Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~   作:cibetkato

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リング争奪戦 10

 約束の一週間が経った。邂逅の時が来る。

 

「ツナ君!」

 

「京子ちゃん?それに、ハルも・・・どうしたの?」

 

「ランボちゃん達を見なかったですか?公園で遊んでたんですが、目を離したすきにはぐれてしまって・・・」

 

「お家に帰ってたり、してない?」

 

 矢継ぎ早に言う京子達に、ツナは心配無用と告げて、リボーンと共にランボ達を探し始める。

 

「やべぇな・・・ツナ、早くランボ達を探すぞ」

 

「・・・うん。ちょっと、マズイことになってるかも、ね」

 

 超直感は急げと告げている。ただ、XANXUSがそこまで命じるかと問われれば、首を傾げる。

 

「でも、命まではとらないはずだよ。虐殺が目的じゃない、闘うつもりで来てるんだ」

 

「それは、お前限定だろ?」

 

 リボーンの言葉に、ツナは首を振る。

 

「・・・だから、俺は宣言したんだよ。リング争奪戦を申し込むって」

 

「ああ、なるほどな。・・・リング争奪戦と言っておけば、守護者を勝手に抹殺は出来ねーわけか」

 

「そういうこと」

 

 ニコ、と笑うとツナは己の直感に随って、走る速度をあげる。

 

「リボーン、俺の肩に乗って。・・・グローブ使った方が早い」

 

 その言葉に頷き、リボーンはツナの肩に乗る。それと同時に超加速し、ランボ達のもとへと急ぐ。

 

「ぐぴゃぁああああ!!?」

 

「うわぁあッ!?」

 

「ううッ!」

 

 曲がり角の先に、ランボ達の声が響く。

 

「見つけた!」

 

 ツナは呟いて、その場に出る。

 

「ランボ!イーピン!フゥ太!!」

 

「ツナ兄ぃ!!」

 

 ガバッとフゥ太が飛びついてくる。後ろにはランボがいて、イーピンは闘っていたのか、あちこちが傷だらけだった。

 

「イーピン・・・皆を守ってくれてたんだ・・・ありがと」

 

 そう言えば、イーピンはニコリと笑って頷いた。

 

 ホッとしたのも束の間、凄まじい雷撃が襲いかかる。バックステップで直撃を避け、ツナは上を見上げる。

 

「・・・レヴィ・ア・タン」

 

 そこにいたのはヴァリアーの幹部であるレヴィだった。『レヴィ雷撃隊』の隊長であり、恐らくXANXUS側の雷の守護者だろうとツナはふむ。

 

「・・・女子供とて、容赦はせぬ」

 

 ボソリ、と呟いてレヴィが電気傘を構える。

 

「レヴィの暴走か」

 

 ツナは断じて、スゥ、と目を細めた。

 

「・・・部下の教育がなってないね」

 

 フッ、とツナの姿が消え、次の瞬間、レヴィの腹部にツナの拳が入っていた。

 

「おふッ!?」

 

 がくりと膝をつくレヴィ。

 

「10代目!下がってください!!」

 

 聞き慣れた声にツナはレヴィから離れる。その直後、爆音が轟く。

 

「・・・10代目!ご無事ですか!?」

 

「ツナ!大丈夫か??」

 

「沢田!まにあったみたいだな!!」

 

「獄寺君、山本、了平さん!・・・俺は大丈夫だよ!」

 

 ツナはニコリと笑む。そして、地面が焼け焦げている場所に視線を向け、レヴィの姿がないことを確認する。

 

 そして、ゆっくりと顔を上へあげる。

 

「―ッ・・・ヴァリアー・・・」

 

 そこにはヴァリアーの幹部が全員揃っていた。そう、XANXUSも。

 

 ツナは視線が逸らせないまま、久々に見たXANXUSの紅い瞳に魅入る。

 

「・・・う゛お゛ぉい!期日だぁ!・・・リング争奪戦をおっぱじめようぜぇ!!」

 

 スクアーロが義手についた火薬仕込みの剣を振り回す。

 

 ガッ!

