遊戯王ARC-V パラレル・シンクロン   作:ししゅう

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2015/11/09追記
主人公の紹介をあとがきに追加


第一講

 月日は流れ、俺、十六夜未来(いざよいみらい)は16才。一年前からデュエルスクール「遊勝塾(ゆうしょうじゅく)」で塾講師のバイトをしている。採用試験の際やはり年を聞かれたが、その年の舞網チャンピオンシップユース選手権で優勝したことを告げた途端、「是非!!」と塾長に逆にスカウトされる形になり、採用となった。

 

「よし、今日の講義はは様々な"召喚方法"についてだ。デュエルモンスターズにはどんな召喚法がある?」

 

 ここは遊勝塾の小さな教室。俺は部屋を薄暗くしてプロジェクターを操作しながら授業を始める。

 

「はい!はーい!えーっと、通常召喚と特殊召喚だろ?あっ!あと反転召喚!」

「融合召喚と(シンクロ)召喚、(エクシーズ)召喚があるわ!」

「フトシ、アユ!儀式召喚とアドバンス召喚を忘れちゃだめだよ!」

 

 年少組のフトシ、アユ、タツヤが真っ先に答えてくれた。

 

「そうだな。そして最後にもうひとつ・・・」

「「「「(ペンデュラム)召喚!!!」」」」

 

 ・・・今度は遊矢の声も混ざって聞こえた。

 

 

 榊遊矢(さかきゆうや)。時のエンタメ決闘者・榊遊勝(さかきゆうしょう)の息子であり、(ペンデュラム)召喚のパイオニア。先日、ストロング石島とのエキシビジョンマッチにて突如新たな召喚法を発現させ、見事勝利してみせた。現在彼の注目度はうなぎのぼりだ。

 

「もう、遊矢・・・」

 

 そんな遊矢を半ばあきれた様子で諫めるのは遊矢の幼馴染、(ひいらぎ)柚子(ゆず)だ。いつもなら「子供かっ!」とハリセンを持ち出してツッコむぐらいのことはしそうだが、どうも最近元気がなさそうだ・・・心配だな。

 

「ははは、正解だ。さて、今いろんな召喚法が並んだが、モンスターの召喚は大きく"通常召喚"と"特殊召喚"の2 種類に分けられる。儀式,融合,(シンクロ), (エクシーズ),そして(ペンデュラム)は全て"特殊召喚"なんだ。ちなみに反転召喚は"表示形式の変更"扱いだ。」

 

 プロジェクターを再び操作して"特殊召喚"の欄に次々と召喚法を表示させてゆく。

 

「一方で通常召喚には"攻撃表示で召喚"と"裏側守備表示でセット"の2つがある。みんな、モンスターをいきなり表側守備表示で召喚したりするなよ?」

 

 そんなヘマしないよー!

 あはははは!

 

 ・・・いい雰囲気だ。さて、つぎの話に移ろうかな・・・と思っていたとき、

 

「はーい!せんせー、ちょっといいですかー?」

「どうした、素良。」

 

 挙手したのは遊勝塾のニューフェイス、紫雲院(しうんいん)素良(そら)だ。融合デッキ【ファーニマル】の使い手、さらに子供離れしたデュエルの腕前を持っている。間違いなく舞網の決闘者ではないだろう。そして恐らくは・・・

 

「やっぱりデュエルは講義じゃなくて実践したほうがいいでしょ!だから未来、僕とデュエルしようよ!少なくとも融合召喚のお手本にはなれると思うからさっ!それに、君とは一度戦ってみたかったからね・・・」

 

「・・・・・・いいだろう。じゃあみんな、デュエル場に移動教室だ!デュエルのテーマは、そうだな・・・"特殊召喚の重要性について"といったところか」

「「「「はーい!」」」」

 

 

_____________________________________________________________________

 

「二人とも!準備はいいかー!」

 

「はーい!」

「あ、はい。」

 

