Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~ 作:cibetkato
リング争奪戦 プロローグ
大空は全てに染まり、その大きな包容力で全てを包み込む。
ボンゴレ10代目候補の5人のうち3人は死亡。残る2人のうち9代目が指名したのは最年少のジャッポーネ、門外顧問の一人息子・沢田綱吉。
そのハズだった。が、リボーンの知らない所で何かが動き始めていた。
「・・・これはどういうことだ?」
チェデフからの極秘通達。二つに分けられたというボンゴレリング。その片方が後日ツナに届けられる。
「9代目がリングを与えたのはXANXUS・・・ありえねぇ。9代目はツナを推していた。・・・いきなり心変わりなんて」
動揺して呟くリボーンだが階段を駆け上がる足音にハッとして心を静めた。
ツナは最近読心術を使わない。が、リボーンの様子がおかしいと思えば心を読んでくるだろう。そうすればXANXUSとボンゴレリングのことが知られてしまう。
今はこの情報は伏せた方が良い。骸達との一件が片付き、ツナは2年に進級したばかり。しばらくは学校での生活を楽しむのだと言っていたのに、余計な情報を耳に入れるつもりはなかった。
「・・・ふ、俺も随分と甘くなったもんだな」
「何が?」
いつの間にか部屋にやって来ていたツナに視線をやり、リボーンは肩を竦めた。
「いや、フルパワーを長時間使うにはまだまだ体力が足りてねーからな。ねっちょり修行をつけてやろうと思ったんだが」
「ねっちょりって・・・まだ、フツーに学校での生活を楽しみたいんだけど」
心底嫌そうに表情を歪めたツナに、リボーンはふ、と笑う。
「だから、言ってんだろ?・・・俺も随分甘くなったって」
「じゃあ!」
「ああ、もうしばらくは免除してやる。ゆっくり休むといい。その代わり修行に入ったらわかってるな?」
「ハイハイ。わかってますって・・・よし!今のうち、いっぱい遊ぶぞ~!!」
ガッツポーズを決めるツナに、リボーンは複雑な表情をうかべ、それを悟られないように顔を伏せた。
(今だけだ。・・・奴らが動き出したら否応なしに戦わなきゃならねぇんだからな)
***
その夜ツナは夢を見ていた。
何ごとかを吠え9代目に氷漬けにされるXANXUS。コールドスリープのように肉体の時間を止めたままツナを呼び続ける。
そしてついにその氷が7色の炎によって融かされる。
(もうすぐだ・・・必ずお前の所に行く。だから・・・待っていろ、ツナ)
「っ!!!」
ガバッとベッドの上で飛び起きたツナは、呆然として胸を押さえた。
「・・・XANXUS・・・?」
ポツリと呟いてチラリ、とハンモックの上で寝ているだろうリボーンの方を確認する。
「・・・寝てる・・・よな?」
ホッと息をつき、ツナはベッドから降りて部屋を出て行く。
その気配が下に降りて行くのを確認したリボーンはむくりと起きあがる。
「ツナ・・・お前の超直感が・・・XANXUSの動きを感知しているのか?」
一方。
一階に降りてきたツナはコップに水を注いで一気にあおると、深い溜息をついた。
「XANXUS・・・一体、何があったのさ」
眉根を寄せてツナは呟く。
ただの夢にしてはリアリティがありすぎた。それに超直感がこの夢が事実なのだと訴えていた。
「XANXUSに何かがあって9代目と仲違いしたのはわかってた。父さんの心を読めば一発だし。でもその事情までは読めなかった。・・・どうして9代目とXANXUSが」
中途半端に知ってしまったら、余計知りたくなるではないか。
「・・・超直感って、本当に厄介で使えないなぁ・・・」
もどかしさでどうにかなってしまいそうだとツナは思う。
「でも、もうすぐなんだよな。・・・もうすぐXANXUSが会いに来る」
その時XANXUSはツナに何を望むのか。直接そんな話をしたことはない。けれどXANXUSはツナと出会った当初から本気で闘うことを望んでいた。
だからきっと。
「・・・闘うんだよね」
ツナは本来争いごとを好まない性格だ。進んで力を振るおうとは思わない。ただ降りかかった火の粉は払う。
「・・・まぁ、火の粉レベルじゃないんだろうけどね」
ツナは苦笑をうかべる。
XANXUSの実力は見なくてもわかっていた。あれだけの猛者の中でも一目置かれていたXANXUS。あの後ヴァリアーのボスになったという話も聞いた。
今のまま自分の力を持て余しているようでは、XANXUSには勝てない。
「幻滅されたくないしなぁ。それに、俺はボンゴレ10代目にならなきゃいけない」
骸達にマフィアの闇を暴いて全てを清算すると言った手前、たとえ、XANXUSであろうと負けるわけにはいかないのだ。
「遊んでられないかぁ・・・残念。せっかくリボーンがしばらく休めって言ってくれたのになぁ・・・」
苦笑い、ツナは視線を落とした。
「会えば・・・全部わかるよな?XANXUS・・・」