GOD EATER R 〜荒ぶる神を喰らう者〜   作:霧斗雨

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元第一部隊3人の関係に焦点が置かれているような気がします。


第5話 元第一部隊の関係

嫌な噂を聞いた。

聞いたというよりも聞かされたというべきか。

提供源は、少し前にカレルとともにからかってきたシュン。

シュン曰く、エリックが死んだのは「死神」と組んだからで、その死神とはソーマのことであるというものだ。

そんな理由あるはずないというのに。

ソーマが生き残れるのはその経験と実力から来るものだろう。

ただの僻みにしか聞こえず、ユウは適当に話を切り上げ、少し考えた。

気にするようなことではないと思うが、これはソーマにとってストレス以外の何物でもないだろう。

但し、これを本人に直接聞く、又は直接突っ込むのは流石にやばいと思われた。

なので、いつもなら直球で訪ねに行くユウだが、今回ばかりは止めておくことにした。

なので、せめて仲間として一緒にいようと話しかけたが。

 

「ちっ……お前はお前でなれなれしいし……リンドウの奴は、陰でこそこそしてやがる……どいつもこいつもクソッタレだ……!」

 

どうも無視の居所が悪かったらしい。

キレられてしまった。

 

ーーーー

 

次の任務はサクヤとリンドウ、ユウの3人でこなすものとなっていて、先に用意が終わったサクヤはロビーのディスプレイに映し出されたニュースを見ていた。

 

『次のニュースです。今年も抗議デモが行われました』

 

いつもとあまり代わり映えのしない内容の現行を、ニュースキャスターが読み上げていく。

 

『本日未明、外部居住区生活者を中心とした団体による、フェンリルにたいする抗議集会が、世界各地の支部前にて行われました。フェンリルに対して、主に食料配給の増量と防衛の強化、雇用枠の増大を訴えたもので、参加者は2時間ほどデモ行進をしたのちに、大きな混乱もなく解散した模様です』

 

毎年のように行われているこのデモのニュースを、サクヤは少々呆れながら聞いていた。

デモなどしても何も変わらないのに。

小さくため息をつく。

ふと前を見ると、任務の用意が終わったのかユウがやって来ていた。

 

「あっ、こっちこっち」

 

声をかけると、すぐに駆け寄ってきた。

 

「遅くなってすみません」

 

「いいのよ。あ、すごく活躍してるらしいじゃない。想像以上だって、評判いいわよ」

 

「そんなことないですよ」

 

アハハ、とユウが苦笑いを浮かべた。

相変わらず謙虚である。

任務中の挙動を覗いてだが。

 

「でも、あまり張り切りすぎないでね……」

 

「え?」

 

サクヤの言葉に、ユウは首をかしげた。

見ると、サクヤの表情に少し影がかかっている。

 

「神機使いは……すごい人ほど、早死にするから……」

 

成程、心配からか。

ユウは1人納得した。

 

「大丈夫です、僕はまだまだですから」

 

「ってことは、俺もまだまだってことか……」

 

ユウが笑顔で答えると、背後から少し沈んだ声が聞こえた。

今日のメンバー最後の1人、雨宮リンドウその人である。

 

「リンドウさん、今来たんですね」

 

「相変わらず重役出勤ね」

 

「重役だからな……さーて、今日も楽しいお仕事だ」

 

サクヤが呆れたように言った。

リンドウは少し苦笑を浮かべて頭を少し掻いた。

 

「今日の任務は俺達3人で動く。俺が陽動でサクヤがバックアップ」

 

「了解」

 

「お前は遊撃だ。「新型」らしく、状況に応じて動いてくれ」

 

「了解です」

 

リンドウがてきぱきと指示を出す。

いつも少し抜けたような感じだが、やる事はしっかりとするのである。

 

「……他に何かある?」

 

サクヤが聞くと、リンドウは少し考える様な仕草をして言った。

 

「ん、まあ、死ぬなってことで」

 

「大雑把な命令承りました、上官殿」

 

ハァ、とサクヤはため息を付いた。

 

ーーーー

 

鉄塔の森と呼ばれる場所に付くと、アラガミの鳴き声が聞こえた。

物陰に身を隠しながら捜索すると、魚のような胴体、頭に砲台を引っつけたような形状のアラガミが、のそのそと動いていた。

動きは愚鈍だが、その口には鋭い歯が並んでおり、噛まれたら一溜りもないだろう。

 