 リアルソリッドビジョンの管制室からマイクで話しかけてきたのは塾長の(ひいらぎ)修造(しゅうぞう)さんだ。柚子の父親で、嘘か真か彼のいない日は遊勝塾付近の気温が2℃下がると言われるほどの熱血漢だ。

 

「よーし!いくぞっ!アクションフィールド、ON!フィールド魔法、《スウィーツ・アイランド》!」

 

 リアルソリッドビジョンが起動し、フィールドがその姿を変えてゆく。お菓子の家,キャンディの木,チョコレートの池といったお菓子づくしのめるへんな世界があらわれた。

 

 ―Duel mode on, stand by―

 

「いくよ未来!」

「ああ!」

 

 これから行うのはアクションデュエルの儀式。気恥ずかしくて未だに慣れないがエンターテイメントには必要不可欠のものだ。

 

「戦いの殿堂に集いし決闘者(デュエリスト)たちが!」

「モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い、」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ・・・これがデュエルの最強進化系!」

「アクション――!」

 

「「デュエル!」」

 

  Mirai LP4000 VS Sora LP4000

 

 

「先攻は僕がもらうよ!僕のターン!」

 

 宣言すると同時に素良はディスクから5枚のカードを引き抜いた。

 

「僕は永続魔法《トイポット》を発動!さっそく効果を使うよ!1ターンに一度、手札を一枚捨てて、デッキからカードを1枚ドローして互いに確認する。そしてそのカードが「ファーニマル」モンスターなら手札にあるモンスターを特殊召喚できるよ!まあそれ以外のカードだったらそのまま墓地に送られちゃうけどね・・・ドロー!・・・よし!ドローした《ファーニマル・ドッグ》を特殊召喚だ!」

 

 トイポットのレバーが動き出し、一つのボールが転がり出てくる。ポン!と音を立てて弾けたその中から小さな翼を背中に生やした子犬のぬいぐるみが飛び出してきた。

 

「《ファーニマル・ドッグ》が特殊召喚された時、効果発動!・・・と同時に、手札から墓地に送られた《エッジインプ・チェーン》の効果も発動させる!このカードが場か手札から墓地に送られた時、デッキから「デストーイ」カードを手札に加える!《デストーイ・マーチ》を手札に!」

 

 

  《デストーイ・マーチ》

  カウンター罠

  ①:自分フィールドの「デストーイ」モンスターを対象とする

  モンスターの効果・魔法・罠カードを相手が発動した時に発動できる。

  その発動を無効にし破壊する。

  その後、以下の効果を適用できる。

  ●対象となった「デストーイ」モンスター1体を墓地へ送り、

  レベル8以上の「デストーイ」融合モンスター1体を

  融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

  この効果で特殊召喚したモンスターは、次の自分エンドフェイズに除外される。

 

 

 ・・・《トイポット》のコストは手札から墓地に送られた時に発動する効果を持っていたのか。しかし厄介なカードを握られてしまったな、と警戒しつつ素良のプレイングに再び意識を向ける。

 

「《ファーニマル・ドッグ》の効果でデッキから「ファーニマル」モンスター、《ファーニマル・シープ》を手札に加える!続いて手札の《ファーニマル・シープ》の効果発動!自分フィールドに《ファーニマル・シープ》以外の「ファーニマル」モンスターがいる場合、手札から特殊召喚できる!そして《ファーニマル・シープ》のさらなる効果!このカード以外の自分フィールドの「ファーニマル」モンスター1体を手札に戻すことで、自分の手札・墓地から「エッジインプ」モンスター1体を特殊召喚する!よみがえれ!《エッジインプ・チェーン》!」

 

 《ファーニマル・シープ》と《エッジインプ・チェーン》が素良のフィールドに並ぶ。コストで捨てられたモンスターの効果を活かしつつ、別のモンスター効果で即特殊召喚、というまったく無駄のない動きに関心する。しかしファーニマルモンスターが現在のアクションフィールドにマッチしていることもあいまって《エッジインプ・チェーン》がひどく浮いて見えた。

