穏やかな空気を感じる。部屋の明るさを感じる。今日もよく晴れているのが何となくだけど分かる。
それのおかげで朝が来たんだと分かって、私は気だるさを感じながらのそのそと体を起した。
う~んっと体を伸ばし、意識を更に目覚めさせていく。ここ私の部屋じゃない。ああそうだ……と、ずっと隣に感じている気配へと視線を落とす。
隣では彼がまだ気持ちよさそうに寝ている。珍しい。
そういえば、今は何時ごろなんだろう。気になって、寝る前枕元に置いたスマホを手にとって時間を見てみた。
時刻は平日の朝九時半前。いつもならもう起きて登校してなければ、遅刻している時間。
だけど、今日は昨日までやっていた学園祭の振り替え休日。昨日のうちにやらなければいけないことは全部終わらせたから、朝からやらなければならないことはない。
だから、こんな風に彼もゆっくり寝ているんだと分かった。
「……」
起していた体を再びベットへと寝転ばせ、彼と向き合って様子を観察してみる。
折角、彼より先に起きれたんだから。
本当に彼はよく眠っている。気持ちよさそうだ。
いつもならとっくに彼は起きているだろう。早く起きるって決めてたら、どんなにしんどくても眠くてもちゃんと起きる人だから。もっとも、起きないと決めたら、自分から起きない限り早々のことじゃ起きないけど。
そしてどうやらそのようで、今日は完全休日と決めているからなのか熟睡中。
やっぱり、疲れているのかな。昨日までやっていた学園祭の間、彼はずっと動きっぱなし、働きっぱなしだった。学園に二人しかないの男子の一人で、男でありながらISを使えるのだから、当然ひっぱりだこになる。それにクラスの出し物以外に生徒会の仕事もやっていたから、本当に忙しそうだった。
おかげで学園祭見回り以外で一緒に周れなかったことはちょっぴり残念。
彼の言い分としては一ヶ所にいて客寄せパンダになりたくはないからずっとあれこれしていたらしい。じっとしてられないわけじゃないけど、彼はじっとしてるよりかは動きまわってるほうが好きな人なのは知っているから、今更だけど。
それでもあれだけ頑張れば、疲れてが溜まって当然。
昨日の夜はたくさん……えっち、しちゃった訳だし。
「……っ」
昨夜のことを思い出してしまい、顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。
終わって休憩してからシーツを変え、お風呂に入って昨日は二人一緒に寝た。あれから大分が経っているけど、ついさっきのことの様に思いだすことが出来、熱が蘇る。
身体が、特に子宮がじんわりと熱くなる。
昨夜は本当によかった。とっても気持ちよかった。
買い取ったクラスの出し物の衣装を着てえっちしたけど、彼の喜びようが、興奮しようが凄かったな。着た甲斐ある。
なんていう私もすごく興奮しちゃった。口には出来ないことだけど。
疲れた彼を癒す為にたくさんご奉仕できて、私のご奉仕で彼が気持ちよくなってくれたのが嬉しくてたまらない。こういうのを与える側の喜びというのかな。私のご奉仕で感じてる彼は、とっても可愛かった。
もちろん、彼も私をちゃんと愛してれた。相変わらず、甘くて濃厚。えっちする度に増していっている。そのうち本当に甘さで溶けてしまいそう。彼は生真面目だからいろいろと勉強してくれているんだろうな……それが伝わってきて嬉しい。
可愛さのある彼だけど、やっぱり男子。攻める彼からは雄々しい雄っぽさを感じた。そのギャップみたいなものに昨晩の私はずっとキュンキュンしっぱなし。昨夜はずっと満たされ続けていた。
まあおかげで体には気だるさが残っているけど、この気だるさこそが幸せの証なのかもしれない。そう思えて幸せだ。
「……」
相変わらずぐっすり熟睡している彼の観察を続ける。
そろそろ起してあげた方がいい気もするし、隣でずっと寝てられるのも寂しいけど、もう少しこのまま。遅い時間にならない限りは彼が自分から起きるまでそっと寝かせてあげよう。
その間、このいい機会に私は彼の寝ている姿を更に堪能する。
寝顔こそは昨日も見たけど、こうして朝見るのとでは何だか感じ方が違う。新鮮。第一、昨日は昨日で疲れた様子で寝ていたし。
そういえば、こうやって朝同じベットで過すの久しぶりだ。最近は忙しくて泊まるなんてできなかった。
なのでちょっとしてみたいことをやってみた。
寝ている彼を起してしまわないよう気をつけながら、そっと髪を撫でてみる。
見た以上に髪、結構柔らかい。何度触れても触り心地がよくて楽しい。
いつもこうして撫でていると寝ていても彼は気持ちよさそうにしてくれる。ほら。
今笑ったかな……?
