Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~   作:cibetkato

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黒曜編 3

 一方、フゥ太を追っていたツナは森の中でフゥ太を見失ってしまう。

 

「・・・フゥ太!・・・どこ行っちゃったんだよ!」

 

 明らかに様子がおかしかったフゥ太。それに嫌な予感を覚えたツナはどうしても探し出し、フゥ太と話をしなければいけないと思っていた。

 

 なかなか見つからないことに焦りを覚え始めた頃、草むらから人影が出て来る。

 

「フゥ太!?」

 

「・・・良かった、助けに来てくれたんですね?」

 

 振り返ったツナの視界に入って来たのは、探し求めていた少年の姿ではなく黒曜中の制服を着た少年だった。

 

「・・・あ、貴方も捕まってたんですか?」

 

 ツナはそう尋ねるが、ブラッド・オブ・ボンゴレが“この少年は危険だ”と警告するのを全身で感じ取っていた。

 

 こちらを攻撃してくる意思は感じ取れないが、読心術も何らかの妨害で使えず、この場に長居は無用だと判断する。

 

「はい。1人でここまで来られたんですか?・・・きっとお強いんでしょうね?」

 

「いえ、他にも仲間がいるんです。・・・赤ん坊なんかもいたりして」

 

「赤ん坊まで!?・・・それは、すごいですね」

 

 “赤ん坊”のキーワードで反応した少年の目がわずかに眇められたことに気付き、ツナは少年が一般人ではないと断定した。

 

「・・・じゃあ、気をつけて逃げて下さいね?もう、向こうには敵はいないと思うので」

 

「君は・・・?」

 

「・・・俺の友人が捕らわれてるんです。その子を助けに行きます」

 

 そう言いつつ少しずつ少年から距離を取ったツナは、クルリと背を向けて来た道を引き返した。

 

 

***

 

 

「・・・クフフ。赤ん坊と言うことは・・・アレはやはりアルコバレーノのようですね」

 

「“骸”様」

 

「ああ、千種。・・・怪我はもう大丈夫ですか?」

 

「はい。・・・どうしますか?」

 

「もう少し様子を見ましょう。・・・それに、彼。見ましたか?千種。ちゃんと距離を取ってから背を向けましたよ」

 

「最初に会った時も俺の針を鞄を盾にして避けました。それに凄まじい殺気を放ったり・・・やはり只者ではないようです」

 

「クッフフフ・・・楽しくなりそうですね」

 

 そう呟いた少年の紅い右目が、妖しい光を放った。

 

 

***

 

 

 森の中を駆け抜けて獄寺達のいた場所へ戻って来たツナの目の前に広がっていた光景は、最も見たくない光景だった。

 

「・・・っ・・・何やってるんだよ!!」

 

 思わず叫び、ツナは獄寺と山本を庇う様に立っていたビアンキの前に駆け寄った。

 

「ビアンキ・・・下がってて」

 

「ツナ、戻って来てくれたのね・・・」

 

 さすがに実力差を感じ取っていたビアンキは大人しく下がり、そしてリボーンに視線を向けて訊ねる。

 

「例えツナでも・・・今回は危ないんじゃないかしら」

 

「大丈夫だ。アイツは・・・ぜってぇ、勝つ」

 

 リボーンは変形を繰り返していたレオンをなんとか銃の形にすると、ツナに向けてそれを構えた。

 

「ツナ・・・思い切りやっちまえ!」

 

 放たれた死ぬ気弾を受けたツナはいつもの通り服を破り捨て、鉄球を投げて来る“六道骸”に殴りかかる。

 

 鉄球をかわし、更には受け止めてしまったツナに、“六道骸”は、己の肉体で戦い始める。凄まじいスピードとパワーに圧されツナは一気に不利になった。

 

「・・・フィニッシュだ」

 

 ツナの頭を鷲掴みにして地面に叩きつけた“六道骸”が呟き、倒れ込んだツナの上に鉄球が落ちて来る。

 

 その寸前、スッと目を閉じる彼に気付きツナはハッと目を見開き・・・鉄球の下敷きになった。

 

「ツナ!・・・リボーン!!」

 

