暗い海へ溶け込ませていった。

 

副長「そういえば艦長」

 

田中「なんだ副長?」

 

副長「どうして最後の攻撃のとき214型は魚雷を一本だけ発射したのでしょう…?まだ後魚雷は1本残っていたはずですが…」

 

ふいに副長はそんな質問をした。

その問に田中は論ずるように答えた。

 

田中「簡単だ、アイツは1本しか打たなかったんじゃない。打てなかったんだ」

 

副長「といいますと…あっ!?」

 

そこまで言われて副長は気がついた。

副長「敵艦は最初に撃った4発しか魚雷を入れていなかった…残りの4本にはデコイを入れていた…」

 

田中「そして、急いで再度魚雷を装填したが間に合わず1本しか撃つことが出来なかった…敵が最初に4発全てを撃ったのはミスだったな」

 

副長「いつから気づいていたのですか?」

 

田中「俺達がデコイで魚雷を回避したとき奴はなにもせずにじっとしていた最初は爆発の音で探知出来なかったと思っていたが…それにしては長すぎると感じてな、そして俺達が2度目の魚雷を撃ったとき慌てたように魚雷を撃ったときに確信したんだ。敵にはもう魚雷を撃てないってな」

 

副長「なんともまぁ…あの短時間でそこまで気がつくとは…(これが野生の勘というものなのかな…」

 

田中「聞こえてるぞこのヤロー!!」

 

またしても二人の漫才兼O.HA.NA.SI.が始まり司令室内は再び笑いが起こったのであった。

 

それから30分後

 

聴音手「艦長、敵艦隊に変化があります。速度を30ノットに上げて、陣形を変えました。」

 

聴音手の報告を聞いた田中はいよいよかと呟いた。

これより舞台は海中から海上へと場所を移動する。

 

田中「お手並み拝見といくぜ。東郷司令…」

 

自らのライバルであり師匠でもある東郷の名を上げて田中は独り言を呟いたのであった。




戦闘描写はこんな感じで大丈夫でしょうか?
今回は4000字超えだったので大変でした…
次回も気長にお待ちください。
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