GOD EATER R 〜荒ぶる神を喰らう者〜   作:霧斗雨

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第3話です。
タイトルを見てピンときた人多いはず。


第3話 遠距離基本戦術とKIA

初任務の次の日、ユウはリンドウの部屋にやって来ていた。

メールで呼び出されたのである。

 

「おう、来たか。少しはここの生活になれてきたか?」

 

「はい、お蔭さまで」

 

にこり、と笑顔で返事をした。

リンドウもニヤリと笑うと、要件を伝え始める。

 

「今日は一発、お前と親睦を深めるために……と言いたいところだが、ま、例によってお仕事の話だ。今度の任務では、遠距離専門の神機使い「橘サクヤ」と同行してもらう」

 

「遠距離専門、ですか。あ、もしかしてこの前の?」

 

たしか、この前話しかけてきた女性がいて、その人の事をリンドウは「サクヤ」と呼んでいた筈だ。

 

「ああ、よく覚えてるなぁ。サクヤは俺の腐れ縁だからなあ……まあ、気のいいやつだからあまり怖がらずに接してやってくれ、よろしく頼む」

 

「了解です」

 

ピッと慣れない敬礼をする。

リンドウは苦笑を浮かべると、やめてくれよ、堅苦しいのは嫌いだと言った。

 

ーーーー

 

サクヤとの任務は、嘆きの平原と呼ばれる場所だった。

平原の中央には、巨大な竜巻が渦を巻いており、かなり天気が悪く、雨が降っている。

顔についた雨粒を払いながら、ユウは集合場所にやってきた。

集合場所には既に、この前見た女性が待機していた。

 

「この前の新人さんね?わたしの名前は「橘サクヤ」。よろしくね」

 

「僕は霧黒羽ユウです。よろしくお願いします、サクヤさん」

 

いつも通り、笑顔で挨拶をする。

サクヤはユウの顔を見るなり、クスッと笑った。

 

「ちょっと緊張してる?」

 

「そんなことないつもりですが……そう見えますか?」

 

「少しね。肩の力抜かないと、いざというとき体が動かないわよ」

 

バン、と肩を叩かれる。

あはは、とユウは苦笑した。

顔に出るなんてまだまだ甘いなぁ、と思いつつ、神機を握り直す。

サクヤの顔が、キリッと引き締まったからだ。

 

「さっそく、ブリーフィングをはじめるわよ。今回の任務はユウが前線で陽動。わたしが後方からバックアップします。遠距離型の神機使いとペアを組む場合、これが基本戦術だから。よく覚えておいて」

 

「成程」

 

「くれぐれも先行しすぎないように。後方支援の射程内で行動すること。OK?」

 

こくり、とユウは頷いた。

クスリ、とサクヤが笑うと、ヒョイっと高台から飛び降りた。

 

「素直でよろしい!頼りにしてるわ。さあ、始めるわよ」

 

「はい!」

 

ユウもサクヤのあとを追って、高台から降りる。

暫く警戒しながら歩くと、1箇所、ぽつんと何かが立っていた。

 

「あれが、コクーンメイデン。実物を見るのは初めてよね?」

 

「はい。あれ、動かないんでしたっけ」

 

「ええ。その場から一切動かないけど正確にこちらを狙撃してくる厄介な相手。足を止めないように、気をつけてね」

 

「はい、行きます!」

 

それだけ言うと、ユウは走ってコクーンメイデンの射程内に飛び込んだ。

瞬間、コクーンメイデンの射撃が飛んでくるが、それを横に飛び退くことで回避する。

そのまま神機を振りかぶり、コクーンメイデンを薙いだ。

そこからすかさず横に飛び、サクヤのために射線を開ける。

瞬間、コクーンメイデンにサクヤの放ったバレットがクリティカルヒットした。

すかさず、ユウが止めの一撃を叩き込み、コクーンメイデンはその命を散らした。

 

「終わり、ですね」

 

「さすが、リンドウが褒めていただけのことはあるわね。呑み込みが早くて助かるわ。この調子で、これからもよろしくっ」

 