彼の頬が緩み、気持ちよさそうに笑っているように見えた。
何だか嬉しい。それに寝顔、可愛い。
じっと見てて思うけど、いつ見ても綺麗な肌してる。朝だからか尚更。男子なのにって言うのはよくないかもだけど、男子なのに凄い肌綺麗。化粧水とか使ってお手入れしている訳でもなさそうなのに、何か悔しい。
やっぱり、早寝早起きして毎日運動して健康的な生活しているからなのかな。多分、そうだと思う。
私もトレーニングは定期的にやってるけど、し足りないのかな。それともいいやり方があったりするんだろうか。いや、それよりも見れてないアニメを遅くまで見てるのが原因かもしれない。
健康的な生活ともっと入念なケアを心がけよう。私は心の中でそう秘かに誓った。
髪触ってもおきないし、もうちょっとぐらいなら……
ベタベタ触る過ぎるのはよくない。触りすぎると起してしまうかもしれないけど、何だか触れ足りなくなってしまった。起さないように気をつけつつ、そっと頬に触れてみた。
「わっ……すべすべ。もちもち……」
小さい声だったが思わず声が出てしまい、もう遅いけど慌てて声を押し殺す。
触れた彼の頬はすべすべのもちもち。なにこれ、ズルい。うらやましい。ますますケアを頑張らないと、このままじゃ何だか負けた気がする。
地味地味言われる彼だけど、整った顔立ちしてる。これも羨ましい。目や鼻、口とかといったパーツからいいからなんだと私は考察染みたことを考える。
素敵だな、本当に。
「……ッ!?」
びっくりした。
起こさないように気をつけながらもう少し頬や鼻を触って楽しんでいると、突然彼がくすぐったそうに身を捩じらせた。
起きたかと思った。だけど、身を捩じらせてだけで相変わらずぐっすり眠っている。つい感心してしまうほどよく寝ている。
そんなことを思いながらも寝顔観察をやめずにいると、ふと彼の唇が目に止まった。
「……っ」
彼の見つめながら、自分の唇を指先でゆっくりと撫でる。
ふと昨日のことを思い出していた。昨日、いっぱいえっちして、いっぱいキスした。
彼にはキス魔とよく言われる。恥ずかしいけど、否定は出来ない。むしろ、私自身強い自覚すらある。
好きなんだから仕方ない。だって、気持ちいいんだもん。何より、幸せな気持ちになれる。
キスをするたびに彼への想いが胸の内で熱く膨らんで、胸の奥が暖かくなって、もっとキスで好きを伝えたくなる。そして、彼がキスでそれに応えてくれたら私の胸は幸せな気持ちできゅぅと一杯になる。
だからなのか、キス……したくなってきちゃった。
というか正直なところ……朝からキスしたくてムラムラとしている。
どんどんいらやしい子になっちゃてるな、私。こんな私でも彼は可愛いと言って好きで、愛してくれるけど、私自身としては複雑だ。こんな子じゃなかったしずなのに……と。
で、でも、ちょっとぐらいならキス、してもいいよね。
そんな言い訳にもならない下手な言い訳を心の中でしながら、引き寄せられるように私は寝ている彼の唇にそっとキスをした。
「……ん」
唇が触れる軽いキス。何度もしているはずなのに。
「……っ~~!……」
無性に恥ずかしくなって悶えそうになるのを必死に我慢する。
ただ触れるだけのキスなのに凄くいい。幸せ。
やっぱり、今みたいに唇と唇が触れ合うようなキスが好き。ディープキスも同じぐらい好き。
どっちのキスが好きかなんて選べない。彼とのキスが大好きだから。
でも、ちょっぴり寂しい。
キスは好きだけど、私が好きなのは彼とのキス。
本当はこんな一方通行のキスじゃなくて、彼とキスをし合いたい。
けど今寝ている彼にキスしたから無理なのは分かっているけど……。
「……あ……」
そこで私は急に我に返った。気持ちが沈んでいく。
私、最低だ。寝ている彼にキスするなんて、こんなの寝込みを襲っているのと変らない。ふしだらで、本当に最低だ。
