Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~   作:cibetkato

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リング争奪戦 2

 獄寺と山本の怪我は大したことはないようだった。骸達にやられて以来、自主的に身体を鍛えていたらしい。

 

「・・・10代目・・・あの・・・また、お役に立てなかったどころか、足を引っ張る結果になってしまって」

 

 今にも土下座しだしそうな獄寺に視線を合わせ、ツナは苦笑する。

 

「しょうがないんじゃない?だって、あっちはボンゴレ最強の暗殺部隊の・・・ボス候補だった人だし」

 

「へー・・・なんか、すげー相手だったんだな・・・」

 

 明るい調子でそう言った山本の目は笑っていない。一方的にやられたことが相当堪えているらしい。

 

「・・・獄寺君、山本・・・これから、骸の時より危険なことに巻き込むかもしれない。・・・それでも、一緒にいてくれる?」

 

 ツナは超直感で2人の答えがわかっていた。しかし、わかっていても、自分で言葉に出してもらいたいと思ったのだ。

 

「もちろんっス!10代目!俺は、10代目の右腕っスから!!」

 

「あたり前だろ、ツナ!俺達は親友じゃねぇか」

 

「ってめ、親友だなんて馴れ馴れしいんだよ!!」

 

「獄寺だって、右腕右腕って連呼しすぎなのなー?」

 

 言い合う2人に、ツナは苦笑をうかべた。どんな時でも変わらないこの2人にどれだけ救われているか。

 

「・・・ありがと」

 

 ふ、と笑った顔に獄寺と山本が一気に顔を真っ赤にさせて固まった。

 

「?・・・2人とも、顔赤いよ?ダイジョブ?」

 

 顔を覗き込むように近付けたツナにギョッとして、獄寺と山本が腰を抜かして、その場にへたり込んでしまう。

 

「ったく、まだまだ修行が足りねーな・・・テメェら、それぞれ家庭教師探しておいてやったから、自分で頼みに行って鍛えてもらってこい!」

 

 不機嫌そうなリボーンに紙きれを渡され、腰を蹴飛ばされた2人はその殺気に慌てて立ちあがって、ダッシュで病院を出て行く。

 

「・・・だ、大丈夫かな」

 

「・・・大丈夫だろ。奴らは丈夫にできてるからな。それよりもツナ、とうとうダメツナをカヴァーするのを止めやがったな」

 

「うん、まーね」

 

 リボーンに苦笑して見せ、ツナは続ける。

 

「XANXUSが出て来るなら・・・こっちも本気を出さなきゃね」

 

「・・・心配無用だったか」

 

 ポツリと言ったリボーンに、ツナは目を見開き、それから、フッと笑った。

 

「なぁんだ、心配してくれてたんだ。先生?」

 

「まぁな。ツナはXANXUSを気にしてたみてーだし、今回の件はギリギリまで伏せておこうと思ったんだが」

 

「・・・約束、なんだよ」

 

「約束?」

 

 リボーンが首を傾げる。

 

「そう、約束。・・・ちゃんとした約束じゃないけど、これは俺とXANXUSとの約束。・・・さてと。ディーノさん、本物のハーフボンゴレリング、頂戴?」

 

 話についていけてなかったディーノが目を白黒させているのを見て、ツナはスッと手を差し出した。

 

「え、あ、ああ。・・・って、なんで、俺が持ってるって」

 

「ん?ああ、超直感」

 

 あっさりと答えたツナは、ディーノからハーフボンゴレリングの箱を受け取って蓋を開け、はぁ、と溜息をついた。

 

「大空だけ、ね。・・・後は父さんが配ったか、これから配るのかな?」

 

「!?・・・ツナ・・・お前、どこまで」

 

 ディーノが呆然と訊ねてきて、ツナは肩を竦めた。

 

「うん、さっきスクアーロにも言ったけど、ほとんど全部知ってるよ」

 

 初めてディーノに会った時は、絶賛カヴァー中だったため、まるきり別人のように見えているだろう。

 

 それを説明すれば、ディーノはやれやれと肩を竦め、首を振った。

 

「すっかり、騙されちまったなぁ・・・はは」

 

「ふ、ディーノもまだまだだな。俺はすぐにわかったぞ」

 

「あのなぁ、リボーン・・・俺はお前みたいに読心術とか使えねーの!!」

 

 リボーンの言葉にムッとするディーノだが、やはり、ツナの方が気になるのか、ツナの方に視線を向ける。

 

「・・・で、XANXUSとはどんな関係なんだ?」

 

「うーんと、昔、父さんにボンゴレのパーティーに連れて行ってもらったんだよね、たしか5歳くらいだったと思うけど。そこでXANXUSに会って、意気投合したんだぁ」

 

「・・・ざ、XANXUSと意気投合って」

 

「・・・俺も初めて聞いたぞ、それ」

 

 呻くディーノと、初耳だと顔を顰めるリボーン。

 

「うん、だって言ってないし。・・・その時にXANXUSの心を読んでしまって、俺と闘いたいってそう思ってることがわかって・・・で、また遊んでくれるって約束してもらって」

 

「遊ぶ=闘うなのか、お前の中のXANXUSの認識は・・・;」

 

 呆れた様子のリボーンに、ツナは肩を竦める。

 

