アイドルマスターシンデレラガールズ 〜錬鉄のアイドル〜   作:YT-3

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2000UA、お気に入りも70件を超えている、だと……⁉︎
皆様、こんな狂気の産物を気に入っていただき、ありがとうございますm(_ _)m


2nd STEP : My N@me Is...

あの後、多分にその場のノリで承諾したことを後悔したりしたが、契約してしまったものは仕方がないと受け入れざるを得なかった。まぁ、学校で冬木の虎似の担任が友人たちにばらしやがった時は凄まじく恥ずかしかったが。

そのままの流れで盛大な送別会兼クラスメイトの男子による告白&玉砕大会をしてもらったのも、前世では味わえなかったいい思い出だ。……仕方がないだろう、男を、ましてやあのワカメ似の奴や寺の跡取り似の奴を恋愛対象としてみれるか。

 

そして、今日。

熊本空港でもう一人のシンデレラ・プロジェクト合格者と合流して東京に向かう。その予定だった。

……いや、それは間違いがないのだろう。目の前の少女も、また息を呑むほどの美少女だ。彼女がその人物なのは理解できる。

それはいい。それはいいのだが……

 

「我が名は神崎(かんざき)蘭子(らんこ)(なれ)が我と共に歩むものか?」

「…………」

 

……日本語、なのだろうか……ダメだ。私の知識には該当する言語がない。

 

これでも最初の人生で全世界を回っていたから、凡そ一般的に知られている言語の多くは聞き取れて話すことができると自負している。

ましてや、この世界に生まれ直す前はサーヴァントとして呼び出され、あの時代の一般的な知識はほとんど網羅していると言っても過言ではないのだ。それは、差がほぼないこの世界でも通用するもののはずだ。

 

その私をもってしても、目の前のゴスロリ少女——おそらく神崎蘭子というのだろう——がする言い回しの言語に覚えはない。同じ地方出身なのだから、方弁などではないと断言できる。

英霊となってから初めての体験に、いくら取り繕おうとしても驚愕を隠せない。はたから見たら、かなり間抜けな顔をしていることだろう。

 

「む、どうした? その焔を初めて見た獣の如き姿は」

「あ、ああ。俺……いや、私は衛宮イリヤスフィールだ。

これからよろしく頼む」

「今こそ契りを交わす時ぞ!」

「あ、うん。じゃあ行くか」

 

こういうのは当たり障りのない返事をして、あとで理解できる人間に教えを請うしかない。……いるのだろうか?

 

その後も346プロダクションに着くまで積極的に話しかけられたが、内容を一割も理解できなかった。……初っ端から躓いたのだが、これから大丈夫だろうか。

 

 

* * *

 

 

そして非常に長く感じた旅も終わり、やっとのことで346プロダクションに到着した。……私ばかり疲れているのは気のせいだと思いたい。

 

「……はい、承っております。新館30階、『Cinderella Project Room』でお待ちしています、とのことです」

「ありがとうございます」

 

受付で『Guest』と書かれたネームプレートを受け取り、神崎と共に新館の30階とやらを目指す。

 

(にしても広いな。平均的な大学のキャンパスを優に上回っているぞ。さすがは大企業・美城(みしろ)グループといったところか)

「ククク、我が盟友は如何なる者共か……」

 

口ではなにやら大きなことを言っている神崎だが、その顔には空港であった時には無かった緊張感が浮き出ている。

まあ、それも無理もないだろう。なにせ、これから共に芸能界でトップアイドルを目指す仲間たちだ。どんな人間なのか気になるのが普通だし、事実集団で何かをすることに慣れていない私も緊張している。無駄に永い経験を総動員してそれを表に出してないだけだ。

 

「着いたな。『Cinderella Project Room』。確かにここだ。

……覚悟はいいか?」

「わ、我を誰と心得ている!」

 

いや、どこぞの英雄王みたいな口調をしても、それと顔が一致していないのだが。

まあ、本人が大丈夫だと言っている(はずだ)し、ここで足踏みしていても意味がないか。入るしかあるまい。

 

「失礼します。シンデレラ・プロジェクトの新メンバーで呼ばれました、衛宮イリヤスフィールと神崎蘭子です」

『はーい!今開けるねーー!』

 

呼び鈴を押してインターフォンに声をかけると、それに返ってきたのは小学生ぐらいの少女の声だった。他の(メン)(バー)か?

