Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~ 作:cibetkato
「・・・ああわかったぞ。9代目にはきちんと伝えておく」
「うん、頼むね」
「ツナ・・・本当のところどこまで気付いてやがったんだ?」
どうやら殆ど最初から2人の会話を聞いていたらしいリボーンが訊ねると、ツナは肩を竦めた。
「ん?・・・ベルとマーモンが姫子と紋太って名乗って転入してきた時に、ああこれは何かあるなって思ったよ。
XANXUSが微妙な立場に置かれていることもわかってたし、過激派が俺を狙うかもっていう考えもうかばなかったわけじゃない」
「だとよ。・・・ツナの前で嘘つこうなんざ思わねェことだな、XANXUS」
「・・・肝に銘じておく」
歴代ボンゴレ屈指の超直感の持ち主であるツナに、隠し事をしようとすること自体が愚かなのだと理解させられた。
「2人してたそがれないでよー、俺だって不可抗力なの。知りたくなくても知っちゃうの」
ツナが言えば、リボーンもXANXUSも揃って微妙な顔をした。
「・・・不可抗力・・・」
「ツナの場合、その不可抗力がしょっちゅう起こっているワケか」
「なんか、文句ありそうだねぇ2人して」
むくれるツナに、リボーンとXANXUSは素で慌てた。
「文句なんてないぞ、ツナ」
「アルコバレーノの言う通りだ。何も文句はねェよ」
「ただ、反則だなーって思ってるんでしょ?」
バッチリ気付かれている。
あれ程隠し事は通じないと思い知らされていながら、ついついやってしまうのだ。
「「・・・悪かったツナ」」
揃って頭を下げたリボーンとXANXUS。
ツナはそれを見て苦笑をうかべる。
「しょうがないな、もう・・・」
謝ったら許す。そうは言ったがそれは少し違った。謝られると許してしまうのだ。心底反省していることがツナには手に取るようにわかってしまうから、それ以上怒れない。
不便な力だと思いながらも、それがブラッド・オブ・ボンゴレだと言われてしまえば、言い返す言葉も無い。
そんなことを考えていたツナは、リボーンが漆黒の瞳をこちらにずっと向けていることに気付く。
「リボーン?」
「・・・この際だから言っておくぞ、ツナ」
「うん」
「ツナに隠し事ができねェことはわかった。・・・だからツナも隠し事はするな」
「・・・あー、うん、そうだね。そうじゃないと不公平だね」
そんな答えが返ってきてリボーンは嘆息する。
「ったく、俺の読心術まで阻みやがって」
「だってぇ、リボーンって常に俺の心を読もうとするんだもん」
「ツナは俺の生徒だからな。当然だろ」
というか、ぶっちゃけツナが自分に好意を寄せてくる相手をどう思っているかが知りたいのだが。
その思惑に気付いているXANXUSは嘆息する。
「テメェ、それがまかり通ると思ってやがるのか」
「無理にでも通す。それが俺のやり方だぞ」
開き直ったリボーンにXANXUSは一瞬眉を顰め、それからニヤリと笑った。
「なら、俺も俺のやり方を通すぜ?」
何を、とリボーンが問う前に、XANXUSはツナの腰を抱いた。
「ふぇっ!?」
自慢の超直感もこの方面には働かないのか、ツナはギョッとして目を瞠る。
「欲しいもんは力ずくで手に入れる。・・・それが俺のやり方だ。幸いツナは嫌がってねェしな?」
「ッ・・・ビックリしてるだけだろうが!」
「・・・嫌か?ツナ?」
色気たっぷりに耳元でXANXUSに囁かれれば、ツナは真っ赤に頬を染めてフルフルと首を振った。
「嫌じゃないっ・・・嫌じゃないから・・・耳元で囁くのは止めてっ」
「ほら、ツナはこう言ってるぜ?」
得意満面なXANXUSに、リボーンの堪忍袋の緒がプツリと切れた。
「いい度胸じゃねェか・・・俺様の前でイチャつきやがって・・・!」
懐から取り出した愛銃をXANXUSに向けて躊躇いも無くぶっ放す。
「チッ!」
避けたXANXUSの頬に赤い線が走る。ジワリと血がにじんできてそれを見たツナは息を呑む。
「テメェ・・・カッ消す!!」
ツナの腰は抱いたまま、空いた方の手で双銃の片われを掴み、XANXUSは照準をリボーンに向けた。
「~~ッ!・・・ケンカはダメ!!」
一触即発。
それを止めたのは、ツナの叫びだった。
「「!」」
ピタリと動きを止めた2人に、ツナは目にいっぱい涙を溜めてトドメの一言を叫んだ。
「ケンカする2人なんて、大ッッキラい!!」
叫んだツナはプイッ!と2人から顔を背け、自分の部屋に戻ってしまった。
残されたのは零地点突破FirstEditionを受けたかのごとく固まった2人。
すぐには立ち直れない程の大打撃を受けた2人は、翌朝、家光率いる門外顧問チームがやってきても固まったままだった。
「な、なぁ、ツナ・・・?」
「何、父さん」
「アレは・・・どうなってんだ?」
「さぁ?知らない」
息子がとっても不機嫌なことに気づいて、家光はなけなしの直感力(?)が働いた。
「え、えーと、ツナ?なんか、お前に黙ったままで事態を収束させようとして、そのー悪かったな?」
「あー、そのコト?・・・それなら、もう良いよ。父さんも謝ってくれたしね」
奇しくも、前夜にリボーンとXANXUSがツナを怒らせたことで制裁を免れた家光は、ホッと胸を撫で下ろす。
「でも・・・」
その言葉と同時に発せられたツナからの殺気に家光はビクゥッ!と身体を震わせる。
「2度目は許さないからね・・・?」
ガックンガックンと凄まじい勢いで頷く門外顧問を見て、一緒に沢田家について来ていたバジルは、後に、
『親方様を威圧する沢田殿は、笑顔なのに悪魔の如く恐ろしかったです』
と証言し、10代目は怒りのバロメータが振り切れると笑顔になると、ボンゴレ内部で密やかに囁かれることとなったのだった。
おしまい☆彡