「主、昨日の怪物の事を調べるぞ。他の奴らはともかく、そなたの知り合いに相談するも良し、図書室で調べるも良しじゃ」
そう、確かジャバウォック・・・・それがありす達の呼んだ怪物の名だ。あれをどうにかしない事には勝負すらならない。最初は自分で調べて見てから考えよう。
マイルームを出て図書室に向かう途中、
「お兄ちゃん、みーつけた。ねぇねぇ、今日も遊ぼう!今日はこの学校内でかくれんぼがしたいな。じゃあ、
そう一方的に言ってきてどこかへ走って行ってしまった。
「……そなた、よほどあの童達に気に入られておる様じゃの。だが、むしろ好機よな。遊びに付き合いながら童達やあの怪物の事を探って見ればよかろう」
情報を得ながらありす達を見つけ、運が良ければジャバウォックへの対策やありすのサーヴァントの情報をさらに得られる。はたしてそんなうまく事が進むだろうか?けど、かくれんぼと言っていたし、この校内のどこかに隠れている事は確かだ。探して見るのも良いが、その前に少し調べ物をしよう。そうして図書室へ足を進めた。
『荒ぶる思いで歩みを止めれば
燃え滾る炎を瞳に宿したジャバウォック
鼻息荒々しくタルジの森を駆け下り
眼前に嵐の如く現れる』
『一撃、二撃!一撃、二撃!
ヴォーパールの剣で切り裂いて
悪たる獣が死するとき
その首をもって、意気揚々と帰路につかん』
図書室のNPCにジャバウォックに関する事を調べていると言ったら教えてくれた。ヴォーパールの剣・・・・これがあの怪物に対する有効打になるのだろうか…。だがNPCは嘘は付かない。信用するしかないだろう。さて、他の調べ物は後でも大丈夫だろう。さて、ありすを見つけるとしよう。
あちこち探し回って一階のアリーナへ続く道を見た時、フリルの広がったドレスに三つ編みの髪が見えた。向こうはこっちに気付いていない。
「見ーつけた」
近くまで行ってありすにそう声を掛けるとありすは驚いて
「あ!みつかっちゃった。あーあ・・・・
首を少し横に傾けながら俺に質問してきた。それなら
「あのジャバウォックっていうお友達をどかして欲しいんだけど」
「うーん、それはあの子に聞かないと分からないなぁ。でも、お兄ちゃんなら良いっか。ヴォ―パールの剣っていうのを見つけられたらあの子もどいてくれるよ。それと特別にヒントをあげる!さっき言った物はアリーナにはないよ。どこにあるとも知れない架空の剣・・・・・・じゃあどうやって見つけたらいいでしょうか?ヒントはここまで!じゃあ、ばいばいお兄ちゃん!また遊んでね!!」
そう言って目の前から消えた。
「よもや正面からどけろと願い出るとは予想外じゃった」
「遠回りで言うよりは堂々と言った方が良かったかなと思って行ったんだけど、駄目だったかな?」
「策士としてはどうかと思うが、わしは嫌いではないぞ?さて、あのNPCの情報も確かじゃったし、ヴォ―パールの剣とやらを探すとしようかのう」
ありすの証言によりNPCの提示してくれた情報は真実だったし、後はどうやって見つけるかだ。しかし、アリーナには無いのは分かっても、当てがないのにはかわりない。さて、どうしたものやら等と考えながら来た道を戻っている最中、
「あら、どうしたの岸波君?難しい顔をしてらしくないわねぇ。それと、聞いたわよ。小さい女の子と遊びまわってるって」
遠坂に会って早々声を掛けられた。・・・・・とりあえず弁明はしておいた方がいいかな。
「無垢な瞳で見つめられたら断りにくいと思うよ。それと、らしくないってなんなのさ、俺だって悩む事くらいあるさ」
「ふ~ん?で、何に悩んでいるのかしら?悩みの内容次第では手を貸してあげても良いけど?」
(遠坂の方から手助けを申し出て来てくれるなんて失礼だけど驚きを隠せないんだが)
(本当失礼じゃな。まぁわしも一瞬思ったが・・・・。申し出て来てくれるならありがたい。ちょうど聞きたいことがあるからな)
「一瞬何か失礼な事考えてなかった?」
遠坂がすごい笑顔で聞いて来たので、首を横にブンブンと振って否定した。女の勘は地味に恐ろしい。そんな事を終え、質問しようとした時、
「ごきげんよう」
その声のする方へ顔を向けると、ラニがこちらに歩いて来た。
「あら岸波君、彼女とは知り合い?」
「ああ、二回戦の時手を貸してもらったんだ。彼女の占星術のおかげで何とかなった所は大きかった」
「占星術・・・・・貴女もしかしてアトラス院の・・・・」
「はい、確かに私はアトラス院に所属していますが・・・・・何か?」
「いや、何で手を貸したのかなって思っただけよ。貴女にとって彼はどうでも良い存在じゃないのかしら?」
「……彼は他のマスター達と違っていたからです。星を詠んでも彼だけは霞に隠れた存在の為気になったからです」
・・・・普通に見ていたらただの会話なのにこう、空気が何かギスギスしてるんだよなぁ。何でだろう?
