魔に魅入られた少年の話   作:新参者基本読み専

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正直結構無理やりの所が多々あります まぁこれからの話でも無理やりの所がありますのでご了承を


開幕と探索

目が覚めた。

 開けた視界の情報から察するに、ここは保健室なのだろう。体を起こし、傷があった場所を確認するとそこにはまるで最初から傷など無かったかの様だった。

 

 あれは夢だったのか? でも、ドールとの戦闘や火薬の破裂音などが頭にしっかりと焼き付いている。それにこの保健室だってどこか異質な空気を放っている。状況を整理しようとしていると

 「やっと目を覚ましたか まったく、わしを待たせるなどいい度胸じゃな」

 

 正面に突然人影が現れた。

 あぁ、あれはやっぱり現実だったんだ。

 現れた人物の姿を見て思う―

 

 軍服に黒髪のロングヘアーの女性 頭の中に焼き付いている人物その人が立っていた。何度見ても外見は人間だが、あの圧倒的な力を思い出してしまう。いらない心配は不要なのかもしれない。彼女の言葉は怒っている様だったが顔は笑っていた。不思議に思い首を傾げていると、

 

 「もうそろそろ(いくさ)の始まりじゃ。それに間に合ったのだから特別に許す。さて、お主は聖杯戦争を理解しているか?」

 

 聖杯戦争・・・正直聞いたことすらない。 だが、あの声が最後に殺し合えと言っていたのを覚えている。それに彼女は戦と言っていたから聖杯というのをかけた勝負事だろうか? そう思い、彼女の問いに答えた。すると

 

 「概ねその通りじゃ。まぁ付け足すなら128人のマスター達が争い、最後の一人が聖杯を得るというルールという事までしかわしは知らんがな」

 

 128人もいるのか!? そして自分以外が敵という事に寒気を感じた。とりあえず、生き残るには全員を倒さなければならないのかと思い、ため息が出てしまう。それを見て彼女は

 

 「詳しいことは運営のNPCに聞いた方が良かろう。奴らは基本中立ゆえ、質問をすれば答えてくれよう。次に、サーヴァントとは何か理解しているか?」

 

 サーヴァント・・・これも聞いた事がない。なので分からないと正直に答えた。

 

 「これを知らんと申すか。よくそれで聖杯戦争に参加しよったな。だが嘘を言わなかった事は評価しよう。是非もなし、ならば特別にわしが教えてやろう」

 

 最初は呆れた表情をしていたが、特別にの所から笑顔になった。もしかしたら人に何かを教えるのが好きなのかもしれない

 

 「まぁ、確かに嫌いではないがな。サーヴァントとは過去に名をはせた英雄や神話に登場する者達を聖杯の力によって再現した者たち、英霊を言う。そしてサーヴァントは呼び出した魔術師を守り、導く存在だな。 そしてサーヴァントは7つのクラスのどれかに属しておる。時にイレギュラーな者もおるが、それは一握りゆえ気にする必要はない。クラスには騎士(セイバ―)弓兵(ア―チャ―)槍兵(ランサ―)騎兵(ライダ―)魔術師(キャスタ―)狂戦士(バ―サ―カ―)暗殺者(アサシン)の7つだ。最良だの最弱だの言う奴らがおるが無視せよ。クラス名がそのままそのサーヴァントの特性に直結する事を覚えておくがよい」

 

 成程。良く理解できた。それと何気にこっちの考えを読まないでくれないか

 

 「お主は顔に出て分かり易いだけだぞ?だが例え隠してもわしは見抜くがな!!」

 

 ふんっと胸を張った。てかそんなに顔に出ていたのか?

 

 「顔だけでなく目と声にも出て分かり易いったらないがな。それとわしのクラスは弓兵(ア―チャ―)だ。これからはわしの事をア―チャ―と呼ぶがいい」

 

 そこまで分かり易いか!! 驚きを隠せないが彼女、ア―チャ―は人を率い、導く立場にあった人物なのだろう。人を見る目は確かという事はこの短い対話で理解できた。しかし、ア―チャ―が英霊というならいったいどんな英雄なのだろうか?

