Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~   作:cibetkato

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リング争奪戦 13

 獄寺とベルフェゴールの戦いは熾烈を極めた。

 

 ワイヤーを使ったナイフの攻撃を見切った獄寺だったが、ハリケーンタービンのランダムに放射される風やベルフェゴールの巧みな作戦に、次第に追い詰められていく。

 

 だが土壇場で大逆転を決めた獄寺は、リングを回収しようとベルフェゴールに近づく。

 

 その時己のリングをベルフェゴールに掴まれる。

 

「なっ!?」

 

「リング・・・俺の・・・リング・・・!!」

 

「クソ!放しやがれ!!」

 

 突き放そうとしてもベルフェゴールの勝利への執念に、獄寺は次第に追い詰められていく。

 

「シシシ・・・!」

 

「くッ・・・このッ!」

 

 そうしている間にも、ハリケーンタービンに仕掛けられた時限爆弾が次々に爆発していく。

 

「戻れ!隼人!!」

 

 叫ぶシャマルに、獄寺は首を振る。

 

「俺が負けたら、1勝3敗・・・もう後がねぇ!右腕の俺が負けるわけにはいかねぇんだ!!!」

 

「隼人!!!」

 

「獄寺!!」

 

「タコヘッド!!」

 

 叫ぶ面々の声を無視して、獄寺はベルフェゴールとのリングの取り合いに神経を集中させる。

 

 と、その時。リボーン達は漏れ出した殺気にギクリと身体を強張らせた。

 

「・・・つ、ツナ?」

 

 山本が真っ先にその殺気の発生源を悟って、視線を向ける。

 

「約束、守らないつもり?“隼人”?」

 

 決して大きな声ではなかった。が、凄まじい殺気混じりのその言葉がスピーカーを通して聞こえ、獄寺がギクリと顔をあげる。

 

「じゅ、10代目・・・?」

 

「無茶しちゃダメって、言ったよね?・・・2度は言わないよ?戻れ“隼人”」

 

「いっ・・・今すぐ戻ります!!!!」

 

 顔を青ざめさせた獄寺はそう叫び、リングを通したチェーンを首から外して図書室から飛び出す。それと同時に、図書室に置かれていたハリケーンタービンの時限爆弾が爆発する。

 

「ご、獄寺・・・」

 

「た、タコヘッド・・・まさか、間に合わなかった?」

 

 愕然とするメンバーの中、1人冷静な表情をうかべていたツナは爆発による煙が晴れると同時に現れた人影に、口の端を吊り上げた。

 

「あ・・・獄寺!!」

 

「タコヘッド!!!」

 

 真っ先に山本が駆けて行き、次いで了平も獄寺の元へと急ぐ。ツナはゆっくりと獄寺に近づいていく。

 

「約束・・・破ろうとして、スミマセン!!」

 

 よろよろになりながら、獄寺はツナに頭を下げる。

 

「俺にとってはね、リングも10代目の座もみんなの命に比べたら、どうでもいいことなんだよ」

 

 静かに言うツナに獄寺は顔をあげられずにいた。彼は怒りを露わにしているわけではないのに自然と頭が下がるのだ。

 

「申し訳、ありません」

 

「まぁ、許してやれツナ。獄寺だってお前に勝利を捧げたかったんだ」

 

「・・・うん」

 

 リボーンが宥めに入ると、ツナは渋々頷いて、怒りを収める。

 

「それでは嵐の守護者戦の結果を発表します。・・・嵐の守護者戦はリングを奪取したベルフェゴール氏の勝利とします」

 

 チェルベッロが改めてそう言えば、獄寺達が落胆する。

 

「そして第4戦目は・・・雨の守護者戦とします」

 

 その言葉に山本は表情を引き締め、己の相手となるスクアーロに視線を向けた。

 

「う゛お゛ぉい!俺の相手はてめぇだな!?刀小僧!・・・圧倒的な力の差ってやつを見せてやるぜぇ!!」

 

