「あんた、いいかげんにしなさいよ!」
突如響いたのはアリサちゃんの叫び声(というか罵声?)。受けていたのはなのはちゃん。……あれ?おかしいな、この世界での貴女のグループでは全員が何かしら隠してると思うんですけど。
そう、自分の席で遠目に観察しながら思う。
二人(なのはと悠次)は一緒にジュエルシード探し、一人(亮夜)はフェイトちゃん側でジュエルシード探し、そしてさも一般人ポジ然で詰め寄ってるアリサちゃんとすずかちゃんもあんな事件に巻き込まれてたり体質の事だったり隠してるでしょうに。それと同じで幾ら親しくても言えない事ってあると思うんですけどね。
そんな事を考えていると、アリサちゃんとすずかちゃんが教室から出て行き、関わっている男衆がなのはちゃんに話しかけている。どうやらフォローに回っているようだ。
ちなみに今はアルサナが手元に無いので身体強化で聴力を増幅させて聞き耳を立てる。
「なにを隠してるのかはしらねーし、俺は別にそれでもいいと思うけど、あんま思いつめんなよ」
まず口火を切ったのは亮夜君。色んな意味でアナタ方メンバーで一番隠してるであろうキミがそれを言いますか?
「俺達はアリサ達とは違うから彼女がなんであれ程怒ったのかはよくわからないが、俺で良ければ、いや”俺達で良ければ”いつでも相談にのるからな」
言いますねぇ、フラグ建てるつもりですか? しかし彼が言った”俺達”というのはこの場を客観的にみると悠次君と亮夜君ですが”事情を知っている”という意味では彼とユーノ君の事でしょうね。
「うん……ありがとう、亮夜君、悠次君……」
う~む、彼ら二人は結構良い方に持っていこうと頑張ってるんですかねぇ、それが効いているかはともかくとして。まぁ
このまま原作通りの流れなので放って置いてもいいんですけどねぇ、あまり身近に寄っていくのは私のやり方に沿わないし。でもギクシャクされても見ていて楽しいものでも無い、少しパワーバランスが原作と違う以上、メンタル面で支障をきたされると前みたいに大怪我しそうになるかもしれないですからね、何より元の歴史通りなら暫くしたらジュエルシードに関わった人が休みますしね。少しフォローしておきますか。
私はそう考えて、なのはちゃんのフォローに回っている悠次君やらを横目にアリサ・すずかちゃんペアを追いかける。
原作描写通りなら階段で……おっ居た居た丁度話し合ってる? でもどうやって話しかけようかな、特に親しくしたわけでもなかった訳だし、どうしようか。
そう考えていたら向こうの方から話しかけて来た。
「誰?……って、アンタ、神在だっけ? 何?何か用なの? 今アタシ凄く不機嫌なんだけど」
「ア、アリサちゃんそんな言い方しなくても」
えぇー……其処までですか。他の人に当たるのはよくないですよ、私だったから良かったものの。あとすずかちゃん、微妙にフォローになってないです。しかし、そんな感情は表に出さず、関係ありませんと言わんばかりに私は話す。
「いえ、特には。ただ、あんな言い方をしてしまったら高町さんが可哀相ですし、次から顔合わせ辛くなっちゃいますよ?」
「う、うるさいわね!アンタには関係無いでしょ!! それに、私たちを心配させて隠し事してるなのはが悪いんだから!!」
う~ん、言い分はわからない事も無いんですけどねぇ。やっぱり子供で女の子の考えは難しいですね、共有したがると言いますか、分かち合いたがると言いますか。それでも今回に限っては
「そうですね、この場でも只の通りすがり、バニングスさんとも月村さんとも、そして高町さんとも特に親しくしてない私が何を言ってもしょうがないとは思います。ですが、クラスの一員としてぐらいの進言はさせて貰えないですかね?」
クラスの雰囲気悪くなるのは止めて頂こうか、風景として、モブAとして溶け込みづらくなるではないか。
そんな私の言い方に少し動揺したのか怒りを和らげてくれた様子で答えるアリサ。
「な、なによ?」
「一つだけですよ。”どうしても人に言えない隠し事をしているのは、果たして高町さんだけでしょうか?”っと言いたいだけです」
「「!?」」
良くあるそれっぽい言い方しただけなのに二人とも驚き過ぎじゃないですかね?それじゃあ”私隠し事してます”って自分からバラしてるようなもんですよ。
「……アンタ、何を知ってるの?」
「え? いや、何も知らないですよ? 良くある言い回しじゃないですか、さっき私が言った言葉。思い当たる節があるんですか?」
「な、ないわよ!」
「そうですか。御二人とも誘拐されたりとか、月村さんは体質の事で何かあったりするんじゃないですか?」
自爆して貰うための餌を撒く。性格的に自分から直ぐに仲直りに行ったりはしないだろうけど考え始めてくれれば御の字でしょう。
「なッ!? どうしてその事を! ホントに何も知らないっていうの!!?」
そう言って胸元を掴んで持ち上げてくるアリサちゃん。いくら私の方が背が低いと言っても持ち上げられるとは……って制服ワンピースタイプだから、脱げる、脱げちゃうから!