そして、中で扉が開かれた音がして、トタトタと軽い足音が近寄ってくる。二重扉だったか、ノックをしなくて正解だったな。

 

「はじめまして〜☆お姉ちゃんたちもメンバーなの?」

「ああ、そうだ」

「やったー!!これで全員揃ったよ、莉嘉ちゃん!!」

「うんうん!これでようやくアタシたちもアイドルだねー♪」

 

果たしてその予想は正しく、出てきたのは小学校高学年ぐらいの女の子二人だった。

もっともそれは一般的な身長から推測しただけで、本当は違うのかもしれないが。……特に金髪のコギャルは、飛び跳ねててわかりづらいが私よりも背丈があるようだし。

 

「おはようございます。衛宮さん、神崎さん」

「おはようございます」

「煩わしい太陽ね」

 

目の前の二人がはしゃいでいるのを微笑ましい目で見ていると、後ろから特徴的な巨体が出てきた。

というか神崎よ。それがお前なりの挨拶なのか……?

 

「道中問題はありませんでしたか」

「ああ、特にはなかったよ。……コミュニケーション以外は」

「我が盟友と交わす(まじな)いは刺激的だったぞ」

「そうですか。それはよかったです」

 

うん。この様子だとプロデューサーも神崎の言葉を理解してないな。良かった、私だけかと思ってしまった。

 

「ねぇねぇプロデューサー!これでアタシたちもアイドルなんだよね!?お仕事はいつからなの♪」

「現在企画中です」

「ええーー!せっかくみんな揃ったのにぃーー!!」

「いえ、欠員が3名出たため、現在二次オーディションを企画中です」

「じゃあ、まだあと3人来るんですか〜?」

「はい。最終的には15名を予定しています」

 

ふむ。ではここには今、それ以外の12人が集まっているということか。まあ、奥の部屋に行けば分かるな。

 

「さて、そういうことなら早く中に入って自己紹介でもしないとな」

「あっ!そーだね!みんなにも早く紹介しないといけないよねーっ!」

「あーー!待ってよ莉嘉ちゃーーん!」

 

トタトタと元気よく部屋の中に走っていく二人に苦笑してしまう。よく見ればプロデューサーも僅かに表情を緩めているな。……神崎?まだあと8人もいると聞いたときから緊張で顔が固まっているが?

 

「では、私たちも行くか」

「はい」

「だ、堕天の使いたる我に相応しいものがいるか、この魔眼で見極めようぞ」

 

お、戻ってきたか。ではさっさと行くぞ。

 

「あっ、来た来た!こっちこっちー!!」

「もぉー!遅いよー♪」

 

内扉を抜けて少し廊下らしき部分を歩いた先に大きめのスペースがあり、どうやらそこに全員集まっていたようだ。

神崎と共に邪魔にならないように隅にキャリーケースを置いて、手を振っているさっきの二人のところに行く。どうやら同類(しょうがくせい)だと思われたらしい。

 

「これからみんなで自己紹介しようって話になったんだー!よく考えたらまだしてなかったしねー☆」

「そうなのか?」

「うん!みんな着いたばっかりだから!」

 

ふむ。どうやら到着順はほとんど僅差らしい。道理で付かず離れずといった感じで固まっているわけだ。

まあ、それでも全くしていないわけでもないだろうが、全員に対してというものはしていないという意味なのだろう。

 

「最初は私から〜!

赤城みりあ、10歳の小学4年生です!血液型はAB型で、利き手は左手で、おしゃべりが好きです!これからよろしくね!」

「じゃあ次はアタシー☆

城ヶ崎莉嘉、来月からJCでーす☆ 夢はお姉ちゃんみたいなカリスマギャルになることでー、好きな生き物はカブトムシでーす♪よろしくお願いしまーす♪」

 

元気いっぱい、という感じで進んで自己紹介する二人。ここら辺は若さだな。

そのおかげか、少し周囲の空気も弛緩する。こういうのは年長であるだろうプロデューサーが間に入って回してもらうのが楽なのだが、この口下手そうな不器用男にそれを求めるのは酷か。

さて、視線もこちらに向けられているし、次は私の番かな。

 

