魔導師が勇者召喚に巻き込まれたそうです。 作:無双レイヴェルト
虹次Side
あー……思い出した。
確か俺は悠斗にお願いされて勇者召喚の魔方陣に落ちそうだったクラスメイトの橘を助けようと魔方陣に踏み込んだら変な声が聴こえてそのまま巻き込まれたんだったな。
なのに元凶のリア充野郎や悠斗達が此処に居ないと言う事は、大方テンプレ通りお城の召喚部屋なんかに呼ばれているんだろう。
まぁそんなことよりも目の前で起きている状況をどうにかしないと。
どうにかすると言っても、どうしよう\(゜ロ\) (/ロ゜)/……
1 死んだ振り
2 取り敢えず狼に話し掛ける
3 狼を倒して経験値を経る
4 隙を見つけて人里まで逃げる
5 餌付けをして仲良しになる
ん~此処は無難に(全くとは言えないが)危険性がない2と5を選択してみよう。
その前に俺、狼にあげる物って持っていたっけ?
「HEY、狼。今から君にあげる食べ物がないか探すからさ、それまで大人しくお座りして待っててくれないか?後もう1つだけ、お前の足元に倒れている金髪少女を移動させても構わないか?」
「がう」
俺の言葉が通じたのか狼はその場で大人しくお座りをした。
俺は狼に近付いて足元で気を失っている金髪ポニテの少女を抱え、近くの木に移動させてその根元に寝かせる。
さてと狼が大人しくお座りしている間に、足元に落ちてた四次元カバンを回収し中身を確認する。
四次元カバン(知り合いのマッドサイエンティストなドクターから12歳の誕生日プレゼントとして貰った物である)
四次元カバンの中身
・筆記用具
・教科書&ノート
・お弁当箱
・水筒(中身は自家製の麦茶)
・財布(諭吉さんが二人に英世さんが五人。でも異世界だから使えない)
・スマホ(圏内だったけど電池量が少なかった為、使用を断念)
・充電器(太陽光パネル式)
・レイヴェルト(長年の相棒のインテリジェントデバイス)
・聖十の魔導書 (転生した時の特典)
・とある事件の報告書
・デバイス用のGNドライブ試作品
・地上本部の制服
・ドーナツ×2(購買で買った非常食)
・読み掛けのラノベ
・封印済みのジュエルシード
・市内で有名な喫茶店の割引券
・名無しの茶封筒(入れた覚えがない)
・とある次元戦艦の設計図(下書き)
フム、大半の物は使えそうだな。
取り敢えずドーナツと封筒以外のものをカバンに仕舞う。
袋からドーナツを取り出して狼の口元へと投げる。
パクッ
「が~う」
空中に投げられたドーナツを一口で食べた。 しかもかなり美味しかったのか尻尾ぶんぶんと振って凄く喜んでいる。 触ったら気持ち良さそうだな……。
そんなことを思いつつ俺は椅子の形をした切り株に座り、鞄の中に入っていた茶封筒を開ける。
どうやら俺宛の手紙のようだ。
えーと、何々……
《定員オーバーにより魔方陣から弾き飛ばされ輪廻の輪に入り掛けていた八神虹次さんへ。
この手紙を読んで頂いていることは無事に着いたようですね。ホントに良かったです。
私が後一歩見付けるのが遅かったら、今頃貴方は輪廻の輪に入って転生する最中だったでしょう。
さてと本題ですが、此処は何処なのか?と情報が把握出来ていないであろう貴方の為に私が軽くこの世界について説明することにしました。
先ずは、この世界の名前は【オスティア】。地球出身の貴方からすればテンプレに溢れているお約束みたいな魔法と剣の世界です。
魔法は基本属性が火、水、風、土、雷、光、闇の七種類。特殊属性の方は創造、空間、重力、破壊、聖属性の六つ。他にもありますが、今現在人類が把握しているのがこれだけです。
既存の魔法にはランクが付けられており、分かりやすく言えば下級、中級、上級、最上級、神級、禁忌で別れています。
種族についてですが、色々とややこしいので種族名だけ教えます。人類、魔族、エルフ族、竜人族、精霊族、獣人族等の七種族です。
種族間の友好関係や種族の特徴等は公共施設等に行ってご自分で調べて下さい。
尚、貴方がいる現在地はエドラス王国・王都アルハザードから東50kmの処に広がる熱帯雨林メンドリーナ樹海です》
幾ら何でも王都まで遠い過ぎるだろうが!50kmってなんだよフルマラソン以上あるじゃねぇかよ!!
心の中で一通り愚痴った後、切り株に座り直して王都まで行き方を考える。
「どうしようかねぇ~王都まで道程が50kmだろ? 此処から歩けば結構時間が掛かる上に気絶している金髪の美少女が一人と蒼い狼が一匹居るし……うーん」
「が~う」
「ん?どうした……」
鳴き声がした方を向けば、蒼い狼が前足で地面に置いておいた茶封筒に触れて、もう一度中を確認してと訴えているように感じられた。
茶封筒を拾い上げて中身を確認すると手紙がもう一通入っていることに気付き、封筒から取り出して続きを詠む。
《幾ら何でも王都まで遠い過ぎるだろうが!と愚痴っているだろう虹次さんの為に移動手段を用意しておきました。
それは、貴方の目の前にいるプロテクションウルフの子供です!
コイツ、子供だったのかよ!?そして何故に移動手段?と思っているでしょう。
理由は簡単、狼とは言えその子は脚がとても速いの!それに50kmの道程なんか経ったの10分程度で辿り着けるのよ♪
だから、その子と使い魔契約をしなさい!!