キスをしたことを彼が知っても怒りはしないと思うけど、それでもこんな寝込みを襲うようなことされたら困って当然。朝から彼を困らせたくない。
というか、朝から勝手に凹んでいるの知られたら、ますます彼を困らせてしまう。彼に触れるのはこの辺にして早く気を持ち上げよう。
そう思った矢先。
「……えっ? ちょ、ちょっと……」
急に抱き寄せられた。
もしかして起こしちゃった? というか、近い近い。
抱きしめられているせいか、ついさっきよりも真近で彼の体温を、匂いを感じる。
安心するにはするけど、突然のことにドキドキしてしまう。さっきまで考えていたことが消し飛んで、頭が真っ白になっていく。顔が熱い。
一人困惑していると抱き枕を手繰り寄せるかのように抱きついてきて、更に密着する。
そして彼は抱きしめながら、私の胸へと顔を埋めていた。
「……ぁっ、うぅぅ、んんっ……やっぁ……」
変な声が出てしまう。
パジャマはちゃんと着ているけど、服の上からでも彼の寝息が胸にかかってくすぐったい。
つい反射的に逃れようと身を捩じらすけど、また抱き寄せられ、胸に顔を埋められる。逃れられない。それどころか足を絡められ、身動きが取れない。
なのに相変わらず胸に寝息はかかってくすぐったくて……何だか感じてしまう。
これじゃあ何だか。
「生殺しだよ……」
そんなことを言うしかなかった。
「あ……お、おはよう……?」
もぞもぞと身動きしながら彼がようやく起きた。
顔の半分を胸に埋めたまま眠そうな眼で私をじっと彼は見つめてくる。
朝の挨拶をしたけど今の体勢のこととかもあって気恥ずかしくて、戸惑いながら朝の挨拶をしてしまった。しかも、疑問系。
でも、特に彼は気にした様子なく返事してくれた。
彼が起きたのと同時に私の「生殺し」発言を聞いていたらしく、どうしたのかと聞かれてしまう。
「えっ……それは、あの……ね、寝息が……胸にかかってくすぐったくて……というか、そろそろ離してほしいんだけど……」
随分誤魔化した言い方になってしまったけど、嘘は言ってないから大丈夫なはず。
彼は納得してくれたけど、きっと誤魔化したことは気づかれてしまっているんだろうな。
で、相変わらず私は彼に抱きしめられたまま。
寝ぼけてというわけじゃないはず。明らかにちゃんと起きてる。その証拠に私の感触でも確かめるようにぎゅっぎゅっと抱きしめてくれている。
嬉しいのは嬉しい。でも起きて彼に朝からこんな風に抱きしめられるの何度体験しても恥ずかしい。
「ほ、ほら……お腹空いてない……? 朝ごはんたべよう……? うっ……そんな目で見ないで……」
恥ずかしさから適当な言い訳していると彼にじっと見つめられる。
熱いまなざし。それでいて寂しそうにも見える。
そんな目で見つめられると言い訳していることに物凄い罪悪感を感じる。おそらくそういう意図でも彼は見つめているんだろう。意地悪だ。
もう少しこのままがいい。
寝起きだからか少し掠れた声で甘える様に言われるともう私には何も言えない。
私だってもう少しだけこのままがいい。
「……うん、もう少しこのまま……」
抱き枕よろしく抱きしめられたままだったけど、抱きついてくる彼を私からも抱きしめた。
まだ恥ずかしさあるけど、幸福度みたいなもの方が勝った。
わっ、彼が珍しく甘えた声を出している。
抱きついてきて私の胸の中にいる彼は、私に頭を撫でられながら気持ちよさそうにしている。
そんな姿を見ていると、胸がきゅうぅっと疼く。母性本能がくすぐられるってのはこういうことを言うんだろうか。
朝からこんな可愛いのズルい。でも、普段寝起きでもしゃんとした人だけに彼から甘えてくるなんてことは頻度が低いから、普通に嬉しい。
喜びを秘かに噛み締めながら、少しばかりまどろんでいると、私はあることを正直に言った。
「ごめんなさい……私、実はね……寝ているあなたにキス、しちゃったの……」
別にわざわざ言うようなことじゃないのは分かっている。
