Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~ 作:cibetkato
一方病院へとついたツナは、見知った顔が揃って入り口の前に立っていたことに目を瞠る。
「獄寺君、山本・・・おはよ」
「おっす、ツナ」
「おはようございます!10代目!」
「2人ともどうしたの?」
「いえ。今朝起きたらこんなのが郵便受けに入ってまして。跳ね馬ならなんか知ってんじゃねーかと」
「そうそう、俺もそうなのな。ほら」
そう言って2人が取り出したのは、まぎれもなく本物のハーフボンゴレリングだった。
「獄寺君が嵐で山本が雨か・・・うん、2人の性質にあってるかもね」
ニコリと笑ったツナに、獄寺も山本も顔が熱くなるのを自覚する。
「じゅ、10代目・・・マジでお美しいっス」
「やっぱ、ツナはそうやって笑ってんのが、一番なのなー」
「ん?・・・うん、ありがとう?」
意味がいまいちわからない様子のツナだが、獄寺や山本の好意は感じているので素直に礼を言う。
「あ、それでね、このリングなんだけどハーフボンゴレリングっていって・・・」
ツナがリングについて説明をすると、獄寺も山本もしげしげと自分に与えられたリングを眺める。
「・・・嵐は“荒々しく吹き荒れる疾風”常に攻撃の核となり、休むことのない怒濤の“嵐”となること。・・・雨は“全てを洗い流す恵みの村雨”戦いを清算し、流れた血を洗い流す鎮魂歌(レクイエム)の雨となること。それが役割なんだって」
「へぇ、イイっスね!・・・常に攻撃の核となり、休むことのない怒涛の嵐・・・その名に恥じない働きを今度こそしてみせます!!」
「戦いを清算し、流れた血を洗い流す鎮魂歌・・・それが、俺の役目になるなら次は、負けられねーのな」
2人の決意を聞かされて、ツナは苦笑をうかべた。
「うん。そうだね・・・俺も頑張らなくちゃ。すぐにバテちゃうようじゃ、大空・・・全てに染まり全てを包み込む存在になんてなれないもんね」
「10代目のは大空なんっスね。ぴったりっスよ!」
「ああ、ツナっぽいのな!」
「てめっ、山本!ツナっぽいとは何だ、ツナっぽいっとは!!10代目に失礼だろうが!!」
「あはは!獄寺は細かいのなー」
「・・・や~ま~も~とぉぉおおおおおッ!!」
半ギレ状態の獄寺に山本は明るく笑う。根が真面目ゆえの反応だとわかっているからなのだろう。長く付き合っているわけではないが、いいコンビだとツナは思う。
今までの戦いが2人の距離を縮めてくれている。きっと、この2人はツナの守護者の双璧となるに違いない。そんな確信めいたものを感じながらツナは2人の腕を掴んだ。
「俺はバジル君の様子を見に来たんだ。・・・2人とも、付き合ってよ」
「は、はい!10代目の行く所なら、どこへでも!!」
「おう。良いぜ♪」
どこまでも対照的な2人に苦笑をうかべ、ツナはバジルの病室へと向かった。
「バジル君~、調子はどう?」
ガラッと開けると、そこには既にベッドから起き上がって服に着替えているバジルがいた。
「・・・ああ、沢田殿。おはようございます」
「おはよう、バジル君。・・・もう、イイの?」
「はい。いつまでも休んではいられませんから」
「・・・そっか。父さんなら家にいると思うよ」
笑顔で家光の所在を教えたツナに、バジルは笑みをうかべて頷いた。
「ありがとうございます、沢田殿。・・・今後のことについて少し、親方様と相談するつもりです」
「そっか・・・気をつけてね?猶予が1週間あるとはいえ、先走らないとも限らないし」
ツナが言えば、バジルは表情を引き締めた。
「・・・はい、充分に承知しています。沢田殿達もお気を付け下さい」
「うん。ありがと。・・・じゃあバジル君の元気な姿も見たし、学校に行こうか?」
くるりと振り返れば、2人が同時に頷く。ツナは2人を促して病室を出た。
「・・・先に言っておくね?チェデフは有事の際以外は外部機関。だから今は、絶対的な味方だとは思わない方がいい」
バジルに聞こえないように注意しての言葉に、獄寺は意味を解して眉を顰めた。
「・・・チェデフは10代目を次代にと推しています。それでもですか?」
「・・・あくまでリング争奪戦になったら中立の立場になるはずだからね」
「リング争奪戦って・・・どんなことやるんだ?」
いまいち状況を理解できていない山本が尋ねれば、ツナは笑みをうかべる。
「2人が今持っているリングは“ハーフボンゴレリング”つまり半分なんだ。そして、相手も同じリングを持っている。・・・つまり、互いにそれを賭けてガチンコ勝負をするってわけ」
「へぇ~。なるほどな!・・・じゃあ、ますます負けられねぇわけだ」
すぅ、と目を細める山本に、獄寺が目を瞠った。
マフィア関係者である己ならともかく、一般人である山本が完全に理解しているわけでもないのに、元々のあっけらかんとしたその質からかあっさりと受け入れてしまっているのだ。驚くなという方が無理だろう。
「頼りにしてるよ、山本。・・・もちろん、獄寺君もね」
そう言ったツナに、獄寺も山本も嬉しそうに笑んで頷いた。
「任せて下さい、10代目!」
「おう!・・・絶対に勝とうな、ツナ!」
「うん、そうだね」