仮面ライダーゴースト〜命を燃やす少年少女〜 作:Purazuma
世界の真実とは。
「はっ!」
タイヤを身に付けた赤い仮面ライダーがロイミュードを殴る。
俺達はその光景をただ呆然と眺めていた。
「仮面ライダーって……え!?」
「どういうことよキュゥべえ!?」
「僕に聞かれても困るよ。」
キュゥべえに尋ねるが、やはりこの赤い仮面ライダーについては何も知らないみたいだ。
俺達の世界とはまた違った存在の、仮面ライダー…………
『スピ!!スピ!!スピード!!!』
赤い仮面ライダーが腕に装着されているブレスを操作すると、胸に取り付けられたタイヤが高速回転し、その瞬間赤い仮面ライダー自体の動きも加速された。
ロイミュードの放つ光弾を避けながら、接近して攻撃を当てていく。
「おのれ……!人間ごときが…………!!」
「あーはいはい、お前はその人間に倒されるんだよ。」
赤い仮面ライダーはベルトのキーを回し、ブレスのボタンを押す。
『ヒッサーツ!!フルスロットル!!!スピード!!!』
止まっていた赤いスポーツカーが動き出し、ロイミュードと赤い仮面ライダーを囲むようにして回る。
「はあっ!!」
赤い仮面ライダーはロイミュードに飛び蹴りを放った。
着地地点には赤いスポーツカーがあり、上手くタイミングを合わせてその装甲を蹴り、再びロイミュードに蹴りを放つ。
これを何度も何度も繰り返していた。
「す、すげえ…………」
思わず感嘆の声を上げてしまう。
「これで終わりだああああっ!!!」
最後に放った蹴りを受けると、ロイミュードは断末魔を上げながら爆発した。
爆発した体の中から数字が出てきて、それも続くように爆発する。
『ナイスドライブ、リョウタ!』
「…………やっぱり何か変だ……」
『リョウタ?』
「ん?ああ……なんでもない。」
変身を解除し、その人は元着ていたバーテンダー服に戻った。
その後ろからは白と黒の二台のバイクが走ってきて、そばに止まる。
「遅いぞお前ら、もう倒した。」
「え?なーんだ、つまんない。」
「やはり流星も呼んだ方がいいと思った。少し遅かったな。」
茶髪の高校生くらいの男性と、紫色のジャケットを着た男性。
「ところでさ……リョウタ、あの子達は知り合いか……?」
「ん?」
茶髪の方の男性が俺達の方を指差して言った。
「『あ』」
「おいリョウタお前……まさか。」
「変身してる所見られちゃった…………」
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泊リョウタだ。
俺は今非常にまずい状況に置かれている。
「あれ?この店って前にも来たよな?」
「あそっか!よく見たらあの時の店員さんか!」
中学生に変身を見られた。ドライブの事は絶対にバレちゃいけないのに…………
とりあえず口封z……お話をしようとラビットハウスに招いた。
「チノに殺されるのかな……俺。」
「ココア達にバレた時点で今更だが。」
『すまない……これは私の責任でもある。』
腰に巻きつけられたベルトさんのディスプレイが悲しそうな表情になる。
「あ、リョウタ達じゃない。おかえり。」
「無事で何よりだわ。」
ココアやリゼ、チノの他に、俺達が留守中に来たのかシャロと千夜もいた。
「どうしたのよその子達?」
「いや……その、ちょっとやっちゃったんで……」
「なんか、目が死んでるぞリョウタ……」
俺がこういうポカをやらかすのは初めてじゃないので、いつものメンバーは慣れた様子で俺に声をかけてくる。
「一応お客さんだからな、失礼のないように…………特にココア。」
「ええ!?私!?ひどいよリョウタ君!」
初対面の人に平気で抱きつこうとする奴だからな。
俺は重い足取りでチノの方へ寄り、小声で報告した。
「ごめんチノ……かくかくしかじか…………」
「え、ええ……!?ちょっと何やって…………!」
顔を青くしたチノが急いで洗っていたカップを置き、カウンターを飛び出す。
と同時に立ち止まり、呟く。
「よりによってこの人達なんて…………」
「え?知り合い?」
「…………前に話した転校生の人達です。」
…………うそ。なんという偶然。
にしても六人かあ…………本当に多いな。こんなに一気に転校してきたのか。
「あれ?あなたは確か同じクラスの…………」
桃色の髪の女の子がチノに気付いたのか、声をかけてくる。
チノは小さくお辞儀をした後、すぐにカウンターに戻ってしまった。
「とりあえず君達、好きな席に座ってくれ…………」
俺がそう指示すると、その子達は各自で適当な席に着いた。
流星よりも少し薄い茶髪の男の子。
桃色の髪を二つに束ねている女の子。
青い髪のショートカットの女の子。
金髪の巻き髪の女の子。
短い黒髪の男の子。
反対に長く、綺麗な黒髪の女の子。
全員の視界に入るように移動してから、俺は話し出した。
「さっき見た事は忘れてくれ!以上!」
「「「「雑だな!!!」」」」
わかってるよ……説明すればいいんだろ?
