簪とのありふれた日常とその周辺   作:シート

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アキブレでスクール水着の簪が出てきた時は感動した

後、もう少し学生時代の話も書きたい今日この頃です


簪達とIS学園のプールを

「プール入りたくねぇか?」

 

 一夏がまた突拍子もないことを言い出した。

 無視する。ここで相手をすれば折角今生徒会室でしている生徒会の仕事が止まる。

 同じくメンバーである簪も無視。このまま相手しなければいいが、そうは問屋が卸さない。反応してしまう奴はいる。

 仕事が回されず一人暇していた本音が喜々として食いついてしまった。

 

「おープ~ルいいね~! 今年からこの時期の体育、プールになったもんね! 楽しいよ~!」

 

 一夏がプールの話題を出したのはこれが関係しているだろうな。

 IS学園は一年生であらゆる基礎を学ぶと二年生からは本格的且つより専門的にISについて学ぶ。

 それは操縦科、整備科に別れるISの分野だけでなく一般教科においても言える。

 本音が言ったように今年からこの今の時期だけ体育の授業内容がプールになった。基礎体力の向上だとか多次元的な動きを学ぶ為だとかいう学習目的らしい。

 

「いいよぁ、プール。男子だけ別で自習……模擬戦だし」

 

 体育の時間、男子はプールではなく別に自習。自習という名の模擬戦漬け。

 そうなった理由はまあ、言うまでもない。

 

「ってことでプール入りたくねぇか?」

 

 同じことをまた言ってきた。

 しかも、今度は明らか簪と俺を見ながら。

 本音が食いついてしまった以上、無視したところでガンガン絡まれる。ここは一言で済ませる。

 

「別に入りたくない」

 

 奇しくも簪と言った言葉が重なった。

 

「こんなところまでカブるなんてかんちゃん達ラブラブ~! ひゅーひゅー!」

「茶化さない。私は授業でプール入ってるから別に必要ないもの」

「あーそれは一理ある。だったら、お前はなんでなんだよ。俺と一緒に模擬戦漬けだろ」

 

 別に深い理由はない。

 一夏みたいに連日猛暑が続いているからプールにでも入ってさっぱりしたいというのもない。IS学園はどこにも空調が行き届いていて快適。

 女子がプールに入って体育の授業を受けている間、男子は模擬戦漬けなのもそれはそれ。中学では男女別々だった、女子がプールの時男子は体育。 俺達二人だけに授業の時間を割けない。

 むしろ、機体を動かす時間が増えたのはありがたい。

 一夏も俺も一応納得していたはずだ。

 

「それはそうだけどさ……やっぱり、入りたいじゃんかプール」

「だったら、本島にあるウォーターワールドに行けばいいでしょう? 本音と二人で」

「かんちゃん、つれな~い! 生徒会の皆で行こうよー!」

「皆で行かないと楽しいものも楽しくないだろ。というか、この時期あそこいつも混んでるっぽいから行くなら人数多いがいいしな」

 

 何にせよ目の前の仕事を片付けないことには始まらない。

 

「そうだけどさぁ……プール……」

 

 諦めきれない一夏がぼやいた時だった。

 

「その願い、私が叶えてあげましょう!」

 

 聞き覚えのある声がした。

 反射的に振り向くとそこには見覚えのある姿があった。

 

「この更識楯無に任せない! 私にいい考えがあるわ!」

 

 生徒会室の入り口に凭れながらいたのは楯無さん。

 口元を隠すように開かれた扇には『奇策名案』の文字が。

 ああ……何だろう……。

 

「どうせまた変なことを」

 

 奇しくもまた簪と言った言葉が重なった。

 もうお互い苦笑いしするしかない。

 

「妹も弟も冷たいわね~折角、頑張ってる可愛い後輩たちにご褒美もってきたのに」

「ご褒美!?」

 

 また本音が食いついたのは、そして一夏もだった。

 

「まあ、便宜上は仕事なんだけどね。ほら、第二プールの整備点検が終わったでしょう?」

 

 第二プールは業者が入って整備点検が行われていた。

 

