Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~ 作:cibetkato
そして、リング争奪戦が始まった
第1戦目は、奇しくも格闘家対決となった晴の守護者戦。
ヴァリアーの先鋒として現れたルッスーリアに有利かと見られた戦いだったが、京子達の乱入により力を得た了平の伝導率100%の“極限太陽(マキシマムキャノン)”により、左足に埋め込まれた“メタルニー”を砕かれてしまう。
「私はまだ闘えるわ!!・・・さぁ!早くやるわよ!!」
余裕なく叫ぶルッスーリアをゴーラ・モスカの五指から放たれた弾が打ち抜き、ルッスーリアはその場に倒れる。
「・・・なっ!」
驚愕する獄寺達だが、それがヴァリアーの最強たる所以であるとリボーンに言われ、沈黙する。
そして、晴の守護者戦はルッスーリアの戦闘不能により了平の勝利となり、一時はコロネロによって校外に連れていかれた京子達が戻ってくる。
「お兄ちゃん!」
「オウ、京子!」
ニカリ、と笑った了平の無事な姿を確認して京子の表情が緩む。
「いったい、何をしてるの!?・・・本当に危ないことじゃないの!?」
訊ねる京子に、了平はただの相撲大会だ、と説明し、一応は納得した様子の京子達を連れ、学校を後にした。
「今日は、XANXUSは来なかったね」
ツナが呟く。それを耳にした家光が眉を顰める。
「それが・・・どうしたんだ?」
「今日は負けても勝っても、どっちでも良かったのかなって」
目を細めたツナに、リボーンが反応した。
「勝たなければならない所では顔を出すってことか?」
「それは、どうだろう。・・・でも、今日の結果で今後の計画の方向性を決めるはずだ」
「「「!?」」」
家光とバジルが目を見開き、リボーンが息を呑んだ。
「それを俺に読まれると思ったのか・・・他のヴァリアーのメンバーには何も教えてなかったみたいだし」
ヴァリアーの態度に不審な点が無かった為に、去り際にそれぞれの心を読んだらしい。
「もうリング戦は始まってしまった。計画は止められない。中断すれば」
そこまで言って、ツナは表情を歪めて口を噤む。
「ツナ?」
家光が心配そうに顔を覗き込むが、ツナはすぐに表情を取り繕って平静を装う。
「なんでもない。・・・次は雷の守護者戦だ。万一のこともないように、病院とか手配しておいてね、父さん」
「・・・あ、ああ」
頷く家光に笑いかけ、ツナはクルリと背を向けた。
「ホントに、ボンゴレの業は・・・深すぎる」
背を向けたツナの言葉に、家光は眉間のしわを深めた。
「・・・ツナ」
***
そして、翌日の夜。
開始された戦いは、やはりというかレヴィの有利に事が進む。
「ぴぎゃあああああ!!」
レヴィの猛攻に泣きわめいて、ランボは10年バズーカに飛び込む。
「あッ!」
ツナは思わず叫ぶ。
前日、いつの間にか入れ替わっていた10年後ランボに、呼び出すなと忠告されていたことを思い出したからだった。
煙が晴れて現れた大人ランボに、ツナは思わず謝る。
「・・・ランボ、ごめん」
「はぁ・・・イイですよ。入れ替わってしまったものはしょうがない。・・・それに」
「それに?」
「・・・俺は、貴方の守護者ですから。ね、若きボンゴレ」
ニコリと笑った大人ランボは、とても心強かった。
が、やはり10年後と言ってもランボは15歳。レヴィとは圧倒的な経験の差がある。結局力に圧され、大人ランボは再び10年バズーカに飛び込んだ。
「な!?」
「10年後のランボが10年バズーカに飛び込んだってことは・・・」
「・・・どうなるんだ・・・?」
一斉に首を傾げ、初めてのパターンにどうなってしまうのかと皆の動向を見守る。
煙が晴れた先にいたのは、10年後よりも更に大人になったランボ。
「に、20年後のランボ!?」
獄寺が目を丸くする。10年後よりも落ち着いた雰囲気のランボはツナ達を振り返り、目を細める。
「また・・・貴方達に会えるとは・・・」
ふ、と笑う表情には、自信と余裕が伺えた。
「・・・ぬぅ、相手が誰だろうと、潰すまで!!」
レヴィが特攻を仕掛けてくると、ランボは意識を戦闘に戻す。
「・・・貴方方の力になれるのならば、本望・・・」
雷を呼び、電流をその身に受けて突進していく。その凄まじい雷撃にレヴィが圧され始める。
が、突如ランボの身体が煙に包まれる。
「え!?・・・まだ、5分経ってないのに!?」
獄寺が目を見開いて叫ぶ。
ツナは眉根を寄せた。このままではランボの命が危ない。
「・・・みんな、ごめん」
呟いて、ツナはレヴィが電気傘を構えた直後に、フィールド上の避雷針を繋ぐ鉄線に死ぬ気の炎を伝導させた。
熱を帯びた避雷針は根本が融け、ぐらりと傾げて倒れてしまう。
「っ!?」
レヴィが飛びのき、そして倒れた避雷針の重なりあった隙間にランボは無事収まっていた。ツナはホッと息をつき、瞼を閉じる。
その時、首から下げていたリングが何かにかすめ取られる。
そちらに視線を向ければ、給水塔の上に立つXANXUSがいた。
「・・・ペナルティだ」
そう言ったXANXUSに獄寺達が抗議するが、チェルベッロ達によって遮られ、結局、雷と大空のリングがヴァリアー側のものと決定した。
「今日は来たんだ、XANXUS」
そう言ったツナにXANXUSがピクリ、と眉を動かす。
「・・・晴の守護者戦、俺達が負けてたらどの守護者戦を今日に持ってくるつもりだった?」
「・・・」
まっすぐに見つめてくるツナに、内心XANXUSは焦りを覚えた。その視線に怒りを感じたからだ。
「話す気はない、か。・・・まぁ、良いけどね」
ふぃ、と視線を逸らしたツナはクツリと笑った。その瞬間漏れ出した殺気に、百戦錬磨のヴァリアーですら恐れを抱く。
「XANXUSがどんな結末を用意しているか今は読まないでいてあげるけど、約束を破ったら絶対に許さないから」
口元には笑みをうかべてはいるが目が完全に笑っていない。いつにないツナの様子に守護者側も身を竦ませる。
「・・・ツナ」
ツナを愛称で呼んだXANXUSに、ヴァリアーがギョッとする。
「良い?XANXUS・・・真剣勝負であることはわかっているし、命懸けの戦いになるだろうこともわかる。でもそれ以上の策略を用意しているなら今すぐ止めろ」
「カヴァーするのは・・・止めたのか」
呟いたXANXUSに、ツナは目を細める。
「・・・XANXUSが来るって知った時からね」
そう答えたツナにXANXUSは黙り込み、それからツナに背を向けた。
「・・・企みは、お前の知るもの以上のものはない」
「お前じゃない。・・・ツナって呼べと言ってるだろ」
「・・・ふ。変わらないな・・・ツナ」
XANXUSが穏やかに会話をしている姿に、普段のXANXUSを知るヴァリアーの面子はツナとの関係がどんなものだったのか、ますます知りたくなる。
「・・・う゛お゛ぉいっ!XANXUS、いつまで俺達にもだんまり決め込むつもりだぁ!?」
「ウルセェ、カス鮫。・・・テメェらは知らなくて良い。・・・ツナ、また明日、だ」
こちらを振り向かないままそう言って、XANXUSはヴァリアーの面子と共にその場から消えた。