 

 「え? わしの真名知りたい? 知りたい? やっぱり!? え―? でも、わし有名だしなぁ」

 

 なんかノリノリな返答が返ってきた。さっきまでは威厳ある雰囲気だったが、今はそれがない。しかしコロコロと表情が変わってなんか可愛いな。そんな所も彼女の魅力なのかもしれない。

 

 「コホン。わしの真名はもう少しお主を見極めた後、教えよう。敵に漏れてしまいかねんからな だが、わしはお主の味方だ。そこは安心せい」

 

 そういうと、ア―チャ―は姿を消した。敵に見られて正体を悟られない用心なのかもしれない。それとそろそろ保健室を出よう。いつまでも居てはいけないなと思い、立とうとすると

 

 「それと忘れておったが」

 

 うお!! 急に姿を現した。何かあったのか?

 

 「白衣を着た女子(おなご)から渡す物と伝言があったのを忘れておった。まずはこれじゃな」

 

 と言って何かを渡してくれた。これは・・・端末?

 

 「この端末から運営等からの色々な連絡が来るようじゃ。後、分からない事があれば言峰神父に聞いてくださいって言っておったな」

 

 言峰神父・・・神父というからには相当目立つだろうな。よし、まずはその人物を探そう。そう思い、保健室を後にした。

 

 

 

 

 

 大まかに探してみたが見つからなかった。他のマスター達やNPCに聞いても見ていないと言われた。まだ屋上を探していなかったなと思い屋上も探して見ることにした。屋上に出ると、

 

 「一通り調べては見たけど、大まかな作りはどこも予選の学校とたいして変わらないのね」

 

 何か呟いている美少女が居た。あれは多分遠坂 凛(とおさか りん)だろう。容姿端麗、成績優秀で月海原(つくみはら)学園のアイドル。男女問わず人気で噂も絶えなかった。だが今の彼女の眼には強い意志と覚悟が見受けられる。実力はカスタムアバターを使ってる点で自分より格上という事もすぐに分かる。目的の人物はいなかったがもしかしたら何か情報が得られるかもしれないと思い話しかけようか悩んでいると、

 

 「・・・ん? ねぇ、そこのあなた」

 

 急に声をかけられたので少しビックリした。一応周りを確認したが誰もおらず、自身に指をさして俺?と尋ねると

 

 「そう、あなた。そういえばまだキャラの方はチェックしてなかったわね。 ちょうど良かった ちょっとそこ動かないでね」

 

 そう言って近付いて来て自分の頬に手を伸ばしてきた。その手は細く、そしてやわらかい感触だった。そして目の前にいる人物がまだあどけなさの残る少女であることがはっきりと理解した。

 

 「NPCにも体温を設定するなんてムーンセルも凝ってるわね。あれ?顔、赤くなってきてないかしら?」

 

 そう言って少女は顔をぐっと近付けてきた。正直近すぎないかと感じたが緊張のあまり声を出せなかった。目の前の少女はこちらへの気遣いはせずぺたぺたと触り続けていた。 どうすべきか悩んでいると

 

 「成程。想像以上ね 見かけだけじゃなく感触も人間そのもの。ここまで精密に造れるなんて流石ムーンセルね」

 

 「小娘。いつまでわしの(マスター)を触り続けておるのだ?まだ続けるのであれば相応の手段を取らせてもらうが?」

 

 隣にア―チャ―が姿を現した。ちなみにその目は目の前の少女に対し冷めた視線を送っていた

 

 「うそ!?サーヴァント!あなたマスターだったの?じゃ、じゃあ今調査でべたべた体を触ってたわたしっていったい――― くっ、恥ずかしいったらありゃしない。そこ、痴女とか言うなっ!」

 

 「痴女か。的を射た発言じゃな」

 

 彼女のサーヴァントが茶々を入れたのだろう。でも痴女は酷・・・くはないか。第三者から見ればそう見えてしまうのだからどうしようもないな。

 

 「魔術師(ウィザード)の職業病の様なものだから仕方ないじゃない。ここまで精密な仮想世界なんてほとんど無いに等しいんだから調べなくてなにがハッカーだっての」

 

 そう言った後、こちらに振り返り

 

 「あなたもよ。マスターなのにそこらの一般生徒(モブ)キャラと同等の影の薄さってどうなの。まさか記憶がちゃんと戻ってないんじゃないでしょうね?」

 

 紛れもない事実ゆえ返答できない。サーヴァントを従えた魔術師(マスター)という事だけしか分かっておらず、それ以外は何も思い出せないのだから。

 

