でもまだ原作2巻の真ん中らへんという…
そんな長くするつもりないし、次何書くか考えるぐらいなのに…
大丈夫なのかこれ
「結構暗くなってきたなぁ」
「そうね。そろそろ寝る場所を決めないと」
「もしかしてホテル!?」
「うーん… この時間からだと予約がいっぱいだから、それは無理かも…」
途中で何度かの休憩を挟みつつショッピングモールに向かっていたが、その日のうちに到着することは出来なかった。
地図の通りに進めていれば、今頃はもう物資の調達も終わっていたぐらいじゃないだろうか。
何事もなければ往復で2時間もかからない様な場所だが、やはり何箇所も道が塞がれていて想定よりかなり長い距離を走らされてしまっていた。
街灯がほとんど点いていないため、このまま無理に進むのは危険だろう。
それに、休憩をしたとはいえずっと車内にいたのだから、精神的にも疲れているはずだ。
車内泊だと完全に疲れは取れないだろうが、それでも寝ないよりはマシだろう。
そうなると、何処に止まればいいのかしら。
大きな街道だったら、彼らに囲まれてもすぐに逃げ出せるしちょうどいいのかも。
「ゆきちゃん、ここから近い大きな道まで案内してくれる?」
「えっと… あ、これかな? まずはこの先を右だよ!」
「ありがとうね、ゆきちゃん」
「どうしたんだ? 急に止まって」
「今日はこの辺りで一度休もうと思ってね。 明くんも悠里ちゃんもずっと運転して疲れたでしょう?」
「確かに肩凝ったな… 俺はここで泊まってくのに賛成だ」
「私もその方がいいと思います」
大通りの真ん中に車を停めると、後続の2人が訝しげに車から降りてきたので事情を説明すると、二人共すぐに納得してくれた。
口には出していなかったが、やはり2人にも疲れが溜まっていたようだ。
私も初めて車を運転した頃は、少し運転するだけでもすごく疲れてたなぁ…
「じゃ、俺はこの辺軽く見回りしてくるわ。やばそうなとこあったら大変だしな。」
「アキくん… ごめんなさい、いつも貴方に頼りきりで…」
「気にすんなって。俺にはこれくらいしかやれること無いからさ。」
学校から持ってきた食料や毛布などを荷出しして野宿の準備を整えると、すぐに明くんは周りの見回りを申し出た。
いつもならみんなと一緒に見送るだけだが、今回は彼を引き止めた。
「待って、明くん。私も行くわ。これでも顧問なんだし」
「いや、別に無理してついてこなくてもいいぞ? 本拠地でどっしり構えてくれよ」
「私だって、ある程度は対応できるわよ。明くんもそれは知ってるでしょ?」
彼や胡桃ちゃんは、こういった危険な仕事を率先して行おうとする。
事実、学園生活部のメンバーでちゃんと戦えるのは彼と胡桃ちゃんだけだ。
私は少しは戦えても時間稼ぎ程度しか出来ないから数に入らない。
この2人は自分の役割を理解して私達を守ろうとしてくれているのだろう。
実際、彼は私が同行すると言ってもそれに否定的な意見を見せている。
その優しさにいつまでも甘えていては、いつか必ず後悔する。
そんな気がしていた。
それに、彼には聞いておきたいこともある。
その中には、周りには聞いてほしくないであろう事も含まれている。
なら、二人きりになれるこの機会は丁度良かった。
だが、彼も簡単に自分の意見を曲げるつもりは無いのか、黙ってこちらを見つめてくる。
絶えず浮かべる微笑みの下で、リスクとリターンについて考えているのだろう。
「………はぁ」
やがて諦めたように溜息をついてこちらに背を向けた。
一応同行は許可してくれたようだ。
そのことに胸を撫で下ろす私を尻目に彼はそのまま歩き始めてしまった。
追いつけないなら置いていくと言わんばかりに歩を進め始めた彼の背中を慌てて追った。
「こっちも異常なしか」
「夜だからみんな家に帰ってるのかしら」
「何にせよ、都合がいいことに変わりはないな。 めぐねえが付いてこなくても良かったんじゃないか?」
「行くまでは分からなかったんだから、しょうがないでしょ?」
彼らと出くわす事も覚悟していたが、何か起こるわけでもなくのんびりとした散歩気分だ。
耳に届く虫の声が寂しさを紛らわしてくれた。
空を見上げれば満天の星空が輝いている。
できれば、こんな状況で見たくは無かったな。
「それにしても、随分と寛容になったな。前は『めぐねえじゃなくて佐倉先生でしょ?』とか注意してたのに」
「肩肘張っても疲れちゃうしね。 それに、この方がみんなとの距離も埋めれるかなって」
初めは教師として、唯一の大人として皆を引っ張っていかなくてはと思っていた。
私が責任を持って全員を外に出してあげなくてはと信じていた。
それはとても難しいことだと分かっていた。
だが、現実はそれを遥かに超えて私を押しつぶそうとしてきた。
学園生活部のみんなが居なければ、私は今頃1人ダメになっていただろう。
守ろうとしていたはずが、いつの間にか守られていた。