と言っても地球から来たんだから、使い魔契約のやり方は分からないわよね?
まぁ一言で言えば、その子の身体の何処でも良いから触って魔力を流し込む。イメージ的には血を流す感じね。そうすれば使い魔契約完了よ♪
じゃあ一通り教えたことだし、この世界で無事にやって行けるよう幸運を祈っておくわ。
後、最後に次は貴方と面を向かって話したいわね。
オスティアの意志より》
差出人が意外な人物?と云うことに驚愕しつつもプロテクションウルフに近付いて目を見詰める。
「いきなりだが、俺と契約して家族(使い魔)になってくれないか?」
「がう♪」
俺が言った内容を理解したのか、勢いよく尻尾を振りながら良いよ♪と言いたげに頷くプロテクションウルフ。
プロテクションウルフの身体に触り、血を流すイメージで魔力を流し込む。
ズキッ
「はい、契約完了。今この瞬間から俺達は家族だ」
「わう!」
契約完了時に痛みが走った右腕を確めようと袖を捲る。
「おぉ!右腕に令呪が刻まれてる」
本物かどうかを調べたいところだけど止めておく。目の前にいるプロテクションウルフを見ながら呟く。
「コイツの名前を決めないとな。う~ん……ドーナツを食べたから〔ポンデ〕とかどうだろう?」
「わうっ!?」
「冗談だよwww実はもう決めてある。お前の名前は〔ザッフィー〕だ、よろしくな!」
「わ~う♪」
嬉しそうに尻尾を振っているザッフィーを横目に、巨木の根元に寝かせた少女の方を見る。
彼女まだ気絶しているみたいだし、これ以上起きるのを待っていても仕方がない。ザッフィーの背中に乗せて王都に行くとするか……
座っていた切り株から立ち上がり、木の根元に近付いて少女の顔を覗いた瞬間……
「...んっ、……い」
「Goodmorning!…って、い?」
「いやぁぁぁっ!!!!」バッチン!!
「ぐほぉ!?」
「わうっ!?」
彼女が目を覚まし俺と目が合った途端、顔を思い切り叩かれた。
……解せぬ。
「ほ、本当にすみませんでした!!」
そう言って俺の目の前で土下座する金髪ポニーテールの少女。
へぇ~こっちの世界にも土下座する文化ってあるんだな。まぁそんなことより
「もう気にしてねぇからいい加減顔を上げな」
「そうですか。あたしはルナマリア=クローディアって云うの。……貴方は?」
「俺?俺は……」
あれ?何で自己紹介になったんだ?そんな事はどうでも良いとしてどうしよう……
う~ん、どう名乗ろう?此処は異世界だから外国風に名乗るとするか。
「俺はコウジ=ヤガミ、エドラス王国の王都に向かっている旅人だ」
クゥ~
「あぅ//……」
随分可愛らしい腹の虫だな……。
音がした方を見れば、ルナマリアが顔を赤面して俯いていた。
「非常食持っているんだが食べるか?」
「…………食べる」
俺はカバンから水筒とドーナツを取り出して 彼女に差し出す。
―――数分後
「ご馳走でした、とても美味しかった。……ところで君の後ろに魔物は一体何なの?」
「魔物?あぁ、この子はつい先程家族になったばかりのプロテクションウルフのザッフィーだよ」
質問に答えたらルナマリアが驚愕した表情になった。
「嘘!?……プロテクションウルフはSSSランク以上って言われている魔物。それを只の旅人である貴方は使い魔にしたの!?」
SSSランクって言われても基準が分からないからリアクションを使用にも出来ない。でもザッフィーがこの世界でとても強いってことは何となく理解が出来た。
「自己紹介の時に言ったけど、俺さ王都に向かって旅をしているんだ。悪いんだけど道案内してくれないか?」
「道案内?良いよ、あたし王都にある所属ギルドに帰る途中だったし。それに食べ物を頂いたお礼もしないとね」
よっしゃ!断れると思っていたが一発で了承が得られたぜ。
「先に謝る、本当に悪いそしてごめん!」
「え……きゃあぁぁぁぁぁっ!?」
俺はいきなり彼女の右手を掴み、自分の方に引き寄せるとお姫様抱っこをした。突然のことに悲鳴を上げるルナマリアを無視しながらある方向に駆け出す。
さて、此処で彼女の容姿説明だ
髪は太陽の光で輝くように見える金髪で腰の辺りまで伸ばしている、そして目は綺麗な碧眼である。
服装は一言で言うと、全体的に緑と白の二色。
白いブーツに穴あきグローブ、緑色のジャケットとロングスカート
腰元には長刀が吊るされていて誠に残念だが、スラッとした美脚に、これでもかっていうぐらいに強調している二つの膨らみが彼女の魅力を引き立てている。
そして俺は勢いよく地面を蹴り上げ、地面に伏せっているザッフィーの背中に着地する。
「きゃっ……」
「さぁ、ザッフィー!王都に向かって出発進行!!」
「ワォォォ―――ン♪」
そのまま彼女を放り込むように乗せ、自分はザッフィーの背中に跨がり、王都に向かうように指示した。
それを聞いたザッフィーは立ち上がって雄叫びを上げると、王都がある方向へと思い切って走り出した。
「………っ!?…………っ!」
ルナマリアは俺の腰に細い腕を回して必死で捕まっていた。後、何か叫んでいたが風を切る音でよく聴き取れなかった。