「わっぷ、な、何も知らないですってば。ただ御二人ともこの地方でも有名な家柄ですし、そういう事が有っても不思議ではない上に、そういう事なら人に言えない秘密ですし、月村さんは体育の授業の時とかに、いつも体調が悪そうな感じだったので、何か病気でも患っているのかな?って思ったからですよ」
嘘は言ってない。誰でも出来る予測をそれっぽく言ってるだけである。っがその予想内容であっても二人にはそのものズバリな内容に取れるように言った言い回しだっただけだ。
「そ、そう。ゴメンナサイ。余りにも急に言われたから動揺しちゃって」
掴んでいた手を放してそういうアリサちゃん。取り繕えてないですよ。私はアルサナが居なくても身体強化ぐらいは掛けられるので全く問題は無いですけど。カッとなりやすいのはいずれ治しましょうねー。
「まぁ、そういう事ですよ。なんでそこまでムキになったのかは御二人の事情を知らない私では何とも言えないですけど、そうなるまでに隠したい事が貴女にあるように、高町さんにも在った。そしてそれを伝えてしまうと何かが壊れてしまうかも知れないと、怖いから言えない、言う事が出来ない。そんな感じなんじゃないですかね」
乱れた襟首などを整えながら私はそう話す、でも感情に関しては完全に憶測でしかない。私はなのはちゃんでも無ければこの2人でもないのだ。当人だけが抱える事情などは分からない。それでも、隠し事があるのは私も例に漏れないのだ。むしろ隠し事の比重で言えば誰よりも重いかもしれない
「私にだって、大なり小なり言えない事ぐらい有りますよ、誰だってそうだと思います。その事で喧嘩できる友情は良いと思います、ですが長引くと仲直りのタイミングを失ってしまいますよ」
明確なズレが無い限り、今夜には街中での発動、そして翌日からなのはちゃんはアースラ陣営に入り学校も休むはずだ。確か描写的に5月の頭かそこら辺の時期だったからGWに被ってるかも知れなかったが、今世ではGWにそこまで被っていない。色々勘繰られるのも嫌ですし最後に言いたいことだけ言って退散しますか。
「今から戻って、仲直り。っといかない事は判りますので、少しでも良いので考えてあげて。それと、高町さん、今夜辺りから連絡も付かなくなってしまいますので、文面でも良いので『どんな事でも相談に乗る』みたいな事を早めに伝えてあげてくださいね」
私はそう言ってその場から立ち去ろうとする。去ろうとした時にすずかちゃんが腕を掴んで私を止めようとしたけど、これ以上聞かれても面倒なのでヒラりと躱す。そして本当に最後と言葉を付けたす。
「おっと。私は”何も知りません”よ。隠し事をして相談出来ないとする
言いたい言い回しを言えた! 今度は邪魔されずに!!
そんなちっさい達成感に浸りながら私はそそくさとその場を後にした。
「……なんか"言いたい事言えた”みたいな凄く満足した顔して去って行ったけど、なんだったの、アイツ」
「わからないけど……神在さんが言ってた事は全部正しいと思うよ」
「わかってるわよ……なのはに怒ったのだって、ただの八つ当たりだって事も自覚してるわよ」
それでも、親友だと思ってる相手に相談されないのは気に障るものがある、越えて来て欲しい一線でもある。
「だけど……私たちはなのはのおかげで親友に成れたのよ。その親友が悩んでいるのに力に成れないなんて……悔しいじゃない」
「そう、だね。でも神在さんの言うように、私達の事みたいに”簡単には言えない”事情なんだと思うよだから話してくれるまで待ってみようよ」
誰よりも友達だと思っているから話してほしい、誰よりも友達だと思ってるから話せない。そういう事も存在するのだ。
「そうね。ま、まぁアイツが言ってた事もわからないでもないからメールの一つぐらいは送って上げようかしら」
「ふふ、そうだね」
「それにしても、アイツって目立たなかったけど、所謂”不思議ちゃん”ってやつなのかしら?」
「ち、違うと思うけど……不思議ではあったかな」
行動したことで彼女たちの雰囲気は和らいだが、若干不名誉な称号を得たいつきであった。
アリサちゃんおこイベントが起きてしまったと云う事はアレですよね、本日街中でジュエルシード発動って事ですよね。この前のイベント進行がどうなったのか見逃しましたが、恐らくはまだ敵対状態でしょうし、小規模次元震は問題なく起きますよねぇ……起きないとアースラ組が来ない可能性もあるし自分で起こしても良いですけど、アルサナ居ない今”抑えられるか”わからない……でもやるだけやってみようかな?
