Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~   作:cibetkato

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リング争奪戦 23

「・・・俺は」

 

「ボス・・・ボンゴレリングだよ」

 

 空を見上げて呟いたXANXUSは、マーモンの手に乗るボンゴレリングに視線を向ける。

 

 輝く炎を発するそのリングは、XANXUSにとって他人には知られたくない“真実”を公の下に曝す忌まわしいリングとなる。

 

 零地点突破の氷を溶かすほどの力を持つボンゴレリングが、己の隠していた“真実”を見抜けないはずがない。

 

 XANXUSはそんな予感に囚われながら、マーモンの差し出した大空のボンゴレリングを手に取る。

 

 覚悟を決めたXANXUSはその指輪を己の指に通し、そしてそれぞれの守護者のボンゴレリングをリングボックスに収めた。

 

 光を発し始めたボンゴレリング。呆然とそれを見やっていたツナはハッと気付いた。

 

(いけない!!このままリングの力を解放したら・・・XANXUSの身体が保たない!!)

 

 止めようとするが膝がガクガクと震えて、思うように動けない。

 

「ッ・・・動けッ・・・!」

 

 XANXUSを永遠に失ってしまうかもしれないという恐怖。

 

 それによる震えが止まらず、ツナはただXANXUSがボンゴレリングの力を解放するのを見つめているしかできなかった。

 

 解放されたボンゴレリングの力は、光の柱となって辺りを明るく照らした。

 

「力が・・・溢れてくるッ!」

 

 ボンゴレリングから流れ込む力にXANXUSは戦慄を覚えた。万が一、このリングが己の“真実”を見抜かなかったとしたら。“奴ら”の予言が外れたら。計画が台無しになってしまう。

 

「XANXUSッ・・・いけない!!・・・それ以上はっっ!!」

 

 ツナの叫び声が響いた。

 

 ボンゴレリングの力に目を奪われていたXANXUSは、ハッとしてツナに視線を向けた。

 

 必死な形相でこちらを見つめるツナに、自分の計画が順調に進んでいることを確信したXANXUSはニヤリと笑った。

 

「これで、俺が・・・ボンゴレの10代目に」

 

(相応しくないとわかる)

 

 そう、呟いた瞬間だった。

 

 身体中を電流のようなものが駆け巡った。いわゆるショック状態になったXANXUSはバタン、とその場に倒れ込んだ。

 

 仰天するマーモンやベルフェゴールの脇で、ツナが呻くように言った。

 

「リングが・・・XANXUSを拒んだ・・・」

 

「!・・・沢田綱吉、お前何かを知っているな?リングが拒んだとは、どういうことだ!」

 

 マーモンの視線がツナに向く。ツナはその問いに答えられず、悲痛な表情をうかべる。

 

「・・・っく・・・ツナ」

 

「ボス!?」

 

 のろのろと起きあがったXANXUSに、マーモンとベルフェゴールが駆け寄る。

 

「・・・庇う必要なんて、ねェ・・・」

 

 苦しそうに息を荒くしながら、XANXUSが呟く。

 

「リングが証明した通りだ・・・俺と9代目は、ホントの親子なんかじゃねェ!!」

 

「「「「!!!」」」」

 

 皆に衝撃が走った。

 

 ツナはこの場でXANXUSがその“事実”を口にしたことにショックを受けていた。

 

「XANXUS!」

 

「・・・わかってたんだろ?ツナ」

 

 己を見つめるツナに、XANXUSは訊ねる。

 

「スクアーロの、記憶・・・読んじゃって」

 

 答えるツナにXANXUSはハッと目を見開いた。

 

「・・・そうか。アイツも知っていたのか」

 

「俺はお前の気持ちがよくわかる・・・9代目に裏切られた・・・そう思ったんだろ?」

 

 チェルベッロが観覧席と音声を繋いだことで、スクアーロの声が並盛中全体に聞こえる。

 

「生きてやがったか。カス鮫・・・。まさかテメェに知られていたとはな」

 

 XANXUSは空を見上げた。

 

「俺は大空にはなれねェ・・・だから、ツナとの約束を果たせねェ・・・俺はツナと、本気で10代目の座をかけて闘いたかった!!