(ってそんな事思ってる場合じゃないか)
「遠坂、ラニ、二人に聞きたいことがあるんだけど・・・・良いか?」
自分にとって数少ない知り合い二人がいるこの時こそ、昨日の疑問とさっきのヴォ―パールの剣の事を聞くべきときだろう。こんなチャンスを逃がす訳にはいかない。
「何?」「何でしょう?」
同時に返事とこちらに振り向いた時、この二人案外仲良くなれるかもと思ってしまった。そんな事はさておき、今自分が悩んでいる事を二人に話した。
「岸波君の相手のありすって子が双子のマスターっていうのはまずあり得ないわ。そもそも聖杯戦争は一対一が絶対だもの。手を組むにしてもアリーナでは共闘は不可能だから」
「そうですね。それと本当に『二人』と数えていいのか疑問です。私もその子供を見たことがありますが、生気、電脳的揺らぎが全くと言っても良い程感じられませんでした」
「サーヴァント二人を使役する事は可能なのか?」
「システム上不可能ね」
これでありすが双子という線は消えた。・・・・でも本当に心強い。アーチャーの助言等もありがたいけど、こうやって相談に乗ってくれる相手がいるのはとても嬉しかった。いずれ戦わなければならない相手だというのは分かっているけど、どうしてもそう思ってしまう。
「じゃあヴォ―パールの剣はどうやって手に入れるんだ?」
「それは
「錬金の素材があれば錬成も可能です。ただ、ヴォ―パールの剣の錬成にはマカライトが必要です。・・・・・・残念ながら私は持ち合わせていませんが」
マカライト・・・・孔雀石とも言われる宝石だ。自分も持ってる訳ない。情報がそろってきてもこのままじゃ意味がない。さて、どうしたものか。そんな事を考えていると遠坂が何やらポケットの中から何かを取り出した。
「マカライトならあるわ。これだけあれば何とかなる?」
何とマカライトを差し出してくれたのだ。これにはラニを除く自分達は驚きだ。
「ここまで協力したんだからこの三回戦、絶~対勝ちなさいよ!!これが条件だから!分かった!!?」
「ああ、全力を尽くす」
そう言うと遠坂はラニにマカライトを渡し、ラニはそのマカライトでヴォ―パールの剣を錬成してくれた。これで何とかなる。
「二人ともありがとう」
そうお礼を述べ、アリーナに向かった。
アリーナに入り、もう一度ヴォ―パールの剣を端末から取り出した。見た目は西洋のロングソードだが、実戦で使うよりも飾りの方は自分としてはしっくり来た。
「これがその剣か。南蛮の剣とはこういう物なのかのう」
顎に手を置き、ジロジロと興味深そうにヴォ―パールの剣を見ていた。見た目は軽そうな感じだが、いざ両手で持つとずっしりと重い。
「アーチャー、俺は剣って物を初めて持つけど、こんなにも重たい物なんだな」
「・・・そうじゃ。その重みが人の命を奪う重みでもある。それは剣に限ったことでは無いぞ。さて、ではジャバウォックの元へ向かおうかの。効果がどの位なのかは行って確かめる他無いしな」
そう言ってアーチャーは先を歩みだした。自分もヴォ―パールの剣を一度端末に戻し、後を追った。
奥に近付くほどあのジャバウォックの魔力を強く感じる。エネミーを倒しながら進み、トリガーの入ったボックスの近くまで来れた。当然そのボックスを取らせまいとジャバウォックがいる。それを確認すると、端末からヴォ―パールの剣を取り出し、切っ先を向けた。すると、キィンと鋭い魔力がヴォ―パールの剣から発散されるのを感じた。すると
「ガ・・・ガァァァァ!!」
もがき苦しみ始め、ジャバウォックから出ていた気配が急激にしぼんでいった。
「・・・即効性にも程があると思うんじゃが・・・・・・。しかもわしらが倒せる程にまで弱体化とは・・・。あの露出狂侮れんな。さて、さっさとあの化け物を始末するぞ」
そう言うと刀を抜き、切りかかった。
「ウォォォッ・・・・!!」
ジャバウォックも苦しみながらも反撃しようとするが
「遅い」
すでにアーチャーの一閃によって倒れた。すると
「あらら、本当にヴォ―パールの剣を手に入れるなんて」
「ふふふ、本当ね。いったいどうやったのかしら?」
「宝探しはお兄ちゃん達の勝ちだね」
「そうね。じゃあ次は何して遊ぼうかしら?」
「また考えなきゃね。じゃあお兄ちゃん、ばいばい」
急に現われ、一方的に話をしてありす達は消えた。
「むう・・・あの童達が現れたという事は向こうには何の致命傷にもいたらんという事か。だが、トリガーを取れるという事でよしとしよう」
無事にトリガーを入手出来、マイルームに戻るとアーチャーはイスに座り、唸っていた。
「どうしたの?」
「いや、あの童達が何とも厄介だなと思ってのう」
そう言ってまた唸り始めた。そしてふっと思った事をアーチャーに聞いた。
「なぁアーチャー。
「うーむ・・・キャスターぐらい・・そなた、今何と?」
そう尋ねられたので
「いや、だから怪物や化物を召喚できるクラスって」
「・・・なんと。そういう考えがあったか。主、良きに計らえ。あの童のサーヴァントのクラスはキャスターかもしれん」
「何で?」
「まぁキャスター以外にも召喚出来る奴は居そうじゃが、少なくともあの童のサーヴァントはキャスターかもしれん。それにあの怪物はジャバウォック・・・・図書室のNPCの言っていた話のタイトルは覚えておるか?」
「確か、『鏡の国の
「そう、あれはあのサーヴァントの宝具の一つかもしれん。そうするとあれは物語に出てくるものを呼べるというのならつじつまが合う」
そういうとアーチャーは自分に笑顔で
「良くやった、これで真名に至る事が出来よう。そなた、今日は大活躍じゃな!!」
そう褒めてくれた。それが、無性に嬉しかった。
「さて、明日一番に調べなくてはならん事が出来た。今日はもう休んで、明日に備えよう」
そう促されたのでベットに横になった。
何事もなく更新できました。
これからも少しずつ頑張って行きますので応援などお願いします。
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