東亰ザナドゥ~火焔魔人~   作:泡泡

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 この作品のマクバーンは少し人間っぽく成長し続けているマクバーンです。ですので原作が好きだー、人間っぽいマクバーンは嫌いだーって言う人は読まないほうがいいです。


二話

 街を少しでも覚えようとしてアクロスタワーへ徒歩で行った。途中で男女関係なくすれ違う(たび)に振り向かれたり二度見をされたりした。敵意がないのでそのまま放っておいたが、多分杜宮市では見ることのない赤髪をしていたためと思われる。

 

 数十分歩くと目の前に空高くそびえ立つアクロスタワーが見えてきた。『ほう』と感嘆の声を上げさらに近づく。どうやらスカイラウンジなるものがあり、そこから街を見ることが出来るらしい。階段なのかと思いきや上昇下降をする箱、エレベーターと呼ぶそうだがそれに乗って行くみたいだ。

 

 全てがあちらの世界には無い存在なのでどれもが真新しくそして興味をそそるのでキョロキョロとあたりを見渡していた姿は一緒に乗っている人たちの笑いを誘った。だがその笑いにもこちらを馬鹿にするような感情は一切含まれておらず暖かい感情があった。人間って不思議だ。

 

 そして上昇をし目的の階へと降りていく同乗者ら。最後に残ったのは深く帽子をかぶり視線を気にしていた女性と思われる姿があった。一見、不審者と間違われてもおかしくないが少し体調が悪そうだ。フラフラとしているし外見が細すぎる。

 

 「(なんだ?あの女は・・・どこか悪いんじゃねぇのか?)」

 

 エレベーターの中には二人しかいなかったのでその女性に気を配っていた。一声かけようかかけまいか、悩んだ末保留とした。

 

 「(緊急性もなさそうだしただの睡眠不足か?)」

 

 だが、エレベーターが止まったときの衝撃でふらついていた体は膝がカクンと崩れたことから前のめりに倒れていった。武術の達人でない限り受身をリラックスしている状態から取れるものではない。多分このまま行ったら顔面を固い地面に打ち付けるのは必須だろう。だがここには女性一人ではない。もう一人いるのだ。

 

 「っと、大丈夫か?」

 

 「っ・・・え?」

 

 危機一髪というところで体を滑り込ませ打ち付けることなく支えることができた。が、女性・・・いや少女は意識が飛んでいたのかどのような状況なのか分からないでいた。

 

 「あんたはエレベーターの中にいた。そしてフラフラとしていた。で、止まった拍子に前のめりに倒れ地面に打ち付けられそうになったので、女性の体に触るのはちょっとと思ったが非常時ゆえに支えた。ここまでオッケー?」

 

 「・・・は、い」

 

 「どこか休めるところに行って目的があるにせよ、一度落ち着けたらいい」

 

 離れて少女の体が倒れ掛からないか見て、倒れないようなので正面から少女の顔を見てみる。少し顔は青ざめているが、意識もはっきりしているので休んだら大丈夫だろうと考えた。

 

 「助けて下さりありがとうございます。あのー」

 

 「あん?まだなんかあんのか?」

 

 ちょっと口が悪くなった。ヒッという少女の声を聞きまた口調が少し戻っていたことに気づき、手で頭を乱暴にかきあげ深呼吸を一つ、それから少女に話しかけた。

 

 「あー(わり)ぃ。あんまり人と離さないからな。怒っているわけじゃないんだ。これが元の口調っていうか・・・。とにかく怒っちゃいねぇから、何か言いたいことでもある?」

 

 小さく悲鳴を上げて後ずさりした少女だったが、彼女の方も落ち着いて答えた。

 

 「私の事知らないんですか?」

 

 「すまんなぁ。今日、杜宮市に来たばかりでな。あんたは有名人か何かなのか?あぁいや、助けたのは下心があったわけでもないし、これっきりだろう。あんたの感謝は受け取った。今日は無理せずゆっくり休んだらいい。それでいいな?」

 

 「あの・・・でも・・・」

 

 「今日会ったのはたまたま、そしてもう会うことはないかもしれない。が、今度会ったらその時は挨拶して名前呼び合ったらいい。助けた、助けられたでこれ以上何かを求めるわけでも無いし」

 

 「・・・そう、ですね。今度会った時に驚いた顔して笑いかけますね?」

 

 「おぉ、それがいい。じゃあ」

 

 「はいっ」

 

 律儀にもお辞儀をした少女と別れマクバーンはスカイラウンジへ、彼女は数階下へエレベーターで降りていった。

 

 「はぁメンド・・・。これが杜宮市か。ちらっとパンフレットに載っていたが10年前の東亰震災を経て復興した街か。(多分この時から異変は生じていたのだろう。じゃないと七千人もの行方不明者がいた事への説明が付かない)」

 

 コインを入れて望遠鏡を覗く。右から左まで望遠鏡が動く範囲を操作して眺める。

 

 「(向こうの森の中に見えるのは自然公園か、そしてあの赤い建物が九重神社なのかな?できるだけ街を探索して異変が起きる前に把握しておかないと)」

 

 いきなり望遠鏡が見れなくなった。コインを入れてから眺められる時間が過ぎたようだ。もう少し見ていたかったのになどと思いながらそこから離れる。

 

 そして来たときと同じようにエレベーターに乗って一階まで降りる。エレベーターの中には誰も乗っていなかったのでユエから教えてもらった勢力についてまとめる。

 

 「裏には異変を調べる機関というのが複数あるようだ。ネメシス、これが異界の管理という名目で世界各地で活動しているようだ。知識・実力を付けてからエージェントと呼ばれる人が入ってくる・・・、と」

 

 サイフォンに入れてもらったので怪しまれることなく読むことができる。

 

 「ゾディアック、これはネメシスと少し違っていて異界の利用と言う名目で動いている。サイフォンを作ったのもこのゾディアックが関与しているらしいな。表の世界に不干渉を貫いているのか。北都グループと言うのが主要メンバーでネメシスと折り合いが悪い・・・か」

 

 慣れないサイフォンの操作だが触らないと慣れないので、たどたどしいながらも指で操作し続ける。

 

 「最後に精霊教会。歴史ある宗教だがクロノス=オルデンと呼ばれる武装騎士団を保有している。こちらはネメシスやゾディアックとは違い異界の封印と言う目的がある。確かこのことに関しては都市伝説の中にも列挙されていたか」

 

 さっきより早く指を動かしその項目を探し出す。東亰百鬼夜行と言う記事だ。

 

 「白装束の死神か。“魔”に取り憑かれた存在を祓い、断罪すると言う死神。白装束とマントを纏い、見たものを□□□・・・(これ以上は読めないか)」

 

 ちょうど一階に着いたのでサイフォンをポケットにしまい込みエレベーターから出る。とても平和そうな雰囲気が自分の存在を異質なものにしているかのようで居心地が悪かった。柱のそばには着ぐるみが観光客や、地元の住民に向かって踊っていた。歩きながらそのそばを通るとアクロスタワーや杜宮市をPRしているのが聞こえてきた。

 

 「平和そのもの・・・か。なぜこの世界と向こうの世界が一緒になろうとしているのか、盟主や鋼は言わなかったがその事を知っているのだろうか。まぁ俺は執行者だから教える必要はないのかもしれんなぁ」

 

 上昇するエレベーターの中で会った少女のことなど既に忘れ、次の目的地とした九重神社の事を思いながらアクロスタワーから去っていった。




 原作まではちょくちょく上げることが出来ればいいなぁ。遭遇した女性は一応原作でもちょろっと出た女性です。
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