「はい!」

 

ニコリと笑顔を見せるサクヤに、ユウも笑顔で答えた。

 

ーーーー

 

あの後、もう一つの任務が入り、ユウはすぐに現場に向かった。

場所は鉄塔の森、昔の工場跡地である。

ユウが現場に下り立ち、集合場所に行くと、二つの人影が見えた。

そのうちの、赤基調の派手な服に身を包んだ青年が、ユウに手を振りながら駆け寄ってきた。

ユウの目の前で立ち止まると、クイッと前髪をかき上げた。

 

「お、君が例の新型クンかい?噂はきいているよ」

 

「あはは……えと、貴方は?」

 

苦笑いを浮かべながら、ユウは目の前に立っている赤髪の青年に話しかける。

 

「僕はエリック。エリック・デア=フォーゲルヴァイデ。君もせいぜい僕を見習って、人類のため華麗に戦ってくれたまえよ」

 

「あはは、そうさせてもらいますね。僕は……」

 

名乗りをあげようとした瞬間、ゾクッという感覚が背筋に走った。

集落にいる時によく感じた感覚。

アラガミが近くにいる時の、感覚だ。

 

「エリック!上だ!」

 

エリックの奥から、神機を構えて走ってくる青年の姿が見えた。

瞬間、ユウは咄嗟に後ろに飛び、自身の失敗を悟る。

後ろに飛んだ。

飛んでしまった。

後ろに飛んだ結果、エリックはロングブレードの間合いの外に出てしまった。

ユウは慌てて手を伸ばした。

しかし、届かない。

間に合わない。

 

「エリックさん!!」

 

「え?……うわあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

青年の声に、エリックはそちらを向く。

そこには、オウガテイルの開かれた口があって。

ぐしゃりと音を立てて、断末魔と共にエリックの頭は噛み砕かれた。

ガシャン、と音を立てて、エリックの手から神機が落ちる。

 

「エリックさん……」

 

「ボーっとするな!!」

 

オウガテイルを薙ぎ払いながら、青年が怒鳴った。

その一撃で、オウガテイルの身体は霧散し始める。

青年は淡々とコアを捕食し、地面に広がる夥しい血のあとを見て顔をしかめると、未だ呆然とするユウの方を見た。

 

「……ようこそ、クソッタレな職場へ……」

 

「……」

 

ユウはゆっくりと青年に視線を向ける。

褐色の肌に、自分と同じ白髪。

ダスキーモッズのフードを深くかぶっている。

 

「俺は「ソーマ」……別に覚えなくてもいい。言っとくが、ここではこんなことは日常茶飯事だ」

 

「……霧黒羽ユウです。……あの」

 

自分が何を言おうとしているのか。

ユウにはよくわからなかった。

ソーマが、イーブルワンの切っ先をユウに向けて言った。

 

「お前は、どんな覚悟を持って『ここ』に来た……?」

 

「……僕は」

 

「なんてな……時間だ、いくぞルーキー」

 

そういうと、ソーマは歩き始める。

ユウは、何も言わずにソーマの後について行き、討伐対象であるオウガテイルと交戦を開始した。

さっきから後悔の念が胸中を渦巻いているが、今ここでエリックの死を引きずって油断したら、次に死ぬのは自分だ。

 

「あーもう、気持ちの整理は後!取り敢えずやったるわあああ!」

 

ただひたすら剣をふるって銃で撃つ。

対象をすべて倒し終えた時、ソーマはユウに言った。

 

「……とにかく死にたくなければ、俺にはなるべく関わらないことだ……」

 

「え……それは」

 

どういう意味ですか、と尋ねきる前にソーマは立ち去ってしまった。

 

ーーーー

 

アナグラに帰投した後、ユウはソーマに話しかけた。

何を言っていいのかわからないが、エリックが死んだのはユウの不注意のせいでもある。

言う相手が違うかもしれないが、一言、ソーマに謝りたかった。

 

「ソーマさん」

 

「さん付けしなくていい。……何の用だ?」

 