 そう言ったスクアーロに、山本は不敵な笑みをうかべた。

 

「俺だって・・・前のようにはいかないぜ」

 

 言葉の応酬があった後、レヴィ雷撃隊の1人が報告に現れる。

 

「申し上げます!・・・ただ今、何者かが学校内に侵入し、雷撃隊と交戦中・・・雷撃隊はほぼ、全滅です!!」

 

「何ぃ!?」

 

 レヴィが眉を顰める。

 

「・・・あ」

 

 ツナが声をあげる。慣れ親しんだ気配が校内から感じ取れたからだった。

 

「ふ。アイツが戻ってきたみてぇだな」

 

 リボーンもにんまりと笑ってそう口にする。

 

「アイツ?」

 

 了平が首を傾げると、ツナがニコリと笑った。

 

「決まってるじゃないですか。・・・並盛の秩序であり並中の支配者、雲雀恭弥さんですよ」

 

「グアッ!!」

 

 ツナの言葉と同時に、レヴィ雷撃隊の1人が吹き飛ばされてくる。

 

 割れたガラスの飛び散った廊下を踏みしめる音がして、トンファーを構えた雲雀がその場に現れる。

 

「・・・これは、どういうこと?」

 

 ギロリ、と睨まれて一同は背中に冷や汗をかく。そんな中ツナが雲雀の問いに答える。

 

「・・・今、嵐の守護者戦が終わったんです」

 

「ふぅん。不法侵入に、校舎の破損・・・連帯責任でこの場にいる全員、咬み殺す」

 

 どうやら不機嫌MAXの雲雀に、ツナは苦笑する。

 

「うわぁ・・・これは酷く怒っていらっしゃる」

 

「貴様!よくも、俺の部下を!!」

 

 レヴィが電気傘を構える。

 

「・・・君から噛み殺されたいみたいだね」

 

 雲雀も怒りを抑える気は全くないのか、トンファーを構える。

 

「おやめ下さい!・・・守護者同士の私闘は!!」

 

「黙れ!チェルベッロ!!」

 

 チェルベッロが止めようとするが、レヴィに突き飛ばされてしまう。そんな中、山本が雲雀を制止するために間に割って入る。

 

「まぁまぁ、落ち着けって雲雀。・・・お前が怒るのもわかるけどな?ここで暴れて次の試合とかお流れになっちまうのは、正直嫌なのな~」

 

 自分の都合もあるのだと暗に言えば、雲雀の怒りが山本に向いた。

 

「生意気。・・・まずは君から咬み殺す!!」

 

「うわ、やべっ!逆に怒らしちまった!!」

 

 山本は苦笑をうかべながら雲雀と間合いを取る。そして、トンファーで攻撃を仕掛けようとした雲雀の動きを読んで、軽やかなステップでそれを交わし、トンファーを掴んで後ろ手にひねり上げた。

 

「!!」

 

 驚く雲雀に山本は尚も落ち着くように声をかける。

 

「大人しくしてくれって、な?」

 

「っつ・・・!」

 

 山本の手を振り払い、彼から離れて間合いを取り直すと、雲雀はキリリと眦を吊り上げた。

 

「山本武・・・咬み殺す!」

 

「うあ!逆効果!!!」

 

 山本がどうすればと後退った時、リボーンが間に入った。

 

「チャオっす、雲雀」

 

「赤ん坊かい・・・悪いけど今は取り込み中なんだ、後にしてくれる?」

 

「・・・そう言われてもな。・・・今ここで暴れても良いが、それよりも今我慢すれば、六道骸と再戦できるかもしれねーぞ」

 

「!?」

 

 雲雀の琴線に触れた言葉は、雲雀の怒りを収める。

 

「・・・校舎はきちんと治るんだろうね?」

 

「チェルベッロの名にかけて」

 

「・・・わかったよ」

 

 譲歩を見せた雲雀に一同がホッと息をつく。

 

 立ち去ろうとした雲雀がピタリと立ち止まり、ツナを振り返った。

 