「衛宮イリヤスフィールだ。長いだろうしイリヤとでも読んでくれ。

父が日本人、母がドイツ人のドイツ生まれ日本育ちで、これでもこの春から高2だ。

特技は家事全般。血液型はAでもBでもABでもOでもなくてボンベイ型という珍しいやつだ。……ああそれと、男みたいな喋り方なのは大目に見てくれ」

「アタシよりもちっちゃいのに高校生なのーー⁉︎」

「ぼんべえ型って何ー?」

 

うるさいぞ金髪ギャル見習い。結構気にしてるんだからな。

……ごほん。さて、次は神崎……はまだ緊張でガチガチだな。となると、誰か先にしてくれるやつは……

 

「じゃ、じゃあ次は私がします。

えーと、三村かな子、1月6日生まれの16歳です。お菓子作りが好きで、お菓子のようにみんなを笑顔にできるアイドルになりたいです」

「あの……緒方……緒方智絵理……です。衛宮さんと同じで……高校2年生になります。

その……よろしくお願いします」

 

ふむ。この並びだと三村が少し太めに見えてしまうが、本来ならあれぐらいで適正なんだろうな。お菓子作りが趣味だということだし、少し毛色は違うが似たような趣味の者として付き合っていけるか?

それに対して緒方の方は、少し引っ込み思案といったところか。ビクビクとしているのも相まって、小動物といった感じがするな。こう……守るべき存在という感じがすごくする。

 

「じゃあ次はみくの番にゃ!

前川みく、来月から高校生の15歳にゃ。ネコミミを広めるためにネコミミアイドルを目指してるにゃ」

「私は多田李衣菜。16歳の高校1年でA型。

趣味は音楽鑑賞で、ロックなアイドル目指してます!」

 

にゃ? ネコミミアイドル? ……まあ、よくわからんが、今の段階から明確なキャラクターを持っていることはアイドルとしてはいいことなんだろう。

それは多田のほうにも言えることなんだが……見た目と目指しているものがあっていない気がするな。どちらかといえば可愛い系だろうから、ロックという感じではないと思う。まあ、ギャップというものもあるし、何かあるんだったらプロデューサーが言うだろう。

 

「なら次は私がするわね。

新田美波、来月から大学2年生になります。趣味はラクロスってスポーツなんだけど……知ってるかな?

皆よりかは少しお姉さんみたいだから、何かあったら頼ってね」

 

ふむ。大学生か。そのせいなのかは分からんが、このメンバーの中でも珍しく色気があるな。本人はいたって健康的な感じそうだが。

さて、次は新田の隣に座ってる奴がするみたいだが……私が言うのもなんだが、銀髪とは珍しいな。地毛で銀髪が二人もいるとは、かなり珍しい光景になるんじゃないか?

 

「Меня зовут Анастасия(私はアナスタシアといいます)……あ、えっと、アナスタシアです。アーニャと呼んでください。趣味は……えっと、Астрономические наблюдения、だから……」

「天体観測、だな」

 

ロシア語から日本語への変換に困っていたようだから手助けをする。どうやらアナスタシアは日本語がまだあまり上手くないらしい。

 

「Спасибо! ︎(ありがとうございます!)

あの、日本語まだ上手じゃありませんが、よろしくお願いします」

「ねーねー。アーニャちゃんもドイツ人なのー?」

「いいえ。Па()па()はロシア人で、Ма()ма()が日本人です」

「へー!じゃあ、イリヤちゃんはどうして分かったのー?」

「偶々知っていただけさ」

「へー!すごいねー♪」

 

まさか『この世界のおおよその言語は話せる』なんて異常事態を言うわけにもいくまい。ここは誤魔化しあるのみだな。

……それに、次に話される言葉に比べたらまだ分かりやすい。

 

「ククク、我が名は神崎蘭子。偽りし時を十と三つ経て、始まりの血脈に連なる堕天使だ。(グリ)(モワ)(ール)を書き留める時こそがささやかなる楽しみ……。

皆、我と共に覇道を進もうぞ」

『…………』

「うん、よろしくねー♪」

 

予想通り空気が凍る。むしろ、この中でも笑顔を変えずに返すとは……赤城よ、いい子すぎるだろう。

残りのメンバーはこの空気を早く変えたいのか、この中でも特に目立つ奴に視線で促す。ニコニコ笑顔のそいつはプロデューサー程ではないがとにかくでかく、優に180は超えているだろう。こいつと比べたら、あのライダーですら小さく見えることだろうな。

 

