リリカルなのは:介入するなら頑張って   作:ゆかりフリカケ

8 / 23
先日、不肖ながら日刊載らせて頂きました。
この場で読んで下さってる人々に感謝を。


精進しまする。


#06 idle talk:03

case:04『今の在り方』

 

 

 

「なにもない日、さいっこー……」

 

 

 

 どこかの童話の帽子屋のような台詞だが、紛れも無い心からの本音である。本筋に正す為の努力をしなくていいし、むしろこの間の事で番長君も気持ちを高めてくれたっぽいから、もう彼だけでいいじゃないかな。

 

「だらけ過ぎですよ、イツキ。普段からしっかりとしていないと、ここぞという時にうっかりミスを犯しますよ?」

 

 そんなどこかの赤がイメージカラーの優雅()な一族じゃないんですから大丈夫ですって。万が一に成らない為にも、多分アルサナという特異な存在が居るんですから。

 

「やる事は終わらせてあるからいいじゃないですかー……」

「全く……ところで、前々から疑問に思っていたのですが、その、イツキのご両親は?」

 

 うん? 今世の両親ですか? それはですね

 

「お父さんとお母さんは、ちょっと会えないところに居ますねぇ」

 

 そう言って、棚の上に飾ってある写真立てを指さす。そこには、満面の笑みを浮かべる男女の姿――高身長で割とガタイの良い黒髪短髪の男性と、その男性に抱きかかえられるようにして低身長でおっとりしている感じの肩ほどまでの長さをした薄緑色の髪の女性――が写っていた。

 

「そう……ですか」

 

 それを見てリニスは何を勘違いしたのか、少し落ち込み気味にそう呟く。おや、もしかして

 

「何を勘違いしてるのか知らないですけど、二人とも生きてますよ?」

「……私の心配した気持ちを返してください」

 

 勝手に勘違いしたのにそれは無いんじゃないですか?そう考えながらリニスの方に向くと、なにやらとても不機嫌そうな顔で見られて、ため息をつかれた。

 

「はぁ……いいです。それで? なんで会えないんですか?」

「私もよくわからないんですけど、なんでも管理局? て所で世界をまたにかけて働いてるらしいです。ここからすごく遠いうえに忙しいらしく頻繁に会えないんだとか」

 

 嘘は言っていない。どうも今世の両親はなんやかんや出来る人”らしい”。っというのも、どれだけねだっても教えてくれなかった。両親も魔法を使えるのだから魔導師”だろう”、デバイスを持っていてくれるのだから魔導師”だろう”。というのが幼いころの憶測だったのだが、ある時たまたま見つけたデータにそれらしい事が書いてあった、見つけた後勝手にデバイスを弄ったのを怒られはしたが。

両親曰く「いつきには自由に育ってほしいから、魔法に、魔導師に憧れて私達のようになろうと思わなくてもいい」との事。

……すみません、それ自称神に決められてるんで避けられないんですけどね。

 

「管理局……ですか」

 

 やっぱり、プレシアさんの事で少し思うところがあるんですかね? 確かアリシアちゃんが亡くなる事件のそもそもの原因が管理局の体制と一部の上層部の人間にあるのでしたっけ。もし、彼女達も救うのであれば、何かしらの証拠集めも必要ですかねぇ……まぁそれはその時になってからでいっか。

 

 なんてそんな”事情”は知っていたとしても、それはあくまで知識上でしかなければ、前世での”物語”の考察上での設定でしかない。この世界でも同じ事が起こったかどうかを今確かめる術は無いし、リニスの”心情”はそう簡単に割り切れるものでも無いのだろう。気の利いたオリ主君だったり、主人公補正を持った者なら、ここでリニスを上手い具合に慰めれるのかも知れないが、あいにく私はその星の元に生まれたわけじゃない。それでも――

 

「リニスの過去に何があったかは、詮索しないですし、何を抱えているのかもわかりません。そもそも、私には其処まで人の心に踏み込む権利が無いですからね」

 

