魔に魅入られた少年の話   作:新参者基本読み専

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久々の投稿です。


決戦と覚悟

人との出会いは何とも不思議なものだ。その出会いによって多くを得、学び、進む事が出来る。さて、彼はこの戦いで出会った老騎士との出会いで何を得、学ぶのだろうか?

 

 

 今日が決戦日。また、自分は誰かを倒さなければならない。でも、足を止めようとは思わない。それは自分が倒した慎二の為なのか、それとも死にたくないからなのかは分からない。でも、今はそれに従おう。

 

 「準備は出来たか、主?トリガーも揃っておるし問題は無いな。さて、決戦の地へ向かおうとしようかの」

 

 アーチャーの声を聞き、マイルームを後にした。

 

 

 

 

 エレベーターが決戦の地へ向かってる途中、ダン・ブラックモアとそのサーヴァント、アーチャーが姿を見せた。

 

 「また会ったのう狙撃手よ。前に言った事を覚えておるか?決戦にてその首をはねると。あの時の宣言通り勝たせてもらうぞ!」

 

 「ハッ!上等!!随分と上から目線じゃねぇか。良いぜ、これは餞別だ、持ってる矢全ててめぇに打ち抜いてやるよ!!」

 

 「冷静になれアーチャー、お前らしくもない」

 

 「そうは言われてもねぇサーの旦那。俺の素性良く分かってるだろう?相手は何か王様っぽいんすよ、俺はそれを討つ側なんでね。だがまぁ、オーダーには従いますよ」

 

 そう言ってアーチャーは自分を見て

 

 「しかし少年、おたくは大変だねぇ。清々しい程王様気取りな奴が相方とは同情するよ」

 

 「大変だと思った事はない。今の自分があるのは彼女がいたからだ。彼女の助言などがあったから今、この場に立ててるんだ。俺は彼女を信じてるよ」

 

 「・・・へぇ~、そっちは大変仲が宜しい様ですね。まぁ如何でも良いか。どうせおたくらはここで消えるんだしな」

 

 「消えるつもりはない。俺は全力で勝ちを取りに行く」

 

 「その意気だ少年、わしもわしの流儀で全力で戦わせてもらおう」

 

 そうお互いが宣言し終えた時、エレベーターがゴトンッと音を立てた。決戦の地に着いたことを意味する。  さぁ、殺し合え。

 

 

 

 

 決戦の場所は塔の頂上だ。本来は地上にある物が海中、又は海底にあるとどこか不気味さと儚さを感じる。一回戦と同じ様に向かい合うように立った瞬間、サーヴァント達は武器を構えた。

 

 「ここで決めるぞアーチャー」

 

 「ああ、そうしようか。テメェもろとも(ひなどり)も射殺してやりますか。テメェにはキッツイお仕置きをしてやるよ」

 

 「仕置きを受けるのは貴様じゃ道化師。貴様の矢なぞ全てわしの炎で燃やし尽くしてくれるわ!!そしてわしの主を侮辱した罪は重いぞ!」

 

 「ってそこかい!怒るのは!!テメェどんだけマスター大好きなんだよ!?」

 

 「何を言っておる?わしは才ある者を愛する。そしてこの者はまだ未熟ながらもその才を磨こうと切磋琢磨しておるのだぞ?その行為は賞賛すべきであろう。それに今はひなどりでもいずれは大鳥となって飛び立つのが道理なのだからな。それに比べ、貴様の主はどうだ?死にかけ、嫌もう殆ど死んだ黒烏、この差は大きいぞ?」

 

 「成程、確かにそうだな。返す言葉が無いとはこの事か」

 

 「そりゃ違うぜ旦那、アンタの願いは人間として正しく全うなものだ。その願いを笑う権利なんて誰にもありゃしないんだよ」

 

 「別に貴様らの願いなんぞ如何でも良い。今重要なのは勝つか負けるかのどちらかよ。主を想うのなら見事、わしの首を取って見せよ!」

 

