Ciao!~大空の少年と憤怒の青年と黄のアルコバレーノの物語~   作:cibetkato

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黒曜編ラストです~。


黒曜編 6

「生きているんだろう?骸」

 

「クフフ・・・さて、僕の6つある戦闘スキルのうち、まだ1つ使っていないスキルがあることにお気づきですか?」

 

 のろり、と立ち上がった骸からおぞましいオーラが発せられる。

 

「第5の道・・・人間道だな?」

 

「そう。6つのうち最も醜く危険なスキル。・・・この力は使いたくなかったのですが、仕方ありませんね」

 

 強大な力を手にした骸が襲いかかり、ツナは壁に叩きつけられる。

 

「脆いですねぇ・・・ウォーミングアップのつもりだったのですが」

 

「安心しろよ・・・こっちもウォーミングアップだ」

 

 そう言ったツナのグローブには死ぬ気の炎が宿っている。

 

「ようやく、死ぬ気の炎を使うか」

 

 リボーンがツナの本気を感じ取り、ニヤリと笑う。

 

「まるで毛を逆立てて敵を威嚇する猫のようですね、オーラで威嚇したところで怖くもない」

 

「死ぬ気の炎はオーラとは別物だ」

 

「クフフ、では何だというんです?まさか、本物の炎だとでも?」

 

「死ぬ気の炎とオーラではエネルギーの密度が違う。・・・限られた人間にしか見えないオーラと違って、死ぬ気の炎はそれ自体が破壊力を持った超圧縮エネルギーなんだ」

 

「さしずめ、そのグローブは“焼きごて”ということですか」

 

「それだけじゃない」

 

 そう言ったツナは骸に殴りかかり、骸が棒を振り下ろした瞬間その姿が消える。

 

「なっ・・・消えた!?」

 

 目を見開いた骸の背後に現れたツナは、骸の顔めがけて拳を繰り出す。咄嗟にそれを棒でガードした骸だったが、壁際まで吹き飛ばされる。

 

「・・・奴は一体、何をした・・・?」

 

「ふ・・・ウォーミングアップは、まだ終わらないのか?」

 

 笑みをうかべるツナに、骸は悔しそうに表情を歪める。が、次の瞬間、哄笑した。

 

「クク・・・クッハハハ!これ程とは嬉しい誤算です。これならば謀略をめぐらせずともマフィアを駆逐することができる!」

 

「それがお前の目的か」

 

「――これ以上は話す気はない。・・・君には僕の最強形態になって貰う。視るがいい!!」

 

 骸が影を放つ。

 

 それを幻覚と見破ったツナはその幻覚に混じった石つぶてを死ぬ気の炎で振り払い、その噴射の力で高速スピードで移動し骸の背後に再び現れる。

 

 ガードが遅れツナの拳をまともに顔で受けた骸は床に叩きつけられる。

 

「・・さぁ、止めを刺せ。マフィアに捕まるくらいなら、死を選ぶ!」

 

 そう言う骸にツナは目を細めた。

 

 骸は弱ってなどいない。弱ったふりをして己を嵌めるつもりだと直感する。

 

 戦闘中は読心術を使うよりも早く超直感が働く。まさにマフィアのボスになる為の力だと言えるだろう。

 

 初代をはじめ歴代のボス達はその力で最強のボンゴレを築き上げてきた。そして9代目のそれは神の采配とまで言われる程。

 

(奴の企みに乗るのも一興か)

 

「・・・俺に、そんなことはできない」

 

 クルリと背を向けた瞬間、ガッと骸に腕を後ろ手に取られ身動きが取れなくなる。

 

「クフフ・・・その甘さが命取りだ!」

 

 骸に腹部を蹴られ、その衝撃で壁へと吹き飛ばされる。

 

「飛ばされる先を見るがいい!!」

 

 その言葉に後ろを向けば、先程千種の手から弾き飛ばした三叉の剣の部分が壁から突き出ている。

 

「空中での回避は不可能!・・・君は、そのくだらぬ優しさで己を失くすのです!」

 

 ツナはその壁を冷静に見やり、フッと息をついた。そして、手を壁の方向に向けると炎を逆噴射した。

 

「なっ・・・炎を逆噴射だと!?」

 

「死ぬ気の炎の推進力を使った高速移動だぞ」

 

 リボーンの言葉に、骸はようやくツナが突如背後に現れたカラクリを知る。

 

 ツナは逆噴射を利用してそのまま骸に突っ込み、骸の顔面を鷲掴みにしてそのままステージまで突っ込んでいく。

 

 その間に炎が骸の邪気を浄化し、骸はステージの下に叩きつけられ昏倒した。

 

「・・・ふぅ・・・」

 

