魔導師が勇者召喚に巻き込まれたそうです。 作:無双レイヴェルト
悠斗Side
王様に勇者を辞退しますと公言してからエドラス城を出た翌日。
街の一等地に建っている一軒家……というか国営住宅をお詫びと言う事で王様に用意してもらったから宿の心配はなくなりました。
今はベッドに寝そべりながら、昨日この家に来る途中で買った魔法についての本を読んでいます。
文字が読めるか心配していたけど、問題なしでした。
日本語ではないんだけど、本に書いてあることはちょっとバカな僕でも読めるし理解できる。
試に日本語で書いたつもりでも、こちらの言葉で書かれているという不思議感には慣れないけど。
とりあえずは、日常生活に不便さは感じられないから上々です。
「ちょっと悠斗くん!聞いてよ」
「ん~?」
軽くノックされた扉に向かって適当に返事をすると、遠慮なく扉を開け放ったのは同居人こと夏目ちゃん。
今、凄い音を立てて扉が開きましたけど、勢い良すぎてそのうち壊れるよ。
せっかく本に集中していたのに、一気に現実に引き戻されちゃったじゃないか。
「びっくりした……どうしかたの?」
「此処に来る途中で白い奴らに絡まれたの!」
何かだいぶイラついてない夏目ちゃん?カルシウムが足りてない?だったら今夜のごはんはお魚尽くしにしよう。
というよりも、白って何だったっけ……。……え~っと、国営のギルドのことか?。
「……え。何で国営ギルドに絡まれたの?」
国営のギルド員の人に追いかけられるようなこと、僕達してないよ?
それに対して、夏目ちゃんはイライラした様子で舌打ちする。
「あの人たち依頼とか言っていた。大方、
「あ~……彼ならあり得るかも。まぁ、知らない人に着いていかないのが一番良いよ。それで?なんでそんなに苛立っているの?」
「あの人たちホントに気に食わない。断っているにも関わらず迫ってくるのよ」
「そうなんだ」
今の話を聞いてたら、どうもエリート気質が多そうだねー。
虹次から教わったからかい術が役に立ちそう~。
「ま、お楽しみは後に残しておきますか……。」
「なんか言った?」
「セレスに相談してみたらお姫様なんだしさ?」
「……それは迷惑じゃないかしら?」
「大丈夫大丈夫。多分由々しく相談に乗ってくれると思うよ」
「はぁ……もういいわ。取り敢えず、ギルドに行きましょう。学園の編入書類には私達の魔力値と属性を記入しなきゃならないんだって。魔力計測器はギルドの地下にあるから測定しに行こ?」
測定?属性!?
気になる気になる!
昨日買った魔導書読んだけど、なかなか面白そうだし!
やっぱり魔法とかって一回は使ってみたい!
「測定しに行こう!僕自分がどんな魔法が使えるか知りたい!」
「そうね、私もどんな魔法が使えるのか知りたいわ。」
「普通の人ってどの位なんだろうね?」
「受付の人の話によるとギルドメンバーの平均はランクによるけど、まあ70万から120万ぐらいらしわ。帝クラスは最低500万は必要になるんだって」
ほへー。
その帝の人たちって能力的にも他の人より強いんだねー。
「因みにセレス経由で得た情報だと、
……んん?
えーと。確か魔導書では属性は一人につき1つ、多くても3つって書いてあったような?
「多っ!?え、なにその規定外」
何その主人公補正。絶対主人公の位置でしょ。
え、僕達って必要?いらないような気がしてきたんだけど。
「さっそくSSランクに飛び級そうよ。それに二つ名も検討中らしいんだってさ」
「二つ名、『すとr勇者(害)』でいいじゃん。セレスに頼んで王族権限でそれに決定して貰おうよ」
「私もそれで良いと思うよ?でも、いくらなんでもそれだと国民が納得しないでしょう」
つまり、夏目ちゃんは納得しているんですね。まぁ、昨日散々寝る前まで彼のに対しての愚痴を君から聞きましたから納得できるだろうけど。
うん、二つ名がどんなのに決まろうが『ストレス勇者(害)』を広めてやる。
「……またロクでもないこと考えてる」
「考えてないよ。ギルド〈永久の絆〉に行こ?」
さ、魔力測定魔力測定♪楽しみ~♪
◇◇◇◇◇
夏目Side
ギルドの地下室。
魔力値を測る水晶に現れた数字を前に私と悠斗くん、マスターのフィリスさんと受付嬢のミラさんが唖然としてしまいました。
「……なんというか、ねぇ」
「もう運命としか言いようがないわ。二日続けて5000万越えなんてしかも二人同時に」
「?」
呆れた様子のミラさんと、意味あり気なことを言うフィリスさん。
水晶に現れた数値を見てから、ずっとこんな感じです。
9999万9999。 9999万9999。
「危なかった……二人の魔力があと1高かったら500万ユルドもする測定用の水晶が二つも壊れるとこだったわ」
「あの~・・・もし壊れてたらどうなるんですか」
「勿論、弁償ね。一つ500万ユルドだからSSランクの仕事を5、6回位やればあっという間に返せるよ?」
「あははは・・・・・そう、ですか」
「じゃ、ナツメちゃん、ユウトくん。次は属性を調べるからこっちの水晶に魔力流して」
取り敢えず、魔力値を測る水晶の隣にあった水晶に触って魔力を流したんだけども。
「んん?」
なんか、いっぱい色が変わりました。え、属性って一つくらいで別にいいんですけど。
「えーと。とりあえず、私の属性って何なのかなー……」
「……二人で全部」
「「へ?」」
なんだか、ぶすっとしたミラさんがぽつりと呟きました。
全部とな?何が全部なんでしょうか?