 

「お楽しみはこれからだよ!《ファーニマル・オウル》を召喚!召喚成功時、効果発動!デッキから《融合》を手札に加える!・・・魔法カード《融合》を発動!!フィールドより《ファーニマル・シープ》と《エッジインプ・チェーン》を融合!――迷える子羊よ、悪魔の鎖よ!神秘の渦にひとつとなりて、新たな力と姿をみせよ!――融 合 召 喚 !!現れ出ちゃえ!すべてを封じる鎖のケダモノ!《デストーイ・チェーン・シープ》!」

 

 融合の合図の下に《ファーニマル・シープ》が変貌してゆく。ものの数秒後には羊が鎖で縛られた姿をした不気味なモンスター、《デストーイ・チェーン・シープ》が正体を現した。

 

「僕はカードを一枚セットして、ターンエンド!・・みんなー!どう?基本的に融合召喚はカードの消費が荒いんだけど、ほら!僕のフィールドと手札には合わせて7枚もカードがあるよ!ま、要するに"カード・アドバンテージ"は大事にしろ、ってこと!・・・だよね、未来!」

「その通りだ。だがあまりにも上手くやるものだから驚いたぞ、素良。」

「へへーん!さっ、次は未来の番だよ!」

 

 

  素良 LP 4000 Hand:3

 

  フィールド:2

  ☆5《デストーイ・チェーン・シープ》DEF/2000

  ☆2《ファーニマル・オウル》ATK/1000

 

  魔法・罠:2 《トイポット》,セットカード1枚

 

 

 カード・アドバンテージの概念については俺が遊勝塾に来て以来、『攻撃力や相手へのダメージよりも自分の手元にカードを集めることを大切にしろ!』と口酸っぱく言っている。それを生徒が自分のものとし、実践している。教育者のタマゴとして喜びを感じる瞬間だ・・・しかし俺のターンではなく、()、か。これ以上のことをこのターンでやれ、というのは少しハードルが高いが・・・

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 ・・・あっ。

 

「?未来、どーしたのー?もしかして手札事故?」

「いや、そろってしまってな(・・・・・・・・・)。」

「?」

「行くぞ、《召喚僧サモンプリースト》を召喚!このモンスターは召喚されたとき、自身を守備表示にする。手札の魔法カード1枚を墓地に捨て、効果発動!デッキからレベル4モンスター一体を特殊召喚する。出でよ《終末の騎士》!特殊召喚成功時、効果発動!デッキから闇属性モンスター一体を墓地に送る・・・《儀式魔人リリーサー》を墓地へ!・・・俺は《召喚僧サモンプリースト》と《終末の騎士》で、オーバーレイ!」

「ッ!」

 

 今、わずかだが素良の表情が一瞬、険しくなった。俺はかまわずプレイを続ける。

 

「2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築・・・

エ ク シ ー ズ 召 喚 !!ランク4、《ラヴァルバル・チェイン》!」

 

 《召喚僧サモンプリースト》と《終末の騎士》が消えていった渦の中から現れたのは、炎を纏った海竜、《ラヴァルバル・チェイン》。俺のほとんどのデッキになら、一枚はデッキに入れておきたい汎用性の高いモンスターだ。

 

「チェインのモンスター効果、発動!オーバーレイ・ユニットを一つ取り除くことで、デッキのカード1枚を墓地に送る。《儀式魔人デモリッシャー》を墓地へ!」

 

 

「未来兄ちゃん、へんてこなモンスターばっか墓地に送ってどうするんだろ?」

「さあ・・・?」

 

 

 このデッキの切り札へのお膳立てが着々と進んでゆく。この手順で呼ぶことができたのは数えるほどしかないのだが・・・

 