「……魚だ。でも、うーん、あれは鈍そうかな」

 

初めて見るアラガミに、ユウはいつものような感想をポツリと述べた。

どうやら緊張などしていないようだ。

まだ新人の癖に大したものだと、リンドウは苦笑した。

 

「今日の相手はグボロ・グボロか……うし、ちゃっちゃと終わらせて帰るぞ」

 

リンドウが面倒くさそうな顔をした。

 

「せっかくの機会なんだし、もう少し上官らしいことでも言ったら?」

 

「そういうの苦手なんだがなぁ……」

 

サクヤの言葉に、リンドウは困ったようにしながら少し考え、グボロ・グボロの行動パターン等について喋り始めた。

 

「こいつはアラガミの中ではどっちかっていうと動きが鈍い部類だろうな。正面への攻撃はかなり強烈だが……それさえ貰わなければ大概どうにかなる」

 

「まずは側面から攻めて胴体に攻撃を当てていくことをおすすめするわ」

 

「怒ると四方八方に当たり散らすから突進の後はよく動きを見といた方がいいぜ」

 

「成程。横っ腹叩いて避けろってやつですね」

 

2人の説明を、ユウはザッと噛み砕いて解釈した。

2人は驚いて目を丸くすると、サクヤは困ったように笑い、リンドウは腹を抱えて笑った。

 

「まあ、そんな感じだ」

 

「曲解過ぎると思うけどね……」

 

「あはは。じゃ、行きます!」

 

ユウは2人に笑顔を向けると、グボロ・グボロの前に躍り出た。

グボロ・グボロが威嚇の為の咆哮を上げている間に、ユウはその横っ腹当たりの胸びれ目掛けて神機を振り下ろした。

パッ、と赤い血が舞い、地面を赤く染める。

怒り狂ったグボロ・グボロが、ユウ目掛けて突進をかますが、ユウはそれをサイドステップで交わし、地面を蹴って飛び上がると、グボロ・グボロの尾びれを捕食形態で喰いちぎる。

ダウンしたところを叩いては喰いちぎることを繰り返し、グボロ・グボロはあっけなく沈んだ。

 

「はい、お疲れさんっと……どうだ?少しは勉強になったか?」

 

「はい。コイツはそこまで強くないことが分かりました」

 

ちゃっかりコアまで回収し、笑顔でユウが答える。

逞しいが、非常に危なっかしくもあって、突っ込みがちなこの新人の扱いは難しそうだ。

素直だけれども。

その様子に、2人は苦笑いを浮かべるほかなかった。

 

「ぶっちゃけアラガミとの戦いは「習うより慣れろ」だ。今のうちにいろいろ試してみるといいさ」

 

「死なない程度にね?」

 

「そう、それ!そんじゃ、帰りますか」

 

ーーーー

 

アナグラに戻り、次の任務に備えていろいろ準備をしていると、不意にタツミが話しかけてきた。

 

「そういやお前さん、ゴッドイーターになる前は、何してた?」

 

突然の質問に、ユウは驚きながらも思い返してみた。

仕事、というよりしていたことと言うと。

義弟と一緒に集落に入ってきたアラガミにちょっかいかけて、皆が逃げるまでひたすら走り回って逃げる役目とか、集落での物騒な騒ぎの鎮圧とかの事か。

いや、これは仕事というより役目だったと言える。

金はもらえていなかったし。

時々小遣い稼ぎに舞い込んでくる頼み事をこなしていた。

何でも屋、そう呼ばれていたこともあったような。

しかし、仕事とはいえるようなものではなかった。

しばらく考えるような仕草をして、ユウは満面の笑みを浮かべて言った。

 

「……無職ですが……何か?」

 

「ぶはっ!いいねぇ、その開き直り!そりゃ今の時代、ろくに仕事なんかねぇもんな!」

 

タツミはユウの反応に少し驚くと、すぐに楽しそうに笑ってユウの肩をバシバシと叩いた。

 

「フェンリルの工場だって、たまに求人すりゃとんでもねぇ倍率だ。配給ときどき逃亡って生活、当たり前になっちまったもんなァ……」

 