 そう言うとアーチャーは距離を詰めようと地を蹴った。相手も矢を放って応戦した。

 

 「チッ、銃を使うだけじゃなく接近戦も出来るとかお前、俺と同じアーチャーかよ!?」

 

 「貴様とわしを一緒にするな!たとえクラスが同じでもそれぞれ違いはあろう?それに弓なぞ時代遅れじゃ!!これからは銃じゃよ銃!」

 

 「それ絶対アーチャーじゃねーだろ!!?もう別のクラスになってんじゃねーか!」

 

 うん、声だけ聞いていたら何か仲の良い二人の口げんかをイメージ出来るんだけど、実際は片方は矢を放ち、片方はそれを弾くといった事をしてる。一回戦でも彼女はライダーの銃弾を刀で弾くといった事を普通にやっていたから今回も出来るだろうなぁと思っていたが、実際見ると言葉が出ない。

 

 「チッ、本当調子が狂うぜ、だがな!」

 

 そう言うと緑衣のアーチャーは突如こちらに矢を放つことをやめ、右腕を地面につけた。そして自分の魔力を地面に流し込んでいる。

 

 「何をする気か知らんが隙を見せるとは愚かじゃぞ!」

 

 そう言ってアーチャーは相手との距離を詰めようと地を蹴ったが、

 

 「何の策もなく突進して来る方が愚かなんだよ!そんじゃ、死にな」

 

 拳を地面を殴るかの様に叩きつけた。その瞬間、ここ何度も感じた嫌な予感がした。

 

 (アーチャー、何か来る!!後ろに思いっきり跳ぶんだ!)

 

 そう念話を送ると、アーチャーは一旦止まり、後ろに跳んだ。すると、

 

 

 ドォン、

 

 

 さっき後ろに跳ぶ時蹴った地面から何かが爆発したかの様な音がした。さっき魔力を流していたのはこの奇襲の為だったのか。

 

 「チッ、いい勘してやがるぜ。だが、今この状況はこっちの好機だぜ!」

 

 そう言って自分に弓を構え、矢を放とうとしていた。確かに今、アーチャーは上に跳んでいる為、たとえ銃で防ごうとしても撃ち漏らしがあれば自分たちの負けなのだ。

 

 「貴様の相手はこのわしじゃ!!よそ見をするとはいい度胸じゃのう!」

 

 その声を聞き、上に跳んでいるアーチャーにここに居る全員が目を向けた。するとアーチャーは両手に銃を持ち、緑衣のアーチャーに狙いを定めると、

 

 「魔弾・黒炎」

 

 そう言って銃を連射した。その瞬間、銃弾に黒い炎が纏わり、雨あられの如く緑衣のアーチャーに襲い掛かった。

 

 「クソッ、またあの技かよ!!」

 

 緑衣のアーチャーは舌打ちをしながらそれを横に逃げる事で回避しようとした。後ろには彼のマスターが居るので当たらない様にしたのだろう。だが、それだけでは彼女の攻撃からは逃れる事は出来ない。アーチャーは時に緑衣のアーチャーの行く先に撃ち、行くところを制限した。そんな中でも緑衣のアーチャーは回避しようと足掻く。だが、それもつかの間だった。銃弾の内の一発が彼のマントに当たり、黒い炎がマントを、そしてその持ち主を飲み込もうとした。

 

 「あーもうクッソ、またやられたぜ!」

 

 そう言ってマントを脱ぎ捨てた瞬間、数発がマントを貫き、それによって勢いを増した黒い炎によってマントは消し炭になった。

 

 「さて、これで貴様は身をひそめる事は出来なくなった。どうする?このままで終わりではなかろう?」

 

 着地し、それでも緑衣のアーチャーに狙いを定めたままアーチャーを挑発する。その挑発に緑衣のアーチャーは顔をしかめた。それもそうだろう、自分が最も得意とする戦い方を封じられたのだから。いまなら、

 

 「ダン・ブラックモア、俺はあなたに正面から勝負を挑む!!俺は、後悔したくない!」

 

 彼の流儀、それは騎士足らんとする戦い方だ。それで全力で戦うと言った。だからこそ自分もその流儀をにのって全力で戦う!!