「あ、はい……あの……すいませんでした……エリックさんが……」

 

そう言って頭を下げると、ソーマは少し驚いて目を一瞬丸くする。

しかし、すぐに元の無愛想に戻って言った。

 

「……エリック?……俺には関係ない。弱いヤツから先に死ぬ……ただそれだけの話だ」

 

「……ソーマ……」

 

ソーマの対応は、素っ気ないもので、それだけ言うと立ち去ってしまった。

口ではああ言っているが、そうすぐに割り切れるものでは無いのだろう。

何故なら、ユウには立ち去るその背中が、とても悲しそうに見えたから。

その場に残されたユウはハァァ、と深く溜息をつくと、リンドウの部屋に向かった。

リンドウの部屋の前まで来ると、もう一度だけ溜息をついてノックをする。

扉は、すぐに開いた。

 

「リンドウさん、来ました。何か用ですか?」

 

「おお、来たか」

 

リンドウは部屋のソファのところでタバコを吸っていた。

リンドウにこっち来て座れ、と指示され、ユウはソファに座る。

リンドウは頭をバリバリと掻くと、ユウに向き直った。

 

「ん……仲間が、目の前で死ぬのは初めて……か。……そういや、お前とゆっくり話したことは無かったな。話すのはあんまり得意じゃないんだが……何か聞きたいとこはあるか?」

 

「……あの、エリックさんってどんな人だったんですか?」

 

「エリックはいわゆるボンボンでなあ……甘ったれたところもあったが……妹思いのいい奴だったよ。神機使いになると、多かれ少なかれその重責と戦わなきゃいけない……あいつはあいつなりに、精一杯ふんばってたな……」

 

うんうん、と1人頷きながら、リンドウは昔を思い出すようにしてエリックのことを語った。

 

「……そうなんですか。……あ、そういえば、ソーマさんは確か第一部隊でしたよね」

 

「ああ。ソーマはこの極東支部でも、トップクラスの神機使いだ。厳しい言動でよく誤解されがちなんだが……んー……まあガキなのは間違いないな!」

 

ははは、とリンドウは笑った。

そういうリンドウの顔は穏やかで優しいものである。

 

「ただ俺は、あいつほど優しいヤツもなかなかいないと思ってる。あいつは目の前で仲間が死ぬことを、一番恐れている。だからずっと……仲間を遠ざけている。ん!というわけで……お前があいつの仲間になって、ずっと死なないことを命令しとくとするかな!だから、まあ……あいつをあんまり責めてやるな。いいな?」

 

「はい、頑張ります」

 

中々に難しい事を言われたような気がしたが、ユウは微笑みながら了承した。

ふと、リンドウが思い出したかのように言った。

 

「ああ、そうだ……お前の同期は本当にいいやつだなあ。このご時世に、よくもまあ、あそこまでまっすぐ育ったもんだ。親御さんの教育の賜物なのかね……気の合う仲間は、本当にかけがえのない宝だ。大事にしろよ?」

 

こくん、とユウは頷くことで承諾の意を見せる。

リンドウも満足そうに頷いた。

 

「そうだな……コウタもお前も、技術はまだまだ未熟だがまあ、しばらく生きのびてりゃいい線行きそうだ。期待してるから……とにかく死ぬなよ、いいな?」

 

「はい、勿論です」

 

「ははっ、頼もしいなぁ」

 

ははは、と2人は声を上げて笑いあった。

その後、しばらくの間談笑は続いたのである。




エリックさあああん!!
と書きながら叫びました。
退場が速すぎるだろエリックさん。
エリック生存ルートをとっても良かったのですが、ここは原作に添わせました。
ほら、原作クラッシュすると、途中で行き詰って後悔するから。
決してエリックさんが嫌いなのではないです。
もう一度言います。
決してエリックさんが嫌いなのではないです。
むしろ好きでした。
文自体は短めです。
私にしては珍しいのですが、コウタのところまで入れたらサカキ博士の講義を入れるか入れないかで悩み、結局やめました。
まあそれはそれでよかったかなと。
感想、お待ちしています。
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