「だってそうだったんだもん。XANXUSの心の中は。・・・10代目の座を争って、闘う。どっちが勝っても悔いはないって、そう思ってたんだよXANXUSは」

 

「あのXANXUSが・・・」

 

 リボーンは目を丸くした。どう考えてもその様子が思いうかばないのだ。

 

 ツナがそれだけXANXUSに気を許されていて、ツナもXANXUSに気を許していたのだとわかって、むくりと頭をもたげた嫉妬心にギクリと身体を強張らせた。

 

「リボーン???」

 

「いや・・・なんでもねぇ。それより、1週間後と指定したのはどうしてだ?」

 

 キョトンとするツナに首を振り、リボーンは話題を変える。

 

「それ以上は向こうも待てないだろうし、1週間より短いとこっちが足りない。・・・ギリギリのラインだよ」

 

「・・・なるほどな」

 

「それに」

 

「それに?」

 

 ディーノが先を促すので、ツナはほんの少し頬を赤らめてはにかみながら答えた。

 

「俺も、XANXUSに早く会いたいから」

 

「「・・・」」

 

 その、恥じらった表情があまりにも可愛らしくて、リボーンとディーノは思わず黙り込んでしまう。

 

「・・・うっ・・・」

 

「あ、バジル君、気付いたみたいだ」

 

「・・・あ、ああ」

 

 ツナがパッと身を翻し、ベッドの上で呻き声をあげたバジルに近寄る。

 

「バジル君、大丈夫?」

 

 ふ、と目を開けたバジルは、こくりと頷いて、それから眉根を寄せた。

 

「・・・あのリングは・・・偽物、だったのですね」

 

「すまねぇ、バジル。本物は俺が持ってたんだ」

 

「いえ・・・親方様がお決めになったことなら、それに従うまでです」

 

「チェデフか・・・。しっかりと教育されてるな」

 

 ロマーリオが耳元で呟けば、ディーノは小さく頷く。

 

「それで・・・親方様も、日本に?」

 

「ああ。一緒に来たんだが・・・あの人は寄る所があるって言ってな」

 

 バジルの問いに答え、ディーノはツナに視線を向けた。

 

「で、ツナ。獄寺と山本が守護者だということは決定なんだろうってわかってる。が、他の守護者が誰か、わかってるのか?」

 

「・・・リボーンが、ファミリーだって言ってたメンバーがそのまま守護者になってるとしたら、残りは雲雀さんとおにいさ・・・あ、了平さんと、あと・・・ランボとかかな?」

 

「もう1人足りねーな」

 

 呟いたリボーンに、ツナは苦笑をうかべた。

 

「残りの1人は、誰だろうね?・・・父さんが帰ってきたら、無理矢理吐かせるかな?」

 

「ツナ・・・手加減はしてやれよ・・・?」

 

「いやいや・・・止めろよ、リボーン」

 

「嫌だぞ。俺だって、自分の身が一番カワイイ」

 

 リボーンにそんなこと言わせるなんてどんだけだ。とディーノは弟弟子(?)に、ほんのちょっぴり恐怖を抱いたのだった。

 

「あ、あの・・・沢田殿・・・」

 

「うん。ごめんね?勝手に話を進めちゃって。チェデフの仕事なのにね」

 

「・・・あ、いえ・・・」

 

「でもね、今回に限ってはチェデフは動き難いと思うよ。XANXUSがいろんな妨害工作してるからね。・・・ああ見えてXANXUSは狡猾なんだ」

 

 ツナが言えば、バジルは目を丸くする。

 

「は、はあ・・・。沢田殿・・・あの・・・どうして?」

 

「うん?・・・ああ、俺も読心術使えるんだ。しかも超直感と連動すると、リボーンのより精度が良いらしいよ?」

 

 ニコニコと答えるツナに、バジルはパシパシと瞬きを繰り返す。

 

「・・・そ、そうなの、ですか」

 

「うん。・・・それでね、スクアーロの深層心理を読んじゃった。あは」

 

 軽い調子で言うが、それは笑いごとではない。

 

「ちょ・・・じゃあ、マジで、XANXUSが妨害工作を?というか、深層心理を読まれたなんてあっちに知られたら、お前、危ないんじゃ・・・」

 

「ま、大丈夫でしょ。XANXUSも俺が読心術使えるの知ってるもん。きっと、スクアーロがXANXUSに報告するだろうし、もう、ある程度読まれてるっていうのは前提にして来ると思うよ。だから言ったんだ“準備を整えて”って。こっちだけ読んじゃうんじゃ、面白くないしね」

 

 ディーノに答えたツナは、そう言って口元に笑みを張り付ける。

 

 まだ、何かを隠しているようなその仕草に、リボーンは心の中を読もうとするが、ブロックされているようで靄がかかって読みとれなかった。

 

 リボーンの表情が曇ったのを見て、ディーノは話を打ち切る言葉を口にした。

 

「ツナ・・・わかった。なら、俺達に出来ることがあったら言ってくれ。いくらでも協力するぜ」

 

「ありがとう、ディーノさん」

 

 ニッコリと笑ったツナに、一抹の不安を覚えて、リボーンはボルサリーノのツバを引いて、表情を隠した。

 

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