Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~ 作:cibetkato
獄寺と共に骸を探し回りヘルシーランド内を歩いていると、突如毒針が襲ってくる。
「!?」
それを避けて後ろを振り返れば、柿本千種の姿がそこにあった。
「10代目・・・行ってください。俺が時間を稼ぎます」
「獄寺君・・・でも」
「大丈夫です」
「―――わかった。気を付けて」
説得は無理そうだと悟ったツナは苦渋の思いで獄寺にその場を任せ、骸の捜索を再開する。
「さぁ、行くぜ!」
ダイナマイトを構えた獄寺は、千種に向かって突っ込んでいく。
「同じ手は食わないよ」
千種もまた獄寺のダイナマイトを警戒しつつ、攻撃を仕掛けて来る。
それを避けた瞬間、ズキリと身体が痛みに軋んだ。
「っ・・・またっ・・・」
解毒の際に受けたシャマルのトライデント・モスキートの副作用で、激痛が身体中に走る。
獄寺は最後の力を振り絞って千種に攻撃し、敵は沈黙したかのように思えた――が、その時窓の外に人影が映る。それに気付かなかった獄寺は背後から突如襲われた。
「・・・ぐあッ!!」
倒れた獄寺の目の前に現れたのは城島犬。山本に敗北したがどうやら復活したらしい。
「くそ・・・」
万事休す。動かない身体に鞭を打って動かそうとするが思うように動かない。
とその時、黄色い小鳥が獄寺の頭上を旋回する。
“みーどーりたなーびくー、なーみーもーりーのー・・・”
調子外れに歌う小鳥に獄寺はハッとする。
「・・・へっ・・・そういうことかよ・・・」
ニヤリと笑いダイナマイトを取り出し、導火線に火をつける。
「なんだぁ?まだ反抗する気かびょん!」
犬がニヤニヤと笑い見下ろしてくるが、そんなのは関係ない。
「・・・うちの校歌に愛着持ってんのなんて、テメェくらいだ・・・今回はしょうがねぇ・・・譲ってやるよ」
そう言い獄寺が放ったミニボムが脆くなった壁を吹っ飛ばした。
「自分で出られたけどね。・・・まぁ、いい。そこの2匹は貰うよ」
壁の向こうから現れた並盛の秩序は口の端を吊り上げ仕込みトンファーを構えた。
“ヒバリ・・・ヒバリ・・・”
小鳥が頭上を旋回する。
「バーズの鳥を手懐けたのかぁ・・・でも、ボロボロだびょん!」
「・・・さぁ・・・覚悟は良いかい?」
今の雲雀の脳裏には己を好き勝手にボコボコにしてくれた男のことしかうかんでいない。
今目の前にいる邪魔な連中を排除して、とにかくあの男にリベンジをするのだ。
不意に犬が飛びかかる。が、雲雀のトンファーに殴られ外に吹き飛ばされる。
「犬!」
「・・・僕が用があるのはあの男だけだよ。邪魔は許さない」
雲雀は千種が犬から己に視線を戻した瞬間、同じようにトンファーで外へと吹き飛ばす。
それを無感動に見やり、階段を登ろうとしてピタリと足を止めた。そして意識が混濁している様子の獄寺に視線を向け、軽く息を吐いた。
***
一方、ツナは本物の六道骸と対峙していた。
「クフフ。六道輪廻という言葉をご存知ですか?僕の身体にはその全ての冥界を回った記憶が刻まれていましてね?六つの世界から、六つの戦闘スキルを授かったんです」
ギン!と見開かれた右の紅い瞳の中に一の数字がうかびあがる。と同時に建物が音を立てて崩れ始める。
「これは、幻覚か!!」
見抜いたツナに骸が感嘆の声をあげる。
「ほぅ、見抜きますか。・・・では、これはどうです?」
そう言って瞳に三の数字をうかばせる。するとツナの上から毒蛇が降ってくる。
「幻覚?・・・いや、本物!!」
