Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~   作:cibetkato

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リング争奪戦 3

「う゛お゛ぉい!今、帰ったぜぇ!!」

 

「ウルセェ!!カス鮫!!」

 

 部屋に入るなりいきなりワイングラスが飛んできて、スクアーロは慌ててそれを避ける。

 

「何しやがる!!」

 

「ウルセェって言ってんのがわかんねぇのか?・・・カッ消すぞ!!」

 

 本物の怒気と殺気に、スクアーロは思わず息を呑む。

 

「っ・・・おら、土産だぜ、ボス」

 

 渡したのは、ハーフボンゴレリングの入った箱。

 

「・・・おい、カス」

 

「フェイク、なんだろ?本物は持ってなかったみたいだぜェ?・・・それは、“沢田綱吉”が偽物だからやると寄越してきた。

 それから、ボスに伝言だぁ。『沢田綱吉は、正式に、ボンゴレ次期ボス・・・10代目候補として、独立暗殺部隊ヴァリアーボスにして、9代目の息子であるXANXUSに互いのハーフボンゴレリングをかけたリング争奪戦を申し込む』だとよ!」

 

「・・・」

 

 ギョロリと睨まれ、スクアーロはその怒りが己に向けられるだろうことを察して、次に来るだろう衝撃に備えた。が、いつまでたってもそれは訪れない。不思議に思って視線を向けると、唐突に、XANXUSが口の端をあげた。

 

「・・・ぶは!くっくっくっ・・・」

 

 心底楽しそうに笑うXANXUSに、幹部達全員が仰天した。

 

「ボスが笑うなんて・・・」

 

「いつぶり?」

 

「・・・8年前にあったかなかったかぐらいだ」

 

「・・・どうやら、あっちも“約束”は覚えていたらしいな。あの時はまだ5歳だったから、覚えてねぇと思っていたが・・・」

 

「う゛お゛ぉい!・・・ボス、あのジャッポーネのガキと知り合いなのかぁ?・・・あっちも随分とあんたのことをわかってるような発言をしてたぜぇ!?」

 

「面識はある。・・・だが、最近の事情は知らねぇハズだ。おそらくテメェの心を読んだんだろう。奴は読心術を使える。そのうえ、超直感も歴代ん中じゃ初代に匹敵する程の精度だそうだ」

 

「じゃあ、今回の計画も!!?」

 

「・・・おそらく、大まかな部分は読まれてんだろ。他にアイツは何か言ってなかったか?」

 

「あ、ああ・・・『1週間後、ちゃんと“準備を整えて”並盛においで。それまでに“完璧に仕上げて”こちらも待ってるから』とか言っていたな」

 

「はっ!なるほど。“準備を整えて”か。これは、前よりも精度が上がってやがると見ていいな」

 

 楽しげにそう呟いて、XANXUSは立ちあがった。

 

「計画はそのまま続行だ。ただし、もう一つ二つ仕掛けはしておく。・・・その後、日本に向けて出発する」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

 声を揃えた幹部達を一瞥し、XANXUSは自室へと戻っていく。それを見送ったスクアーロが困惑したように呟く。

 

「・・・一体、ボスとあのガキは・・・どういうことになってやがるんだ?」

 

 もちろん、誰もその問いに答えることはできない。

 

 一方、自室に戻ったXANXUSは、口元を歪めて己の指に嵌めているハーフボンゴレリングを見つめる。

 

「・・・ツナ・・・ようやく会える。ようやく、闘える・・・!」

 

 狂気の宿ったその紅い瞳に、早く成長したツナを映したいと願いながら、XANXUSは己の武器の手入れを始めた。

 

 

 

 ***

 

 

 

 スクアーロの一件から一夜明けて、ツナは早速学校に行く前に家光を絞めあげることにした。

 

「ねえ、父さん。積もり積もった鬱憤晴らしという名の話し合いをしたいんだけど」

 

 突如、愛息子にそんなことを言われた家光はギョッとして目を丸くした。

 

「・・・つ、ツナ?」

 

「うん。母さんには聞かせられないもんね?わかってるよ~、母さんは知らないんだよね?

 父さんの仕事とか俺がどんなことに巻き込まれてるのかとか。・・・というか2年間イタリアで何してたのかな?」

 

「つ、つつつつつ、ツナ???」

 

「あはは、ヤダなぁ。そんなに“つ”は多くないってば。・・・というか、チェデフダメじゃん。何のための外部機関だと思ってんの?こういう時、一番最初に気付くべきでしょ?

 本国にいる部下に調べさせなよ。まったく、こんなちゃらんぽらんなのをトップに据えるから、こうなるんだよ。すっかりXANXUSにしてやられちゃってるじゃん。情けない」

 

「~~~っ!?りぼぉおおおおおんッッ!?お前、俺の愛する息子に何教え込みやがったぁああああッッ!!?」

 

「うるせェぞ!!家光!・・・俺じゃねェ!!!元々だぞ!・・・って、聞こえてねェみてェだな」

 

 朝っぱらから悲痛な叫び声をあげた家光は、凄まじい勢いで繰り出されたリボーンの跳び蹴りによって、地に沈められたのだった。

 

 そんな家光を見やって、ツナは溜息をつく。

 

「手加減してよリボーン・・・これじゃ、父さんに守護者のこと聞けないじゃん」

 

「・・・ふ。俺がこうしてなかったら、家光はしばらく再起不能だったぞ?というか、自分で探せ。ツナならできんだろ」

 

「・・・あのねぇ・・・超直感は万能じゃないの!まったく、予定が狂っちゃったじゃないか」

 

 ツナはブツブツと言いながら、学校へ行く準備をする。

 

「あ、そうだ。バジル君の様子も見に行かなきゃ。・・・じゃ、行ってきまーす!!」

 

 そう言って、いつもより早めに家を出たツナを見送り、リボーンは地面に伏している家光を見る。

 

「・・・いつまでそうしてんだ、家光」

 

「・・・友よ・・・俺、しばらく立ち直れない」

 

 地面に突っ伏したままそう呟いた家光に、リボーンは溜息をついた。

 

「・・・しかたねぇだろ、そういう“血”なんだ」

 

「でも、せっかく、今まで極力関わらせないようにしてきたのに!!」

 

 ガバっと起きあがってさめざめと泣く家光をうっとうしそうに見やり、リボーンは肩を竦める。

 

「・・・そうでもねーみてぇだぞ」

 

「あ?」

 

「幼い時に真っ黒な服の連中に襲われたりしたことが多々あって、その時に死炎を使えるようになったらしくてな。自分で撃退してたらしいぞ」

 

 リボーンのその言葉に絶句し、家光はくらくらとする頭を押さえた。

 

「“ブラッド・オブ・ボンゴレ”か・・・隔世遺伝というのはより濃く出ると言うが・・・ここまでとは」

 

「・・・ふ、まぁ、教えがいのある生徒ではあるぞ」

 

「お前に褒められて、嬉しいんだか悲しいんだか・・・そうか、ツナはずっと前から・・・」

 

 遠い目をした家光は、これから否応なしに巻き込まれていくツナの運命を案じたのだった。

 

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