Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~   作:cibetkato

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リング争奪戦 20

 大空のリング戦当日。

 

 晴れやかな青空の下、ツナはいつになく快適な朝を迎えていた。

 

「ツナ、今日は学校に行け。・・・お前の帰ってくる場所を確かめるためにな」

 

 ここ1週間、ずっと学校を休み修行に専念していたツナはリボーンの指示に素直に頷いた。

 

「うん、そうする」

 

 久々の学校といっても毎晩この場所には来ていたので、そんな違和感もなくツナは学校を眺める。

 

「さすが、チェルベッロ・・・幻覚で学校の損傷を気付かせないなんて。壁の感覚もあるし、これが有幻覚ってヤツ?」

 

「・・・だろうな」

 

 肩に乗っているリボーンに問えば、苦々しい表情をうかべた家庭教師が頷く。

 

「チェルベッロのことは、わからずじまい?」

 

「ああ・・・悔しいことにな」

 

「そっか。でもチェルベッロも文句が言えないくらいにキッチリとケリはつけるから。安心して、リボーン」

 

「・・・大丈夫なのか?」

 

 心配そうに訊ねるリボーンに、ツナは苦笑する。

 

「大丈夫だよ。9代目のためにもXANXUSを止めてあげなきゃいけないし。それに」

 

「それに?」

 

「XANXUSの目的は俺と次期ボンゴレボスの座をかけて闘うことだったから」

 

「そうだったな。・・・ツナと思う存分に戦ったらXANXUSは自分を悪役に仕立てあげ、ツナが10代目になることに異議を唱えそうな連中に釘をさすつもりなんだろ?」

 

「・・・うん」

 

「しかし、チェルベッロと手を組んだ理由が解せねぇな。端からツナを10代目にするつもりなら、チェルベッロなんてもんを使う理由がねェ」

 

「XANXUSの眠りを解いたのはチェルベッロだからだよ」

 

 ツナの言葉にリボーンはハッとする。

 

「アイツの記憶を読んだのか?」

 

「ううん、XANXUSが並盛に来る前に。超直感なのか、それともXANXUSの想いの深さが俺に呼応したのか・・・そんなビジョンが頭に流れ込んで来たんだ」

 

「ナルホドな・・・8年前の“ゆりかご”の時から今までXANXUSはその身体の時を止めていた。それを目覚めさせたのがチェルベッロ。だから文句も言わずに奴らのやりたいようにさせてるのか」

 

「9代目を攫ったのもたぶんチェルベッロだ。じゃなければ、こんなにもあっさりと誰に気付かれることもなく拉致されることなんて有り得ないだろ?」

 

「なるほどな」

 

 リボーンは改めてチェルベッロに対する不信感を募らせる。

 

 チェルベッロは敵なのか、味方なのか。

 

 少なくともXANXUSの思い通りに動かせているようにも見えないことから、XANXUSの味方であるとはいえないだろうと思う。

 

「ボンゴレリングの行方に口出しするってェと、チェルベッロは7³に関係する者かもしれねぇな」

 

 ボソ、と呟いたリボーンの言葉が聞き取れず、ツナは首を傾げる。

 

「え?何?」

 

「いや・・・なんでもねぇ」

 

 リボーンは首を振った。今そんなことを言って、ツナを混乱させるのは良くないと思ったからだった。

 

「?・・・そう?」

 

 ツナもそれがわかっているのか、読心術で読んでくる様子も見せなかった。

 

 

 ***

 

 

 

 そして最終決戦の夜を迎える。

 

「それでは大空戦のルールを説明いたします」

 

 “生きている”互いの守護者を全員招集したチェルベッロが口を開く。

 

「大空戦は他の守護者同様、リングを完成させることが勝利条件の1つとなります。今回のフィールドは学校全体」

 

 その言葉に獄寺が辺りを見回し、山本が訝しげに呟く。

 

「・・・広ぇな」

 

「広大なフィールドでの戦いを観戦できるよう、各所に小型カメラを設置し、観覧席以外にも大型ディスプレイを」

 

「そして守護者の皆様にはカメラ搭載型モニター付きリストバンドを用意しました」

 

「・・・なるほど、小型テレビか」

 

 了平が感心したようにリストバントを見つめる。

 

「ははっ。ツナがどアップだぜ♪」

 

 山本も与えられたリストバンドの機能にご満悦の様子を見せる。

 

「・・・では守護者の皆様は、リストバンドを装着し次第、以前各守護者戦が行われたフィールドに移動してください」

 

「フィールドだと?・・・今更、どういうことだ?」

 

 レヴィがチェルベッロに問えば、チェルベッロはそれを一蹴する。

 

「質問は受け付けません。従わなければ失格となります」

 

「ったく、ムカつく女だぜ」

 

「観てるだけじゃなさそうじゃん、楽しみィ」

 

 その様子を見ていた獄寺が忌々しそうに呟き、ベルは口の端を愉快そうにつり上げた。

 

「・・・では、後で」

 

「ボス、気をつけて」

 

「頑張れよ!」

 

「・・・ZZZ」

 

「無茶すんな?」

 

「・・・(怒)!」

 

 それぞれのフィールドへ向かう面々を見送っていたツナの背後から、不意に声がかかった。

 