「実際にプールに入って問題ないか確かめましょう! パーッと遊んでね!」

「おお! 流石、楯無さんだぜ!」

「私達に出来ないことを平然とやってのける! 痺れる!」

 

 大盛り上がり。

 ちょっと待ってほしい。いいのか、そんなことをして。

 

「問題ないわ。ほら」

 

 楯無さんがつき出してきたのは一枚の書類。

 そこには第二プールの使用許可が書かれており、使用目的は整備点検後の安全性の確認。メンバーは楯無さんを入れた俺達の名前が書かれており、きっちりと学校側の許しを得た印まで押されている。

 

「本物だよね……偽造じゃない」

「酷くない? 折角、ご褒美貰って来たのに。まあ、いいわ。ということで新しいお仕事よ! おもっきり遊びましょう!」

 

 何だか矛盾したことを言ってる。

 

「うわぁっ! ちょ、ちょっとっお姉ちゃんっ!」

「善は急げ。さっさとプール行くわよ!」

 

 動こうとしない簪と俺にじれったくなったのか楯無さんは俺達二人の手を掴んで連れていこうとする。

 まだ仕事が残ってるんだが。

 

「急ぎの仕事じゃないでしょ? 早く仕事を終わらせるのも大事だけど息抜きも仕事のうちよ」

「そもそも着替えの水着が!」

「心配ご無用! 簪ちゃんの水着だとかは本音ちゃんに持ってきてもらうし、一夏君や弟君の海パンは私の方で用意したから問題なし! この更識楯無に抜かりないわ!」

 

 左様で。

 

「では、ゆくぞー!」

「おおっー!」

 

 簪と俺は本音と一夏それぞれにもう片方の腕を掴まれ逃げ道を掴まれたまま連行されていく。

 ここまで来たらどうしようもない。

 流れに身を任せるしかしかない。プールだけに。

 

「上手い……人生、諦めが肝心な時もあるからね……」

 

 そのうち簪と俺は考えるのをやめた。

 

 

 

 

「IS学園のプールってこんな感じなんだな」

 

 海パン姿で一夏は物珍しそうに辺りを見渡す。

 無理もない。

 あの後着替えて第二プールへとやってきたのだが、ここは勿論IS学園のプールそのものに来るのは初めてだ。

 

「流石IS学園って感じだよな。綺麗で何か豪華っぽいしよ」

 

 言ってることは漠然としているが言わんとすることは分かる。

 ここにも金がかけられているのが見ているだけで分かる。

 最新鋭の多設備が充実して、水温は自由自在に調節可能。オマケに天井が開閉式だ。

 

「皆来るまで準備体操しとかないとな」

 

 そう言った一夏と準備体操をしながら簪達がやってくるのを待つこと数分。

 

「おーまたーせ~」

 

 本音を先頭に簪達がやってきた。

 

「おおっ」

 

 感心した声をもらす一夏の視線の先には本音。

 本音の一部分に一夏は釘付けだ。目立つから目を奪われるのも無理ないが見すぎだ。

 オマケに鼻の下伸びてるぞ。

 

「や~ん、おりむーのえっち~」

「なっ!?」

「一夏君もちゃんと男の子よね」

「た、楯無さんまで……お前なぁ」

 

 抗議の視線が一夏から向けられたがどこ吹く風で躱す。

 

 俺が視線を向けるのは簪。

 本音や楯無さんと同じく学校指定の黒いスクール水着を身に纏っている。

 何度か見たことはあるが本当に何度か程度なので新鮮でいいな。しかし、簪は見られ慣れてないのか照れくさそうにモジモジとしている。可愛い。

 

「そ、そういう可愛いはいらないからっ。まあ、その、ありがとうっ……」

 

 こういう簪を見るのは久しぶりかもしれない。

 この点については楯無さんに感謝しなければ。

 

「もうっ、そこはすぐイチャイチャしないのっ。準備体操したら遊ぶわよ! 浮き輪にビーチボール持ってきてるんだから」

 

 本当にビーチボールに浮き輪などいろいろ持って来てある。

 相変わらず用意いいな。

 

