Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~ 作:cibetkato
翌日からツナの周りには獄寺か山本、もしくは紋太と姫子が張り付くようになった。
「ねぇ、狙撃とかならともかく、目の前に敵が現れたんだったら俺も戦えるんだし・・・そんなぴったりと張り付かなくても」
「ダメです!10代目!!」
「そーだぜ、ツナ。気配すらも感じ取れなくなってんだから、背後から襲われでもしたらどうすんだって」
「獄寺と山本の言う通りだよ、沢田」
「シシシ・・・そういうこと」
(うわぁ・・・過保護な人、増えたぁ・・・)
思わずどん引いたツナだったが、それも自分を心配してのことだと悟ると諦めた様子で笑った。
「しょうがないなァ・・・もうちょっとの我慢なんだよね?」
「まぁ、ボスとスクアーロとリボーン、ついでにレヴィが躍起になってるみたいだしね。ほんの数日で片付くよ。そうしたら今まで通りだ」
紋太が答えるとツナは心底ホッとする。
「当たり前のように超直感とか使ってたけど、いざ無いとなると結構不安なんだよねー。ていうか、変な感じ」
「まぁ、気配が感じられなくなったら死活問題なわけだし不安にもなるよねー」
姫子が同意する。
「俺に手を出させたくないのはわかるけど、この方法を考えついたのってXANXUSなの?」
「ううん、9代目だよ。沢田の超直感は百発百中だから完全に封じ込めないと絶対に気付かれるって。まぁ、完全に封じ込めたけど気付かれたし。意味は無かったね」
「まぁ・・・推理すれば、ねぇ?」
頭も決して“悪い方”ではないどころか“天才”の部類に入るツナに下手な嘘は通じないということまで、9代目の超直感ではわからなかったらしい。
「さすがです10代目!」
「ははっ、ツナはやっぱすげーのな♪」
守護者2人が手放しで褒めるとツナは苦笑をうかべた。
「そんな風に褒めないでよ、俺、図に乗っちゃうよ?」
「いえ、本当のことですから!!」
「そうそう。ツナがすげーのは皆わかってんのなー」
「もう、2人とも俺に甘いんだから」
はにかんだツナは可愛らしい。そんなことを本人に言えば男に言うセリフではないとむくれるとわかっている獄寺と山本は、内心で思いっきり悶えた。
そんな2人を見やり紋太は溜息をついた。
「とりあえず状況は悟られても、実際の戦いからは遠ざけてるんだし、良しとしてもらいたいところだね」
「大丈夫だよ。ちゃんと紋太と姫子のことはフォローするから」
「シシシ、約束だよ綱吉」
「うん、約束」
ニッコリと微笑み、姫子と頷き合ったツナは、次の瞬間、ヒクッと口元を歪ませた。
「・・・綱吉?」
「ね、ねぇ、姫子って約束する時の歌って知ってる?」
「へぇ、そんなのあるの?」
興味をもったらしい姫子と指きりしながらツナが歌って聞かせる。
「ゆーびきーりげーんまーん、うーそついたら、はりせんぼんのーます、ゆーびきった。・・・って、歌」
「うっわ、ぞくぞくするね、この歌」
「っぷ、姫子らしー。ふ、くく・・・くふっ」
昨日の微妙な表情でぼそりと呟いたXANXUSを思い出してしまい、ツナは机に撃沈する。
「10代目!?・・・だ、大丈夫ですか!?」
「ふふっ・・・うん、大丈夫。ね、隼人もこの歌知らなかった?」
「・・・ええ、聞いたことありませんでした」
「まぁ、獄寺達はイタリア育ちだもんなー」
「そうだよねぇ、もう当たり前のように歌ってるけど、全く知らない人が聞けば物騒な歌だよねぇ・・・っぷ」
笑いが止まらない様子のツナに不思議そうにしていた獄寺達だが、不意に山本があー、と声をあげた。
「もしかしなくても、XANXUSと指きりやって物騒だとか言われたのか?」