「下準備はこれが最後だ。手札から、魔法発動!《儀式の準備》!デッキからレベル7以下の儀式モンスターを手札に加える。俺が手札に加えるのは・・・レベル6、《竜姫神(りゅうきしん)サフィラ》!」

「今度のデッキは儀式モンスター?珍しいね。」

「そうか?おっと、忘れるところだった。《儀式の準備》のもう一つの効果、儀式モンスターを手札に加えた後、墓地の儀式魔法を手札に加える」

 

 

「?」

「儀式魔法?」

「未来兄ちゃんの墓地に?」

 

 年少組がいっせいに頭の上に「?」マークを浮かべる。

 

「えーっと、未来の墓地には2体の「儀式魔人」に《ラヴァルバル・チェイン》のオーバーレイ・ユニットとして墓地に送られた《召喚僧サモンプリースト》が・・・」

 

 遊矢が確認するように墓地に落ちていったカードたちを挙げてゆく。ここまで言って、柚子は気がついたようだ。

 

「サモンプリースト・・・?そうよ!未来はサモンプリーストの効果コストでで最初に手札の魔法カード(・・・・・)を捨てたわ!」

 

「ふっ、正解だ柚子。答え合わせだ!俺は墓地から儀式魔法、《祝祷(しゅくとう)の聖歌》を手札に加える!そして、発動せよ、《祝祷の聖歌》!これは《竜姫神サフィラ》召喚の儀式を行うカード。俺は・・・墓地のレベル3の《儀式魔人リリーサー》と《儀式魔人デモリッシャー》をリリースの代わりとして贄に捧げる!」

「墓地のモンスターをリリースだって!?」

「「儀式魔人」の名は伊達じゃない。このカードたちは儀式召喚が行われる際、墓地から除外することでそのレベル分のリリースとして扱うことができる!さあ、供物は揃った。――集いし祈りに導かれ、清き竜人が舞い降りる!光指す道となれ!―― 儀 式 召 喚 !!レベル6、《竜姫神サフィラ》、降臨!」

 

 儀式魔法の発動を合図にフィールドが教会風の祭壇に切り替わる。設置された魔方陣に光が差し込み、その中から美しい翼を持った竜人が現れた。

 

「攻撃力2500か・・・でも!《デストーイ・チェーン・シープ》は戦闘で破壊された時、1ターンに1度だけ攻撃力を800ポイントアップさせて墓地から復活するよ!」

「"特殊召喚"か・・・残念だが素良、お前はもう特殊召喚はできないぞ」

「!?・・・まさかそれがサフィラの効果!」

「いや、正確には違う。「儀式魔人」モンスターは儀式召喚に使用された時、召喚された儀式モンスターに"効果を与える効果"を持っている。デモリッシャーを使用して儀式召喚されたモンスターはカード効果の対象にならず、リリーサーを使用した儀式モンスターが存在する限り、相手はモンスターを特殊召喚できない!」

「そんな、効果の対象にならなくなる効果まで!?これじゃあ・・・!」

 

 「ファーニマル」モンスターは単体での攻撃力は高くない。ライフを0にできるわけではないが、このターンで勝負を決める!

 

「バトルフェイズ!《ラヴァルバル・チェイン》で《ファーニマル・オウル》を攻撃!」

「――なーんちゃってっ!リバースカードオープン!トラップ発動、《聖なるバリア―ミラーフォース―》!」

「何!?」

 

 

「「《デストーイ・マーチ》じゃ・・・ない!?」」

「どうして?強力な罠なのに!」

 

 フトシとタツヤ、アユが驚愕の声を上げた。俺もさすがに目を剥く。両方とも伏せる選択もあるのに、俺の油断を誘うために・・・まさかこんな駆け引きをしてくるとは!

