Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~   作:cibetkato

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ツッくんが行く! 10

 教室では未だに首を傾げるツナに、獄寺と山本が心配そうな表情をうかべながら寄り添っていた。

 

「10代目、どうなさったんですか?」

 

「超直感で何か感じたのか?」

 

「いや・・・その逆なんだ」

 

「「?」」

 

 キョトンとした獄寺と山本を前にしてツナは言いにくそうにしながら答えた。

 

「まったく何も感じないんだ・・・超直感も、気配も」

 

「なっ!?」

 

「マジかよ!?じゃあ、読心術は?」

 

「ダメ。全く感じ取れない。どうしちゃったんだろ、俺」

 

 困惑した様子で呟くツナに獄寺と山本は互いの顔を見合わせる。

 

「どういうことだ?」

 

「XANXUSが何かした、とか?」

 

「それはないと思う。だって学校の敷地内に入る前までは何ともなかったんだ」

 

「学校に来たら急にわかんなくなったのか?」

 

 山本が首を傾げながら問えば是と返って来る。

 

「何らかの攻撃を受けているんでしょうか?“術者”ならできなくもないんじゃ」

 

 獄寺が考えるようなそぶりで言い視線を彷徨わせる。誰かを探しているのは明白だった。

 

「ん。まーも、っとと。・・・紋太がきたら聞いてみようか」

 

「ですね」

 

「だな」

 

 そこに話題に上っていた人物が教室にやってきた。

 

「おはよ、紋太、姫子」

 

 ツナは当人達からその姿であるうちはそう呼べと言われているため、違和感を感じながらもそう声をかけた。

 

「おはよう、沢田」

 

「おはよー、綱吉」

 

 挨拶を返す2人を掴まえて席まで引っ張っていき、ツナは訊ねた。

 

「ねぇ、紋太。俺に何か術がかかってたりしない?」

 

 そう問われた紋太はギョッとして目を瞠った。

 

(いきなり、核心をつくなんて・・・やっぱり沢田は侮れない)

 

「いきなり、どうしたんだい?」

 

 視線を揺らさないように注意深く答えた紋太に、ツナは困ったように返した。

 

「うん。学校に入った瞬間気配とか感じなくなって、超直感も働かないし読心術まで使えなくなっちゃって、隼人が術者ならこんなこともできるんじゃないかって言うものだからさ」

 

「ム・・・確かに何かの術にかかってるみたいだけど」

 

 紋太は内心焦りを覚えながらも、ツナを見つめて溜息をついた。

 

「紋太?」

 

「沢田。今日から必ず僕達か守護者、どちらかの傍にいるんだよ?」

 

「紋太でもこの術は解けない?」

 

「解けなくもないけど、無理矢理解くと変な後遺症が残りそうだからね」

 

「うあ、それはヤダ・・・」

 

 顔を歪めるツナに紋太は頷いた。

 

「だろう?解く方法は調べておくから、その間は絶対に1人にならないこと。良いね?」

 

「はぁい・・・わかったよ」

 

 渋々ながらも頷いたツナはフラフラと自分の席へと戻る。それを心配そうに見やっていた守護者2人に紋太はこっそりと告げた。

 

「獄寺、山本・・・沢田から目を離すんじゃないよ」

 

 言われた2人はコクリと頷き、それぞれの席へと戻っていった。

 

 

 

 ***

 

 

 

「・・・なんとか誤魔化せた?」

 

「多分。超直感も働いてないハズだし、大丈夫だと思うけどね」

 

 ホッと息をつく2人は獄寺の方へと視線を向けた。

 

「ねぇ、紋太」

 

「わかってるよ姫子。・・・獄寺にも手伝わせた方が良さそうだ。ちゃんと口止めしてね」

 

「シシ・・・ますますバレるわけにはいかなくなったし」

 

「バレたその時は9代目と門外顧問に責任を取って貰えば良いんだよ」

 

「シシシ・・・紋太が開き直った」

 

「なんとでも言いなよ。僕だって沢田に睨まれるのは嫌だからね。ただどうやって協力させるかが問題だ」

 

「スクアーロに連絡してスクアーロに言わせりゃ良いじゃん」

 

 姫子が提案すれば紋太はポン、と手を打った。

 

「その手があったか。姫子、後で連絡しておいてよ」

 

「えー。なんで私?」

 

「言い出したのはお前だろう?」

 

「ズルっ・・・まぁいいや。1つ貸しだよ、紋太」

 

 ニヤリと笑った姫子に紋太は早まったかと思ったが、自分がツナに睨まれる不安要素は1つでも排除しておきたくて無言で頷いた。

 

「あーぁ。まさか紋太もオチるとは思わなかったし」

 

 ボソ、と呟かれた姫子の言葉に思わず眉を顰める。

 

「・・・も?」

 

「シシシ・・・綱吉は綱吉が好きな皆のだから。忘れんなよ“マーモン”」

 

「・・・フン」

 

 どうせツナは最終的にXANXUSに掻っ攫われるのだ。ならば少しぐらい他よりも優位に立っても良いのではないかと、そう思い始めた紋太だった。

 

 結局その日は1日中姫子と共にツナを視線で追っていた。

 

 クラスメイトに“ダメツナ”の頃を思い出させるようなドジばかりのツナ。第六感とやらは意外にも生きて行くためには必要な感覚だったらしい。

 

「だんだん、沢田をいじめているような気がしてきたよ」

 

「・・・右に同じく」

 

 事情はどうあれその原因となっている紋太と、それを知りつつ黙っている姫子は良心がズキズキと痛むのを感じ、これを命じた9代目と門外顧問を恨めしく思う。

 

「イイよね。遠くにいて命令するだけの人は」

 

「紋太、それ言ったらマズイって」

 

「イイじゃないか。どうせ姫子が言わなきゃバレないんだし。言わないだろう?」

 

「そりゃ・・・私だって同じ気持ちだし」

 

「・・・何の話だ?」

 

 2人の頭上に影が落ちる。

 

 ツナを熱心に見ていたあまり、背後の気配に気づくのが遅れたのだ。

 

「ご、獄寺・・・と、山本・・・」

 

 ツナの守護者である2人が揃って紋太と姫子を睥睨していた。

 

「コレ、まさかお前らが原因なのか?」

 

「・・・正直に話せ。じゃねぇと、果たす」

 

 ドスの利いた声と肌がチクリとするような鋭い殺気。早々に観念した2人はその計画を素直に獄寺と山本にぶちまけた。

 

「じゃ、これは命令なのな?」

 

「9代目も門外顧問も・・・10代目のことを甘く見過ぎてんじゃねェのか?」

 

 納得した様子を見せる獄寺と山本だったが、怒りの矛先が変わっただけで未だに殺気を放ち続けている。

 

「僕らは逆らうわけにはいかないんだよ。こうなった以上お前達にも協力してもらうからね」

 

 紋太の言葉に獄寺も山本も不承不承頷いた。

 

「しょうがねェ、協力してやる」

 

「でも、ツナの傍にいる方を優先するのな。その刺客の殲滅ってのはついでだぜ?」

 

「構わないよ」

 

「シシ・・・綱吉にバレたら、私たち全員氷漬けか火あぶりじゃない?」

 

 ふと姫子が発した不吉な言葉に、全員が口元を引き攣らせ、全力で聞かなかったことにしたのだった。

 

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