 まだ関わりきる事を踏みとどまって、裏方での行動をしてるのがいい証拠。関わるのなら堂々とすれば一番簡単で一番楽なのだけれど――

 

「それでも、話せる時が――私に話しても大丈夫だと思ったら、遠慮なく言ってください」

 

 もし関わるとしても、未だにプレシアさんを治す方法、アリシアちゃんを蘇生させる為のこの世にはないであろう正攻法、共に具体性や確実性の無い方法しか考え付いてないけれど

 

「まだそれほど長く一緒に過ごした訳じゃないですけど、私はリニスのこと”家族”だと思ってますよ」

「……」

「私に会う前の、昔のリニスがどうだったとしても、今は私が拾っ・・・…助けた神在家にいるリニスでいいんじゃないですか?」

 

 この、所謂”無印”の物語が終る頃にはどうなるかはわからないけれど、今はソレでいいはずだ。

色々思うところは在るかも知れない、けれど、少しでも解消されれば、リニスを助けて改変してしまった事もいい方向に働くはずだ。足りない補正を溢れる中二病で補って、かける言葉を搾り出した結果のリニスの反応は・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イツキ…………なに恥ずかしい言葉並べてるんですか? そろそろお昼ですから、ご飯の準備でもしますよ」

 

 思っていた以上にキツい言葉が私を襲う。恥ずかしい、勢いに任せてかっこつけたのに、真面目に返されると物凄く恥ずかしい……

 

「ふぉぉおあぁぁぁぁぁ……そんな真顔で返さなくてもいいじゃないですかぁぁぁぁ!!」

『情けなくなったなぁ、マジで。”精神は肉体に引っ張られる”か……漫画とか二次創作で言われてたのはホントなのかもなぁ』

 

 逃げるように、私は台所に走っていって恥ずかしさを押し込めて料理にぶつけた。アルサナが何か言ってた気がしますが、そんな事を気にする余裕は無かった。

 

 

 

□~~~~~~~~~~~~□

 

 

 

 割り切っていたつもりではあった。あの事が起こったのは回避できた事かもしれない、それでも彼女の立場ではそれが出来たとは言いがたかった。

 その後、私はあの子の教育者として甦った。それが長くない命だと知っていながら。

 役目が終った時、あの子に殆どを教え終わった時に私はもうこの世から居なくなっていた筈だった。

 

 何の因果か、気が付くと、地球という星の日本という場所で私はその命を繋いでいた。『神在いつき』という少女に助けられる形で。魔法が浸透していないこの世界で何故か魔法が使えた少女。その上使えるだけではなく、既存の方法とは違う手段も考えて行使しようとしている幼い女の子。

 荒唐無稽な”前世”とやらを話したり、何もしたくないという主義だと言いつつも厄介事に巻き込まれ、結局は自分から突っ込んでいく彼女。最初はちょっと電波な子なのかと思ったりもしたけれど、そんな子と一緒に居るのが楽しくて、なんの説明もしていないのに私をここに居させてくれて、それが思いのほか居心地が良かった。

 

 そしてある日、ふと気になったことを聞いてみた。普段姿を見ない彼女の家族についてである。まだ二桁にもいっていない子供が一人暮らしをしているなど、普通に考えればありえない事なのだから。

 私が聞くと、彼女は何気なく答えてくれた「会えない所にいる」と。聞いてはいけない事を聞いてしまったと思った……直後の彼女の言葉を聞くまでは。つくづく空気を良く壊す子だと思う。

 

 会えないという理由の詳細を聞いて、また私は少し途惑う。『管理局』その単語はあまり聞きたくは無かった。場合によっては彼女は親を失うかもしれない。今の管理局がどうなっているか、私にはもうわからないけれども、それでも可能性は0ではない。数年程度の経過では組織というのは変わらない。

 

