仮面ライダーゴースト〜命を燃やす少年少女〜 作:Purazuma
ネクロムかっこよすぎ。ゴーストのライダーデザインは本当にどストライク。
「ふう……」
たった今倒した魔女が落としたグリーフシードを拾い、ポケットに突っ込んだ。
もう大分ストックがあるし、しばらくは魔女を倒さなくても大丈夫だろう。
「明日は休日だし……これでゆっくり休めるよ〜!」
なんだか疲れが溜まっている気がする。最近は眠っても起きた時にはだるい。
「ボクも歳かな〜……なんて。」
まだまだ、ピチピチの中学一年生です!
「帰ろ。」
ボクは家に続く暗い道を一人で歩いた。もう深夜なので他に人はいない。
「いない……のかな?」
気のせいだろうか。さっきから誰かに後を付けられてる感じがする。
この前の黒い人といい……なんだろう、さすがに怖いなぁ。
「誰かいるんでしょー!?恥ずかしがらないで出てきてよー!」
意外にも、ボクの言葉に応じるように、その人物は姿を現した。
「…………」
「えーと……誰?」
ものっすごく暗い感じの男の人が出てきたよ……あれ、でもこの制服…………
「えーと、見滝原中ですか?」
「…………遠野優香だな?」
「はい?」
うーん……ダメだこの人、質問を質問で返しちゃうタイプか。
ここは上手くスルーを…………
「ごめんなさい。ボク、知らない人に名前教えちゃダメって言われてて…………」
「アイコンを持っているな?」
ボクの言葉を無視し、その人はさらに続ける。
「全て渡してもらう。」
「あいこん?」
あちゃー…………しまった、この人もしかして……もしかしなくても仮面ライダーか。
アイコンを狙う仮面ライダー……たまに見るけどここまでストレートな人は初めてだなあ。
「い、や、で、す。」
ボクはブーストゴーストアイコンを取り出し、前に突き出した。
ブーストゴーストアイコンから熱を感じるほどの光を目の前の男の人に向けて放つ。そして…………
「ばいばい、です!」
その隙に全力ダッシュ。
「…………あれ?追いかけてこない…………」
追いつけないと思ったのだろうか。その人はその場に立ち止まったままこっちを見つめていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今日は休日。学校も無い。
「やる事も、無い。」
俺は朝から何もすることの無い虚無感に陥っていた。
いや……眼魔とか魔女探せよって思うかもだけど、なんかそれすらやる気が起きない。
今は朝の五時半。こういう日に限って早起きしてしまうとは。
「それにまさか……夢の中でも戦う事になるなんて…………」
そう、今日見た夢は魔女と戦う、というものだったのだが……
なんか……気付いたら木で出来た街に飛ばされてて、うさぎがいて………結界に入りそうになった女の子がいて…………魔女倒して…………
夢の中で体を動かすのは良くないと聞いたことがある。疲れが取れないのもこのせいかも。
「決めた。今日は何もしないで一日中無駄にして過ごそう。」
それが一番疲れを取る方法だと俺は思っている。うん、きっとそれが一番だ。
独り言をぶつぶつ言ってると段々虚しくなってきたので、とりあえず二度寝する事にした。
ベッドに飛び込み、掛け布団にミノムシのように包まる。…………少し暑いな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ポーン
ピンポーン
「んあ!?」
部屋に響く呼び鈴の音で目が覚めた。
時計を確認すると、もう一時二十分近く。昼過ぎだ。
「は、はーい。」
寝起きなので声がガラついている。それに頭には物凄い寝癖。
急いで玄関まで走り、ドアスコープを覗くと、同級生と先輩の姿がそこにあった。
「まどかとさやかに……マミさん?一体何の用だ?」
とりあえず鍵とドアを開ける。寝間着で寝癖がひどいままだが、問題ないだろう。
「こんにちわ天空寺君……って、まだ寝てたのね……ごめんなさい。」
と苦笑いしながら言われた。いいじゃないか昼起きだって。因みに最高記録は夜の七時まで寝てた事がある。
「起きんのおっそいわねあんた!」
「あはは……幽斗君にとってはおはようだね。」
三人は、休日なので当然だがいつもの制服ではなく私服だった。それぞれの個性が出ている。
「で、今日はなんで俺の家に?」
「これからあたし達買い物行く所なんだけど……まどかがついでに幽斗も誘ったら〜って。」
「お、大勢で行った方が楽しいと思って。」
買い物……買い物ねえ…………どうしよう、俺的には家でダラダラしたい気分だけど…………
いや待て、よく考えろ。この街に来る前を思い出せ。彼女いない歴=年齢の俺が女子と買い物できるんだぞ?