 

 (迷いを捨てたか、岸波白野)

 

 「良いだろう。アーチャー、接近戦の準備は出来ているな?」

 

 「旦那、正気か!?あんたはどうしても勝ちたいんだろう!!?」

 

 「冷静になれアーチャー。お前の技量はわしが良く知っている。だがわしのサーヴァントである以上一人の騎士として振る舞って貰いたい。信頼しているよアーチャー」

 

 そう言って彼は自分のサーヴァントにコードキャストをかけた。彼は心から自分のサーヴァントを信頼している。例え戦い方が真逆であっても、でなければこんな言葉は出ない。それはアーチャーも分かっているだろう。

 

 「・・・・へっ、令呪を使う必要はないぜ、旦那(マスター)

 

 そう言ってナイフを両手に持って構えた。その行為にアーチャーは感心した様子で銃から刀に持ち替えた。

 

 「これでようやくわしらは対等になった。今はどんな気分じゃ?って聞くまでもないか」

 

 「酔狂なマスターにあてられた結果だけどな。だがまぁ、これはこれで楽しいぜ!」

 

 「であろうな。そういう顔をしておるぞ。誇りの為に誇りを捨てた皐月の王よ、今ここで雌雄を決しようぞ!!」

 

 「ハッ、上等!」

 

 互いにそう言い合うと、一緒のタイミングで地を蹴り、剣戟を始めた。緑衣のアーチャーは二本のナイフを生かして手数で攻めていたが、アーチャーはそれをいなし、受け流してカウンターをするという戦法で戦っていた。だが、長くとも短くてもとれた剣戟は唐突に終わりを向かえた。アーチャーが緑衣のアーチャーが持っているナイフの一本を弾き飛ばした。緑衣のアーチャーはすぐさま予備のナイフを取り出そうとした瞬間、

 

 「呪刀・黒魔」

 

 そう言った時、アーチャーが持っていた刀が黒い炎を纏った。先程銃で放った炎と同じだろう。そして、

 

 「消えい!」

 

 その叫び声と共に一閃が放たれた。緑衣のアーチャーも防ごうとしたが時すでに遅し。その一閃をモロに喰らった。

 

 

 これにより、この決戦の勝敗は決した。

 

 

 驚きとどこか天啓を見た様な面もちで自らを倒した自分達を見つめ、

 

 「・・・いや、そうか。そうだったな。わしもまだまだ未熟だったみたいだな。この聖杯戦争は普通の戦争とは違い、意志の強さではなく意志の質こそが問われ、進む力になるという事か」

 

 そして彼、ダン・ブラックモアはこう続けた。

 

 「わしが聖杯に願うのは亡くした妻を取り戻す・・・か。何とも愚かな勘違いをしていたのだろう。自らの生涯を軍に捧げ、軍人として生きる為に冷徹になったのだが、そんな男が・・・今までの事を捨て、個人の願いに固執していた。棚の奥の奥にしまいこんでいた騎士の誇りを持ち出し、一人の男として戦いに挑むなどと・・・・・本当に愚かだ」

 

 遺言の様に自分の事を話していた。・・・・・緑衣のアーチャーの言う通りその願いは全うなものだった。人は失って初めて大切な者等が分かる、という事だろう。

 

 「迷いながらも生きるが良い、若者よ。その迷いはいずれ敵を穿つ(うが)ための意志になる。努々(ゆめゆめ)忘れぬことだ」

 

 そして彼は自分のサーヴァントに顔を向け、

 

