リリカルなのは:介入するなら頑張って   作:ゆかりフリカケ

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※関西弁が怪しすぎるのは目を瞑って頂けると幸いです。



#10 idle talk:04

case:05「フラグは建てたまま放置したい-2『はやてコミュ』」

 

 温泉イベントでリニスがフェイトちゃんの元に行き、ついでにアルサナに向こう陣営の状況偵察をお願いして、A'sに備えての対人技能の練習相手も居なくなったいつき。その結果としてする事が便利アイテム(特化デバイス)作成しか無くなってしまっている。後々の事を考えると主人公'sの周りにはデバイス特化が少ないうえに、居たとしてもA's中盤からStSにかけてだ、いつき自身が表に出なくともその役割を担う為に技術を高めるに越した事ではないのだが、彼女がとったのは――

 

「そうだ、はやてちゃんに会いに行って、”一般人のいつき”という私を刷り込み(インプリンティング)してこよう」

 

 自ら身バレフラグを建設しそうな行動に移るのであった。

 

 

 

 

お昼過ぎ

ピンポーン……と呼び鈴が鳴る。

 

「はいはーい」

 

 来客に応じる為に玄関まで車椅子で移動する少女。玄関扉を開けた先に居たのは、その少女よりも更に小柄な少女。

 

「いらっしゃい、いつきちゃん」

「こんにちは、はやてちゃん。急な連絡でしたけど、迷惑じゃ無かったですか?」

「そんなことあらへんよ、わたしも丁度なんの用事もなかったし」

 

 そう言って快く出迎えてくれた少女はやて。無印編では出番はないがA's編の影の主役、StS編でのみんなの上司さん、私は管理局に行く気は無いけど。

 

「とりあえずお邪魔しますね」

 

 はやてちゃん会いに来たのは刷り込みをしたいというのは確かに在るが、早期に関わりを持った以上やる事は一つ”夜天の書(闇の書)”に触っておきたかったからだ。

 

 

 

 既に何回かは家に訪問したりまではいかずとも図書館で出会ったりなどで交流を深めて行ってるのだが、御宅訪問からのいきなり「古い本あったら見せて!」っと言うわけにもいかず(あくまで一般人という印象を付ける為にも)とりあえずはリビングで談笑交流をしていた。

 

「話には聞いてましたけど、結構広いおうちなのにホントにはやてちゃん一人暮らしなんですか?」

「そうなんよ、お父さんもお母さんもわたしが小さい頃に亡くなってしもてな……」

「あ……その、ごめんなさい」

「ええんよ、気にせんでも。それに面倒見てくれてる人は居てるしな」

 

 グレアムさんの事ですかね? もしそうならA'sからいきなり銀幕時空に突入とかは無さそうですね。まぁ最近思い出したのですが銀幕版の設定はIF時空か劇中劇だった筈ですし無いですね……いや、在る意味ここもIF時空か。

 

「まぁ面倒見てくれてるって言っても、最初は手紙のやり取りだけやったんやけどな。どっちのかは聞いてへんのやけど両親の親戚らしくて生活してける分の支援を出してくれてる親切な人なんよ。直接会ったことも何回かあるんやけどその度にわたしの事気に掛けてくれてる優しい人や」

 

 ……その裏の事情を知ってると、ちょっとやるせないですね。……ん、え? ”直接会った”って言いましたか? そんな事は物語に無かった筈ですが、もしかしてグレアムさんとは別人? もしくは彼に影響を与えるために別年代に転生した転生者(イレギュラー)でも居たりしてしまうのだろうか。少し探りを入れてみようかな。

 

「へぇー、そんな親切な人が居るのに、一緒には暮らしていないんですか?」

「うん、この足やし、わたしもそうしてくれた方がうれしいって言ったんやけどな、どうも忙しい人らしくてコッチに留まることが出来ひんらしいんよ」

「日本の人ではないという事ですか?」

「そうみたいやよ……ちょっとまってな」

 

 そういうとはやては棚の方に行き何かを取ってきて私に見せてくれた。写真だ、今よりも更に幼いはやてを抱きかかえた人の好さそうな髭を蓄えたおじさんがこのはやての家を背にして写っていた。

 

「これ見てな、それでこの人。グレアムさん、見た目も日本人と違うやろ?」

(記憶通りのギル・グレアムその人だ。でもだとしたらこのズレは一体?)