「いよいよだな・・・コラ!」

 

「!・・・シャマル!コロネロ!?」

 

「骨、拾いに来てやったぞ」

 

「ヤジ、飛ばしに来たぞ」

 

 冗談にしてはきつすぎるシャマルとコロネロの言葉に、ツナは苦笑を漏らした。

 

「感じ悪~・・・つか、負けること前提かよ」

 

「まぁ、お前の本気ってのを俺らは知らねーからなぁ」

 

 そうは言いながらもリボーンの自信満々な様子と、ツナから発せられる常ならぬ覇気に、これなら安心して見ていられると思っている、コロネロとシャマルだ。

 

「・・・まぁ、良いけどね」

 

 訂正させるつもりもないのか、ツナはすぐに意識を2人からXANXUSへと移した。

 

 見つめ合う2人の胸中はさぞや荒れているだろうとリボーンは複雑な心境になる。だが、ここまできたら互いに退けないことくらいはわかっている。

 

「守護者全員、各フィールドへ到着したようです。・・・各フィールドに設けられたポールの上には、フィールドと同じ種類のリングがそれぞれ置いてあります」

 

「まさか、また奪いあえって言うんじゃねぇだろうな」

 

 己のフィールドで呟いた獄寺に向かい、ヤル気満々のベルがナイフを取り出す。

 

「ってことはさ・・・俺達も闘えちゃうわけ?」

 

「どうぞ、ご自由に」

 

「!?」

 

 チェルベッロの答えに、ツナは弾かれたように視線を向ける。

 

「・・・ただし、できればの話ですが」

 

 その言葉と共にリストバンドが“作動”した。

 

 途端に苦しみ出した守護者達の様子に、ツナはハッとした。

 

「・・・リストバンドに、何を仕込んだ!?」

 

「毒です」

 

「なんだって!?」

 

「毒だと!?」

 

 チェルベッロの答えにバジルとシャマルが顔を青ざめさせた。

 

「・・・デスヒーターと呼ばれるこの毒は瞬時に神経を麻痺させ、立つことすら困難にします。そして全身を貫く燃えるような痛みは徐々に増していき、30分で絶命します。」

 

「・・・そんな、バカな!!」

 

 他の面子と同様、観戦に来ていた家光も呻くように叫んだ。

 

「なぜだ!?・・・大空戦なのに、どうして他の皆まであんな目に・・・!」

 

 ツナが叫べば、チェルベッロはあっさりと答えた。

 

「大空であるボスの使命だからです」

 

「全てに染まり、全てを抱擁する大空・・・ボス同士で守護者の命を賭けて闘え、ということか」

 

 ギッ、とチェルベッロを睨み据えてツナが言えば、顔色も変えずにチェルベッロは頷いた。

 

「そう。それが大空戦なのです」

 

「・・・なら、最初からそうすれば良かったのに」

 

 ツナは呟いてXANXUSに視線を向けた。

 

 どうやらXANXUSもこの戦いの方法は初耳だったらしく、小さく呟いた。

 

「まどろっこしいマネさせやがって・・・タヌキ共が」

 

「毒の進行を止める方法はただ一つ。・・・守護者のしているリストバンドに同種類のリングを差し込めば、内蔵されたデスヒーターの解毒薬が投与される仕組みになっています」

 

「ナルホドな・・・この戦いでは大空のリングだけじゃなく、他の守護者のリングも奪い合わなきゃなんねーのか」

 

 リボーンの呟きに、家光達が表情を曇らせた。

 

「相当ハードな戦いになりそうだな・・・コラ!」

 

 コロネロが言えば、リボーンが頷く。

 

「ああ。ツナ、遠慮なんかいらねェ。・・・最初っから全力で行け!」

 

 どこかまだXANXUSに対して甘いツナを叱咤激励するリボーン。自分でもそのことに気付いていたツナは困ったような表情をうかべた。

 

「・・・わかってるよ、先生」

 

 そんな2人の様子を見て機嫌を降下させたXANXUSから殺気が漏れ出す。

 

「ツナ、今は大空戦だ・・・俺だけを見ろ」

 

 最早、本音を隠す必要もなくなったとばかりに口に出す。

 

「わかってるよ、XANXUS」

 

 ツナだってこんな状況でなければXANXUSと純粋に力比べができることが嬉しいと感じているはずだった。

 

 だが、XANXUSはこの為だけに大きな罪を犯してしまった。これ以上は間違いなく復讐者(ヴィンディチェ)に目を付けられてしまうだろう。

 

「もう誰にも邪魔はさせねェ・・・俺はこの日の為だけに、ずっと!」

 

 血を吐くような言葉にツナは目を伏せた。XANXUSの想いがこんなにも深く、強いものだと頭ではわかっていても、どうしてという思いが勝ってしまうのだ。

 

「どうして・・・XANXUS」

 

「老いぼれと・・・同じことを訊く」

 

 XANXUSが低く呟く。

 

「XANXUS」

 

「もういい!・・・始めるぞ」

 

 ツナの言葉をさえぎって、XANXUSは憤怒の炎を掌に宿した。

 

「ッ・・・!」

 

 数秒の攻防。XANXUSの憤怒の炎を避けたツナは力を解放した。

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