 

 そのスクアーロの目の前に、つるはしが突き刺さる。

 

「!?」

 

 ハッとして、全員の視線がつるはしの跳んできた方向へと向いた。

 

「・・・家光」

 

 不機嫌そうに呟いたXANXUS。そして、スクアーロがギロリと睨む。

 

「今更、チェデフの出番でもねーだろうがよぉ!!門外顧問、沢田家光ッ!!」

 

「いいや、ここからは俺達チェデフが仕切らせて貰うぜ」

 

 ニヤリと笑った家光に、XANXUSは不快そうに眉を顰め、それからふいに視線をツナに戻す。

 

「・・・門外顧問は沢田綱吉を次期ボンゴレに推薦した。その時点で中立ではない。・・・違うか?家光」

 

 XANXUSの言葉に、家光がピクリと眉を跳ね上げさせる。

 

「チェデフはあくまでも有事の際以外では外部機関。お前達が“フェアにリング争奪戦を行う”ならば、中立の立場を貫くつもりだ」

 

「ほう・・・なら、自分の息子が殺されても“フェアに行った結果”なら受け入れるって言うんだな?」

 

 直接的な表現に、獄寺達が殺気立つ。

 

「・・・そうだな。それがこの世界に生きる者の覚悟だ」

 

 家光が頷く。マフィアの世界を知り尽くしているからこそ、頷くしかなかったのだ。それがわかっている獄寺はグッとつまり、そして、山本と了平はハッと息を呑んだ。

 

 XANXUSがわずかに表情を動かす。それに気付いたのはスクアーロとツナ、そしてリボーン。

 

 XANXUSが“憎悪”を露わにすること自体はおかしくはない。が、今の家光の言葉は“憎悪”ではなく“歓喜”を表しても良い内容だったはず。

 

 そう思ったリボーンはXANXUSの心を読み、そして、息を呑んだ。

 

「・・・XANXUS・・・そこまで」

 

 呟いた声はツナにも届き、ツナは苦笑をうかべた。それに気付いたリボーンは眉を顰める。

 

「・・・ツナ、お前・・・知ってたな?」

 

「ん。・・・スクアーロの心を読んだ時からね。それに・・・超直感が教えてくれたから」

 

 コソコソとこちらには聞こえない声で会話を交わすツナとリボーンを視界に収め、XANXUSは昏い感情が湧きあがるのを感じた。

 

(黄のアルコバレーノ、リボーン・・・)

 

 それが“嫉妬”だとわかっていたが、それでも、スクアーロが持ち帰って来た伝言を心の支えにして、その感情を抑え込む。

 

(まだだ・・・まだ、落ち着いて事を進めなければ。・・・タヌキ共のいいなりというのも気にくわないが・・・)

 

 冷静に、狡猾に。それがこの計画を成功させる術。

 

「文句はないな?・・・ならば同じリングを持つ者同士で、正々堂々ガチンコバトルだ!」

 

 家光が宣言する。と同時に、二つの気配が現れる。

 

「「お待ちください」」

 

 現れたのは、顔の上部分を覆面で隠した同じような容姿をした女性2人。

 

「ここからは、我々チェルベッロ機関が仕切らせて頂きます」

 

「ここに、九代目の死炎印もあります。・・・異存はありませんね?」

 

「・・・待て、俺はお前達の組織のことは知らないぞ」

 

「我々は九代目直属の機関です。沢田家光氏、貴方の力の及ぶところではありません」

 

「・・・~ッ!」

 

 淡々と答えられて家光はグッとつまり、それから沈黙した。

 

 チェルベッロ達はXANXUSに視線を向け、XANXUSが何も言わないことを確認すると、無表情ながら満足そうに頷いた。

 

「ご納得頂きありがとうございます。・・・それでは、明日の夜並盛中にてリング争奪戦の第1戦目を行います。対戦カードはその際に発表致します」

 