「いや、僕は外部居住区出身じゃないので、就職先なんてあって無いようなものでしたよ。配給なんてなかったので、ここに来てビックリしました。うん、配給ときどき逃亡って言うより、逃亡ときどき収入って感じでしたね」

 

「……おお、すげぇなそれ」

 

ちょっと引かれた。

 

ーーーー

 

ユウはサクヤ、ソーマ、コウタの3人とともに本日の仕事場である贖罪の街で待機していた。

待機時間、ソーマは自身の神機の調子をチェックしており、サクヤとコウタも持ってきていたバレットの確認を行っている。

ユウもブレードの具合を確かめる。

神機のコンディションは良好のようだ。

さすがはリッカ率いる整備士達と言ったところか。

そこへ、待ち人であるリンドウがやって来た。

今回の任務はリンドウ以外でこなすのだが、一応第一部隊リーダーであるため、細かな指示を出すために来たのである。

 

「あー本日も仕事日和だ。無事生きて帰ってくるように。以上」

 

「え?それだけ?」

 

思った以上に短い指示に、コウタは目を丸くした。

流石に短すぎやしないだろうか。

 

「いちいちツッコんでると身が持たないわよ」

 

「くだらん……」

 

リンドウとの付き合いが長い2人は、適当にあしらっている。

毎度のことなのか、リンドウは苦笑いを浮かべた。

 

「一人を除いて、心が一つになっているようで、何よりだ」

 

チラッとリンドウがユウの方を見る。

その一声で、ユウに視線が全員の集まった。

 

「……えっ!?僕ですか!?……えー……」

 

「ハハッ……冗談だ。そんな悲しい顔すんな」

 

ユウは驚いて目を丸くすると、不満の声を上げた。

それを見て、リンドウは肩をすくめて笑ってみせる。

 

「このメンツでは初の4人任務だが、まあ、いつも通りやれってことで」

 

「あれ?そういえばリンドウさんは?」

 

「俺はこのあとちょいとお忍びのデートに誘われているんでな、今から働くのはお前らだけ……っと」

 

リンドウの言葉を遮るように、通信機がなった。

それを取り出して要件を確認した瞬間、リンドウの顔が一瞬険しくなる。

 

(……?)

 

何が問題でもあったのだろうか。

ユウは聞こうとしたが、リンドウの表情はいつもの通りの飄々としたものである。

 

「早く来ないと、すねて帰っちまうとさ……ったく、せっかちなヤツだ。俺はそろそろ行く。命令はいつも通り、死ぬな、必ず、生きて戻れ、だ」

 

声音もいつも通りである。

僕の勘違いかな、とユウは思ったが、ふと横を見ると、サクヤとソーマの表情が少しばかり曇っていることに気がついた。

 

「自分で出した命令だ……せいぜいアンタも守るんだな……」

 

「リンドウもあんまり遅くならないように……ね」

 

ユウとコウタがいた事もあり、あくまでもいつもの様に、ソーマは素っ気なく、サクヤは明るく振舞っていた。

リンドウも少し肩をすくめ、片手を上げることで二人に応じ、来た道を戻っていった。

その背中が見えなくなった頃、サクヤが軽く息を吐き出して指揮をとった。

 

「さぁ、行きましょ!」

 

ーーーー

 

任務を終らせアナグラに戻ってきた4人を出迎えたのは、リンドウだった。

どうも、早く終わったらしい。

 

「先に帰ってたのね、お疲れ様」

 

「ああ、何とか早めに切り上げられた。そっちはどうだった?」

 

リンドウは少し肩をすくめると、こちらの任務の状態について問うた。

 

「ご命令に従って、「いつも通り」だ」

 

「そうね、任務は滞りないし、人も欠けてないわ」

 

「おれたち4人の華麗な連係プレイを見せたかったよ!」

 

それに、ソーマ、サクヤ、コウタの順に答える。

ユウはニコニコと笑顔を浮かべて見せた。

 

「お前そんなに役立ってたか?」

 

「なっ!!?」

 

ソーマの容赦ない一言が、コウタを襲った。

コウタの反応を見て、ユウは思わず吹きだし、声を殺しながらだが肩を揺らして笑った。

そんなユウの様子を見て、リンドウとサクヤは少し呆れたように笑った。

ソーマは相変わらず我関せず、と言うかのように無視を決め込んでいる。

 

