Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~ 作:cibetkato
「お帰りだもんね~!!ツナ~!!」
リビングに入るなり抱き付いたランボにツナは一瞬目を丸くし、それからふわりと笑う。
「ただいま、ランボ」
「おかえりなさい、ツナ兄」
「うん。ただいま、フゥ太」
ニッコリと笑って見上げてくるフゥ太に笑みを向け、それからXANXUSを振り返った。
「2人とも、今日からXANXUSが一緒に住むことになったから、仲良くするんだぞ」
そちらに視線を向けたお子様2人はビシリと固まった。
「・・・あ、やっぱ、衝撃が大きかったかな」
呟いたツナの目の前が暗くなる。視線をあげると、そこには複雑な表情をうかべたビアンキが立っていた。
「・・・ツナ、リボーンから聞いてはいたけど、本当に連れて来たのね」
「げッ、姉貴・・・」
顔を青ざめさせる獄寺の呻き声が聞こえて、ツナは苦笑をうかべた。
「ビアンキ、ただいま。・・・今日はゴーグルしてるんだね」
「ええ。玄関から隼人の声が聞こえて、急いでゴーグルをつけたのよ」
クス、と笑ったビアンキが獄寺に視線をやる。
「まったく、いつまでたっても恥ずかしがり屋なんだから」
((((いやいや、恥ずかしいとか、そういう理由じゃないから!!))))
事情を知る面々が一斉に心の中でつっこむが、ポイズンクッキングの餌食になるのは嫌なので口には出さない。
「ところで・・・リボーンは?」
キョロキョロとリビングを見まわして、ツナは首を傾げた。
「2階の貴方の部屋よ。・・・“イタリア”に連絡をしてるみたいね」
奈々の目を気にしてか“イタリア”とビアンキは言ったが、おそらくリボーンはボンゴレ総本部に連絡を入れているのだろう。
「ふーん・・・“イタリア”ねぇ」
ツナはムッとしたように呟く。
「ツナ?」
XANXUSが不思議に思って声をかければ、ツナは眉間にしわを寄せたまま振り返った。
「・・・リボーンの奴、まだ納得してないんだ」
リボーンが何に対して納得していないのか、そんなことは聞かなくてもわかった。
「フン、いくら黄のアルコバレーノだって、来た者を追い返すなんてことはできねェだろ」
ライバルの小さな抵抗をXANXUSは鼻で笑った。
もうXANXUSは来てしまったのだ。9代目と門外顧問のそれぞれの承認の証が入った命令書を持って。
いくら9代目の寵愛を受ける黄のアルコバレーノ、リボーンでもその決定を覆すことは不可能。それに当のリボーンが言ったのだ。いつかはツナの元に戻り甘やかしてやれと。
「フ、奴もさすがにこんなに早く戻ってくるとは、思ってなかったんだろうな」
ぼそりと呟いたXANXUSをツナが振り返る。
「え?なんか言った?」
「いや、なんでもねェ」
聞こえていなかった様子のツナに対し、XANXUSはそう言ってニヤリと笑った。
「ふぅん。・・・でも、ちゃんと再教育はするからね?XANXUS」
ツナの真剣な視線が向けられて、XANXUSは素直に頷いた。
「・・・ああ」
「なら、良しっと。・・・じゃあ、俺、リボーン呼んでくるね」
「ああ」
ツナがパタパタと2階にあがるのを見送っていたXANXUSは、視線を感じて下を向く。
「・・・なんだ?」
じっと見ていたのはフゥ太。何か言いたげな子どもにXANXUSはしゃがんで目線の高さを合わせてやった。
それはXANXUSにとって自然な行動であり、幼いツナにやったのと同じようにしただけだったのだが、後ろにいたツナの守護者やらヴァリアーの幹部やらが揃って驚愕して息を呑んだのを気配で感じた。
「ツナ兄を・・・いじめたりしない?」
どうやら最初にレヴィが暴走して襲ったことを覚えていたらしい。
「・・・ああ。もう泣かせねぇ」
頷いたXANXUSを見たフゥ太はホッとしたように笑みをうかべた。
「あらあら、本当にXANXUS君ったら子どもの扱いがうまいのねぇ」
のほほんと笑ってそう言った奈々の言葉に、ツナの守護者やヴァリアーの幹部達は心の中で絶叫した。
((((((ありえねぇええええッッッ!!!))))))
「・・・失礼な連中だ」
仰天した様子の彼等にさすがにムッとしたXANXUSだったが、普段の自分の行いからは想像できないことはわかっていた。
だからこそ手を出さなかったのだが、それすらも驚かれていることには気づいていない。
(ぼ、ボスが・・・!ボスが、物を投げてこない!!)
(ボスが大人しいとか、ありえねーし!!!)
特に驚いていたのは、ヴァリアーの幹部である2人だった。
「おい、マーモン、ベル。・・・いつまでそんなカッコしてんだ」
XANXUSが言えば、2人も今更ながらに幻覚で学生になっていたことを思い出す。
「おい、奈々。こいつらの変装を解かせるが、驚くなよ」
「あらあら、変装してたの?・・・わかったわ」
とんでもないことを言われているのに、ニコニコと返す奈々はやはり大物だと思わされる。
「マーモン、やれ」
「・・・オーケイ、ボス」
命じられてマーモンが幻覚を解く。
普段通りの姿を取り戻した2人は、ほぅ、と息をついた。
「やっぱ、こっちの方がしっくりくるな・・・シシシ」
「当たり前だろ・・・」
ニヤリと口元を歪めるベルフェゴールと軽く溜息をつくマーモン。それを見ていた山本が首を傾げた。
「・・・というか、ずっとこっちにいる間アレで学校に来るのか?」
「とりあえずはね。・・・次期10代目の護衛任務も受けてるし」
マーモンが答えると、獄寺は眉間のしわを深める。
「・・・10代目には俺達守護者がついてるのに、護衛かよ」
「まぁ、上からの命令だからね。そっちも逆らったらまずいんじゃないの?」
そう言われれば言い返すことができない獄寺は、ムッとして黙り込む。
「・・・なぁ・・・ツナの奴、遅くねェ?」
そんな空気を破るかのように山本が口を開く。
「・・・確かに遅いな」
XANXUSが頷き、自然と全員の視線が階段の上に向く。
「・・・リボーンさんとケンカ(冷戦)中、とか?」
「まっさかぁ~・・・」
守護者2人が口元を引き攣らせる。
2人の正反対な様子を傍で見てきたからこそ、もしかしてと思わずにはいられない。
「・・・様子を見て来る」
右腕らしく獄寺が宣言する。万が一ケンカ(冷戦)をしていた場合、誰かが間に入らなければそれはいつまでも続くだろう。
「気をつけろよ獄寺。・・・悪くすれば銃弾が雨あられのように飛んでくるぞ」
「ああ・・・弾に当たらねェように気をつける」
まるで戦場に赴くような言葉を交わし、獄寺は2階へとあがっていった。