でも、正直に言っておきたかった。いや、違う。彼を困らせると分かっていても、言わずにはいられなかっただけなんだ、私は。
ただ言っておいてなんだけど、やっぱり悲しい気持ちになる。私朝から何してしまったんだろう。
「こんな、ふしだらだよね……ごめんなさい」
つい謝ってしまう。
謝ったところで何か変るわけでもなのに。
「わっ……」
すると今度は私の胸に顔を埋めていた彼の胸元に抱き寄せられる。
されるがまま私は彼に抱きつくと、頭をぽんぽんとされながら撫でて貰った。あっ……これ落ち着く。
ああそれで落ち込んでいたのか。
そんな風に彼は納得していた。どうやらとっくに見抜かれていた。
それはそれで嬉しくない訳じゃないけど、やっぱり何だか自分が情けない。私の心は晴れない。
そんな私に優しく微笑み漢ながら彼は真面目にこう言ってくれた。
寝ていても私がキスしたいのなら好きなだけしても構わない。でも、俺はキスしてくれるのなら、起きている時に二人でする方が好きだ。
と。ああ、なんでこの人はこんなにも私が思っていることと一緒のことを言ってくれるんだろう。ズルいズルい。でも、大好き。
「でも、そう言ってくれるのは嬉しいけど……キスしたら一回じゃ止まらないよ……? いいの? 私めんどくさいし、その、私……キス魔、だし」
素直に喜んでいればいいのに喜べないどころか、ぐちぐち言ってしまう。
可愛くない。こんな時本音なら……お姉ちゃんなら、もっと可愛くいられたんだろうな。
「……んんっ……!」
ふと顎をクイっと軽く持ち上げられると、彼が唇に軽くキスをしてくれた。
それは一度だけじゃなく、何度も何度も熱いキス。
気にするな。俺だって簪とのキスは好きだから一回じゃ止まりそうにない。これが証拠だ
言って彼は、また情熱的なキスを私に唇に何度もくれる。
ここまでしてもらえたのなら、気にしちゃダメだよね。
「ありがとう……ありがとう。大好き……!」
そう言って衝動のまま、ちゅっ、ちゅ、と彼の唇にキスを返す。
いつしか二人のキスは、舌と舌が交わるような濃密なものになっていく。
朝から部屋に熱い吐息と舌が絡み合ういやらしい音が広がる。
やっぱり大好きだな、彼とのキス。
案の定、一度や二度じゃ止まらなくなってる。ずっとこうしていたい。
特にディープキス気持ちよすぎて、本当に病み付きだ。この一つになってしまいそうな感覚好き。
気持ちが落ち込んで一度治まったと思ったのに、またむらむらしてきた。というか、さっきよりもむらむらしてる。でも、それは幸い私だけじゃなく。
「ふふ……ここ、大きくなってますね……」
わざっとらしく言ってディープキスと朝の生理現象でも大きくなっているそこを撫でると彼に手首を掴まれた。
嫌がっているわけじゃないのは知ってる。手首掴んだだけで撫でるの止めないし、それに彼は、困った顔しながらも気持ちよさそうにしているから。いいな、この彼の表情。
前にもこんなあった気がする。確かあの時は二人で始めて旅行した日。私達が本当の意味で一つになった日。懐かしい。あの日からたくさんのものを彼から貰った。
だからこそ、私は与えられる側の人間なんだなと改めて思う。それはもう今更どうしようもないけど、与えてもらった分、倍にしてたくさん彼に返していこう。それが今なのかもしれない。
「遠慮……しないで……していいんだよ。あなたが好きなように」
またわざっとらしく彼に尋ねると、簪もしたいんだろと見抜かれてしまっていた。
「バレた……まあ、今日はお休みなんだから……ね」
その言葉が合図のように彼から深いキスをしてもらい、押し倒された。
本当、朝から幸せだ。
おかげで、私の心はもう今朝の空のようにすっかり晴れ渡っていた。
…
今回もまた簪の相手である男性はオリ主です。決して一夏ではありません。
もしかすると、主人公は簪が好きなこれを読んでいる貴方かもしれません
それでは