Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~ 作:cibetkato
そして放課後。
帰り支度をしていたツナだったが、クラスメイト達が窓に張り付いて騒ぎ出したことに気付く。
「ん?どうしたんだろ?」
キョトンとしたツナの元に慌てた様子で山本が近付いてきた。
山本の席は窓側にあるため何がクラスメイト達を騒がしているかわかったのだろう。
「つ、つつつ、ツナ!!」
山本がこんなにも慌てるのは珍しい。その様子に獄寺も近づいて来て、次いで紋太や姫子も近づいてくる。
「どうしたの?武、そんなに慌てて」
首を傾げるツナに山本は窓の外を指差した。
「ざ、XANXUSが校門に!!!」
「!」
一瞬目を大きく見開いたツナは、鞄を掴んで廊下に飛び出した。
「10代目!!」
獄寺もその後を追い山本は呆然とそれを見送りかけ、ハッと我に返って自分の鞄を取り2人の後を追った。
「ボス、我慢できなかったんだ・・・」
「シシシ・・・なんか楽しそー。行ってみようよ紋太」
「ム・・・」
紋太と呼ばれたことに顔をしかめたが、周りにクラスメイトがいることに気付くと、フイッと顔を背けて鞄を掴み廊下に出て行く。
「待ってよ、紋太」
「早くしてよ、姫子」
「姫だってば」
軽くど突き合いながら紋太と姫子も校門へと向かう。
***
一方、校門の前に立っていたXANXUSは生徒達の興味津々といった視線に居心地の悪さを感じていた。
一般人とは違うという自覚はあったし、怖がられるだろうとある程度覚悟してきたとはいえ、遠巻きにジロジロと見られてはさすがに気分が悪い。
少し散らしてやろうかと懐を探ったその瞬間だった。
ヒュッ、と銀色の何かが目の前を過る。避けなければ確実に側頭部を直撃していただろう。
「・・・雲の守護者か」
呟いてその人物と対峙する。
「沢田から聞いてはいたけど、まさか並中まで来るとはね。言っておくけど部外者は立ち入り禁止だよ」
「・・・部外者でもねぇだろう。ウチの幹部も今日からこの学校に通っているしな」
「へぇ、何を企んでいるかは知らないけど、並中を荒らすつもりなら咬み殺すよ?」
トンファーを構える雲雀にXANXUSは肩を竦める。
「荒らすつもりはねぇよ・・・ツナを迎えに来ただけだ」
「僕の前で群れないでくれる?」
「・・・ったく、こんなのの手綱を握らなきゃなんねぇとは。ツナも苦労するな」
そうXANXUSが呟いた時だった。
「XANXUS!!」
待ちわびた者の声がXANXUSの名を呼ぶ。雲雀から視線を外しXANXUSはそちらに視線を向けた。
「ツナ」
思ったよりも甘ったるい声音になった自覚がある。視界の端で雲雀が顔をひきつらせたのが見えた。
「XANXUS、もしかして迎えに来てくれたの?」
駆け寄ったツナがキラキラと目を輝かせるので、XANXUSはクツリと笑って頷く。
「ああ。マーモンとベルの様子見も含めてな。ところでツナ、テメェの雲の守護者を止めろ。戦い始めれば俺も手加減できねぇぞ」
「雲雀さんッ!?すぐ帰りますから!トンファーはしまってください!」
ようやく雲雀を視界に入れたツナはトンファーを構える姿に慌てて宥める。
「・・・フン、早く行きなよ。今日は見逃してあげる」
己がXANXUSにケンカを売ればどれ程の被害が出るかがわかっているらしい雲雀はあっさりと引き下がってみせる。
その様子をハラハラしながら見ていた獄寺達はホッと息をついた。
「シシシ・・・命拾いしたな、ここの連中。ボスがキレたら手がつけらんないって」
姫子が口の端をあげる。
「手加減できないって言ってたけど、今のボスならある程度流すんじゃないのかい」
紋太がそう反論すれば、山本があー、と納得の声をあげた。
「雲雀が最初にケンカ売ったみてーなのに、XANXUSの奴、手ェ出してねーしな」
「・・・やっぱ、10代目がいらっしゃるからか」
獄寺の何とも言えない表情に山本は苦笑をうかべる。
「・・・だろうなぁ」
と、その時。
「おい。帰るぞ」
獄寺達の方を向いてXANXUSが親指で校門の外を示す。これ以上ここにいて雲雀に絡まれるのは嫌だと言わんばかりにさっさと行こうとするXANXUSにツナがしがみつく。
「待ってよ、XANXUS!・・・ちょ、早いってば!」
「10代目!待ってください!!」
弾かれるように獄寺が駆け出し山本もそれを追う。
「僕達も行かないと、ボスに怒られる」
「シシ・・・だよね」
紋太と姫子も肩を竦めて互いを見やってから、XANXUS達の後を追った。
「・・・まさか、毎日来るんじゃないだろうね?」
彼等を見送った雲雀の呟きは、どこか諦めにも似た響きだったと後に草壁が証言することになる。