 ツナになら負けても良いと、そう思っていたのに!闘う権利さえも無いなんて、どうしても許せなかった!!!」

 

 激情のままに叫ぶXANXUSに、皆が気圧された。

 

「茶番は・・・終いだ」

 

 XANXUSは項垂れて呟いた。

 

「もう、いい・・・後は・・・壊すだけだ!」

 

 紅い瞳が狂気を帯びた。

 

「・・・いいね、ボス。やろうぜ」

 

「当初の予定通りだよ」

 

 ベルフェゴールが武器を構え、マーモンがそれに同調する。

 

 XANXUSは自棄になったのではない。これこそが最後の最後にXANXUSが計画していたこと。

 

 そして、ツナが動かざるを得ない状況に追い込むための一言。

 

「フフ・・・今回の件に関係した者、全ての抹殺のため・・・総勢50名の生え抜きのヴァリアー隊が間もなく到着する」

 

「「「!!」」」

 

 獄寺達が息を呑む中、ツナはXANXUSの真意を悟っていた。

 

(凍らせるだけじゃ、再び解放されるってことはわかってたんだ・・・そうなればXANXUSを持ち上げる人間はまだ多く残っている。XANXUSの本当の計画は、俺に・・・殺されること!)

 

 それぞれの守護者が殺気立つ中、チェルベッロがヴァリアーの失格を宣言する。

 

 だがXANXUSの計画は止まらない。そうなることも計画の内だったのだろう。XANXUSの真意に気付かないマーモンやベルフェゴールは退く様子を見せない。

 

 共に闘おうとする観覧席の面々だが、細工された観覧席から出ることが叶わず、ただ見ていることしかできない。

 

「おい、リボーン・・・」

 

「なんだ、家光」

 

「俺は何もわかっちゃいなかった・・・ツナの想いもXANXUSの想いも・・・」

 

「・・・家光、今はそんな懺悔をしてる場合じゃねーぞ。奴らは今回の件に関係した者全てと言った。つまり、ママン達もあぶねーってことだぞ」

 

「わかってる・・・わかってるが、それは“大丈夫”なんだ」

 

「?」

 

「さっき、奈々達を見張らせていた部下から連絡があった・・・」

 

 ほんのわずか、皆の輪から外れていたその時に連絡を貰ったらしい。

 

「!・・・そうか、奴が来日していたのか」

 

 その家光の心を読んだリボーンは思わず安堵の溜め息をついた。

 

 

 ***

 

 

 一方、一触即発状態の睨みあいが続くグラウンドでフッとクロームが視線をあげた。

 

「・・・骸、様?・・・え?誰か、来る?」

 

 そこに到着したのは、ヴァリアーの隊服を着た男達。

 

 挟まれた形となった獄寺達が警戒を強めたその時だった。バタバタとその男達が倒れ、一番大柄な男が呻くように報告する。

 

「報告します・・・我々以外のヴァリアー隊全滅!・・・奴は強すぎます!鬼神のごとき男が、こちらに向かって・・・!!!」

 

 その報告の途中に巨大な鉄球が飛来して、男達をなぎ倒した。

 

「!!?」

 

「あの人が・・・ずっと骸様の話しかけていた」

 

「奴は・・・!」

 

 クロームが呟き、獄寺が目を丸く見開いてその姿を見つめる。

 

「取り違えるなよ、ボンゴレ。・・・俺はお前を助けに来たのではない。礼を言いに来た」

 

「・・・ランチアさん」

 

 愕然とツナが呼んだ名を聞いたマーモンとスクアーロが顔を青ざめさせた。

 

「・・・アイツ、何者?」

 

 ベルフェゴールが首を傾げ、スクアーロがモニターを凝視しながら呟く。

 

「北イタリア最強と恐れられたファミリー惨殺のランチア・・・」

 

「・・・あ、アイツ、あんなに強ぇんらっけ?」

 

「・・・強いよ」

 

 犬が以前とは比べ物にならない力を見せるランチアに驚愕していると、千種はそう答えて俯く。

 

「他人に操られるのではなく、自分の意志で闘うアイツには迷いがないからな」

 

 リボーンが補足を入れる。

 

 ツナが行動することによってできた“縁”が、今、この時に集結している。

 

 これこそがまさに天の配剤ではないかと思えるほどに、全てがツナを10代目にするための動きとなって顕現しているのだ。

 

「・・・シシシ、こうなったら先に潰しちゃえ!」

 

 ベルフェゴールのターゲットがツナに向く。

 

「・・・ツナっ!」

 

 山本が動こうとしたその時、そのナイフが炎によって弾かれる。

 

「なっ・・・」

 

「・・・安心して、XANXUS。俺が止めてあげる」

 

 炎を発したのは、もちろんツナ本人。

 

 ゆっくりと立ち上がったツナは壮絶な色気を放つ笑みをうかべた。その中に潜む殺気が更にその色気を倍増させているように思えた。

 

「じゅ、10代目」

 

「隼人、武・・・下がってて。クロームも了平さんも雲雀さんもだよ」

 

 ツナの穏やかなのに有無を言わせないその声音に、守護者達は身動き一つ取れなくなる。

 

「ランチアさん、ありがとうございます。・・・おかげで気持ちを整理できました」

 

「いや、それでこそ俺の知るボンゴレだ。・・・役に立てたようだな」

 

「はい」

 

 頷いたツナはスッキリした表情をうかべていた。

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