これはもしかしてチャンス!?
「わかった、すぐ準備してくるから待っててくれ。」
すぐに簡単な私服をクローゼットから引っ張り出し、アイコンを鞄に詰め込む。
大して持って行く物とか無いな。
「他に持って行く物……よし!おまたせ!」
すぐさま玄関に戻り、靴を履く。
「で、どこに行くの?」
「いつものデパートよ。」
デパート…………まどか達が初めて魔女に襲われた場所だな。俺もあまりいい思い出が無い。
まあ今回はマミさんと俺が付いてるし安全か。
「よし行こう!」
「幽斗君寝癖…………」
「あっ」
「抜けてるわね…………」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
休日だからなのか。デパートは人で溢れかえっていた。
賑やかなのは好きだけど人混みは苦手なんだよな…………
「あ、あたしちょっとCD見てくる。」
「うん、また上条君の?」
「えへへ……まあね。」
まどかとさやかがそんなやり取りをしていた。
上条って…………誰だ?
「そういえば幽斗君って、上条君とは会ったことないよね?」
俺が首を傾げているとまどかが説明してくれた。
「今は入院してるんだけど……私達と同じクラスなんだよ。」
「入院…………」
怪我か病気か。
同じクラスなら一度は会ってみたいな。転校生としてクラスの人達全員に挨拶したいし。
「美樹さん、何だか嬉しそうね。」
「え、ええ!?そんなことないっすよ!」
マミさんの言葉にさやかが頬を赤く染める。
ははーんなるほど…………さやかの思い人ってわけか?わかりやすい。
「そうね……それじゃあ一度別行動しましょうか?1時間後、ここに集合しましょう。」
「「「はーい!」」」
と、さやかはCDショップ。マミさんは化粧品売り場に。まどかもどこか行きたい場所があるのか、エスカレーターに向かって行った。
俺はというと…………
「そういえばやる事ないな…………」
せっかくデパートまで来たってのに、やる事がないなら家でダラダラしてた方がマシなんじゃ。
その場に突っ立ってるのも他の客の迷惑になるので、とりあえず適当に回ろうと歩き始めた。
…………やっぱり人が多い。
俺が前まで住んでた街はここほど都会じゃなかった。田舎と都会の中間くらい、つまり普通。
「ん?」
ふと視線を向けた先に、男が二人と、女の子が一人。
女の子の方はナンパされてるみたいだ。
「都会だなあ…………」
そんな事を呟くと同時に、俺はある事に気がついた。女の子の顔。
「あの子は確か…………」
確かに見覚えのある顔だった。
…………そうだ!あの子だ!この前の……えーと…………仮面ライダーブースト!確か……遠野優香、だっけ?