「なっちゃんが水・風・雷・闇・重力・破壊の六つ。ゆっくんは火・土・光・創造・聖の五つ。他にもいくつがあるけど、見たことがないから分からない」
ミラさん、すっごく投げやりです。 拗ねてます?
というか、私の属性ってどんだけあるの。多すぎるんですけど。
「え、こんなにいらないんですが返品は可能ですか?」
「無理に決まってるでしょう。何とち狂ったようなこと言ってるの。むしろそれだけ持ってるんだから喜んだら?」
むすっとしたまま腕を組んで言い張るミラさん。
いやいや喜べませんって。そんだけ色々あったら絶対に面倒事に巻き込まれやすいでしょ。
「まぁまぁ。ミラ、不貞腐れないの。それよりナツメちゃんにユウトくん、ギルドに入らない?」
フィリスさんがぶーたれてるミラさんを押さえながら、ニコニコ笑って提案してきた。
「「良いですよ」」
普通は何で平和な日本育ちの子が、好き好んで危ない事しないといけないのかと考えるところだけど、私は逆だ。
ギルドでストレス発散しながら、この世界の生活に慣れたり学んだりとしなければならない。
「んー……自分の生活費くらいは稼ぎたいからギルドに入ります。お金に困ってなかったら別に依頼を受けなくてもいいんですよね?」
「それはそうだけど……生活費なら気にしなくていいのよ?まだ二人とも学生だから学園に申し込めば生活保障費を貰えるのよ」
「一応エドラス王からお詫びで貰ったお金がありますけど、ずっとそれに頼るわけにもいかないし。私たちお金を稼ぐ方法も学ばないといけない」
「そーお?なら、とりあえずギルドカードを渡しておくわね。このカードに魔力を流したら使えるからね」
「はい」
フィリスさんがくれた黒いカードに自分の魔力を流す。
あ、白い文字が出てきた。名前と、年齢、性別にギルドランク……あれ?……んん?
『ギルドランク:SS』
おかしい。
ちょっと疲れてるんだな、私。
「えー、ナツメちゃん?現実逃避しても無駄だからね?あなたは間違いなくSSランクだからね?」
一生懸命現実逃避していたのに、フィリスさんに釘を刺された。
いやいや、待ってください。
「……初心者にいきなりSSランク付けちゃうとかダメだと思います。私達、まだ魔法も使えないのに」
「ちゃんと教えるし、大丈夫よ。力を持っているのに使いこなせないと、逆に危ないもの。大丈夫、二人は責任感ありそうだし、すぐにランクに見合うだけの実力が身に着くと思うわ」
そんな期待が込められた優しげな眼で諭されても、ハッキリ言って困るんですけど。
「フィーちゃん……また、能力だけでランクを判断したの?」
呆れた表情したミラさんが突っ込んできた。
「あら、ミラ。私の見立てで間違いはないわよ?後、時間が余りないし本題に入りましょう」
「分かったよ。ところで、フィーちゃん。二人の学園編入の書類にはそのままの魔力値とか書くの?」
「さすがに予想以上だったから。彼と同じように私から学園長に話しておくわ。ミラ、二人の書類も彼と同じくらいで誤魔化して書きなさい」
「りょうか~い、ミラさんにお任せあれ」
「「手続きよろしくお願いします」」
んー……、面倒事を引き受ける羽目になっちゃったような気がする。考えても仕方がないから、頑張ろう。
楽しいと思う異世界生活を楽して生きていけるためにも、頑張ります!