簪とのありふれた日常とその周辺   作:シート

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あなたと過ごすありふれた午後

「ふぁ……っ」

 

 口元に手を当て、欠伸を噛み殺す。

 相変わらず授業は退屈で、気を緩めると居眠りしそう。眠気を感じているのは、私だけではないようであたりに目をやると、居眠りしてる子すらいる。それを見てると、何だか私まで本当に居眠りしてしまいそう。いけない。

 眠気と戦いながら授業を受けること二限。ようやく授業、そして今日一日の学校が終わった。

 

「ん、んっん~……はぁ」

 

 体を伸ばすと、ドッと一日の疲れが押し押せた来た感じがする。それと座学が続いたせいか、体を伸ばすと体のあちこちが少しが痛い。でも、開放感を感じることが出来て、私はそれが好き。

 周りもそうみたいで開放感からか騒がしくなる教室。それを横目に彼へと終わったことを告げるラインを送る。すると、向こうも終わったらしくすぐさま返事が来た。それを見て私は、クラスの子達に別れの挨拶をして、教室を出る。

 

「あっ……お疲れ」

 

 廊下に出ると迎えに来てくれた様子の彼とすぐに会うことが出来た。

 そしてそのまま放課後の予定である訓練を一緒にする為、その場所へと迎う。今日はいつもの外での訓練ではなく、室内での訓練。途中、お互い一旦更衣室に行って制服からISスーツに着替えると、シミュレーター訓練をしにシミュレータールームへと行く。

 

「すみません。シミュレーター訓練を申請をしていた者なんですけど」

 

「はい。では、お名前の確認と申請書類の提示を」

 

 担当の人にそう言われ、私達は受付をする。

 受付を済ませると、宛がわれたそれぞれのシミュレーター機の中へと私達は入る。

 

 球体状のドーム内に設置され、様々なアームで固定された打鉄と同じ姿をした機械。

 これがISのシミュレーター機。IS操縦者に比べて絶対数が少ないコア、機体数を補うためにこれの雛形を開発者篠ノ之博士がじきじきに開発したらしい。

 ISを扱う多くの国や様々で機関などで最新型のシミュレーターは活用されており、IS学園でも非常に数多く設置されている。学園にあるシミュレーター機は訓練機と同様の打鉄タイプとラファールタイプの2種類あり、私と彼が選んだのは打鉄タイプ。

 基本的に専用機持ちは学園のシミュレーター機を使わない。その理由は単純明快で最適化による機体の設定の違いや、兵装の違いなどから使うことを避ける。

 ただ、私と彼の専用機は打鉄の後継機と同系機。特殊兵装が使えないという差異はあるけど、それでも操縦系統や操縦感覚は打鉄と大体同じなので操縦するのに大きく差し支えるような問題ない。

 

「よいしょ、っと」

 

 ヘッドマウントディスプレイを被り、シミュレーター機を装着すると、システムが立ち上がる。

 

『スキャン完了。VRシステム正常に起動。シミュレーターシステムスタンバイ』

 

 システムアナウンスが聞こえ、手元のコンソールを操作し、彼と通信する。

 

「準備できた。設定はどうする?」

 

 彼とシュミレーションの設定を再確認しあい、細かな調整をしていく。

 準備完了。機体がアームに持ち上げられ、いよいよシミュレーションが始まる。

 ヘッドマウントディスプレイに映し出されたアリーナの仮想映像。そこに彼の機体も映し出されていた。今日訓練内容はシミュレーター機を使った模擬戦。いつもの手合わせをシミュレーション機でやる。

 

「じゃあ……行くよ」

 

 彼の応答も聞こえ、ISの実機を動かす感じで操縦する。

 模擬戦が始まった。

 通常加速で彼との間合いを詰めながら、手に持ったアサルトライフルを放つ。 

 シミュレーター機なので実際に機体が前後左右に動いているわけじゃない。機体そのものその場で動いているだけだが、ドームの機体を繋ぐアームによって動きを再現している。

 武装もまた実際に持っているわけじゃない。アームにかかる圧力によって感触を擬似的に再現して、実際に持っているような感覚にさせてくれる。

 

「ッ……! はぁっ……!」

 