 簪達も準備体操を終わらせると早速プールに入っていく。

 肌に感じる水は冷たい。ぞわっとするこの感覚懐かしい。

 簪に手を差し伸べ杖代わりにしてもらう。

 

「ちゅめたっ」

 

 足先から水につけて簪は肩まで入るとぶるっと身を捩った。

 冷たいがわりとすぐに慣れてきた。水温調節が効いてきたんだろうか。

 生徒会室も涼しくて快適だったがプールはまた違った涼しさと快適さがある。

 

「ん……気持ちいい。プールでゆっくりするの久しぶり」

 

 簪は仰向けでプールに浮かびながらそう言う。

 俺も同じように簪の隣で浮かぶ。

 授業で入るプールはゆっくりできないのか。授業だから当たり前と言えば当たり前だが自由時間あると簪から以前聞いた事がある。

 

「ここのところ担当の先生、織斑先生だから」

 

 すべて理解した。

 基本的に時間いっぱいに授業をするのが織斑先生。

 結構ハードな為、授業終わり10分自由時間があってもヘトヘトで遊ぶどころじゃなくなる。それでも人気があるのだから、織斑先生は凄い。

 

「山田先生とか他の先生だと皆ふざけたり遊んだりしちゃうから丁度いいのかもね」

 

 飴と鞭みたい、正しく。

 

 二人で並びながらぷかぷかと浮かびプールを漂う。

 別に別に流されてはぐれないように手を繋ぎながら。

 思えば、プールをこんな少人数だけで入ったの初めてだ。

 レジャーランドは勿論、学校のプールなんてまさに。

 

「ちょっぴり特別な感じだよね」

「そう言ってもらえるのなら連れてきた甲斐あるわ」

 

 いつの間にかぷかぷか浮かぶ俺達の頭上に楯無さんがいた。

 上から覗き込まれるとビビる。そうも笑みを向けられると余計に

 というか、頭掴まないでくれ。離してほしい。

 

「ふふっ、だ~め。妹も弟もお姉ちゃんほっといてイチャイチャするんだから」

「じゃあ、あれはいいの……」

 

 簪が何かを見ながら言った。

 何かとは一夏と本音達以外いないし、騒いでいるのが聞こえてくる。

 頭を離してくれたので身体を起こして、簪が見た方向を見てみる。

 

「あはは~おりむ~こっちこっち~」

「待て、待てえ! アハハ~!」

 

 泳いで追いかけ合いっこをしていた。

 また何ともというか。

 

「ね……こってこてというか」

「いいじゃない、二人が幸せそうなら……うん」

 

 楯無さんの顔には疲れが見えたな。

 

「逃げてきたんだ……」

 

 簪と同じことを言った。

 まあ、あの二人体力無尽蔵だからな。

 軽い気持ちで付き合うと結構な確率で地獄を見る。ソースは簪と俺。

 

「そ、そんな目で見ないでよもうっ! さあ、簪ちゃん達もたくさん遊ぶわよ!」

 

 バシャと波打つ水面。

 プールの水を顔面にかけられた。

 

「あははっ、いい顔になったわよ!」

「大丈夫!?」

 

 心配してくれる簪と楽しそうに笑う楯無さん。

 いいだろう。相手になってやる。

 

「ぷはっ! やったわね! この更識楯無容赦しないわ! ほら、簪ちゃんも!」

「ちょっ! もう、お姉ちゃん! ひゃん!? あなたまでちょっ! あはははっ! やめてやめてっ、冷たいって!」

「あら? 簪ちゃん、更識の女がやられっぱなしでいいのかしら?」

「言ったねお姉ちゃん、後悔しても知らないから! あなたもずぶ濡れにしてあげる! えいえい、えいっ! あはっ、ふふっ!」

 

 何だかんだ嬉しそうに笑って簪も楽しんでくれた。

 その後一夏と本音も合流して、ビーチボールで遊んだり、誰が一番早く泳げるのか競ったりしてIS学園のプールを満喫したのだった。

 




一夏と本音カップル出してダブルデート的なノリをしようとしたら
いつの間にかスクール水着簪可愛い!最高!で書き終えていた件について
恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
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