「いいじゃんいいじゃん、一緒に遊ぼうぜ?」
「あはは……あの、そろそろボク行かないと…………」
「''ボク''だってよ!カワイー!!!」
…………ここまでベタなナンパは初めて見た。
見ていて気持ちのいいものではなかったし、彼女に聞きたい事もあったからとりあえず助けてみる事にした。
三人の近くまで行き、わざと転んで小銭をばら撒く。
「うわっと!すみません!」
「うわ!…………気を付けろ馬鹿野郎!」
「!」
俺の意図に気付いたのか、優香はすぐさま踵を返して走り出した。
「あ!おい待て!…………てめえのせいで!ってあれ!?」
「どこ行きやがった!?」
絡まれるのは勘弁だ。
俺は人混みに紛れてナンパ野郎共から離れた。回収しきれなかった小銭があるが…………まあいっか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あ、いたいた。」
数分後、向こうも俺を探していたのか、そんな事をいいながら優香は俺に歩み寄ってきた。
「さっきはありがとうね、ああいう人達はしつこくてさ…………」
「大丈夫。たかが小銭だし。」
「え?」
「いやなんでもない。」
近くにあったベンチに座る。優香はそのすぐ隣に腰掛けてきた。
「幽斗……だよね、仮面ライダーオレの。」
「ゴーストね。」
「ああ、そうそうそれ。」
わかってて言ってるんじゃないかと疑いたくなる。
「ボク、他の仮面ライダーや魔法少女に会ったら、聞きたい事があったんだ。」
俺が質問しようとすると、優香は先に話を切り出してきた。
レディーファーストってことで。
「幽斗はどんな願いで仮面ライダーになったの?」
この質問、まどかにも聞かれたよな確か…………
「死にかけだったのを救われたんだ。今ではこの通り。」
手を大きく広げて見せる。
今思うと、あそこにキュゥべえが来なかったら…………俺は今ここに存在しないことになる。
やっぱりキュゥべえには感謝だな。
「優香はどんな願いなんだ?」
「ボクは……えーと……うんと…………」
前に会った時はもっと活発なイメージがあった優香だが、今はやけに大人しい感じがする。
まずいこと聞いちゃったかな?
「ごめんね、幽斗に聞いておいてなんだけど…………恥ずかしいから勘弁!」
両手を合わせて頭を下げてきた。
「いや、別にいいけど…………」
「じゃあね!話してて楽しかったよ!」
「あ、ちょ…………」
優香はそう言うとすぐに立ち上がり、駆け出した。
あっという間に人混みに隠れて見えなくなった。
「アイコンの事とか…………色々聞きたかったんだけどな。」
まあいいか。確か優香も見滝原の生徒だ。学年は一つ下だが、もう会えないというわけではないし。
「あ!もう1時間経ってる!」
腕時計を見ると既に集合時間の五分前。少し急ぐ必要がある。
「ん…………?」
ベンチから立ち上がると同時に、全身に寒気が走った。
誰かに見られている。
それもすごい殺気を放って。
周りを見るが怪しい人物はいない。
「気のせい、か…………?」
そう思いたかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「え?恭介に会いたい?」
「うん。」
デパートからの帰り道。
さやかは病院に行って恭介のお見舞いに行くという事なので、俺もついでに挨拶しに行こうと思った。
「別にいいけど……」
少しだけさやかが残念そうな顔を浮かべる。
「あはは……(多分さやかちゃん、上条君と二人きりになりたかったんだろうな……)」
「まどか、どうする?あんたも来る?」
「うーん……予定もないし、お邪魔じゃなければ行こうかな。マミさんはどうします?」
「遠慮しておくわ、私がいたらみんな気を使っちゃうでしょうし。」
という事で、病院には俺とまどかも付いて行く事になった。
上条……どんな人なんだろうか。
さやかが買ってきたCDはクラシックばかり…………そういうのが好きな人なのかな?