 そう考えていたらイツキが話し始めた、昔の私がどうであったかを聞くつもりはない、でも今ここにいる間は、そんなことを考えなくてもいいじゃないか、と。そう言いたかったのだろう、言い回しが少しアレでしたけど、それでも私はその言葉で気持ちが幾分か楽になった、そんな感じがしていた。

 

 でも、だらけた体勢でマトモ過ぎる事をいう彼女はひどくアンバランスで、そんな彼女に素直に感想を、感謝を述べるのは癇に障ったので真顔で諭すように話題をそらし誤魔化した。

 そうしたら泣かれた、顔全体を真っ赤にして。彼女のメンタル面は其処まで強くは無いのかもしれない。なんだかんだ言いながらも私の相手をしてくれて、料理も作ってくれる貴女を私は信頼していますよ、イツキ。

でも料理の途中に「やはり最低限の主人公補正を求めるべきだったのか……」やら「いっそのこと完全モブとしての立ち位置を要求しておけば……」など呟く精神面は、私が治してあげるべきでしょう。

 

 

「今は”此処”に居る私でいい……か。それでも、もし機会があるのなら……」

 

 

 

□~~~~~~~~~~~~□

 

 

 

「……で?なんで急に家族の事気にし始めたんですか?」

 

 リニスを思い掛けず助けてしまってから既に2年とちょっと。家族の姿が普段見かけない、というもっともな疑問持つには普通に考えれば長すぎる期間。

 

「いえ、特に理由は無いですね。ふと気になっただけです。イツキは年齢に似合わないくらい、しっかり……しっかり? してますから気にしなかっただけですよ」

「なんで? ねぇなんで言い淀んでしかも疑問形なの!? ちょっとこっち向いて話してよリニス!」

 

 途中から目をそむけ、言い淀み、疑問形で言われた。原作でも家政婦的なポジションにいたリニスだが、今この場では私は彼女に頼り切らずに私だけでもしっかりやれている筈だ、しっかりしていない等そんなはずはない。

 

「まぁそれはいいとしてですね。切っ掛けと言いますか、何か見知った空気のようなものを感じ取ったので」

「……へぇ」

 

 元が山猫素体の動物であり、更には優秀だったという原作知識からしても、第六感や探知能力は並外れているのだろう。という事はつまり、フェイトちゃんかアルフか。明確に描写はされていなかった気がするが、この次のジュエルシード発動時には登場してくるはずだ。もう地球に来て活動しててもおかしくはない。魔法文化が無いとみてサーチャー系でも発動させたのか、はたまた誰かが接触したのか。なんにせよ、色々と用心する項目は増えそうですね。

 

「それは多分正しい感覚ですよ、リニス。あと少しでわかります」

 

 うん、絶対連れて行こう、すっごく反応が見たい。思わず出て行かれたら色んな意味で困るけれど、それはそれでちょっと対策をしておこう。猫形態で連れて行って、その間だけ戻れなくしておけばいいだけのはずだ。そんな私の反応を見て、リニスはというと

 

「途端に自分の感覚が信用出来なくなりました」

 

 そんな風にとんでもないことを言い放つ。ちょっと待って正しいから、多分だけどそれホントに正しい感覚だから。

 

「でもイツキがそう言うってことは、おそらく本当にわかるのでしょうね」

「い、一応納得してくれるなら、もうそれでいいです。でも次でそれが証明されますからね! それが済めばもうちょっと信用の幅を寄せてくださいね!」

「はいはい、わかりました」

 

 リニスから向けられる眼差しが非常にアレなのだが、ま、まぁいいでしょう。

それにしても、フェイトちゃん、おそらくもう活動中ですかぁ……ジュエルシードをもう少しこちら側で集めたかったのだが、バッタリ遭遇するなんていうテンプレはかましたくない、暫くは大人しくしますか。

 

 

 




文章力や構成力はまだまだ身について居ないので、描写されているものはミスディレクションやフラグでもほぼほぼ無いですそのままに取っていただければと。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。