 炎を収めたツナは深く息をつく。

 

「ご苦労だったな、ツナ」

 

「みんなの怪我は?」

 

「大丈夫だ。ボンゴレの医療班が到着したぞ。・・・ランチアの毒も持って来た解毒剤で間に合ったそうだ」

 

「良かった。・・・それに、骸もなんとか死なせずに済んだしな」

 

「ふん・・・甘い奴だ」

 

「一々敵対する奴らを根絶やしにしていたらキリがないだろ。それに、悪いのは骸じゃない」

 

「・・・記憶を読んだのか?超直感も加えて、最早読心術どころの騒ぎじゃねぇな」

 

「まだまだコントロール出来てないのが悔しいけどね・・・それにしてもマフィアの闇は根深いな。俺がボンゴレを継いだら徹底的に洗い流してやる」

 

 あっさりと言ってのけたツナだが、そう甘くないことを知っているリボーンは眉根を寄せた。

 

(あっさりと言ってくれる。だが不思議だな、こいつならば――そう思わせる何かをツナは持っている)

 

「骸さんに・・・近づくんじゃねぇびょん!!」

 

「マフィア風情が・・・知ったような口をきくな!」

 

 犬と千種が床を這いツナ達に向かってくる。骸に身体を乗っ取られ利用されていたにもかかわらず、その忠誠は変わっていない。それは彼等の生い立ちに所以があった。

 

「エストラーネオファミリーの人体実験」

 

「「!!」」

 

「多くのマフィアから危険視されたエストラーネオファミリーの幹部達が暴走し、ファミリーの子ども達を集めて人体実験を繰り返した。お前達3人、いや、骸はそんなファミリーを全滅させ、お前達を供にと選んだ」

 

 呆然とする犬と千種に向かい、ツナは厳しい視線を向けた。

 

「お前達の生い立ちには同情する。だがお前達に俺の大切な人達を奪う権利なんてない!・・・お前達だってそうやって大切な居場所と定めた骸を奪われることを厭うクセに、マフィアだからといって他人のモノを奪うのか?」

 

「「っ・・・」」

 

「マフィアの血みどろの闇は俺が全て暴いてやる。どんなに痛みを伴うものであったとしても・・・いつか、全てを清算してみせる!!」

 

「・・・ツナ」

 

 そんなことを考えていたのかとリボーンは驚愕する。そして再び思うのだ。ツナならば・・・と。

 

 呆然とツナを見ていた犬と千種だったが、突如現れた謎の人物達の放った鎖に捕らわれてしまう。

 

「なっ・・・なんだ!?」

 

 ツナが目を見開く。一般家庭で過ごしてきた為、さすがに彼等の存在を知る術はなかった。

 

「アレは復讐者(ヴィンディチェ)。掟を犯したマフィアを捉えるマフィア界の番人だ」

 

 リボーンの説明にツナは眉を顰める。グイグイと鎖を引っ張り捕らえた骸や犬、千種を引き摺って行く。

 

 ツナはその行為を止めようと口を開きかけ、超直感が全開で奴らに逆らうなと訴えていることに気付いて口を閉ざした。

 

「復讐者(ヴィンディチェ)・・・恐ろしい存在」

 

「俺達マフィアの世界は甘いもんじゃねぇ。・・・あいつらは厳しい罰を受けることになる」

 

 リボーンの言葉に頷き、ツナは3人が消えた扉を見つめる。

 

「それでも・・・俺は」

 

「ツナ・・・」

 

 泣きそうに表情を歪め瞼を伏せたツナを見て、リボーンは何も言えなくなる。

 

「お待たせしました!怪我人は!?」

 

 復讐者(ヴィンディチェ)と入れ替わるようにしてやってきたボンゴレの医療班に、ツナは顔をあげる。その瞳には先程までの悲哀の色は無く、次々と運び出される仲間達の安否を気遣う色になっていた。

 

「・・・っ・・・痛ぅ!?」

 

 と、突然ツナが膝をつく。

 

「小言弾の副作用だな・・・やれやれ。もっと鍛えないといけねぇな」

 

「っう~、仕方ないってばッ!・・・フルパワーで戦ったんだよ!?」

 

「その割には、全然使いこなせてなかったみてぇだけどな」

 

「うるっさいなぁ!!初めて自分のフルパワーを知ったから、力に技術と体力が追い付いてないの!!・・・っててて・・・全身筋肉痛だよ!!」

 

「まぁ、9代目からの指令もクリアしたことだし・・・俺も眠い・・・しばらくはゆっくりするか」

 

 床に転がってしまったツナに寄りかかり、リボーンは目を閉じた。

 

 この先否応なしに訪れるだろう戦いの予感をひしひしと感じながら・・・。 

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