「にょわ〜〜☆諸星きらりだよー☆きらりんって呼んでね〜♪

趣味は〜、可愛いもの集めで〜、血液型はO型だよ〜☆

ファンの皆をパピパピさせるために一緒に頑張るにぃ〜☆」

 

…………訂正。中身(キャラ)も強かった。まだ神崎のように意味が分からない感じではないのが救いだが、語尾に悉く星か音符が見えるような凄まじい口調だ。というか『にょわ〜』ってなんだ『にょわ〜』って……。

さ、最後の人はまともそうだから……と視線で訴えかけるが、その人は首をかしげると、ポンと手を打って一歩前に出た。

 

「みなさんこんにちは。このプロジェクトをサポートしていきます、千川ちひろです。

アイドルではありませんが、何か困ったことがあったら言ってくださいね」

 

例の大将の娘⁉︎予想外に美人だな⁉︎

……というか、それなら残り一人はどこにいるんだ?

 

「ほらほら〜☆杏ちゃんの番だにぃ〜♪」

「ええ〜めんどくさいな〜」

 

巨大娘……諸星が部屋の隅の死角から引っ張り出したのは、赤城と同じくらいの身長の小学生(?)だった。

そして、これまた強烈なキャラだということは一瞬で理解させられる。その平坦な胸に大きく『働いたら負け』なんて書かれていれば誰だって分かるだろう。

 

「双葉杏。9月2日生まれの16歳で、印税生活目指してまーす。まあ、てきとーによろしく〜」

 

その予想は、いとも容易く斜め上回られた。同級生、だと……⁉︎

驚愕に呑まれているのは私だけではないらしく、強烈すぎるメンバー三連発に空気が完全に死んでいる。

その中でも唯一動けたのは、全員のキャラクターをあらかじめ把握していたプロデューサーだった。

 

「それでは自己紹介も終わったようですし、皆様には必要書類に記入してもらいます。プロフィールにも使うものですので必ず目を通してください。

それ以降は各自解散となります。当面のレッスンの時間はメールでお知らせさせていただきます」

「えーー!せっかく集まったんだし、みんなでパーティーしようよーー」

 

ふむ。提案した城ヶ崎以外も概ね乗り気のようだし、ここは親睦を深めるために腕をふるうのもアリか。

 

「それは……」

「いいんじゃないか? こういうタイミングでもないと親睦会など開くこともないだろうしな」

「ですが、場所や食事の問題が……」

「料理に関しては私がなんとかしよう。場所はここではダメなのか?」

「……いえ。大丈夫です」

「なら何も問題ないな。

さて、プロデューサーの許可ももらえたことだし、さっさと書類とやらを書いてしまうとするか」

『おおーー!!』




今日の蘭子語辞典

「我が名は神崎(かんざき)蘭子(らんこ)(なれ)が我と共に歩むものか?」
……「か、神崎蘭子です。シンデレラ・プロジェクトのメンバーの方ですか?」

「む、どうした? その焔を初めて見た獣の如き姿は」
……「あの、すごい驚いてるけど、どうかしましたか?」

「今こそ契りを交わす時ぞ!」
……「これからよろしくお願いします!」

「ククク、我が盟友たちは如何なる者か……」
……「他のメンバーってどんな人たちなんだろう……」

「わ、我を誰と心得ている!」
……「だ、大丈夫です!」

「煩わしい太陽ね」
……「おはようございます」(定型文)

「我が盟友と交わす呪は刺激的だったぞ」
……「おはなし楽しかったです!」

「だ、堕天の使いたる我に相応しいものがいるか、この魔眼で見極めようぞ」
……「な、仲良くなれるかなぁ……」

「ククク、我が名は神崎蘭子。偽りし時を十と三つ経て、始まりの血脈に連なる堕天使だ。(グリ)(モワ)(ール)を書き留める時こそささやかなる楽しみ……。
皆、我と共に覇道を進もうぞ」
……「か、神崎蘭子です!年は13歳で、血液型はA型です!趣味は絵を描くことかな……?
これから一緒に頑張りましょう!」

* * *

誰か、セリフを蘭子語へ翻訳するのをしてくれませんか……グーグル先生もエキサイト先生も分からないそうなんですよ……。

次の更新は、『立派な』のほうの過去編の改編を終えて、完成している最新話を投稿してから作り始めますので、少し遅くなります。
主人公のステータスも同時公開しますので、それを見つつしばらくお待ちください。
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