「そうか、これならこっちももう少し、デートの回数を増やしてもよさそうだな」

 

リンドウがそう言うと、すかさずコウタが噛み付いた。

しかし、リンドウはそれをあっさりと受け流す。

 

「まず俺に女の子を紹介するのが先じゃないッすかね?」

 

「……ふっ、お前の手には負えないと思うぞ?」

 

その言葉に、ユウは少し首をかしげた。

手に負えない、とはどういう意味なのだろう。

コウタは多分、デートの意味を一般的な意味で捉えているのだろう。

だが、もしそのデートの意味が、一般論で無かったなら。

デートの相手が人間ではないのならば。

ソーマとサクヤが微かに浮かべた心配の表情の意味は。

その考えを裏付けるかのように、アナグラ内に放送が鳴り響き始める。

 

『業務連絡。本日第七部隊がウロヴォロスのコアの剥離に成功、技術部員は第五開発室に集合してください。繰り返します。ウロヴォロスのコアの剥離に成功、技術部員は第五開発室に集合してください』

 

第七部隊。

ノルンに登録されていた部隊の中に、第七部隊というものは存在していなかった。

 

「ウロヴォロス!!どこのチームが仕留めたんだ?」

 

「しかもコア剥離成功かよ……ボーナスすげえんだろな」

 

「おい、おごってもらおうぜ」

 

「やめときなさいよ、みっともない」

 

エントランスにいた数名のヒソヒソ話が聞こえる。

何処のチーム。

誰のチームとは言わなかった。

それは、誰が所属しているのかわからないからではないか。

ここまで考えて、ユウは考えるのを止めた。

情報が少ない中、何を考えようが真実にたどり着くことは無いため、無駄であるということを、これまでの経験で学んでいる。

そこで、気持ちを切り替えるためにユウは放送で流れたウロヴォロスについて、ターミナルに記されていた内容を思い出す。

確か、山のように巨大な体躯のアラガミだったはずだ。

 

「ウロヴォロスかぁ。凄いなぁ」

 

素直な感想を漏らしたユウに、コウタがキョトンとしながら問いかける。

 

「ウロヴォロス……って何?強いの?」

 

「コウタ……」

 

「ターミナルを調べりゃ出てくる。たまには自分で調べろ」

 

「そうね……わたしたち4人じゃ、まだ無理じゃないかな……」

 

ユウが少し呆れ顔を浮かべながら突っ込む前に、ソーマがコウタを戒め、その様子にサクヤが苦笑いを浮かべた。

 

「マジでええええ!?このメンツでも?」

 

「1人2人は死人が出るだろ」

 

コウタが大きくリアクションをとると、ソーマは的確な指摘をした。

そして、リンドウがはは、と笑う。

 

「まあアレだ、生き延びてればそのうち倒せるだろ……今は余計なことは考えず、とにかく死なないことだけを考えろ」

 

「その台詞、いい加減聞き飽きたぜ」

 

リンドウの言葉に、ソーマが食いついた。

両者の鋭い視線が絡む。

 

「……ああ、特にお前には何度でも言っとくわ。ほっとくと一人で死にに行っちまうような奴にはな」

 

「チッ……黙れ……」

 

堪らず、ソーマがリンドウから視線をそらして俯いた。

 

「へいへい。さ、俺は次のデートに備えて精のつくものでも食ってくるかな」

 

バリバリと頭を掻きながらリンドウは立ち上がり、食堂へ向かって歩いて行った。

ソーマは顔をあげず、サクヤの顔は心配と寂しさを孕んだような表情を浮かべている。

そんな3人の関係を感じ取ったのか、コウタは少し困ったような、心配しているような、そんな複雑な表情を浮かべていた。




遅くなりました。
なんだろう、サブタイトル考えるの大変だぞ?
リンドウさんのデートを早くも察し始めたユウは、やっぱり鋭いとしか言いようがない。
まあ、レイの兄貴なのだから、ある程度鋭くないと困るといえば困るんですがね。
破壊力は弟以上という、優しいお兄ちゃんです。
感想、お待ちしています。
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