魔に魅入られた少年の話   作:新参者基本読み専

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初心者で初投稿です 正直不安しかありません
未熟者ですが、頑張りますのでよろしくお願いします



英霊召喚

 

      目覚めはいつも唐突にやってくる。

 どんな夢を見たのか、挙句の果てにはついさっきまで何をし、誰と何を話していたのかさえ思い出せない。

 

 頭痛はとてつもなく酷く、気を抜けばその場に倒れ込む程の激痛だった。だが、そんな事とは関係なく足は/体は先に進んでいく。まるでそうプログラムされたロボットの様に決められた道を通り、決められた場所を目指して歩いていく。

 今が何月の何日で何曜日なのか思い出そうとすると眩暈で気を失いそうになる。

 そんな訳の分からない何かと葛藤しながら周りを見るといつもと変わらない/変わることのない風景が目に入る。そんな風景にさえ違和感を感じながら進むと、校門の前で足が止まる。

 

 「おはよう!今日はとてもいい天気だ」

 

 声をかけられた瞬間、頭痛がさらに酷くなり、視界がノイズで覆われる。

 

 「さて、今日は抜き打ちで風紀チェックを行う。チェック違反の内容によっては遅刻も覚悟しておけ。」

 

 目の前にいる誰かがそう話し続けるが、こっちはそれ所じゃない。容態はさっきよりもさらに酷くなっていく一方だ。ここに居てはいけない。そう直感が告げるまま、その横を走り去った。

 

 「髪の長さ、爪、服装、生徒証、よしオールクリアだ。実にすばらしい」

 

 後ろの誰かはまるでそこに誰かが居るかの様に話し続けていた。その姿はまるで操り人形の様だ。そう確信した瞬間、さらに確信できる事があった。もうここは知っている世界ではないと。

 

 早く見つけ、そして目覚めなければ何もかもが手遅れになると直感が、本能が、何もかもがそう告げる。

 

 でも--- どこに行き、何を見つければ良いのだろうか?

 

 

 

 

 身体を蝕む嫌悪感はさらに増してゆく。

 だが、これを治す術も分からず、状況を打破できる何かを掴めぬまま、放課後になってしまった。

 

 朝のノイズに塗れた視界は治らず、さらに耳にノイズの音が聞こえてきた。教室にいる誰かが話す声がとぎれとぎれで何を話しているのかまるで理解できない。

 

 そうだ、一度校門に行こう。あそこで悪くなったのだから、もしかしたら戻す何かがあるかもしれない。

 そう思い、ふらつきながら教室を出て、靴箱を目指した。

 

 階段の手すりを掴みながら一階に着くと、二つの違和感を感じた。一つは詳しくは分からないが、もう一つは人とは思わせないほどの気配だ。

 この気配を知っている。そう、これは転校してきたレオだ。

 

 この二つの気配が同じ場所に向かって行ったのが分かると、頭の中に声が聞こえた。

 

 〝目を背けるな”と

 

 その声に背を押され、二人の向かった場所へ壁にもたれ掛りながら足を進めた。

 

 そして、やっとの事で二人の近くまで行き、休んでいると、急にレオの気配が完全に消えた。後を追うようにもう一つの気配も完全に消えた。

 驚いてその先を見ると、そこは壁だった。

 だが、そこには今までよりも強い違和感を感じた。

 

 崩れ落ちそうな体に鞭を打ち、その壁の前に立つ。

 その場で蹲り、そのまま倒れそうなまでの頭痛に何とか耐えながら、今まで感じた違和感を思い出す。

 

 同じことを永遠に繰り返し続ける、変化のない世界。

 だから決意し、選ぼう。この世界から出ると

 〝立ち向かえ、そして、真実に目を凝らすんだ”

 

 そう決意し、目を開けると壁から扉が現れた。

 どこに繋がっているかなど分かりもしないが、それでも進もう。偽りの日常、偽りの全てに別れを告げ、その扉を開き、先へ進む。

 

 

 

 進んだ先は学校のどこでもある用具室のような場所だが、空気は異界そのものでまるで別の世界だ。

 少し進むとつるりとした肌の人形が立っていた。

 