 「・・・ウソ。本当に記憶が戻ってないの?それってかなりまずい状況よ。けど・・・ま ご愁傷様とだけ言っておくわ」

 

 彼女が言わんとしている通り、自分が勝ち残る自信がない。それは自分自身が痛感していた。

 

 「隣のサーヴァントと違って戦う姿勢が取れていないのね。覇気と言うか緊張感と言うか・・・全体的に現実感が無いのよ。記憶のあるなし関係なくね」

 

 そう言うと彼女は自分の眉間に指を置いて

 

 「まだ夢を見ている気分なら改めなさい。そんな足腰定まらない状態で勝てる程甘い戦いじゃないわよ」

 

 戦士の顔をして自分に言った。だが、その言葉には自分を心配しているかのような思いが見え隠れしていた。

 

 「そういえばまだ名前を言ってなかったわね。わたしは遠坂凛。あなたは?」

 

 唐突に名前を教えてくれた。とりあえず自分も名乗らないとと思い

 

 「岸波白野だ」

 

 と答えた。それと言峰神父を見なかったかと聞くと

 

 「言峰神父?さぁ、見てないわね。一階の方はちゃんと見た? もしかしたら居るかもしれないわよ?」

 

 そう教えてくれた。それを聞いて一階に行こうと思い、屋上を後にしようと扉まで来た時、まだ遠坂にお礼を言ってなかったことを思い出し、遠坂に声をかけると、彼女は振り向いてくれたので

 

 「さっきは気遣ってくれてありがとう。嬉しかったよ」

 

 笑みと共にそう言って屋上を後にした。さて、とりあえず一階に向かおうと階段を降りようとした時、隣から視線を感じたので見るとア―チャ―が軽蔑した様な目で

 

 「お主、案外女誑しなのかのう?」

 

 なんでさ!?

 

 

 

 

 そんなやり取りがあるなか、屋上にいる少女、遠坂凛は顔を真っ赤にした状態で口をパクパクさせていた。

 

 「お嬢ちゃん、いつまでそんな状態でいるんだ?」

 

 そう言って青の装束をまとった青年が現れた。彼女のサーヴァントだろう 彼は口では呆れた様な言葉だが、顔はニヤニヤしていた。

 

 「う、うるさいわね!! まさか不意にあんな事を言うなんて思ってもみなかったんだからしょうがないでしょ!」

 

 そう顔を赤くしたまま反論し、ため息をつくと

 

 「あいつ、手間はかかるけど別に悪い奴って感じはしなかったなぁ。それに何かこう、かまってあげたくなる様な雰囲気だったし」

 

 「何だ、お嬢ちゃんあの坊主の事気に入ったのか?」

 

そう彼女がつぶやくと、青年が茶々を入れた瞬間、彼女はマシンガンの様に怒号を放ったがどこ吹く風の様に青年は聞き流しながら

 

 (しっかしあの坊主、他の奴らと違ってたな。未熟すぎるが他の奴らにはない〝何か”をもってやがる。ああいう奴程成長するからな。まぁ頑張んな坊主)

 

 そう彼に幸あれと願っていた。

 

 

 

 

 言峰神父に会い、一通りの情報とマイルームのコードを貰ったのでとりあえずマイルームに向かった。コードをかざして中に入ると、中は教室で机と椅子があり、他にはベッドが一つと長椅子があった。あの長椅子はア―チャ―専用だろうと思っていると、彼女はそれに座って

 

 「うむ、中々の座り心地だ。気に入った。さて、ここは何の干渉も受けてはおらん空間よな。何か話す際はここで話すべきであろう」

 

 他の誰にも聞かれないというならようやく落ち着ける。それと彼女に一つ質問をしよう。この聖杯戦争についてだ。言峰神父は負けると電脳死(ゲームオーバー)と言っていたが、あれは本当なのだろうか?