「ふ、心配ねぇぞ、ビアンキ」

 

 リボーンはツナが勝つと確信していた。

 

 ツナはまだ一度も死ぬ気の炎を使っていない。使う必要のない相手なのか、それとも他に理由があるのか。

 

 どちらにしてもツナ自身の意思で炎を使っていないことは明確だったからだ。

 

 そのリボーンの視線の先で鉄球が持ち上がり脇に退けられる。

 

「なに!?」

 

「・・・人を傷つけることを恐れるお前に・・・死ぬ気の俺は倒せない!」

 

 “六道骸”を殴り飛ばし、ギロリと睨み据えてそう言ったツナの言葉に彼の目が見開かれる。

 

「お前はとどめを刺す時に自分の手を使おうとせず鉄球を使った。そのうえ、鉄球が俺の上に落ちて来る前に目を閉じた。・・・人が傷つくところを見たくなかった。そうだろ?」

 

「・・・っ!」

 

 動揺を見せる“六道骸”を死ぬ気モードが解けたツナは眉根を寄せて見下ろした。

 

「・・・おかしいと思ったんだ。貴方からは殺気や闘気を感じなかった」

 

「そう、か・・・ふ、六道骸が、お前を危険視する理由がわかった気がするな」

 

 俯いて呟いた彼の言葉にツナ達はギョッとする。

 

「・・・貴方が六道骸じゃないの!?」

 

 そう尋ねたツナに彼はコクリと頷いた。

 

「ああ。俺は奴の影武者だ・・・」

 

 その言葉を聞いたツナの脳裏に浮んだのは、先程森の中で出会った少年の姿。まさかとは思ったが、そのまさからしい。

 

「どうして、影武者なんて」

 

 訊ねるツナに語られたのは男の壮絶な人生だった。男の人生を狂わせた六道骸の非道な行いにツナは憤る。

 

 男が尚も六道骸について語ろうとした瞬間、背後から襲ってきた針によって男はその場に倒れ込んだ。

 

「っ!?・・・しっかり!」

 

「・・・ぐッ」

 

「しっかりしてっ・・・あ、な、名前をまだ聞いてない!!六道骸じゃなくてちゃんとした名前があるんでしょ!?」

 

「・・・ラン・・・チア」

 

「ランチア・・・しっかりして!ランチアさん!!」

 

「その名で呼ばれるのはいつぶりか・・・。頼む、ボンゴレ・・・奴を、骸を止めてくれ・・・」

 

 最後の力を振り絞るようにそう言ったランチアの身体から力が抜ける。

 

 殺気もなく放たれた針に気付かなかったツナはそれを悔やむが、それよりも先に何とか彼を助けなければと視線を走らせる。

 

「おそらく獄寺が先に受けたものと同じ毒針だ。・・・たぶん解毒剤も奴らが持ってるだろ」

 

 その視線に気付いたリボーンが言えば、ツナはグッと拳を握りしめた。

 

「・・・なら・・・奴らを倒して解毒剤を手に入れる」

 

「・・・ですね!」

 

 ふらり、と立ち上がってこちらにやって来た獄寺にツナは目元を緩めた。

 

「良かった・・・大丈夫?」

 

「大丈夫です。・・・行けます」

 

 実際は歩くのもやっとのハズだった。いくらシャマルが解毒したとはいえその副作用は軽いものではない。更にはランチアとの戦いで体力を消耗している。

 

 それがわかりながらも獄寺の意思を尊重したかったツナは頷いた。

 

「行こう。獄寺君」

 

「ハイ!」

 

 元気よく返事をする獄寺に微笑んで見せ、ツナはリボーンに向き直る。

 

「死ぬ気弾はもう無い。・・・でも俺は」

 

「・・・安心しろ、止めねぇよ」

 

 ツナとリボーンの会話にビアンキと獄寺の姉弟は眉をひそめる。

 

「・・・10代目?」

 

「何でもない。さ、行こう」

 

 ニコリと笑うツナの笑顔を見て、獄寺は不安を振り払うように首を振って、力一杯頷いた。

 

「はい!!!」

 

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