 迫りくるアサルトライフルの弾幕と日本刀を模した近接用ブレードから放たれる数多の剣撃。

 それを私は、スラスターを駆使し、最小限の動作でギリギリの間合いの回避を試みる。

 大きな直撃は避けられた。けど、全部避けられたわけじゃない。シールドエネルギーは割と多めに削られてしまった。彼の今の攻撃は中々際どいいい攻撃だった。

 

 彼は、ほぼ毎日時間を決めてかなりの自主練をしている。ISは知識や技術はもちろんだけど、稼働時間を重ねることがとても重要。今回みたいなシミュレーション訓練は話が別だけど、訓練は必要なこと。そして男性でありながら、ISを動かせるから彼は今こうしているけど、彼は元々一般人。男子は女子の様にISについて学ぶことを義務付けられてないし、何よりIS操縦者になる為の訓練を昔から受けているわけじゃないから、IS学園についていく為により自主練が必要になる。

 彼は正直、そこまでISでの戦闘が強いわけじゃない。あえて表わすのなら、操縦科の一般生徒以上、平均的なクラス代表よりちょっと上といったところ。だからって単に弱いわけでもない。最近では、代表候補生や国家代表といった私やお姉ちゃんですら、肝を冷やされる鋭い攻撃をよく打ち出すようになってきて、結果もちゃんと出ている。

 彼はそれに満足して止まるのではなくストイックに、そして時にはちゃんと人に教えを請い話を聞いて、ただ真剣に訓練と努力を重ね続けている。その姿はまるで求道者のようで、その様子を間近で見ている私はただ純粋に凄いと感じる。

 そして同時に尊敬すらしている。私も負けていられない。こんなにも頑張ってる素敵な彼氏がいるんだ。彼の様にもっともっと頑張らないと。彼とこれからあるだろう険しい道を共に進んでいく為にも。人は諦め続けない限り成長できると身をもって知ったのだから。

 ちなみに今日のシミュレーターによる模擬戦の結果は、十戦中私の七勝三敗という結果に終わった。

 

 

 

 

 二時間以上の訓練を終えると夕日が沈んで外はすっかり真っ暗。

 時間を確認すれば、夜の十八時過ぎ。夕食の食堂が開放されるのは十九時。

 それまでちょっとだけ時間があるので私は、彼の一人部屋で彼と一緒に時間を潰していた。

 ベットの上で寝転びながら二人一緒に、撮り溜まっていた日曜の朝にやってるスーパーヒーロータイムの某二番組を見る。

 その間、特にこれといった会話は相変わらず少ない。たまに感想をぽつぽつと言いあう程度。二人揃って静かに見る。

 もっとも、私も彼もそこまで真剣に見ているわけじゃない。むしろ、番組を見るのは片手間の暇を潰す程度で、私達は……その、イチャついていた。

 今更恥ずかしがるほど初心なつもりじゃないけど、人目がない部屋でイチャついていると思うと恥ずかしいものがある。その恥ずかしさと人目がないからこそ、イチャついているということを返って意識しているのかもしれないけど。

 

 ちなみにイチャつくと言ってもキスしあっているわけじゃない。

 テレビを見ながら、うつ伏せで寝転がっている彼の上に私もうつ伏せで寝転がって抱きつく。

 

「重くない……?」

 

 抱きつく何ていうのは綺麗な表現。

 彼の上に乗っかっているのだから、私の体重が彼に全部かかっている。体を彼に預けているのだから尚更。

 ふ、太ってないから重すぎるってことはない、はず。多分。IS操縦者として、何より彼に見られても恥ずかしくないように体系の維持は頑張っている。もっと、よくなろうとだってしている。

 でも、人間としての重みは当然あるわけで……なんて乗っかといて今更なことを考えてしまうけど、彼は「んー」と応えるてくれるのみ。「うん」の派生系の言葉なのは分かるし、声色からして苦しがっている様子は感じられない。

 私が返事に少し納得してないことを察したのか彼は丁度いい重さだと言ってくれて、私は凄く安心した。別に重くないだとかありきたりな言葉が聞きたいわけじゃなかったから。そういうの大体お世辞だし、重いものは重いとはっきり言ってほしい。はっきり過ぎてもそれはそれで逆に困るけど。