くっ……自分の不始末とはいえこんな事になるとは…………
…………あれ、ん?
「「「「「「「「その生き物は何?」」」」」」」」
被った。
俺とココア、チノに千夜、それとシャロとリゼと流星とチェイス…………
全員に''それ''は見えた。
「キュゥべえが見えるんですか!?」
「キュゥべえっていうの?そいつ。」
猫?いやうさぎ?よくわからん生物だな…………
「どうやら君達にも魔法少女や仮面ライダーの素質があるようだね。」
キュゥべえが口も動かさないまま喋りだした。
「え?仮面ライダーなら既に…………」
三人いますけど、ここに。
「ま、魔法少女……っ!」
なんかココアの目がキラキラしてるぞ。
「どうだい?そこの君、魔法少女に……」
「はいはーい!私やってみたーい!!」
「やめろココア!!そいつは胡散くさすぎる!!!」
キュゥべえに歩み寄ろうとするココアを羽交い締めで止める。
何か嫌な予感がする…………なんだよ魔法少女って。
「ねえ……そんなことより、この世界について詳しく聞かせてもらいたいんだけど…………」
「そうだな、学校では大した情報を得られなかったし。」
黒髪の少女と少年が話題逸れ気味の俺達に向かって言った。
ん、''この世界について''…………?
「どういうこと?」
シャロが首を傾げる。
それに続いて全員が黒髪の少女の方へ顔を向けた。
「私達は、別の世界から来たの。」
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「…………というわけで、私達はこの世界に飛ばされたの。」
暁美が全て説明してくれた。
こんな話信じてもらえないかもしれないが…………
「別の世界…………結界…………」
「信じて貰えるでしょうか?」
マミさんがそう確認しようと尋ねた時…………
「『あああああああああああ!!!』」
「!?」
「りょ、リョウタ君!?どうしたの!?」
リョウタ、と呼ばれたその男の人とベルト(?)が大声で叫んだ。
二人は顔を見合わせて再び絶叫し…………
「なんでベルトさんがここにいるんだ!?」
『どうして私がここに!?』
…………?何を言って…………
わけがわからない、と俺を含めみんなの頭に「?」マークが浮かぶ。
「思い出した!そうだ!あの時急に頭が痛くなってそれで…………!」
『みんな!思い出すんだ!私は既に地下深くに凍結されて…………!!!』
「「「「「「「あ」」」」」」」
あああああああああああ!!!といった叫びが店中に響いた。
「一体どういうことです…………!?」
マミさんも困惑し、ただ首を傾げるばかり。
その時、キュゥべえがテーブルの上に飛び乗り、俺達に言った。
「思い出したみたいだね。そう、ここは結界の中だよ。」
結界の中…………!?まさか、俺達を連れてきたあの黒い奴の…………
でもどういうことだ?今目の前にいる人は全部嘘ってことか…………!?