「まぁとりあえず、夜でしたっけ……既に夕方ですが探しに行きますかぁ」
まずは自宅に戻って変装用の衣装もとってこなくては。
□~~~~~~~~~~~~□
またもや時間は過ぎて夜、服装はラフにアリサちゃん達の事件に巻き込まれた時と同じで大きめのショルダーバッグに色々詰め込んで街まで繰り出している。
「さて、どこから探しますかねぇ。サーチはアルサナに任せっきりだったからなぁ」
出来なくもないけれど、精度があるわけではないし発動痕跡や発動中の反応を完全に消せるわけでもない。現状の私の技量はその程度なのだ。
「原作だと……あぁ、わからないから魔力を垂れ流してそれに反応するポイントを探ってたんでしたっけ。あれ?だったら活性化前だと、アルサナという無駄スペックデバイスの補助なしの私では無理な気が……自分で探りを頑張ってもいいけど、ここは――」
確かにそこそこ(クロノ君程度)の魔力量を求めたのは自分自身だけれども、色んな要素・因子の影響でインフレ起こり掛けてそれで足りなくなる感じがしてくるとか聞いてないですよ。
そう心の中で愚痴りつつ、バッグに詰め込んだ中から一つモノを取り出す
「てってれー”スマートフォン(皮だけ)~”……っていうか探知術式をこれでもかと詰め込んだ探知専用の
機能は単純、某龍玉探知機と同じで特定波数を探知させているだけである、手元にはサンプル(ジュエルシード)が二つも在るのだ、二つでは比較パターンとして完璧ではないが、十分の探索精度はあるだろう。デザインに関しては似せようと思ったが、正直ダサ……”好みではなかった”ので変えた。明らかな未来デザインの外見だけど気にしない。どうせ現実でも後十数年もすれば作られるんだし。魔導があるミッドチルダとかだと空間投映だからこの手のモノは出来ないと思うけど。
「さぁって、マップおーん……反応は、まだ未覚醒なのかして微弱なのが……え?真横?」
作ったデバイスに間違いや失敗が無ければ反応は真横を示していた。そして其方を見てみるとビルの茂みに何やら光るものが確かにあった。
「――どうしようかな、さっさと回収……したいけど
封印術式の必要性が全く感じられなかったので創っていないのだ。魔力糸を用いた操糸術でぐるぐるに巻いてから掛ければ多分成功するとは思うけど、原作どおりならこのジュエルシードは最終的に小規模次元震を起こすまで覚醒するのだ、ハッキリ言うと其処まで力を使うのは”多分出来ない”からやりたくない、無理をやって無茶を犯したくはない。
「もし出来たとしても、この未覚醒をそのまま封印ハイ回収。ってやっちゃうと次元震おきなくて多分アースラ:管理局陣営来てくれるフラグ無くなっちゃうし……でも、そのままならそのままで、フェイトちゃん怪我しちゃうし……アルサナがアッチに在るから治癒は完璧に出来るとは思うけど、う~ん」
先手を打つと、管理局陣営が気が付かず、物語が破綻する。かといって放置すると特に問題が無いように一見思えるのだが、色々とインフレしちゃってる感じがするのでフェイトちゃんの「止まれ……止まれ……」で抑え込み切れない可能性が在る、そこは手伝ってあげたいけどまだ表舞台に出ていくのは早計だとも思う。つまり……
「現状戦力下ではほぼ詰みですね。そもそも、アルサナが手元に居ない時点でバリアジャケット形成にも不安が残りますしね。今手元には変装用の衣装と仮面ぐらいしか持ってないですし」
バリアジャケットも無しに魔力の奔流に晒されるとか勘弁願いたい。
「とりあえずモノは見つけたので離れていつも通り様子見という事で」
自分に言い聞かせるように言い訳を述べて近場の陰になる所まで行く。
「それでも……必要なイベントフラグが”小規模次元震が起きる事”だけじゃなく、誰かが”大怪我をしてまで止める”という所まで必須なのだとしたら、まぁその時は……仕方ないよね?」
この二人には関わっていき、A's、StS以降の出番に繋がって行く予定だったら嬉しいな(未定)