 でも、これで気兼ねなく彼に密着できる。私は、ぎゅっと抱きついた。すると、彼もお返しの様に足を絡めてくる。

 

「えへへ……」

 

 彼の首筋、うなじに鼻先を当てる。

 すると、彼の匂いがする。臭いなんてことはない。訓練の汗を流した後だからなのか、シャンプーやボディソープの匂いがほのかにして、それと彼の体臭が混ざった匂いを感じる。すごく好きないい匂い。とても安心する。そして、ドキドキもする。

 だからなのか思わず、口元がニヤけて笑ってしまったみたいで、彼に変態だなとからかわれてしまった。

 

「ち、違っ! うくは……ない、です……ぅぅっ」

 

 とっさに否定しようとしたけど、図星で否定しきれなく、凄い間抜けなことを言ってしまった。

 恥ずかしい。顔が熱い。

 そんな私の様子を知ってか、楽しげにフッと柔らかく笑う彼。それは反則だよ。間抜けなこと言ってしまったし、変態なのを認めてしまったようなものだけど、だからって笑わなくてもいいのに……。

 でも、変態でも今はいいや。彼の匂いを感じることが出来て、彼とこうしていられるのなら。

 そうこうしていると番組が終わり、私はある変化に気づいた。

 

「寝て、る……?」

 

 ふと彼の様子を伺うと、寝息らしきものが聞こえてきた。

 起さないようににそっと彼の上からおり、横に並んで見てみると、思ったとおり寝ていた。

 きっと疲れていて、ぼーっと見てしまっていたから、眠くなってしまったんだろうな。

 今日といい、毎日朝早くから夜遅くまで訓練や勉強を頑張っているから、寝ちゃっても仕方ない。

 食堂が開放されるまで時間は長くはないけど、ギリギリまでゆっくり寝かしといてあげたい。

 

「可愛い……」

 

 寝顔を見つめていると、そんな感想がふとこぼれた。

 相変わらずうつ伏せのまま器用に寝ているけど、顔は横向いていて、寝顔がよく見える。

 よっぽど疲れていて自室なのもあってか、彼はとても無防備な寝顔で寝ている。

 普段の彼は、人前でこんな表情しないから、何だかこんな寝顔をする彼が寝顔も含めて可愛くて愛おしい。この寝顔を今私だけが見れて、独り占めできていると思うと何だか得した気分。ちょっとした優越感。

 可愛いだなんて起きている時に彼に言ってしまえば、もしかして拗ねるかもしれないけど、本当に可愛い。それは否定しようのない事実。

 彼の寝顔を堪能しながら、起さないように頭を撫でていると、気づけば私は寝ている彼にキスをしていた。

 

「ん……」

 

 頬にするべきだったかもしれないけど、無意識のうちに引き寄せられるように唇の方へとしていた軽く触れ合うだけのキス。

 とても簡単なものだけど、今はこれで充分。というよりも、これが精一杯。

 普段、彼とはキスするけど基本的に場の雰囲気がいい感じになってどちらかともなくってのが多い。そうでなければ、基本的に彼から。私は受け身なことが多い。

 ただ受け身なだけじゃなくて、私からもキスできればいいんだけど、交際期間が長くても、いざ自分からとなると恥ずかしい。その、行為の最中となれば、話は別なんだけど……。

 それは置いといて、今みたいに彼が寝ている時にするのはどうなんだろうとは思う。お姉ちゃんほどは嫌だけど、お姉ちゃんの積極的なところは見習って私ももっと積極的にならないと。それこそ、次は起きている彼に私のほうからキスできるように。

 

「あっ……ふふっ」

 

 キスに反応してくれたのか、彼は相変わらず気持ちよさそうに寝ているけど、口元を嬉しそうにさせているのが分かった。何だか嬉しいな。

 そんなことを思いながら横に並ぶように寝転んで、時間まで彼の寝顔を堪能した。

 

 

 

 

 夕食を終えた八時半過ぎ頃。私と本音は、寮にある大浴場で入浴していた。

 体を洗い終え、髪を一つに束ねて、湯船に浸かる。

 

「ふぅ……」

 