死ぬ気弾を使った後のだるさがまだ残っているツナはこの蛇達をどうしようかと一瞬悩む。
「さぁ、生徒が危機を迎えましたよ?・・・先生は攻撃しないんですか?」
「・・・掟だからな」
「クフフ、マフィアらしいお答えですね」
クツクツと笑う骸に突如何かが投げつけられ、骸はそれを咄嗟に振り払う。
「っ・・・トンファー、だと?」
「10代目!伏せて下さい!!」
その声と共にツナの頭上でダイナマイトが爆発する。その爆風で蛇が吹き飛び、煙の向こうから声がかかる。
「遅く・・・なりました!」
「・・・獄寺君・・・雲雀さんも!!」
そこにいたのは雲雀と雲雀に支えられて立っている獄寺だった。ぱぁっと表情を明るくするツナにリボーンも口元を緩める。
「ふ、こういうことだ。・・・俺の生徒はツナだけじゃねぇ」
「ほう・・・これはこれは外野がぞろぞろと。犬と千種はどうしました?」
「へっ、あいつらは外でノびてるぜ?・・・ま、俺がやったわけじゃないけどな」
獄寺の視線は雲雀の方を向いている。それだけで状況を把握したツナはホッと息をつく。
「よかった・・・」
「・・・借りは返したよ?」
雲雀が呟き、獄寺の身体を放り出す。
「のわっ!?」
(うわ・・・捨てたよ、この人)
思わずこんな状況であるのに呆れてしまったツナは、そのまま骸に殴りかかる雲雀を見つめる。
酷い怪我のせいでいつものキレはないが、骸を圧しているのは確かで。その時骸の右目に一の数字がうかぶ。
現れたのは天井一面の桜。それを見上げて目を見開く雲雀に骸は得意げに言う。
「クフフ・・・さぁ、もう一度跪いて戴きましょうか?」
「・・・雲雀はシャマルのトライデント・モスキートでサクラクラ病にかかってやがったからな」
「なるほど、それで一度は負けて捕まってたんだ。・・・まったく、シャマルも反射的に攻撃するなんてまだまだじゃないの?」
「そう無茶言うな。一度身についたヒットマンの習性はそう簡単には抜けねぇ。・・・ツナほどうまくカヴァーできるのは珍しいんだぞ」
あまりのツナの言いようにリボーンは苦笑する。
圧倒的に雲雀が不利な状況で2人が余裕なのは、雲雀のサクラクラ病への処方薬を獄寺が持っていたことを知っていたからだ。
だから、2人一緒に現れた時点で既に回復しているだろうことが知れて安堵したのだ。
そんな会話をしている間に雲雀のトンファーが骸を殴り飛ばす。沈黙する骸を一瞥した雲雀はそのままふらりと倒れ込んだ。
「・・・こんな重症でよくやるよ」
倒れた雲雀の傷の確認をしたツナが眉をひそめる。
「最後の方はほとんど無意識で戦ってやがった。・・・一度負けたことが余程悔しかったんだろうな」
「雲雀さんって負けず嫌いそうだもんね。・・・で、リボーン。医療班は?」
「もうすぐ到着する予定だぞ」
「クッフフフフ・・・その必要はありませんよ?なぜなら生存者は誰もいなくなるからです!!」
「しぶてぇやつだ。まだ動けるのか?」
復活した骸を睨み、リボーンは呟く。
ツナも身構えていつでも応戦できるようにしていたが、そんな彼らに笑みを見せ、骸は己のこめかみにその銃をあてた。
「・・・では、また後ほど・・・Arrivederci(さようなら)」
パン!と乾いた音がして、骸はその場に倒れた。
「・・・できれば・・・生かして捕らえたかったんだがな」
後味の悪さからリボーンはそう言って骸を見つめ、ツナがショックをうけていないか確認しようと視線を向けた。
ツナは多少顔色は悪かったが、さほど動揺した様子もなくその場にたたずんでいた。
だが、ツナの視線が骸に向いたままこちらを見ないことに気付いたリボーンはハッとして骸へと視線を戻した。