Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~   作:cibetkato

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黒曜編 2

「俺は男は診ねぇって言ってんのによォ・・・」

 

 ぼやくシャマルにツナは冷たい視線を送る。

 

「・・・なら保健医になんてなるな。とっととイタリア帰れ」

 

「ボンゴレ坊主・・・おまえ、ちょっと人変わってないか?」

 

 恐らく本気だろうその言葉にシャマルが怯える。と同時に山本がにへらっと笑った。

 

「あはは。やっぱ、ツナっておもしれーのな!」

 

「いや、面白いとかそれ以前に“ダメツナ”をカヴァーしてたことに気付こうぜ?」

 

 シャマルが山本につっこみを入れながら、ツナの表情を伺う。

 

(なるほど・・・自分のせいでこんな事態になったからカヴァーするのを止めたのか)

 

「・・・なに見てる?さっさと獄寺君を診ろ」

 

「へいへい。・・・ほら隼人、傷見せろや」

 

 シャマルの治療を受けている間に獄寺を心配したビアンキが駆けつけると、獄寺は顔を真っ青にしてベッドに倒れ込む。

 

「隼人!・・・この子の看病は私がするわ!」

 

「・・・いや、余計悪くなる気がするんだが。」

 

 シャマルの言葉も尤もだと思う。

 

 が、頑として譲らないビアンキにとうとう折れ、何とかゴーグルを付けて看病するというところまで約束させて、ツナ達は自宅へと戻った。

 

 自宅に戻ると、ツナはおもむろに出かける準備を始める。

 

「ツナ、どこに行くつもりだ?」

 

「わかってるでしょ、先生。奴らのトコに乗り込む。・・・場所は掴んでるよね?」

 

「・・・レオンの尻尾が切れたんだ」

 

「・・・それが、何?」

 

「・・・それだけやべぇってコトだ。レオンの尻尾が切れる時、俺の生徒は必ず危険に見舞われる」

 

 リボーンの言葉にツナは一瞬眉を顰め、それから短く息を吐いた。

 

「だとしても行かないとね」

 

「・・・死ぬ気の炎を素手で扱うには限界がある。零地点突破もそうだ。違うか?」

 

「そうだね。度が過ぎれば手は炭化するかもしれないし、凍傷になるかもしれない。本来、専用の武器に灯してこそ、最大限に扱えるものだから」

 

「死ぬ気弾もレオンがこの状態で作り出せねぇから、あと1発だ」

 

 リボーンの掌に載せられた死ぬ気弾を見て、ツナはクツリと笑う。

 

「じゃあ、肉体強化はあと1回ってことか。・・・できれば六道骸だっけ?そいつのとこまでは使わないでおきたいな」

 

「脱走したのは3人だけじゃねぇが・・・ディーノに調べて貰った限りじゃ常に骸と一緒に動いてんのはこの2人だろう」

 

 そう言って差し出された写真を確認したツナは、見覚えのある顔を見つける。

 

「こいつ、獄寺君を襲った奴」

 

「柿本千種というらしいな。で、この茶髪が城島犬。真ん中が六道骸だと言われている」

 

「・・・ふぅん。そういえばこの柿本ってのが、山本を指して犬の獲物って言ってたな」

 

 ツナが写真を見つめながらそう言えば、リボーンがなるほどと呟く。

 

「こいつら2人でランキングの逆順で並中生を襲っていたようだな」

 

「ということは、やっぱり敵は3人?」

 

「いや・・・念には念を入れたほうがいいだろう」

 

 リボーンの言葉に頷きツナは表情を引き締めた。

 

「それと、今回の件は9代目より鎮圧の命が来ている。・・・失敗は許されねーぞ、頭冷やしてけよ?」

 

「・・・わかってる」

 

 素直に頷いたツナに、意外と冷静だなとリボーンは安堵する。

 

 お前のせいじゃない、と言ったところでツナはそれを認めないだろうし、確かに相手はツナを狙って来ている。

 

 だから、きっとツナは今までリボーンが見た中でも最も強い力を使うだろう。そんなことになれば間違いなくツナの身体が傷つく。それだけは避けたい。

 

 ツナはこれからもっと成長する。今以上に、ボンゴレ10代目に相応しい男に。

 