 溜息にも似た安堵の声が出る。

 湯加減が丁度よくて気持ちいい。体が芯から温まっていくのが分かる。

 それに今入っている檜風呂は檜のいい香りがして落ち着く。

 人が多くなる夕食前と夕食直後を避けて、いつも通り空いていそうな頃合を狙って入りに来たけど、今日はいつもよりも人数が多い。といっても、混んでるってほどではなく、こうして足を伸ばしてゆっくり浸かることができる。

 

「ふにゃ~。気持ちいいね~。天国だよ~」

 

 隣に本音がやってくる。

 すると、本音の視線を感じた。

 

「何?」

 

「んーとね」

 

 本音は、意地の悪いニヤニヤとしたやらしい笑みを浮かべてきた。

 本音の視線の先を追えば、それは私の胸へと向かっていた。

 それに気づくと私は、とっさに両腕で隠した。何だか怖い。

 

「いや~かんちゃん、最近胸大きくなったなぁ~っと思って~」

 

「は?」

 

 思わず、聞き返してしまった。

 本音の言葉に釣られるように私は自分の胸を見て、そして本音の胸と見比べてしまう。本音の胸は大きくて綺麗。それを見ていると、私の胸の慎ましさが強調される気がする。

 本音の言う通り、確かに最近胸は大きくなった。だけど、本音の胸と比べてしまえば、些細な成長。だからなのか、本音に言われると凄い悔しい。私が胸にコンプレックス持ってることは知っているはずなのに……。

 

「もしかして……嫌味?」

 

「違うよ~」

 

 本音が困ったような顔して笑った。

 本音が本当に嫌味で言っているわけじゃないってことは分かっている。しかし、そう言わずにいられなかった。というか、何もこんなところで言わなくてもいいのに。

 そんなことを思っていると、本音はとんでもないことを言った。

 

「やっぱり、かんちゃんの胸が大きくなったのって彼氏君のおかげ?」

 

私は思わず声にならない声をあげそうになって押し殺した。

驚いて身じろいた為、湯船が音を立て揺れ、自然と周りの視線が私達が集まる。もっと厳密に言うと私の胸へと集まる。その中には同じ四組の子やお世話になって仲のいい整備科の子達がいて、「何々?」と近くに寄ってくる。この状況凄い既知感。

 本音の馬鹿。こんなところで、そんなこと聞かなくてもいいのに。本音のことだから特に考えないで深い理由もなく思わず聞いたんだろうけど、お陰で私は周りのいい話の種。

 かれかわれたくないから冷静に努めたいけど、突然のことに今だ驚いたまま。だからなのか、私の反応はどうやら本音には図星に見えたようでニヤニヤと笑っている。

 とりあえず何か答えるなり、言うなりしないと。このまま無言だと肯定と取られかねない。私よりも彼の名誉の為に言わないと、皆に彼がえっちだと思われてしまう。私は無理やり気持ちを落ち着かせながら言った。

 

「ちょ、ちょっと本音っ! な、何で、彼が出てくるの……!」

 

「だって~昔から言うでじゃん? 彼氏に胸を揉まれると大きくなるって~」

 

「あ、知ってる~! 女性ホルモンが分泌されてって奴でしょう」

 

「更識さん羨ましいー!」

 

「やぁっ、触らない、で……!」

 

 女同士だからなのか、その事実を確かめるように胸を触られる。

 抵抗虚しく結局おもちゃにされてしまう。なにこれ。最近、こんなのばっかり。

 幸い、かどうかは分からないけど、彼氏に胸を揉まれると大きくなるについては適当に誤魔化せることには成功した。

 お風呂で体は休められたけど、かえって気疲れしてしまった。

 

 

 

 

 部屋からの外出禁止までの僅かな時間。いつもの様に私と彼は、彼の自室で勉強していた。

 勉強といっても明日提出の課題を片付けたり、明日の授業に向けての予習復習をする程度。

 チラチラと見すぎて、彼に訝しげな顔されて、どうしたのかと聞かれてしまった。

 

「ううん、何でもない。ごめんなさい」

 

 とっさに何ともないフリして誤魔化してしまった。

 どうしたも何も私ははさっきからずっと気になっていたことが一つあった。それはお風呂でのこと。

 胸は確かに成長はした。でも、それは本当に些細なもの。尚且つ、お風呂であんなことを聞かれれば、成長してもやっぱり慎ましいままである自分の胸の大きさを自覚させられて、成長したても胸が小さい自分に自己嫌悪する。お風呂場で見た本音の大きい胸や、周りの子達の成長著しい旨を見てしまったから余計にそう思う。それに今、あんな話があったから、彼と二人っきりになると気になってしまう。 