 これは、この先で、自分の剣となり盾となるもの....。それを連れて進むがいい。

 

 どこからか分からないが、そんな声が聞こえた。

 その人形をよく見ると手の部分が刃の様に鋭かった。それを見てはっきりした。この先に戦いが待っていることを。

 

 だが、進むしかない。そう自分が選んだのだから。

 そして知ろう。この先に何があるのかを。

 そう決意し、先へ進むと人形が後を追うかのように付いてきた。

 

 

 

 地下迷宮でのレクチャーを受け、何かジャンケンみたいだなと思いながら進むと、息苦しさすら感じる荘厳な空間に出た。そして、目の前には三枚の扉の様なステンドガラスがあった。ふっと横を見ると、誰かが倒れていた。顔を見ても分からないが、レオを追っていた生徒だろう。

 何があったのか、何で倒れているのかを聞こうと体に触れた瞬間、手を引き戻した。異常に冷たかったからだ。

 その現実に困惑していると、彼の傍らに崩れていた人形が動き始め、立ち上がった。そしてこちらに振り向くとそのまま突進してきた。慌てて人形に指示をし、迎撃した。レクチャーされた通りに人形に指示を送っていたが、圧倒的にこちらが不利だ。状況を打破するためにどうしたら良いか考えてると、相手の人形の一撃でこちらの人形が崩れ落ちてしまった。そして相手の人形の斜め下から振り上げる攻撃を受け、膝から崩れ、横になるように倒れた。

 その時、

 

 「ふむ、君も駄目か。そろそろ刻限だ。君を最後の候補としてその落選をもって今回の予選を終了しよう。」

 

 何の感情がこもっていない、ただそう言っている声の最後の言葉と目の前の景色に恐怖を感じた。

 

 「さらばだ。安らかに消滅したまえ」

 

 その声がそう言い放った瞬間、いくつもの塊が見えた。そこには幾重にも重なり果てた月海原学園の生徒が倒れていた。どうやら彼だけではなく、他にも多くの生徒がここにたどり着いたのだろう。だが、どうすることも出来ず、消滅していった者たちばかりがそこにいた。

 

 恐怖のあまり、体を起こそうと力を入れようとしたがとてつもなく激しい激痛が走り、まるで動かせなかった。意志とは逆で体はこのまま楽になろうとしていた。

 だが、このまま終わるのは許されない。

 そう思い、激痛なんてものじゃない痛みに抗いながら何とか体を起こそうと必死に力を入れ続けた。

 自分の中にあるのは恐怖しかない。痛み、感覚の消失、周りの死体と同じになることへの恐怖。

 そして何よりも最も恐怖を感じるのは、このまま無意味に消え去ることだ。

 

 立ち上がらないと。恐いままでもいい。痛いままでもいい。何の覚悟が決まってなくても、それでも立ち上がってその上で考えないと。

 

 だってこの手は/俺自身は、まだ一度も、俺自身の意志で抗い、戦っていないのだから。

 

 そう思い、やっとの事で仰向けになると

 

 「ほう、その様な状態で、恐怖に支配された心で尚を抗い、立とうとするか。中々肝が据わっておるではないか。」

 

 声が聞こえた。その声は女性だが威厳を感じさせるような声だった。

 

 「是非もなし。その声、その思い、その魂に免じてわしが特別に力を貸してやろう。さぁ、体を起こすがいい。そして、お主の生き様をわしにみせてみよ。」

 

 その声に従い、体を起こす。先程よりも痛みは薄れたが、それでも痛む体を腰を下ろした状態にまで起こす。すると

 三枚のステンドガラスのうち左右の二枚が音を立てて壊れていった。そして、部屋全体に光がともった。

 光がともった後、中央に一人の人が立っていた。その人物は黒と赤を基調とした軍服とマント。黒髪のロングヘアーで前髪ぱっつんの髪型に帽子には何らかの飾りがあった。

 その外見は普通の人間と何も変わらない。だが圧倒的に違っていた。人間を超越した力、触れただけでも蒸発してしまいそうな程圧倒的なものだ。驚きでその女性を見つめていると、その女性は近づいてきて