我ながら情けない話だと思う。
だが、今回の事で痛感した。
私のような小さな存在では、皆を守ることは出来ない。
自分の身一つでさえ、明くんが居なければ失うところだったのだ。
そんな私が皆を救うなどおこがましいにも程がある。
なら、私はみんなを影から支えることが出来る存在になろう。
みんなが少しでも楽しく生活できるように、ちょっとでも笑ってくれるように、その助けになろう。
そのためにはもっと皆に近い存在でなくてはならない。
みんなと同じ目線で考え、同じ立場で悩み、同じ状況で喜べる。
そんな人に私はなりたかった。
「だから、私もみんなと同じように呼んでみたりしようかなって…」
「思った以上に真面目な考えにびっくりだわ」
「私、今までどう思われてたの…?」
「ごめんって。 ていうか、俺らと近くなるっていうなら、制服着れば良いんじゃないか? その服も袖とか破れてるし」
「それはちょっと… 年齢的にキツイかなぁって…」
「別に問題ないと思うんだけどなぁ」
あの後もしばらく制服の事やめぐねえの理想のことでからかっていたが、それに飽きたので今は空を見上げながら歩いている。
見回りに行く前に思いつめた表情をしていたから何か聞いてくるかと思ったんだが、思い違いだったのかな。
まぁ聞いてこないならそれでいいんだが。
これ以上回っても疲れるだけだろうし、そろそろ戻るか。
あまり遅いと、彼女たちが心配するだろうし。
「めぐねえ、そろそろ戻ろうか」
「ええ、その前に一つ良いかしら」
おっと…
このタイミングで聞いてくるか。
さて、どの事を聞いてくるんだか。
めぐねえは曲がりなりにも大人だ。
俺らより10年近くは長く生きている。
同い年相手なら騙し通せる自信はあるが、大人が相手だと何処でボロが出るか分からない。
あまり深い部分について聞かれないと良いんだが。
「まず、貴方のその表情のことよ。 その笑顔って、自分からすすんで浮かべているわけじゃないでしょう?」
「ああ、そうだな。 いつから気付いてた?」
「最近、ご飯のときに私達と一緒に居なかったわよね。 それは、ご飯の時も表情が変わらないことに疑問を持たれるのが嫌だったからじゃない?」
「まぁ、半分正解かな」
おどろいた。
まさかめぐねえがここまでこっちの事を見ているとは。
さっきの『みんなの近くにいる』って言葉は嘘じゃなかったわけか。
確かに、他のメンバーが食事を取っているときは、わざと都合を作って時間をずらして食べていた。
その理由の一つはめぐねえが言ったとおりで、周りに疑問に思われるのを防ぐためだ。
口を引きつらせながら食べるなんて真似をしたら、誰でも俺の異変に気付くだろう。
もう一つの理由はもっと単純で、この表情で飯を食べるのは難しから、食べるときに机を汚してしまうからだ。
高校生にもなってご飯をポロポロこぼすとか、恥ずかしすぎるからな。
だから、俺はみんなが別の場所にいる時に1人で食事をとっていた。
だが、これはバレても全く問題ない。
俺の表情のことは、既に由紀は気付いているし悠里も半信半疑といったところまで来ている。
あとはエビちゃんだけだが、それも時間の問題だろう。
隠そうと思っていたが、気付かれているのなら変に隠すほうが不信感を与えるだろうし。
「なんでそうなったかとかは…」
「多分、ストレスだろうな。 別に命に関わるわけじゃないし、そこまで問題じゃないだろ?」
「そんなことないわ。 明くんが苦しんでいるんだから何とかしたいのだけど…」
「現状出来ることはない。なら、ほっとくしかないさ。 そのうち治るから大丈夫だって。 これでも、最初よりはマシになったんだから」
事実、この症状が出始めた時は頬が引きつったような、笑顔とも言えない不気味な表情だったのだ。
今では周りから微笑みと認識されているのだから、まだマトモだ。
「話はそれだけか?」
「ううん、もう一つあるのだけれど… やっぱり、今は聞かないでおくわ。学校に帰ったら話すわ。」
「そっか。期待して待ってる。」
めぐねえが俺に話したいこと…
それも、悠里たちに聞かれたくないことか。
俺とめぐねえだけが知っている情報といえば、学校の地下にあった避難施設のことだろうか。
確かに教師であるめぐねえは、俺よりも学校の事情に詳しいはずだ。
なら、あの施設についても何かしら知っているのかもしれない。
地下にいる時に話しそびれたから今話そうとしているのだろうか。
それとも、もっと残酷な現実でも叩き付けられるのだろうか。
今後一切の救助が望めない、なんて話はあの3人にはキツイだろうからな。
だが、それなら俺だけに話す理由はなんだ?
考えてもわからないし、他のメンバーより頼りにされているってことにしておこう。
その後も幾つか意見が浮かんでは消えていったが、納得の行く考えは思いつかなかった。
書く時間が減ってしまった…
さよなら睡眠、さよなら単位