マミさんと別れ、俺達は病院に向かった。
予想はしていたが、その病院はかなりの大きさがあった。前に住んでた所では、こんな大きな建物はあまりなかった。
エレベーターに乗り、上条がいる病室に向かう。
「上条ってどんな人なんだ?」
「うーん……ヴァイオリンは得意だったなあ…………」
なんだその今は得意じゃないみたいな言い方。
「ああそうだ。幽斗、気をつけて欲しいんだけど……」
「ん?」
「恭介の前であんまり……ヴァイオリンの話はしないであげて。」
「それってどういう…………」
あ。
入院してるって事は…………そうか、そういうことか。
「わかった、気をつける。」
さやかは一度頷いてからエレベーターの天井に視線を向けた。
廊下は窓から射す夕日で照らされているだけで、少し暗い。
病室に着くまで、俺達は無言だった。
さやかが先導し、一つのドアの前で立ち止まり、ノックをする。
「どうぞ。」
病室から澄んだ声が聞こえてきた。男にしては少し声が高い。
さやかが中に入るのに続いて俺とまどかも病室に入る。
窓は開いていて、風でカーテンがなびいている。そのすぐ側のベッドで一人の少年が横たわっていた。
「今日は友達も連れてきたけど……いいかな?」
「もちろんだよ、えーと……鹿目さんと……そっちの人は?」
「君が上条……初めまして、この間同じクラスに転校してきた天空寺幽斗だ。」
「ああ、君が!さやかから転校生が来たって話は聞いてたよ。」
なんだ知ってたのか。
「転校生としてクラス全員に挨拶したいと思ってね。」
「わざわざありがとう。」
「ああ、あと……はいこれ。」
さやかは持っていたCDを袋から取り出し、上条に渡した。
「さやかもいつもありがとう。」
「えへへ…………」
さやかは照れ隠しに頭を軽く掻き、咳払いをする。
その表情は今まで見た事ないような幸せそうなものだった。
……やっぱりさやかに悪い気がしてきた。すぐに退散しようかな。
「幽斗!」
「「「!?」」」
上条以外の全員が驚く。俺とまどかとさやかだけに聞こえた声だったからだ。
「今の……キュゥべえか?」
予想は当たり、病室の窓の外側にキュゥべえが座っていた。
《どうしのよ!?》
テレパシーでさやかが尋ねる。キュゥべえはかなり急いでいる様子だ。
「魔女だ!この近くに魔女が生まれかけのグリーフシードがある!」
《なっ……!?》
《近くって……どのくらい!?》
「この病院の駐輪場だよ!」
それは……かなりまずい。
このままだと病院の中にいる全員が結界の影響を受けてしまうかもしれない。
「三人とも……どうしたんだい?」
「恭介、ごめん!今日はもう帰る!」
「え?う、うん……」
病院の中にいる事を忘れて、俺達は全力疾走で駐輪場へ向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ここだ!」
グリーフシードは意外とすぐに見つかった。
しかしあまり時間が無い。今にも魔女が生まれようとしている。
「マミさんは帰っちゃったし…………くそ!」
相手は魔女一体…………俺一人でもやれるはずだ!
ゴーストドライバーを出現させ、アイコンを取り出す。
「!来るよ!」
キュゥべえがそう叫んだ時には、もう魔女の結界が展開され、俺とまどかとさやかは閉じ込められてしまった。
周りを見渡すと、巨大なお菓子があちこちにある。今立っている地面も恐らくは何かの食べ物だろう。
「二人とも……俺から離れないで。」
返事の代わりに二人が唾を飲み込む音が聞こえた。
アイコンをゴーストドライバーに装填し、レバーを引く。
《アーイ!》
《バッチリミナー!バッチリミナー!バッチリミナー!》
「変身!」
《カイガン!オレ!レッツゴー!覚悟!ゴ・ゴ・ゴ・ゴースト!》
「よし……行くぞ…………!!」
俺達は結界の最深部へと向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……!雄也!」
「あいつらは!?」
「もう結界の中よ……」
「急ぐぞ!」
早く行かないと、また…………二度もあんな悲劇を起こさせるわけにはいかない。
「ほむら、結界の中には誰が入った?」
「幽斗と美樹さやか……それとまどかも。」
「マミはいないか……とにかく急ぐぞ!!」
「ええ!」
ダメなんだ幽斗。今回はお前達だけじゃ勝てない。
「そこにいるのは……魔女だけじゃない…………!!!」
少し予告しておくと、次回でさやかを魔法少女にさせて、その次の回についに…………やっちゃいます。