(俺は、そんなお前の姿を見たい)

 

 自分では気付かぬまま恋焦がれるような視線でリボーンはツナの背を見つめた。

 

 

***

 

 

 そして、ツナ達は骸達のねぐらだという黒曜ヘルシーランドに集結した。

 

 リボーンはもちろん、獄寺や山本、ビアンキの3人が加わって、ある意味賑やかな集団となっていた。

 

「ここ、1回だけ来たことがある」

 

 ツナが呟くとビアンキがツナを案内係に任命する。わずかな記憶を頼りに進むが、記憶とは違うその景色にツナは戸惑う。

 

「おかしいな・・・この辺りにドーム状のガラス張りの植物園があったはずなんだけど・・・」

 

 キョロキョロとあたりを見回すツナを追い抜き、山本が辺りを確認しようとした瞬間、ハッとしてツナが叫ぶ。

 

「山本ッ!!」

 

 山本が振り返った瞬間、何かの影が山本にタックルをかまし、倒れ込んだ場所がガラガラと崩れる。

 

「えっ・・・うわぁあああっ!?」

 

 山本はそのまま落下し、ツナ達は慌ててその中を覗き込む。

 

「山本ッ!」

 

 ツナは、暗闇の中で、起きあがる山本を肉眼で捉える。

 

「ってぇ~・・・な、なんだ、ここ」

 

「おそらく、ツナの言っていたガラス張りの植物園だな。・・・長年ほったらかしにされていて、土砂が積もったんだろ」

 

「・・・って、どんだけだよ!!」

 

 無事な山本の姿を確認して安心したのか、リボーンの言葉にツナがつっこみを入れる。

 

 が、ゾクっと背筋に悪寒が走り、ツナは山本に再び叫んだ。

 

「山本!!気をつけて!!」

 

「ん?・・・っ!?」

 

 山本も自分に向けられる殺気に気付いて、目を細める。

 

「誰か、いるのか?」

 

 山本は背中に背負っていた“山本のバット”を取り出す。それと同時に写真で確認した骸の仲間だと言う2人のうちの1人、城島犬が現れる。

 

 牙を変えることによりその動物の特徴を捉えた姿に変わる犬に山本は苦戦し、“山本のバット”が折られる。

 

「山本ッ!」

 

 このままではやられてしまう、とツナが飛び込もうとした瞬間、リボーンがツナを止める。

 

「待て」

 

(下手に手出しはするな。これも山本の成長になる。山本の考えてることはわかってるだろ?)

 

「っ、リボーン・・・でも、山本は野球の試合が!」

 

 読心術で読み取った非情なリボーンの言葉に、ツナは眉を顰める。

 

「アッ!」

 

 獄寺の声にツナはハッとして下を覗き込む。その瞬間、山本は左腕を犠牲にし、“山本のバット”が変形した刀の柄で犬を殴り倒した。

 

「山本、腕が!」

 

「ハッ、やるじゃねぇか」

 

 獄寺の素直な賞賛に山本がニヤリと笑い、手を振って来た。複雑な思いを抱えたツナは山本が引き上げられるのと同時に頭を下げた。

 

「ごめん!山本!!・・・野球の試合もあるのにっ!」

 

「イイって。この程度の怪我なら試合するのに問題はないし」

 

 ニカ、と笑う山本にツナはホッと胸を撫で下ろした。

 

「・・・良かった」

 

「あ~・・・えっと、わりィ、小僧。バット折れちまった」

 

 後頭部を掻きながら苦笑をうかべる山本に、リボーンはニヤリと笑って新たなバットを取り出す。

 

「構わねーぞ。スペアをやるから」

 

「スペアあんのかよ!」

 

 ツナは思わずつっこんだ。

 

「ふふん、まぁな」

 

 その後、ツナの提案で休憩することになり、テーブルがある場所で山本とビアンキが持って来た弁当を開く。

 

 弁当の用意をしている山本の包帯を巻いた腕を見つめ、ツナは俯いて秘かに溜息をついた。

 

(今回はこの程度で済んだ。でも・・・嫌な予感がする。このまま皆を連れていっても良いのか?)