 「すまなかったなアーチャー。わしの我儘ゆえに戦い方を縛り、お前の矜持を汚してしまったな」

 

 「あー、別に良いっすよ。どうせ勝っても負けても最後には消えるんだしな。そりゃ願いらしきものはあったけど、楽しけりゃ基本オッケーなんすよ俺は。けど・・・」

 

 向き合っていた顔をそらし、わずかに照れたような表情をして

 

 「生前縁は無かったけど一度くらいは格好つけたかったんだよ、俺もな。・・・だから謝る必要なんかねぇんだ。十分、良い戦いだった。恥じる所何かどこにもねぇよ。生前の俺は大抵の物は手に入ったけどさ、どうしても手に入らなかったものがあった。最後にそれを掴ませてもらったさ。・・・・ありがとうよ旦那」

 

 感謝を述べ、彼はこの世界から完全に消失した。だが、その顔には悔いなど無かった。それを見届け、彼は自分に話しかけた。

 

 「白野君、最後に年寄りの戯言を聞いて欲しい。これから先誰を敵として迎えようとも誰を敵として討つ事になろうとも、必ずその結果を受け入れて欲しい。迷いも悔いも消えないのなら消さずともいい。ただ、結果を拒む事だけはしてはならない。それは、それまでの過程で得、培ってきた事を否定する事だ。全てを糧に進め。覚悟とはそういう事だ。それを見失ったまま進めれば、君は必ず未練を残す。だが君はある程度それを理解していた。君のサーヴァントが教えてくれたのだろう。大事にしなさい」

 

 「当然じゃ。サーヴァントは主を一人前にするのも役目よ」

 

 「ダン・ブラックモア卿、あなたは初めて出会った時、迷いがあると言っていました。それは何ですか?」

 

 彼の言葉にアーチャーはは胸を張り、自分は今まで疑問に思っていたことを訪ねた。

 

 「そんな事も言ったな。・・・・・君はまだ戦いに意味を見いだせていなかった。何のために戦うのか、何のために負けられないのか、その答えを見つけられていなかった。これからの戦いでその答えを模索し、最後まで勝ち続けた責任を果たすのだ。いいかな未来ある若者よ、それだけは・・・絶対に忘れるな・・・・・」

 

 そう言って彼は天を仰ぎ、手を伸ばした。まるで誰かが差し出した手を掴むかのようだった。

 

 「さて・・・ようやく会えそうだ。長かったな・・・アン・・・・ヌ・・・」

 

 呟いたのは女性の名前・・・。奥さんの名前なのだろう。それを口にした時のダンの顔には未練も後悔も無かった。彼は静かな答えを胸に抱いたままゆっくりと消失していった。

 

 

 

 

 

 「迷いも悔いも消えないのなら消さずともいい。全てを糧に進め。覚悟とはそういう事だ」

 

 

 「ダン・ブラックモア卿、俺は貴方と出会えた事を誇りに思う。・・・・貴方の言葉から色々な事を教えてもらいました。俺の在り方を・・・・信念を」

 

 そう言って校舎へ戻るエレベーターに向かった。戦った過去に、命を奪った相手に恥じない戦いをすると誓って。

 

 (うむ、良い面構えになったのう。初めはどうなる事かと思ったが少しずつ強くなってきておる。そなたはまだまだこんなものではなかろう?もっとそなたの事をわしに見せてくれ。期待しておるぞ?)

 

 彼はエレベーターの方を見ていたので表情を見ていなかったが、彼女の顔は期待に満ちた目とまるで初恋をした純粋無垢な笑みを浮かべていた。




なんだかんだでお気に入り件数が50件超えました。本当にありがとうございます。これからもゆっくりですが更新していきますので応援宜しくお願いします。
後から知りましたがextraシリーズの新しいのが発表したそうですね。extraシリーズのファンとしてとても嬉しいです 今年となってますが延期するかも知れない( -_・)?ですかね
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