 ペンを動かしながらも私は内心うじうじと答えの出ない考えをしてしまう。ちっとも集中できない。すると私は挙動不審だったのか、優しい声でどうしたのかともう一度聞かれてしまった。二度目になると誤魔化せない。私は思いきって気になっていることを聞いた。

 

「あ、あの……ね。胸……大きい方がいい、よね?」

 

 何だか恥ずかしくて思わず目をぎゅっと瞑ってしまった。

 聞くのは始めてのことじゃない。むしろ度々だけど、しつこいぐらい何度も聞いてしまってるかもしれない。そう分かっていても今聞かずにはいられない。恐る恐る目を開けてみると、彼はぽかーんとしていた。突然こんなこと聞きかれたんだ。無理ない。失言だった。

 

「ごめんなさい、ごめんなさいっ。えっと……その……っ」

 

 私が一人勝手に落ち込んでいると、彼は私を慰めてから、少し悩んだ。

 悩まれても困るけど、いつもの言葉じゃな私が納得しないと思ったんだろう。おそらくその通りで、私は彼を困らせてしまった。本当、最低だ。

 すると、彼はやっぱりと前置きしてから言ってくれた。「大きさなんて関係ない。簪の胸のサイズが好きなだ。手に収まる感じが安心する。それに簪のでないのなら大きかろうが小さかろうが意味がない」、と。

 照れくさそうに、それでいて真剣に言ってくれた彼の言葉を聞いて、肩の荷が降りたのが分かった。何より、彼は私の胸でなく私自身をも好いてくれているだと、分かって私は嬉しい気持ちで一杯になった。

 

 

 

 

部屋に戻れば部屋からの外出禁止時刻である二十三時過ぎ。

 寝る予定の二十四時までの約一時間。歯磨きやケアはもう済ませた。明日の学校の準備や目覚ましのセットもバッチリ。なので私は、ベットの上で眠くなるまで本を読みながら暇を潰していた。

 ぼーっと活字を追いながら、今日一日のことを何となくにだけど振り返る。今日も一日いろいろなことがあった。というか、いろいろありすぎ。その中でもからわかれたことばっかりが印象強くてつい思い出してけど、これは寝て忘れよう。うん。

 それ以外に印象強くて思い出せることと言えば、さっきの出来事。思い出してしまうと、嬉しくて嫌でも頬がニヤけるのが分かる。

 

「ん~かんちゃん、何ニヤけてるの~? 彼氏君のこと考えてたんでしょう~」

 

 私がニヤけてしまっていることに気づいて、目をこすり眠そうにしながら本音が言ってきた。

 

「うん、そうだけど本音には言わない。内緒」

 

「えぇ~ズルいよ~」

 

「はいはい、それでいいよ。もう寝よう」

 

 ニヤけているのにここで変に隠したら、またからかわれてしまう。

 それは嫌だけから、適当に流す。

 それに眠そうな本音を見てたら、私まで本当に眠くなってきた。今日はいつもより早いけど、さっさと寝よう。明日も学校なのだから。

 

 明日は今日よりも充実した幸せな一日になるといいな。

 そんなことを布団でぼんやりと考えながら、深い眠りへと誘われる。 

 これが私の毎日。

 彼がいる日常で過ごす私の、ありふれた日々の一幕。

 




簪の一日をお送りしました。こんな感じの一日送ってたらいいな
簪と彼氏君のやりとりで今回もニヤニヤして楽しんでいただけたら幸いです。

シミュレーター機は、本来こういう系統の物語に出すようなものではないとは思いますが
日常のひとコマにあるものなので、本来私のもう一つの作品に出すものなのですが、腐らないうちに登場させました。
私が見かけた作品の中でISのシミュレーター機はないのですが、こういうの悪くはないはず。

今回もまた簪の相手である男性はオリ主です。決して一夏ではありません。
もしかすると、主人公は簪が好きなこれを読んでいる貴方かもしれません。

それでは
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