 

 本来の歴史通りであるならば、彼は手紙のやり取りだけで姿を見せなかったはずだ。なのに、なぜ?もしかしたらと考える。

 

 

 

クライドさんの事は起こらなかった。

――ならば闇の書は転移せず、グレアムさんとはやてちゃんが接触すること自体が起きない、この可能性は無い。

 

闇の書がすでにここに無いのではないか、もしくは既に対処済みであるか。

――それもないだろう、現にはやてちゃんの足は現在進行形で不自由になっていっているらしい、侵食が進んでいるという証拠。

 

ならばグレアムさんから、はやては全て聞いていて実はもう魔法に関わっている?

――更に無い可能性だ。この家から”魔力使用の残滓”などは感じられない。

 

 

 

 この世界では可能性が多すぎる、そして現状では情報が少なすぎる。どうしようもないかなコレは。考え事に集中した所為かはやてちゃんに声をかけられる。

 

「いつきちゃん、どうしたん?」

「え? あ、ちょっと考え事を」

「……!? ははーん、わかったで」

 

 はやてちゃんがドヤ顔を浮かべてニマニマしながら此方を見てくる。何がわかったというのだ? もしやリンカーコアの魔力にでも勘付いたのか!? 素質だけを考えればまだ覚醒してないにしても十分に可能性は

 

「ズバリ! グレアムおじさんに見惚れてたな! いつきちゃんは老け専やったんや!!」

 

 ……微塵も存在しなかった。在り得なさ過ぎる間違った可能性因子は早々に断ち切るべきなのだ。その因子が今ここで誕生させられてしまったのならする事は一つ

 

「……チェストォ!」

 

 横でドヤ顔浮かべたままのはやてちゃんに、脳天直下のチョップを全力で振り下ろす。

 

「ッ! ()ったー! 物凄く痛い! なにすんの!?」

「間違った考えを抱いた罰ですよ。そんなわけ無いじゃないですか」

「からかっただけやん! もうちょい愛のあるツッコミが欲しかったわ!」

「知ってます、だからあえて私に出せる全力で答えてみました」

「全力の方向性が違うその愛が痛い!」

 

 そう他愛も無いやり取りを重ねて、はやてちゃんに”一般人で気の会う友人”である私を思い込ませればそれでいい。……正体バレた時に何されるか、わからないけど。はやてちゃん、将来交友関係もすっごいお偉いさんに成るし。

 

 

 

 

 色々あって(大分端折って)、一緒に夕飯を食べたり、足が不自由という理由を押し付けられ一緒にお風呂に入ったりした。描写?無いよ、そんなの。

 料理の際には今後の事も考えて料理が出来るのかの確認(まぁA's時点(数か月後)にしっかりと出来ていたのでそれは無いが)、出来なければ教えておこう等と考えていたが杞憂に終った。原作どおりはやてちゃんの料理の腕には目を見張るものが既に在った。普通の一桁の子供が持つ腕前ではないでしょうに。

 

「はやてちゃん、料理の腕前凄かったですね」

「いや、それを言うならいつきちゃんの方が凄かったやん? わたしは一人暮らししてるけどいつきちゃんは両親共にいてるんやろ?」

「あれ、言ってなかったっけ? 私も今は一人暮らしだよ?」

 

 足が不自由以外は大体はやてちゃんと同じ境遇にいますよ。

 

「ほーそうなんか、大変やね」

 

 ……興味無しですか。まぁ、いいか。

現在私たちははやてちゃんの部屋でベットに一緒に座ってお話している。なし崩しにお泊り会になったのだ。……下心とかある訳ない、と言いますかその気持ちが湧いてこない。今、私、女の子だし。そんなことよりここまで来たら闇の書の確認ですよ。

 

(さて、確か机の本置きに紛れてるんでしたっけ? 古い感じの背表紙は…っとあったあった)

 

 私は何気ない動作で其処まで歩いていき手を伸ばす。主ではない為防御機構が働くかと用心もしたが問題なく手に取ることが出来た。まだ起動状態に無いからだろうか? 試しに開こうとしたが――開かない。それもそうか、なぜか半透明だがまだ鎖が巻かれている、開くわけもないのだろう。

