問題児たちと翼をもとめるこが異世界から来るそうですよ? 作:エステバリス
……やることいっぱいあるのにどうよ、また書くってどうよ?
はぁいエステバです。というわけで今度はいつまで続くかわかりませんが、翼をもとめるこ、見ていてくれたらなんか罪悪感に浸れるかと思います!主にわたくしが!
パタパタパタ、と翼の羽ばたく音が聞こえる。
「……ぁ、ぅ」
小さな子供はその羽ばたきを追いかけるように手を空に翳した。
当然、何も起こらない。だが、それでもと子供は羽ばたきを追って、追って追って追って―――地に落ちた。
地面へと落ちる最中、子供は幻想を見た。
天を駆ける馬。地を駆ける鳥、海を駆ける馬……滑稽無形に駆ける生き物。
果たしてそれは、本当に幻想なのか―――
嗚呼。ボクは
そう思いながらボクは、一枚の招待状を手に取った。
◆◇◆
フワッとした浮遊感。自分が今、空を飛んでいると思ってしまうような、今いる高度からしてファンタジーを感じてしまうような、地上おおよそ四千メートル。
かなり高い山岳の天辺から地面まで擦れる空気とランデブーしているようなものだった。
「「「――――!」」」
「――――」
三人の少年少女は思いのままに、そのたけを雄弁に叫んでいるが、小さな子供は虚ろな目をしながらも風を一身に受けていた。
「……死んじゃうかもね」
風切り音に遮られて聞こえることはなかったが、子供は確かに呟いた。
僅かな期待を持って呟いたそれとは対称的に、四人の周りを薄い緩衝剤のようなものがいくつも連なり、気づけば落ち始めた時かそれ以下かの速度となった四人の身体は一斉に、湖へと落ちていった。
ドボン、今日も世界は快晴だった。
◆◇◆
ジャバ……ジャバ、といくつかの水を掻き分ける音が静寂を支配する。
「……ったく、んだよこれ。いきなり勝手に呼び出したと思ったら空の上から湖へダイブだぁ?下手したら一発即アウトだろこれ……」
「全くよ……!これじゃ石の中に呼び出されるのとそう変わらないわ!」
「そうか?俺は石の中の方がマシなんだが」
「そう」
「……無事?三毛猫」
「にゃー」
先程思いの丈を熱く語っていた三人だ。金髪にブレザーの少年と、黒髪のロングスカートの少女に、茶髪のショートパンツの少女+三毛猫。それぞれ三者三様、好き放題喋っている。
「……って、あら?もう一人いなかったかしら?私達よりも小さな子が……っ!」
黒髪の少女が呟いて湖を見たとき、パッと瞳孔を思わず見開いた。
気泡がある地点から出ている。そこから白い花が詰められたビンが浮かんでくる。
まさか、と少女が思った瞬間、少年が行動に移した。少年がブレザーを脱ぎ、飛び込むように湖に入っていったのだ。そして七秒とかからないうちにあっという間にその子供を見つけて上がってきた。
「っぷは、心配かけさせんなよったく……」
少年が子供を背負って陸に上がると、若干投げるように子供をうつ伏せに置いて背中を叩く。
「……けほっ、けほ……」
「……どうなの?」
「水飲んだだけだな。もうちょい出せば心配はいらねぇはずだ」
「っ、そう」
少し安心したように子供を見る。
よく見るとかなり酷い身体つきをしていた。皮膚越しに骨のカタチが見えてしまうほどに細い手足、水を飲んだから、だけで済ませてはいけないほどに真っ白な肌色。そして伸ばしすぎと言っていいほどに無造作に伸びている薄緑の髪。
どことなく浮世離れしているといったイメージを与えてしまう。
「……ぅ、ん……」
「……起きた」
子供の姿に唖然としていたのも束の間、すぐに目を覚ました。
「死んでない……」
第一声はやたらと物騒だった。見た目相応のたどたどしい口調でだ。
「……起きた、みたいね。それじゃそろそろ自己紹介でもしましょうか。このままじゃ貴方、としか呼べないわ」
「それは賛成だね。俺は逆廻 十六夜。粗野、凶悪、快楽主義の三拍子揃ったダメ人間なので用量、用法をよく守ってヨロシク」
「そう、説明書でもあるの?」
「あるぜ」
ほらよ、と正確に三人に名刺程度のサイズの紙を投げ渡してくる。三人はちらりとそれを見て、それそのものにすぐに興味をなくした。
『逆廻 十六夜17歳。楽しいことに目がないので楽しいヤツよろしく』
まぁ、それもこれも取説云々じゃない、説明書と書いておきながら語ったこと以外綴られていない内容だからなのだが。
「久遠 飛鳥、15歳よ」
「春日部 耀。14」
まぁいいか、と自分の紹介に移った飛鳥に続いて耀も簡潔に述べる。
「そう、よろしく春日部さん。それで最後に……その、貴方はどういう名前なの?」
「……ボク?」
突然振られたので子供はきょとんとしながら人差し指で自分を指差し、顔を傾げる。女子二人はそれに少し思うところがあったのか一瞬顔を背け、また向き直る。
「そう、貴方よ。名前あるでしょう?」
「名前、ボクの。………………………………セーマ」
少し間が空いたが、子供、セーマはしっかりと名前を告げた。その姿を見て飛鳥は満足したのか、セーマの頭を慣れない手つきで撫でてくる。
「よろしくね、セーマくん」
「んっ……よろしく、アスカ、ヨウ……イザヨイ?」
最後だけ何故か疑問系だったが、ともかく疑問は解消した。これで当面の少しだけややこしい問題は解決。よかったよかった、と物陰から隠れて四人を見ている人影は思―――
(……え?なんですかこの家族みたいなふんわりした空気。なんだかとても……出ていくのを躊躇わせてしまうような空気感なんですけど……)
ってなかった。とりあえず悪人を呼んだわけではないということに安心はしたが、いったいこれからどうなっていくのかが彼女、黒ウサギは不安で不安で仕方がなかった。
ふんわりしたもの、いいですよねー。こういうのを書きたかった。
……まぁ設定がかなりアレな予定だからふんわりできないと思うけど……少なくとも僕は。