 

 

「その強力な罠を未来がホイホイ踏むわけないと思ってね、未来なら《デストーイ・マーチ》を発動させずにチェーン・シープを突破するためにモンスターを並べてくると読んだのさ!」

 

 

「そこまで考えて・・・」

「シビレるゥ!」

 

 

「・・・サフィラには本当に驚かされたけど、ミラーフォースならデモリッシャーにも邪魔されないでしょ?これで返り討ちだー!」

 

 《ラヴァルバル・チェイン》の吹いた火の玉が突如現れたドーム上のバリアに反射され、逆にチェインを貫いた。そのまま勢いを増して背後のサフィラに襲い掛かる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・なんで・・・!」

 

 ・・・かに見えたが、炎の玉はサフィラに触れた途端に掻き消えた。

 

「・・・危なかった。墓地にあった《祝祷の聖歌》にはもう一つ効果がある。自分フィールド上の儀式モンスターが破壊される場合、代わりに墓地のこのカードを除外することができるんだ」

「くっ・・・!ハッ!」

 

 素良が何かに弾かれた様に走り出した。・・・恐らく(アクション)カードだろう。切り替えが早いな。・・・だが間に合うかな!

 

「行くぞ!《竜姫神サフィラ》で、《デストーイ・チェーン・シープ》を攻撃!照らせ!

"セイントリ・グロー"!!」

「アクションマジック《奇跡》!モンスター一体を戦闘破壊から守り、受けるダメージを半分にする!」

 

 《デストーイ・チェーン・シープ》の頭上から一筋の光芒が降りかかる。対象を一瞬で蒸発させかねないほどの熱量を持った光に焼かれたかに見えたチェーン・シープであったが、光がおさまるとそこには《奇跡》の効果に守られて健在な姿があった。

 

「よく耐えたな」

「特殊召喚ができない今、《デストーイ・チェーン・シープ》が頼みの綱だからね・・・」

 

「バトルフェイズを終了し、エンドフェイズへ。ここで《竜姫神サフィラ》本来の効果を発動!」

「エンドフェイズに・・・?」

「サフィラが儀式召喚に成功したターンのエンドフェイズ、3つの効果から1つを選んで適用する。その1、デッキからカードを2枚ドローした後、手札を一枚捨てる。その2、相手の手札をランダムに一枚選んで捨てる。その3、自分の墓地の光属性モンスター一体を手札に加える。俺は第一の効果を適用し、ドロー!手札を一枚、墓地へ・・・これでターンエンドだ」

 

 デュエルディスクのターン表示が素良を示した。

 

 

  未来 LP4000 hand:3

 

  フィールド:1 ☆6《竜姫神サフィラ》ATK/2500

 

  魔法・罠:1 伏せカード1枚

______________________________________________________________________

 

「(げっ、また《祝祷の聖歌》が墓地に・・・)」

 

 最後に墓地に送られたカードを見て、素良は顔をしかめた。虎の子のミラーフォースが半ば不発に終わった今、多少強引にもあのモンスターを突破しなくてはならないというのに・・・

 

「(でも、そんな時のための(アクション)カードだ!)僕のターン!ドロー!」

 

 素良は再び走り出しながらカードをドローする。

 

「僕は《トイポット》の効果で《ファーニマル・ウィング》を捨てて、カードを一枚ドローする!」

「表側表示のカードの効果が発動した時、手札から《幽鬼うさぎ》の効果発動!このカードを墓地に捨て、発動したカードを破壊する。永続魔法の《トイポット》が破壊されたことにより、ドローは無効だ!」

「!でも、《トイポット》の効果発動!このカードが墓地に送られた場合、デッキから{ファーニマル}モンスターか《エッジインプ・シザー》を手札に加えることができる!僕は《ファーニマル・ベア》を手札に加えて、効果発動!手札から捨てることで、デッキから新たな《トイポット》をセット!」