「・・・っ、ぶはー!!!」
言い当てられた瞬間、我慢できなくなったツナは再び笑いが止まらなくなってしまったのだった。
「ボスが沢田家でボケまくって沢田を笑わせてるとか・・・想像できないんだけど」
「シシシ・・・右に同じー」
笑い転げるツナを眺めながら、ヴァリアー幹部2人は何とも微妙な顔でそう呟いたのだった。
***
「ボス、こちらは片付きました」
「こっちもだぜェ!」
「俺の分もだぞ。ったく、どんだけ送り込んでやがるんだ?過激派の連中は」
レヴィ、スクアーロ、リボーンがXANXUSの元に集まり、それぞれの成果を口にする。
「穏健派が強く出ている以上、過激派の反発は収まらねェ。だから、家光とジジィには穏健派を抑えろと言ってある」
XANXUSがリボーンに答えれば、深い溜息が帰って来た。
「ツナの存在をギリギリまで隠してたのがあだになったな」
「う゛お゛ぉ゛いッ!!メンドクセぇぞぉ!!いっそのこと、どこかに集められねェのかぁ!?」
スクアーロがしびれを切らしたように叫べば、XANXUSが眉間のしわを深くした。
「・・・オイ、カス鮫。それは囮を使えってのか?」
「そ、そうは、言ってねェ!!」
機嫌が急降下したXANXUSに、スクアーロは思わず慌てて弁解の言葉を口にした。
「しかし、ツナを囮に使うのはなかなかいい手だぞ」
「おい、アルコバレーノ」
「ヴァリアーと守護者、それに俺がいるんだ、危険はねぇだろう。それにツナ自身だって闘える。アイツは守られるだけのお姫様じゃねぇぞ。第一、XANXUSは一度負けてんだろうが」
“ボンゴレの大空”の性質そのものを受け継いだツナはおそらくこの中の誰よりも強い。きっと、これからは守られるより守ることの方が多くなる。
だからこそ今はツナを守りたい。
その心を否定されたようでXANXUSは不満げな表情をうかべた。
「テメェはそれで平気なのか?」
「俺はアイツのカテキョーだ。甘やかしてばかりはいられねェ」
XANXUSとリボーンの間でバチバチと散る火花に、レヴィはオロオロとし、スクアーロは若干呆れたような視線を向ける。
「う゛お゛ぉ゛いッ!お互いにツナヨシが大事なのはわかったぁ!だから、早く今後の予定を決めやがれぇ!!」
「「ウルセェ!!」」
ズガガガンッッ
XANXUSの双銃とリボーンのリボルバーが同時に火を噴く。
「危ねぇだろうがぁああッ!!」
キッチリと狙いを定めて撃ってきた2人にスクアーロは半ギレ状態で叫ぶ。
「オメェがウルセェのがわりーんだぞ、カス鮫」
「テメェにカス鮫呼ばわりされる覚えはねぇえッ!!!」
「ウルセェって言ってんのがわからねェのか!!このカス!!」
XANXUSは怒鳴りながら思いっきり銃のグリップ部分でスクアーロの頭を殴る。
「~~~~~ッ!!!」
頭を抱え悶絶するスクアーロに苛立たしげに視線を向け、眉間に深くしわを刻む。
「スクアーロにあたるなんてまだまだ子どもだな」
リボーンが鼻で笑う。
「フン、テメェに言われたくねェんだよ・・・赤ん坊」
「呪いさえ解けりゃ、オメェなんぞに負けるか」
再び睨みあうXANXUSとリボーン。
「ワォ・・・凄まじい殺気を感じて来てみたら君たちだったわけ?」
そこに並盛の秩序が現れる。ますます混沌とする中、リボーンはひょい、と片手を挙げる。
「よぉ、ヒバリ」
「やぁ、赤ん坊」
いつものように雲雀と挨拶を交わしたリボーンは声のトーンを落とした。
「ヒバリ、並中の様子は?」
「何人か紛れ込んでたけど、僕が噛み殺しておいたよ」
「そうか。なら問題ねェな」
「問題はあるんじゃないの?・・・沢田はもう全部知ってるみたいだよ?」
雲雀の言葉に、XANXUS達はギョッとして目を見開いた。