「ねぇ、用意してくれた家庭教師の相手はいい加減飽きたんだけど」

 

「雲雀さんの試合はもうちょっと待ってて下さい。・・・多分、最後ですから」

 

「・・・ふぅん。じゃあ、次は明日だっけ?」

 

「はい。雨の守護者戦・・・山本とあの銀髪の人との対戦です」

 

 ツナが頷けば、雲雀はニヤリと笑った。

 

「じゃあ、見に行ってあげるよ。さっきの山本武の動きはちょっと気になるからね」

 

「はい、待ってます」

 

 ニコリとツナが笑えば雲雀も機嫌良く頷き、今度こそその場を後にした。

 

「・・・はぁ・・・助かったぜ、小僧、ツナ」

 

「雲雀さんにああいう止め方は逆効果だよ、山本」

 

「はは・・・。みたいだな」

 

 ため息交じりにそう言って、山本は肩を竦める。

 

「う゛お゛ぉい!刀小僧!」

 

 スクアーロの大声が響く。

 

 山本は緩んでいた表情を再び引き締めて振り返る。

 

「どうやら以前と違うというのは本当らしいなぁ!・・・だが、お前が勝つ可能性など、万に一つ、いや、億に一つだってないことを覚えておけ!!」

 

「・・・やってみなきゃ、わからねーさ」

 

 山本が言い返せばスクアーロは鼻で笑い、ヴァリアーを引き連れて去っていく。

 

「さて、俺も帰るかね」

 

 シャマルがそう言って踵を返す。それを見たバジルが彼を引きとめる。

 

「シャマル殿、待ってください!・・・獄寺殿の怪我を・・・!」

 

「あー、俺は男は診ない主義なの。他、当たってくれや~」

 

 ヒラヒラと手を振り、シャマルは去っていく。

 

「そんなぁっ」

 

 愕然とするバジルに獄寺が苦笑する。

 

「イイって。昔からあぁいう奴なんだよ」

 

「ですが・・・」

 

「はぁ・・・しょうがねぇな。ロマーリオ、お前が診てやれ」

 

「オーケイ、ボス」

 

 その声に振り返ってみれば、雲雀の家庭教師として付けていたディーノがそこにいた。

 

「ディーノさん」

 

「よ、ツナ。ヴァリアーとは入れ違ったみたいだな」

 

 さわやかな笑みをうかべたディーノがキョロキョロと辺りに視線を配る。

 

「恭弥も来てない・・・よな?」

 

「さっき来て、ひとしきり暴れてから帰りましたよ」

 

 肩を竦めてツナが答えると、ディーノはギョッとした。

 

「ま、マジか!?・・・はぁ・・・恭弥、怒ってただろ?」

 

「それはもう。・・・というか、ディーノさんに飽きたって言ってましたけど、大丈夫ですか?」

 

「・・・ま、まぁ・・・なんとか」

 

 視線を逸らすディーノに、ツナは溜息をついた。

 

「大丈夫なら、イイですけどね」

 

 その間、獄寺の傷の状態を見ていたロマーリオが苦笑をうかべた。

 

「やれやれ、随分派手にやられたもんだな」

 

「っ痛!」

 

 グイ、と顔を持ち上げられて獄寺が呻く。

 

「・・・“獄寺君”も病院行きだねぇ」

 

 苦笑をうかべたツナに獄寺がハッと視線を向け、何か言いたげに見つめてきた。

 

「ん?どうしたの?“獄寺君”」

 

「・・・呼び方・・・さっきのがイイっす」

 

「?・・・さっきの?・・・ああ!・・・え、いいの?」

 

「はい。そっちの方が、イイっす・・・」

 

 ポ、と頬を染めて頷く獄寺に、ツナはニコリと笑った。

 

「わかった。じゃあ、これから隼人って呼ぶね?」

 

「は、はいっ」

 

「いいなぁ・・・獄寺」

 

 嬉しそうに頬を染めた獄寺を羨ましげに見つめ、山本がボソリと呟いた。

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