「何故・・・?」

「フィールドに《トイポット》、墓地に《ファーニマル・ウィング》がある状況を作りたかったのさ!墓地の《ファーニマル・ウィング》の効果を発動!自分フィールドに《トイポット》がある場合、墓地にあるこのカードと「ファーニマル」モンスターを除外することでカードを一枚ドローする!《ファーニマル・ベア》を除外。その後フィールドの《トイポット》を墓地に送ることでもう一枚ドローできる!合計2枚ドロー!さらに《トイポット》が墓地に送られたことで、効果によりデッキから《エッジインプ・シザー》を手札に加えるよ!」

 

 《トイポット》と《ファーニマル・ウィング》のコンボで素良の手札は一気に6枚に増える。サフィラさえいなければいくらでもモンスターを展開できるのに・・・と口の中のキャンディを噛み砕きそうになる。

 

「(だめだ!冷静になれ・・・!なんとか勝ち筋を見出すんだ!)アクションカード、ゲット!・・・よし!《エッジインプ・トマホーク》を通常召喚!効果を発動、手札の「エッジインプ」モンスター、《エッジインプ・シザー》を手札を捨て、相手に800ポイントのダメージ!」

「・・・ッ!」

 

 

  未来 LP4000→3200

 

 

「そしてアクションマジック、《ムテキ・キャンディ》を発動!自分のモンスター一体は戦闘破壊されず、相手モンスターと戦闘する場合、戦闘ダメージを相手に与え、ダメージステップ終了時にその相手モンスターを破壊する!僕はチェーン・シープを選択!」

 

 チェーン・シープが目の前に現れたペロペロキャンディを丸呑みにすると、その体が七色に輝きだした。いかにも「無敵」といった雰囲気をかもし出している。

 

「!」

 

 今度は未来がAカードを探しに走り出した。

 

「ファーニマル・オウルを守備表示に変更。チェーン・シープを攻撃表示にして・・・バトルだ!《デストーイ・チェーン・シープ》で、サフィラを攻撃!」

「アクションカード、ゲット!」

「無駄だよ!《デストーイ・チェーン・シープ》がバトルするとき、相手はモンスター・魔法・罠の効果を発動できない!」

 

 

  未来 LP:3200→2700

 

 

 

「くっ!サフィラが破壊される代わりに墓地の《祝祷の聖歌》を除外する・・・」

 

 チェーン・シープの放った鎖がサフィラを捕らえて締め上げるが、聖歌の加護を受けたサフィラにすぐさま鎖を振りほどかれてしまった。

 

 

 

「・・・あれ?《デストーイ・チェーン・シープ》の効果で、未来兄ちゃんは魔法カードを発動できないんじゃなかったの?」

「いい質問だアユ。《祝祷の聖歌》の効果は"チェーンブロックを作らない効果"。つまり俺は効果を発動したわけじゃないんだ。」

「「??」」

「・・・よし、次の授業のテーマはこれにしよう」

「余裕だね、未来。カードを2枚伏せてターンエンド」

「待った!エンドフェイズにサフィラの効果発動する。このカードの効果は光属性モンスターが手札かデッキから墓地に送られたターンにも発動できるんだ。《幽鬼うさぎ》は光属性。俺は再び第一の効果を選択し、2枚ドロー。手札のアクションマジック《回避》を捨てる」

「・・・僕は今度こそターンエンド!」

 

 

  素良 LP4000 hand:2

 

  フィールド:3 

  ☆5《デストーイ・チェーン・シープ》ATK/2000

  ☆2《ファーニマル・オウル》DEF/1000

  ☆4《エッジインプ・トマホーク》ATK/1800

 

  魔法・罠:2 伏せカード2枚

______________________________________________________________________

 

 

 サフィラの除去を諦めてバーンダメージに切り替えてきたかと思ったが、Aカードとのコンボで《オネスト》をかわしつつ破壊耐性を削りに来たか・・・油断できないな。手札のこいつで一気に勝負をかける!