 

 「戦争だから敗北=死は当然よな」

 

 つまり、自分は7人と戦い、倒し、殺めなければならないのか。何の願いも持っておらず、何の覚悟も抱けぬまま、

 

 「先の事を今悩んでも意味はないぞ。それに願いがないなら探せばいいし、覚悟も今すぐ決めろとは言っておらぬ。今は目先の事だけ考えよ。 とにかく、今日はアリーナに向かって一日を終えよう。明日の事は明日考えれば良いからな」

 

 ア―チャ―がそう言ってくれたので、少し気持ちが軽くなった。そうだな、今はまだ生きたいという願いとは呼べないものだけど、これから見つけられる様頑張って行くしか今はないんだから。それに立ち止まってはいられないとあの時決めたんだから、それを貫こう。

 

 「それとアリーナに入ってしまうと学園に戻っては来れん。アリーナを出たら明日になってしまうので買い物や情報収集など、学園でやり残した事があればアリーナに入る前に済ましておけ。その日にしか手に入らない情報等あるからな。一日一日を大事に過ごす様気をつけよ」

 

 結構重要な事なのだからきちんと覚えておこう。とりあえず今日は購買の品を見て必要な分だけ買ってアリーナに入ろう。そう思い、マイルームを後にした。

 

 

 

 

 購買の品を見たが、財布の事情等で買わずアリーナに入ったが、周りは真っ暗で薄気味悪い。どことなく「死」を連想してしまう。

 

 「アリーナは自由に戦闘する事が許されておる。一種の鍛錬の場所だな。敵性プログラム(エネミー)と戦い、経験を積むとよい。今日の目標はあの蜂の敵の辺りまでよな」

 

 それを聞き、とにかく前に進もうと足を進めた 少し歩くと敵が出てきた。それを視認した時、軽く頭痛がしたので目を閉じ、また開くと目の前の敵の情報が頭に流れてきた。あの箱型の敵はKLEIN(クライン)というらしい。名前の他に行動パターン等色んな情報は分かった。行動パターンはまるで分からないので何回も戦う必要があるのだろう。それと多分、他の敵も同様なのだろうなと思いながら進むと急に敵が襲いかかってきた。

 だが、

 

 「遅い」

 

 敵の横を通り抜ける瞬間、居合の一閃で敵は消滅した。勝利したのだがア―チャ―は渋い顔をしていたのでどうしたのかと聞くと

 

 「いや、何となく感じていたがわしは本来の力を出せてはおれぬ。今のわしの力は最低ランクといった所だろうな」

 

 それを聞いて端末のステータスの欄を開くと、確かに全てのステータスの項目がEだった。自分のせいでと思い自責の念に駆られていると

 

 「別に自身を責める必要はない。それにどん底からのスタートというのは案外悪いものではないぞ?」

 

 不思議なことを言うので首を傾げる。

 

 「生まれながらに才能のある者はそれを頼んで鍛錬を怠る、自惚れる しかし、生まれつきの才能がない者は何とか技術を身につけようと日々努力する 心構えがまるで違う。 これが大事だ。 これはわしが言った言葉だが、お主によく当てはまる。それにお主は立ち止まるという選択を捨てた。それにより一戦一戦確実に強くなれようしどうやらお主は人に好かれやすい 色んな人にアドバイスを貰うなりすると良かろう あの痴女、いや小娘とかに聞けばある程度は教えてくれよう」

 

 一瞬、遠坂の事を痴女って言ったな。だけど、彼女の激励は嬉しかった。確かにその選択は捨てた。それは今も変わらない、ならば彼女の期待に応えられるよう努力しよう。

 そう心に決め、まだ敵がいるので一通り倒そう。そう足を進めた途中300PPTとエーテルの欠片を入手した。 正直ありがたいと思い、少し休憩しているとさっき倒した敵が復活していた。

 

 「どうやらある程度時間がたつと復活してくるようじゃな。だが、これでお主はさらに経験が積めるな」

 

 彼女は自分に笑顔でこう言ってくれた。地道だが確実に強くなれる、後は自分次第だな。そう考えをまとめ、範囲内の敵を全部倒しては休憩しまた倒すを何回かしてアリーナを出た。

 

 だが彼は知らない その決意、意志、覚悟とは呼べないが強い気持ちが本物かどうかが試されることを。

 

 対戦相手が発表されると端末にメールが届いてので指定された場所で確認した瞬間驚きを隠せなかった。何故ならそこには自分の名前と

 

 「マスター:間桐慎二

  決戦場:一の月想海」

 

 短い付き合いだが親友の名があったからだ。




感想、コメントお待ちしています(返せるかは分かりませんが)
誤字脱字があれば遠慮なく教えてください

ちなみにこの話で出てきた長椅子は西洋の王様とかが座っている椅子というイメージです
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