 

 「では、疾く答えよ。お主がわしの主だな?」

 

 正直何が何だか分からず付いて行けていない。というか最後確定形だったよね?だが、その声は先程の女性の声だ。

 その時、力を貸そうと言っていたのを覚えている。マスターという単語がどういう意味を指しているか分からないが、立ち止まってはいられない。

 

 「俺が・・・マスターだ!」

 

 そう言うと目の前の女性は笑みを浮かべ

 

 「やはり美しい声だ。良かろう。お主にはわしの主になる権限と名誉を特別に与えてやろう。」

 

 そして彼女は手を差し伸べて来たので、その手を握った。すると左手に鈍い痛みが出て来たので左手を見ると、三つの模様が組み合わさった奇妙な何かが刺青のように皮膚に刻まれていた。

 それを見ていると彼女がこちらをじろじろと顔を見ていたので 何?と聞くと、

 

 「いや、お主中々良い顔立ちをしていると思ってな。一集団の上から三番目が妥当だろう。顔立ち、声、そして魂。どれも良いものを持っている。まだ未熟という所が惜しいところだが、まぁこれからに期待しよう。」

 

 そんなやり取りをしていると、背後でカタカタカタと音が鳴ったので振り返ると、先程戦い、そして敗北した人形が攻撃態勢に入っていた。思わず後ずさりすると

 

 「そう身構える程ではなかろう。わしが付いておるのだ、あんなからくり人形如き恐るるに足らんぞ。さっさと片付けて予選を突破しようではないか。」

 

 そう言って彼女が身構えるといつの間にか両手で銃を持っていた。拳銃といった片手で持つようなものではなく、両手で持つタイプで火縄銃の様なものを構えていた。

 

 そして人形を見た時、その人形がスケートのスタートを切るかの様な構えをとった直後、こちらに突進してきた。

 危険だと思い、彼女に回避をするように言おうとした瞬間、彼女は引き金を引いた。ダーンと破裂音に驚き、人形の方を見ると人形の眉間に穴が開いた状態で仰向けに倒れていた。

 

 「もろすぎるな。全然歯応えがなさすぎる。こんなものでわしに傷一つつけられると思ったのか。うつけめ。」

 

 人形を倒し、彼女が何かつぶやいていると、

 

 「手に刻まれたそれは令呪。サァーヴァントの主人となった証だ。使い方によっては限界を超える程にまで強化し、あるいは制限、束縛する三つの絶対命令権だ。分かり易く言うと使い捨ての強化装置みたいなものだ。ただし、同時に聖杯戦争本線の参加証でもある為、全てを失えばマスターは死ぬ。よく覚えておくことだ。」

 

 その声を聞いていると、左手から令呪と呼ばれるものからの発熱、そして先程まで治っていた頭痛がまた出てきた。何とか意識を手離さない様に必死に耐えながら聞いていると

 

 「おめでとう。傷つき、迷い、辿り着いた者よ。ここがゴールだ。君ほど未熟で無防備なマスター候補は初めて見たよ。だが、君代機転は臆病ではあったが、蛮勇だった故に見応えがあったよ。」

 

 文句の一つでも言いたいが、言った所で何の意味のないなと 思い黙っていると、

 

 「君はどうも異例が多いな。何者からか祝辞が届いている。〝光あれ”と。」

 

 〝君に期待する”と、短くても祈りの様な言葉に胸を打たれた。

 その言葉を聞いた後、痛みにこらえられず、その場に倒れ、意識を手放す一瞬前に聞いた言葉は

 

 では、これより聖杯戦争を始めよう。

 いかなる時代、いかなる歳月が流れようと、戦いを持って頂点を決するのは人の摂理。

 

 月に招かれた、電子の世界の魔術師たちよ。

 汝、自らを以て最強を証明せよ―

 そして― 存分に―  殺しあえ

 

 

 

 

 これは月の世界で語られる一人の少年の物語

 少年の歩む道の終着にあるのは

 誰にも分からない

  




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まだまだ分からない事ばかりなので色々と教えて頂けると嬉しいです
更新は不定期ですが完結を目指して頑張ります
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