 

「俺のターン、ドロー!魔法カード《ソーラー・エクスチェンジ》を発動!手札の「ライトロード」モンスターを捨て、デッキから2枚ドローする。《ライトロード・アサシン ライデン》を捨てて、ドロー!その後、デッキの上から2枚のカードを墓地に送る。」

 

 ・・・いける!

 

「《ライトロード・サモナー ルミナス》を召喚!手札の《ライトロード・ハンター ライコウ》を捨て、効果発動!1ターンに一度、手札を1枚捨てることで、墓地の「ライトロード」を特殊召喚する!《ライトロード・アサシン ライデン》を特殊召喚!」

「ぐっ・・・!」

 

 これが《虚無空間(ヴァニティ・スペース)》や《大天使クリスティア》に無いリリーサーの強み。相手の特殊召喚のみを一方的に封じ、自分は好きに展開できる。上手くはまればとんでもない制圧力を誇るのだ。

 

「ライデンの効果発動!1ターンに一度、デッキの上からカードを2枚墓地に送る。そのカードの中に「ライトロード」モンスターがあった場合、攻撃力が200アップする。2枚のカードの中には《ライトロード・マジシャン ライラ》があった。よってライデンの攻撃力は1900となる」

「トマホークの攻撃力を超えてきたか・・・」

「攻撃力は問題じゃない。俺はレベル3のルミナスに、レベル4のライデンをチューニング!――集いし決意が、見えざる壁を打ち砕く!光差す道となれ!―― シ ン ク ロ 召 喚 !!出でよ、レベル7、《アーカナイト・マジシャン》!」

 

「シンクロ召喚まで・・・!」

「《アーカナイト・マジシャン》がシンクロ召喚に成功したとき、自らに"魔力カウンター"を2つ乗せる。アーカナイトの攻撃力は自身に乗っている魔力カウンターの数×1000アップする」

 

 白を基調としたローブをかぶった魔道士・アーカナイト・マジシャンがフィールドに現れると、同時に彼の周りに小さな魔力の塊が2つだけ現れた。

 

 

  《アーカナイト・マジシャン》ATK/400→2400

 

 

「・・・でも、《アーカナイト・マジシャン》は守備表示じゃないか」

「言ったはずだ。攻撃力は問題じゃない。《アーカナイト・マジシャン》はフィールド上の魔力カウンターを1つ取り除くことで相手フィールドのカードを1枚選択し、それを破壊する!デッキ側のセットカードを破壊!」

「くっ!選択された《融合準備(フュージョン・リザーブ)》を発動!《デストーイ・シザー・ベアー》の融合素材となる《ファーニマル・ベア》を手札に加え、その後墓地の《融合》を手札に戻す!」

 

 アーカナイト・マジシャンの周りをふわふわと漂っていた魔力カウンターが突然猛スピードで素良のフィールドへ飛来する。宣言の通り、セットカードを直撃して小さな爆発とともに消滅した。

 

 ブラフを踏まされたか・・・だが!

 

「もう一度アーカナイトの効果を発動し、自身の魔力カウンターを1つ取り除き、残りのセットカードを破壊!」

「く、《デストーイ・マーチ》が・・・!でもこれでフィールドの魔力カウンターは尽きた!」

「確かに。だが《アーカナイト・マジシャン》の効果は保険に過ぎない」

「?」

「ライコウ,ライラ,ルミナス,ライデン・・・自分の墓地に「ライトロード」が4種以上存在する時、手札から《裁きの龍(ジャッジメント・ドラグーン)》を特殊召喚する!」

 

 真っ白な体を持つ巨大な竜が天空から現れ、地上を見下ろした。

 

「出たっ!未来の切り札《裁きの龍》!」

「シビレるゥー!」

「いつ聞いても頭のおかしい召喚条件ね・・・」

 

 

「皆、このモンスターの効果を知ってるの?」

「1000のライフを払い、フィールドのこのカード以外のカードを全て破壊する!」

「はあ!?」

 

