Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~ 作:cibetkato
並盛中の屋上に照準をあわせていた男は、突如こちらに向かってきた炎の塊に驚き、スコープから目を離した。
その一瞬で。
「ヒッ!?」
炎の塊、もとい“ボンゴレ10代目候補・沢田綱吉”は彼の目の前にいた。
「お前の他に何人並盛に入っている?それから黒幕は誰だ?」
静かに問うツナだが、超死ぬ気モードになっている時の特徴である淡々としたもの言いに、男は震えあがった。
ガタガタと震える男にツナは目を細める。
「・・・全てを正直に話せば、命までは取らない」
「っ・・・は、話す!話します!!だからっ・・・命だけは!!」
平身低頭する男を促し、ツナは情報を聞き出す。
「・・・ツナ」
そこにXANXUSが到着する。
「XANXUS・・・黒幕、わかったよ」
ツナの告げた名は、XANXUSが良く知っている人物だった。
「・・・ヤツか」
そう呟き、眉間にしわを寄せる。XANXUSの機嫌が急降下した証拠だ。
「ざ、XANXUS様・・・」
呻く男に殺気混じりの視線を向ければ、彼はその殺気に中てられて失神してしまう。
「・・・フン、気の小せぇヤローだ。これでボンゴレ10代目候補を狙おうなどというんだから、笑わせる」
「XANXUSに殺気を向けられて、怯えない人なんて滅多にいないんだからしょうがない」
ツナが言えば、XANXUSは首を捻る。
「うちの隊員とツナの守護者、アルコバレーノ、跳ね馬とその付き人は怯えねェだろうが。決して少なくない」
「・・・あのさ、比べる相手を間違ってると思うんだけど」
「そうか?」
「・・・XANXUSってさ、変なトコで天然だよね?」
「・・・・・・そうか?」
「うん」
即答され、XANXUSは微妙な表情をうかべる。
その時、屋上のドアが勢いよく開かれる。
「う゛お゛ぉ゛いッ!!敵はどこだぁ!!」
真っ先に聞こえたのは、やはりスクアーロの叫び声だった。
「・・・シシシ、綱吉とボスがいるんだから、殲滅済みってわかんねーの?」
「・・・はぁ、状況を確認してからものを言いなよね」
そんなスクアーロにツッコミを入れたのは、ベルフェゴールとマーモン。
「カス鮫ウルセェ!もう敵なんざいねェ。黒幕を吐かせた。9代目のジジィと家光に報告だ」
「・・・わかったぜェ!!」
スクアーロが本部に連絡を入れている間、XANXUSは気絶している男を掴み、レヴィに放り投げた。
「留守番中のルッスーリアに連絡入れろ。残党狩りをする」
「っ・・・了解しました、ボス」
男を受け止め、抱えたレヴィはそう言って屋内に入り、ビルを降りて行く。
「XANXUS・・・」
「ツナ、言いたいことはわかるが、俺達の部隊は何をメインにしているか覚えているだろう?」
ツナに名を呼ばれ、その責めるような目を見て、XANXUSは溜息交じりにそう言った。
「・・・暗殺・・・」
ポツリ、と呟くツナに、XANXUSは頷く。
「そうだ。・・・ジジィも家光も、まだツナには関わらせたくないと思っているようだが、もう10代目候補に正式に決まってんだ。少しは慣れろ。
・・・お前の命令次第で、多くの人間が死ぬことを覚えておけ」
「うん。わかってる。俺が継ぐのはマフィアのボスだものね。・・・でも、俺はマフィア界を変えるために10代目になるんだ」
「・・・そう言ってたな」
「・・・だから慣れたりなんかしない」
ツナの強い視線を受けて、XANXUSはクツリと笑った。
「・・・そうか。ツナがそう決めたのなら、俺は何も言わねェ」
ツナの望んでいることは今の自分を全否定することと同じだ。だがXANXUSはそれを許した。
なぜなら、ツナは暗殺を拒絶しても、暗殺をしているXANXUSを拒絶しないからだ。
(それだけで充分だ・・・)
XANXUSはそう思う。己の力はツナの為だけに使うと、命を長らえたその瞬間にそう決めたのだから。
「ありがとう、XANXUS」
ニコリと笑うその顔はまだ幼い。
「俺の役目はツナが理想を追い続けられるように、邪魔する連中を薙ぎ払うことだからな」
「ん」
XANXUSが何のために手を汚すのか、それがわかっているからツナは頷く。
すっかり2人きりの世界に浸っていたのだが、再び屋上のドアが勢いよく開いた。