 チェルベッロ達がそう宣言するのと同時に、ヴァリアーの幹部達は光に包まれ、その場を去る。

 

 その際にチラリとツナを見たXANXUSのもの言いたげな視線に、ツナはここに来て初めて読心術を使った。

 

(ずっと会いたかった、ツナ。・・・辛いことはすぐに終わる。だから我慢していてくれ)

 

 その言葉だけを読みとり、ツナは瞼を伏せた。

 

 

 

***

 

 

 

「意外と大人しかったな。XANXUSの奴」

 

 リボーンの言葉にツナはこくりと頷く。

 

「それよりも問題はあのチェルベッロ機関だ。・・・お前、何か読みとれたか?」

 

「いや、読みとれなかった・・・。なんか、幻術が掛かってて邪魔されてる感じだった」

 

「やはりな・・・これは奴らの有利に事が進められかねねーぞ」

 

 厳しい表情をうかべるリボーンに、獄寺達が不安げに身じろいだ。

 

「・・・ちっと調べてみるか」

 

 ボソリ、と家光が言うのを聞き咎め、ツナが目を眇めた。

 

「むやみやたらに蜂の巣をつつくようなことはしない方がイイよ。XANXUSが父さんに掴ませるようなヘマをすると思う?」

 

「・・・しかし」

 

「大丈夫だよ・・・XANXUSの目的はボンゴレを壊すことじゃないから」

 

 ツナの確信に近い言葉に、家光は困ったように眉根を寄せ、それから、部下達を振り返った。

 

「・・・とりあえず本国のチェデフに連絡だ。ただし、あまり無茶はしないように、とな」

 

「Si(はい)!」

 

 返事をした家光の部下達はその場から移動を開始する。

 

「獄寺、山本、了平、お前らは修行を続けろ。まだ、完璧じゃねー奴もいるだろ。ギリギリまでやれ。じゃねーと・・・死ぬぞ」

 

 それは脅しではない。あちらはプロの暗殺者だ。しかも“ヴァリアークオリティー”なんて呼び方がつく程一流の。

 

「争奪戦となりゃ奴らも本気でくる。・・・覚悟してかかれよ」

 

 リボーンの真剣な表情に、獄寺達も気を引き締める。

 

「お願い・・・勝たなくていいから、死なないで」

 

 ツナの願いに、獄寺達はハッとする。

 

「沢田、任せとけ!俺は死なん!!」

 

「10代目がそう仰るのなら!」

 

「ツナ、心配すんなって。絶対俺らは死なねーからさ!」

 

 それぞれに頼もしい発言をし、3人は修行へと戻っていく。

 

「俺も新しい技を完成させなきゃ。・・・零地点突破FirstEditionじゃない、俺だけの零地点突破を。・・・じゃないとXANXUSを満足なんてさせられないだろうしね」

 

 ツナの呟きに家光は眉間にしわを寄せる。

 

「ツナ、お前何を知ってる?」

 

「ごめん。まだ言えないんだ。・・・さぁ、行こうリボーン」

 

 ツナはランボとイーピンを抱え、フゥ太に視線をやり、リボーンを促す。

 

「・・・ああ。バジル、お前も付き合え」

 

 リボーンに呼ばれ、バジルは戸惑ったように家光を見上げる。

 

「は、はい。・・・あの、親方様」

 

「わかった。・・・バジル、ツナを頼む」

 

「はい!お任せください!」

 

 家光がそう言えば、バジルは力いっぱい頷いて、リボーン達の後に付いていった。

 

「一体、何が起こってる?・・・いや、考えるのは止そう。先入観があるから余計に混乱するんだ」

 

 門外顧問としてこの戦いを見届ける義務があり、何が起ころうとそれを客観的に見る必要がある。

 

「ったく、面倒な役割だ」

 

 そうぼやいた家光は、ゆっくりと家路についたのだった。

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