「でもただの結界じゃないね…………これは、''世界ごと''結界に包んでいる。」
「なっ……」
「そんなことができるなんて…………あいつ、一体どんな力を…………」
「どちらにせよ、あいつを倒さないと帰れないのは事実みたいね。」
でもあの黒い奴は…………なんのために俺達をこんな結界に…………?
「なんだかよくわからないけど……困ってるみたいだな。」
リョウタさんが頭を掻きながら俺の肩に手を置いた。
「俺達も手を貸すよ。俺は泊リョウタだ。」
「……!はい!ありがとうございます!天空寺幽斗です!!」
その後は全員で自己紹介を済ませ、この結界から抜け出す方法を考えた。
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泊リョウタだ。
幽斗達の話を聞いてやっと思い出した。本当の現実を。
そして俺達の世界の事を幽斗達に話すことにした。
悪の科学者、蛮野天十郎との戦いを。そして、俺達の失った物を。
「…………というわけで、正しい歴史では、ベルトさんも凍結されて…………」
「チェイスもいない……」
流星は拳に力を入れ、リゼは下を向いて言う。
それに反してチェイスはただただ冷静に、キュゥべえに質問を続けた。
「今の状況、解決したとして……その後はどうなるんだ?」
「正しい歴史に戻るだろうね。」
正しい歴史…………それはつまり…………
「……ベルトさんも、チェイス君もいない世界ってことだよね…………」
口を開いたのはココアだった。
その場の雰囲気がしん、と冷える。
「ねえキュゥべえ……他に方法はないのかしら?」
千夜が不安そうに幽斗に尋ねた。それは俺達全員の気持ちを代弁した言葉だった。
「それは……」
しかし、その希望は無慈悲に消えた。
「残念だけどないね、結界が消えれば、元の正しい歴史に戻る。」
……やっぱりそうなのか。
「クリムさん……チェイスさん……」
『大丈夫だよチノ。……しかし…………』
「やるしかないだろう。」
チェイスは声色も、表情も変えずに言い放つ。
「でも!」
リゼから堪えきれなかった涙が流れ落ちる。
「……俺も記憶は戻った。そして理解した。俺はここにはいてはいけない。」
チェイスも……辛いはずだ。ベルトさんも……
「チェイス……」
流星もチェイスに視線を向けた後、すぐに顔を背けてしまう。
「私だって……思い出したんだ。あの日何があったのか…………」
「リゼ先輩……」
シャロがリゼに寄り添い、慰めようと手を伸ばした。
『正しい未来を取り戻すべきだ、リョウタ、みんな。君達もそれはわかっているだろう?』
「ベルトさん…………」
ココア達の顔を見る。
悲しい。まだ一緒にいたいという気持ちが伝わってきた。
だけど同時に…………
「…………幽斗。」
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「…………幽斗。」
「はい。」
リョウタさんは俺達の方に目を合わせ、真剣な表情で言った。
「決めた。正しい未来を取り戻す。」
短い言葉の中に、確かに大きな決意が込められていた。
俺がまどか達に視線をやると、みんな引き締まった表情で首を縦に振った。
「やりましょう!」
その言った時、キュゥべえ……そしてマミさん、暁美、雄也が何かに気付いた。
「まさか…………!」
「気をつけて!来るよ!!!」
なっ…………!?こんなに早く…………!!!
刹那、店の中の景色が一変した。
赤い空に乾ききった大地。
その中心に立つ、黒い影。
「あーあ……気付いちゃった。」
奴がいた。
魔法少女と仮面ライダーを狩り、俺達をここに連れて来た人物。
「このまま幸せな生活に身を委ねれば良かったものを…………」
俺と雄也は自然とみんなの前に出ていた。
それに続くようにチェイスさん、流星さん、リョウタさんも前に出る。
「やるぞ幽斗、みんな!」
「はい!!」
次回でコラボ編は終わりです。リョウタとココアの関係は進展するのか…………!?
…………しないとダメだよね。