 

「ツナ」

 

 リボーンに短く名を呼ばれ、ツナはハッと顔をあげる。

 

「何?」

 

「“ブラッド・オブ・ボンゴレ”は何と言ってる?」

 

「それは・・・」

 

 ツナが言葉を紡ごうとしたその時、ポーという音が響く。と同時にビアンキが持っていた毒虫スープが沸騰して爆発した。

 

「うおっ!?」

 

「な、なんだこりゃ!!」

 

「これも、ポイズンクッキング!?」

 

 ギョっとした獄寺と山本。そしてツナが叫ぶとビアンキが首を振った。

 

「違うわ!・・・敵の攻撃よ!!」

 

 再び、ポーと言う音で、今度は山本が持って来た寿司やお茶が爆発する。

 

「!・・・そこか!!」

 

 耳が良く、音の発生源に気付いた獄寺がダイナマイトをそこへ投げつける。派手な爆発音に砂煙。それが収まるとクラリネットを持った少女がその場に現れた。

 

「ふん、だっさい連中。・・・やっぱ、男は金よね」

 

 そう言う少女に獄寺がくってかかろうとすると、それを制してビアンキが前に出る。

 

「聞き捨てならないわね・・・男はねぇ・・・金よりも、愛よ!」

 

 そう言いながらポイズンクッキングで少女を追い詰めて行くビアンキ。

 

 だが、接近戦も得意だった少女がヌンチャクのように分解したクラリネットで攻撃を始める。

 

「ッ!」

 

 クラリネットで殴り飛ばされる直前、ビアンキの仕掛けた攻撃に唯一気付いた獄寺が目を見開く。

 

「危ない!」

 

 割り込もうとした山本を獄寺が止める。

 

「獄寺!?」

 

「・・・もう、触れたんだ」

 

「え?」

 

 獄寺の言葉に首を傾げる山本。そして獄寺の心の中を読心術で読んだツナは、へぇ、と呟く。

 

「・・・これで、おしまい」

 

 ニヤ、と笑った少女がクラリネットを口に含んだその時、クラリネットがポイズンクッキングへと変わる。

 

「きゃぁぁああああッッ・・・な、何よこれぇ!!?」

 

 ポイズンクッキングを口に含んでしまった少女は、悲鳴をあげてその場に倒れた。

 

「・・・す、すげぇな・・・」

 

「あ・・・ああ」

 

 呟いた山本と、頷く獄寺の顔が心なしか青い。ツナも憐れむように泡を吹いている少女を見やり、起きあがってこちらに駆け寄ってくるビアンキを見つめる。

 

「リボーン!!・・・ああ、良かった。起こさずに済んだみたいね」

 

 いつの間にか寝ていたらしいリボーン。思わず叩き起こしたくなったツナだったが、ビアンキを敵に回すのもめんどくさいので我慢した。

 

 敵を倒して安堵したのも束の間、すぐさま次の敵が現れる。

 

 現れた敵は何も知らない京子達を人質に取るという卑怯な手段でツナ達を追い詰めるも、リボーンが手配していたシャマルやランボ、イーピンのおかげで何とか危機を脱した。

 

「ははっ、命じてる本人は弱っちーのな!」

 

「ふん、卑怯ばっかりで大したことねー野郎だぜ!」

 

 山本と獄寺が始末を終え、ツナの元にやってくる。

 

「大丈夫ですか?10代目」

 

「・・・あ、ああ、うん」

 

 頷いたツナがフッと視線をあげる。

 

「!・・・出できなさい!そこにいるのはわかってるのよ!」

 

 ツナとほぼ同時に気付いたらしいビアンキが声を張り上げる。すると、木の影からフゥ太が姿を現す。

 

「フゥ太!」

 

 安堵の為に表情を緩めたツナ達にだったが、フゥ太の様子がおかしいことに気付く。

 

「・・・さよなら、ツナ兄・・・」

 

 決別の言葉を口にして走り去ってしまったフゥ太。それに不審を抱いたツナはフゥ太を追いかけて行ってしまう。

 

「10代目!!」

 

「ツナ!」

 

 獄寺と山本が追おうとしたその時、巨大な鉄球が2人を襲う。

 

「「!!?」」

 

 振り返った獄寺達の前にいたのは、写真で確認した3人のうちの1人・・・今回の事件の首謀者と思われる・・・六道骸、その人だった。

 

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