 

「はやてちゃん、本好きなのはいいですけど、流石にこれは古書過ぎるのでは」

「ぅん? あぁ、それな、わたしが生まれる前から家にあったらしいんよ。開かへんから読めてないんやけど”持ってなくちゃいけない”って気がしてな」

 

 なんだろう、呪縛的なモノでもあるのだろうか? いや、あるのだろう、蒐集を強いる為に主から魔力を搾取する機能があるくらいだし。完全に呪いだよね。

 

「ふぅん……不思議な本もあるんですね」

「せやな、グレアムおじさんにも見してみたけど

『世の中には人には理解できない不思議なモノもある、コレもその類だろう。とても珍しい物だからその時が来るまで大事にしなさい』

 って言うてたから捨てたりする気も無いしな」

 

 グレアムさん、もうちょっと頑張ってくれませんかね? せめてはやてちゃんから闇の書を引き離すくらいはして下さい、せっかく原作と違って接触までしてるんですから。

原作に無いアグレッシブさの動きをしていたが、動いただけな人に心の中で文句をたれつつ、まだ時期ではないのか探りを入れようにも完全な沈黙状態の闇の書は反応がなく、またアクセスも出来ない為”しょうがない”と諦めて本棚に――

 

「痛ッ!」

 

 戻そうとした際に闇の書を持っていた手に痛みが走る。血が出ていて闇の書にかかってしまった。ベースが書物であるからどうやらページで切ってしまったようだ。

 

「いつきちゃん、大丈夫?」

「大丈夫ですよ、ちょっと指先が切れてしまっただけなので」

「本や紙を触ってるとよくあるな、そっちの引き出しに絆創膏入ってるから使ってな」

「ありがたく使わせてもらいます」

 

 指先に絆創膏を貼付る。ヒールを掛ければ痕も残らず治るので翌日以降にでも掛けよう。

夜も子供には辛い時間となってきているのでそそくさとはやてちゃんの寝ている布団に潜り込む。

 

 すると自分より小さい私に、きゅっと抱きついてくるはやてちゃん。

 

「どうしたんですか?」

「ごめんな……ちょっとだけでええから……」

 

 向かい合いの状態になると顔を俯かせて少し肩が震えているはやてちゃん。……まぁそりゃ寂しいでしょうね。純粋な年齢で子供の一人暮らしというのは。

 

「――私なんかで良ければ、いつでも頼ってくれてもいいんですよ」

 

 こんな歪な存在であるような私でいいのなら

 

「私は”はやてちゃんがどうなっても”味方で居ますからね」

 

 あやす様にそっと背中と頭を撫でながら呟く。安心したのか早々に寝入ってしまうはやてちゃん。

 

「思った以上に、この入り混じった世界の主人公'sのメンタル面は脆いのか、はたまた崩れたパワーバランスの所為でそう思えるのか……」

 

 答えは出ない、出るはずもない。でも支えないと危ないかもしれない。グレアムさんが”直接会いに来て”関わっているのが影響しているのか、原作以上に人との関わりを欲しているのかも知れないこの少女(はやて)。このメンタル強度では最後のあのシーンで本当に壊れてしまうかもしれない。其処を対処する方向で頑張ってみますか。

 

そう考えながら、私も眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――仮起動(SafeBoot)

 

 

――DNA情報登録

 

――対象魔力推定値測定:平均値Rank”B”相当

           :振れ幅”測定不能”

           :最大値Rank”不明”

 

――対象魔力波紋(パターン)登録

 

――対象素質判定”可”

 

 

――対象とのパスリンク接続”Complete”

 

――対象を”補助主(セカンドマスター)”として確保/認定

 

 

 

 

――今代の主の呼称より対象名登録”イツキ”

 

 

――待機状態に戻ります(The transition to the standby state)・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 





書いている内に設定盛って行き気味になっちゃうので整理しながら頑張っております故。
最後のほうの捏造設定はなんとなく入れたもので特に活用予定は……まだ無いです。

放置したいフラグは”建ててしまったモノ”ではなく”知らぬ間に建ったモノ”。


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