「"ジャッジメント・オブ・ザ・ライト"!」

 

 咆哮とともに、裁きの龍を中心に光の波動が(ほどばし)る。アーカナイト・マジシャンやサフィラを巻き込んで場の全てを包み込んだ。

 

「さらに、《ソーラー・エクスチェンジ》によって墓地に送られた最後の《祝祷の聖歌》を除外して《竜神姫サフィラ》を破壊から守る!」

「そんな・・・!」

 

 フィールドに存在するのは2体の竜のみ。並び立つ姿に神々しささえ感じる。

 

「・・・2体のモンスターで、ダイレクトアタックだ!」

「う、うわーーー!?」

 

 

  素良 LP4000→1500→0

 

 

  ――Winner : Mirai !――

_____________________________________________________________

 

 

 

 

 

「ねえもう一回!もう一回だけデュエルしよう未来!今度はぜったい突破して見せるからさあ!」

 

 デュエルが終わり、ソリッドビジョンが解除されるやいなや、素良が詰め寄ってきた。なかなかのしたたかさだ・・・

 

「今日はもうやめにしよう。なに、また何時でも相手になるさ」

「うう、今約束したからね!」

 

 ぐぬぬぬと唸る素良。ちなみにあのサフィラに対する手軽な対処としては《帝王の烈旋》などによるリリースや《神風のバリア―エア・フォース―》による全体バウンスが挙げられる。

 

「さて、皆。このデュエルから"特殊召喚"がデュエルの勝敗に大きく影響していることはわかって貰えたか?」

「ああ。でもそれにしても今回は随分えげつない戦法をとったな、未来・・・」

 

 遊矢が若干表情を引きつらせながら答えた。

 

「その方が皆の記憶に残りやすいと思って・・・」

「トラウマになったらどうするのよっ!」

 

 ・・・と、ハリセンで柚子にツッコまれてしまった。少し痛いが、俺は遊勝塾の一員なのだと実感できて悪い気分じゃない。

 

 

 

 

 その後でちびっ子三人に「"対象を取る"って何?」、「チェーンブロックを作らない効果って?」と質問攻めにあい、結局授業時間が延びてしまったのはここだけの話だ。




素良「そういえば融合モンスターは使わなかったけど、・・・嫌いなの?融合」
未来「そんなことはない(《簡易融合》でノーデンを召喚しようとしながら)」
柚子「禁止カードでしょ!」
素良「エクシーズの下敷きにするなー!!」

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LDSデータベースより
十六夜未来(いざよいみらい)について

 年齢:16
 容姿:年齢の割には長身、帽子をかぶっている。(蟹のようなツンツンした髪型だったという当時の同級生たちによる証言あり)
 家族構成:母(医師)
      母子家庭だが特に生活に困ってはいない模様
 使用デッキ:【ライトロード】を中心に様々なデッキを使用
 経歴:LDS総合コース入学後、(エクシーズ),融合,(シンクロ)と他コースの講義にも積極的に参加。特に(シンクロ)コースで優秀な成績を修め、15歳で舞網チャンピオンシップユース選手権を優勝した後、歴代次席の優秀な成績で卒業。現在、市内のデュエル塾に講師として所属。(LDS入学前の経歴は詳細不明、要調査)
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オリジナルアクションカードについて

  《ムテキ・キャンディ》
  魔法|アクション
  ①:自分フィールド上の表側表示モンスター1体をを対象として発動する。
  このターン、その自分のモンスターが相手モンスターと戦闘を行う場合、
  以下の効果を適用する。
  ●対象のモンスターは戦闘では破壊されない。
  ●自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。
  ●戦闘を行った相手モンスターをダメージステップ終了時に破壊する。

 長っ。しかもアニメに出てきたアクションフィールドにオリカ出してよかったのか・・・ちなみにモチーフは「無敵キャンディ」です。遊戯王OCG風に再現すること自体は超楽しかった
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